ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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むむ、忙しくて書く暇がねえ・・・ 


第十一話 形見の車で走り出す  

 2日後

 

 大雨の中をバス停へ走っていく二つの人影・・・

 

 「うあああぁぁぁ!寝坊したああぁぁぁ!」

 

 「・・・」

 

 大尉とトバルカインの二人である。

 

 「なんで大尉も起こしてくれないんだよぉ!ひどすぎるでしょぉ!」

 

 「・・・朝飯・・・気合入れすぎた・・・」

 

 「そりゃあウインナーとハッシュドポテトにご飯山盛り食ってたら遅れますよぉ!」

 

 「・・・久しぶりに強襲科に行って・・・夕飯食べれなかった・・・」

 

 昨日は久しぶりに強襲科に戻って訓練を受けたのだ。まあ、強襲科は古巣だ、久しぶりにみんなと話して楽しかったが・・・それよりも蘭豹だ、自分が強襲科へ戻ってきたと知るやいなや強襲科の面々を吹っ飛ばしながら来たのだ・・・しかも自分が訓練したいと言ったら『よっしゃ!付き合ったる!』とか言って深夜まで訓練に巻き込まれた・・・しかも神崎に待ち伏せされゲーセンに連れてくハメに・・・結果、昨日は夕飯を食べずに倒れるように寝たのだ・・・

 

 「クソ!ついてねえぇ!ドクも起こしてくれないしシュレディンガーは行方不明だしよぉ!」

 

 「・・・シュレディンガーは武偵殺しについて調べてる・・・時間がかかって当然・・・」

 

 そうこうしているとバス停まで後100mほどになる。

 

 「バスだ!待ってくれ!げぇ!むっちゃ並んでんじゃねえかぁ!」

 

 もうバスの乗り口からは生徒が・・・ん?

 

 「・・・武藤だ・・・あれ武藤だ・・・」

 

 「ホントだ!おい!武藤!俺たちも乗せてくれぇ!遅刻しちまう!」

 

 「ザマァwwwじゃーな!もう満員で乗れねーぞ!チャリで来いよ!武偵殺しに襲われねーよーになー!」

 

 「チクショー!覚えてろよぉぉ!」

 

 そんな会話を最後に無常にもバスのドアはプシューと音を立てて閉まり、発車していった・・・

 

 

 

 大雨の中を男二人、大急ぎで来た道を戻る。

 

 「しょうがねぇ!一時間目に間に合うかどうかわからんが大尉のミニクーパーで行くしか方法がありませんよ!」

 

 「・・・しょうがない・・・」

 

 ちなみに兄貴のミニクーパーはオーバーホールしたあと、銃架を付けたり武藤に頼んでニトロエンジンを積んだりとかなり魔改造した見た目は普通のモンスターカーだ。

 

 プルルルルルルルルル、プルルルルルルルルル

 

 ん?誰だ?こんな忙しい時に・・・

 

 『キンジ。今どこ』

 

 「・・・なんだ、今日は遅刻だ。バスに乗りそびれて家に・・・」

 

 『何やってんのよ・・・まあいいわ、C装備に着替えて女子寮の屋上に来なさい。すぐ』

 

 「・・・お前は主語がないな・・・悪い癖だ、治せ・・・」

 

 『悠長なこと言ってる場合じゃないわ!事件よ!あたしがすぐと言ったらすぐ来なさい!』

 

 それを最後にケータイが切れる。

 

 「どうしたんですか?なんかやな予感が・・・」

 

 「・・・お嬢様がパーティーに招待するってさ・・・」

 

 

 

 プアアアァァァァァン!キキィーーッ!!ガチャ

 

 「・・・ここが・・・女子寮・・・」

 

 「カッコよく決めたけど最後のセリフで台無しですねぇ」

 

 二人で愚痴りながら屋上へ上がる。

 屋上では神崎が大雨にうたれながら無線機にがなり立てていた。

 

 「なんでひさしの下にいないんだあいつ、風邪引くぞ。」

 

