ヴェアヴォルフ~ヘルシングの大尉が転生~   作:むらやま 

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う~ん、話が進まん。もっと話のペースを上げる方法はないだろうか・・・

 


第十話 お前の目は節穴(ry

 まだその翌日・・・大尉はある人物と会うため温室に訪れていた。

 

 さて、今一番怪しい奴の筆頭。峰理子である。

 理由としては

 ・自転車に乗る前にしたバニラみたいな甘い匂い・・・間違いなく理子の体臭。

 多分爆弾にほんの少し・・・人ではわからないようなほど極微量の匂いがついていて、それを俺の嗅覚が嗅ぎつけた・・・そんなとこだろう。

 

 だがまだ確証があるわけではない・・・それに理子にはある事を調べるように頼んだばかりだ・・・

 

 「キー君!こっちこっち!」

 

 こいつはこいつで相変わらずゴスロリのフリフリした格好をしている。

 

 「・・・相変わらずだな・・・ほら、ゲーム・・・」

 

 そう言って持っていたビニール袋に入ったゲームを手渡す。

 

 「う~ん!やっぱキー君はクールだね!・・・うわあ!『しろくろっ!』と『白詰草物語』!あっ!『妹ゴス』もある!さすがキー君!完璧だよ!」

 

 「・・・お前確かナンバーがふってある奴嫌いだったよな・・・?・・・『妹ゴス』の2と3は買わなかったがいいか?」

 

 なんでか知らないがこいつは2とか3とかナンバーで区別するものが嫌いらしい・・・ターミネーター2も見たことないらしい・・・人生損してる。

 だが・・・こういうところを見ていると疑っている自分がバカらしくなる・・・

 

 「え~~っと、アリアの事を調べればよかったんだよね?」

 

 そう言って俺が頼んだ・・・神崎についての報告を聞く。信頼してないわけじゃないが・・・まだどんな奴かよくわから。で、こいつに頼んだ。

 

 「でもキー君はアリアと付き合ってるんでしょ?じゃあ直接聞けばいーじゃん!」

 

 「・・・そんなわけないだろ・・・」

 

 「へ~~~・・・じゃあどんな子がタイプなの!」

 

 「・・・そんな事より神崎の情報・・・」

 

 「答えないと教えなーい!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・うっざっ!

 

 「・・・う~ん、お前とかかな?」

 

 「へっ!?」

 

 どうだ?少しはびっくりしただろ。仕返しだ。

 

 理子は動揺を隠せないらしくパタパタとスカートをはためかせている。その風で理子のバニラみたいな匂いが飛んでくる。

  

 「ちょ!そんなこと言われたら・・・あ、あ、暑いね・・・ここ・・・」パタパタ

 

 「・・・お前がタイプといったな・・・あれは嘘だ・・・」

 

 バカみたいに信じるなよ・・・やっぱ違うのかな・・・

 

 「・・・今のキー君は意地悪なキー君だ!乙女の純情をいじる奴は馬に蹴られて死ぬんだよ!