 「・・・そっとしといてやれ・・・」

 

 そのひさしの下には、狙撃科のSランク武偵”ロボット・レキ”が体育座りしていた。

 彼女も呼ばれたのか・・・

 

 「レキも呼ばれたのか?」

 

 「はい」

 

 相変わらず淡白な返事だ。

 

 「時間切れね」

 

 通信を終えたらしいアリアがこちらに振り返る。

 

 「もう一人ぐらいSランクが欲しかったところ・・・って伊達、あんたも来たの?」

 

 「俺も遅刻だよ。仕事すりゃあ遅刻の理由ができるからな。」

 

 「ちょ、ちょっと!あんたふざけてるの!そんな理由で来られても足でまといになるだけだわ!」

 

 その瞬間だった。トバルカインの顔が険しくなる。

 

 「・・・へっ、なんの仕事かしらねえがお嬢様より上手くやってのけるのでございますぅ」

 

 「!・・・あんたねえ!」

 

 喧嘩が始まりそうになり、ふたりの間に大尉が割って入る。

 

 「・・・まあまあ・・・とりあえず仕事の内容を教えてくれ・・・」

 

 「・・・バスジャックよ」

 

 「!?」

 

 ・・・始まった・・・武偵殺しの2件目だ・・・!

 

 「・・・どのバスだ?」

 

 「武偵高の通学バスよ。あんたのマンションの前にも7時58分に停留したハズのやつ」

 

 ん?・・・それってもしかして・・・

 

 「・・・・・・」

 

 「・・・・・・」

 

 「?どうしたのよ、急に黙って・・・」

 

 「「ブアッハハハハハハハハハハハハハハハハハwwwww!!」」

 

 「!?あ、あんたら何笑ってんのよ!仲間が人質に取られたのよ!」

 

 いやwwwこれを笑わずにいられるかよwww

 

 「ぷはっ!武藤のやつバスジャックされてやんのぉ!」

 

 「・・・ワロタwww」

 

 朝散々言っといてバスジャックされて遅刻とか・・・マジおもれー

 

 「ぷぷっ・・・ああ、しょうがねぇ。じゃあ助けてやらねえとなぁ。」

 

 「ククッ・・・ああ、全くだ・・・」

 

 そう言うとミニークーパーを止めた駐車場へ行くため階段を降りようとする。

 しょーがない、みんな仲良く遅刻しよう。みんなでやれば怖くない。

 

 「え!?あんたら今度は何を・・・!」

 

 「・・・お前らはヘリで行くんだろ?俺たちは下から援護する・・・」

 

 遠くから聞こえるのは・・・車両科のヘリだろう。それならバスにすぐ追いつくだろう。

 

 「ちょっと!パーティーのリーダーはあたしよ!勝手に行動されると困るわ!」

 

 「・・・『仲間を信じ、仲間を助けよ』・・・武偵憲章1条だ・・・」

 

 「てかお前がリーダーになった覚えがねえんだがよぉ」

 

 「~~~~っ!勝手にすれば!作戦失敗しても知らないんだから!」

 

 「・・・そんじゃ・・・」「アディオース」

 

 

 5分後

 

 「あんなにカッコよく決めたけど、場所分かるんですか?」

 

 「・・・大丈夫・・・匂いをたどってる・・・」

 

 

 「・・・いた・・・」

 

 「どうやらホントらしいですな。」

 

 すぐにバスは見つけることができた。今ホテル日航の前を右折しようとしている。

 まだ神崎達はいないみたいだな・・・

 

 「周りに怪しい車は・・・見えませんね、大尉は?」

 

 車を運転しているトバルカインが聞いてくる。

 

 「・・・今のところ・・・異常はない・・・」

 

 周りに怪しい行動をしている車はない。

 

 

 安全を確保するとケータイを取り出し武藤に電話する。

 

 とぅるるるるるるる ガチャ

 

 『キンジか!今どこにいる!』

 

 「・・・ぼくキンジくん、今バスの後ろにいるの・・・」 

 

 『呪われた人形の真似してる暇じゃねえ!武偵殺しがこのバスに爆弾が仕掛けたんだ!』

 

 「うん、ザマア」

 

 『てめえ後で轢いてやる!』

 

 「・・・ついでに言うと爆弾解体は俺の仕事じゃない・・・」

 

 『は!?じゃあなんで来たんだ!』

 

 「お前を嘲笑いに。ハハッ、ワロスwww」

 

 『必ず殺す!轢き殺す!』

 

 そんな会話をしていると・・・

 

 

 

 「大尉、お嬢様の到着ですよぉ。」

 

 武偵高のヘリがバスに接近してきている。そのヘリのドアが開くとそこから神崎が飛び出すと、強襲用のパラシュートで降下してくるのが見えた。神崎はそのまま器用にパラシュートを操るとバスの屋根に着地した。それを確認すると・・・

 

 ガシャン

 

 「・・・オーライ・・・」

 

 銃架に置いたマシンガンの撃鉄を引く。そのままバスの後ろに陣取り後方と左右からの接敵を警戒する。と・・・

 

 『キンジ、バスの周りに怪しい物体はない?』

 

 「・・・いや、少なくともここから見える位置にはない・・・屋根の上にないなら多分車体の下だろう・・・援護する・・・」

 

 言い終わるが早いか神崎はワイヤーをバスに固定すると逆さずりでバスの車体を確認し始めた。

 

 「・・・ん?・・・大尉、お客さんですよ。」

 

 「・・・そのようだな・・・」

 

 先程から妙なスポーツカーがバスの後ろを離れないのだ。距離があるため少しわかりにくいが・・・

 

 「・・・遠隔操作・・・無人だな・・・」

 

 そう言ってMG42をスポーツカーに向けようとしたその時だった

 

 ブウウウウウウゥゥゥゥ!    

 

 「!?よけろ・・・!」

 

 「やべぇ!」

 

 無人の車が急加速をして体当たりを仕掛けてきたのだ。

 ガシャン!という車同士がぶつかった音とともに金属の軋む音が響く。

 

 さらに・・・

 

 パララララララッ!ガキュンガガガガン!

 

 「撃ってきたぁ!」

 

 「・・・!」

 

 自動機銃が放った弾丸が装甲をへこませていく。

 大尉は素早く体勢を立て直すとマシンガンのトリガーをめいっぱい引く。

 

 ボボボボボボボボボボボッ!

 

 ヒトラーの電動ノコギリの異名を持つMG42が火をふく。

 凄まじい速度で放たれた弾丸がスポーツカーを蜂の巣にしていき・・・

 

 ボンッ!とボンネットから黒い煙を出しながらスポーツカーがスピンしてガードレールにぶつかり停止した。

 

 『何があったの!報告しなさい!』

 

 「・・・武偵殺しのラジコンカーに襲われ、排除した。そっちは?」

 

 『あんたの予想通りよ、バスをまるまる吹っ飛ばせそうな量の爆薬があったわ。でももう解除したわ』

 

 「・・・さすが・・・優秀だな・・・」

 

 『ふふっ、あんたらもよくやったわ』

 

 

 

 バスの速度が下がり・・・止まった。

 バスの屋根の上に無い胸を大きく反らした神崎が立っていた。

 そしてのバスの後ろにミニクーパーを止め、大尉とトバルカインが降りる。

 

 「・・・初めてのメンバーでこの成果は・・・なかなかのものだな・・・」

 

 「当たり前よ!・・・でもその銃大丈夫なの?色々違反してそうね。」 

 

 「気にしたら負けだぜぇ、まあこれで遅刻の理由ができたしバスジャックは解決したしで万々歳じゃねえか。」

 

 

 こうして武偵殺しの事件は3人の武偵の活躍により負傷者ゼロで幕を閉じた。

 ・・・だが、これは未だ始まりに過ぎなかったのであった・・・




次は面会の話か・・・そろそろ生き残ったお父さんに働いてもらうかな。
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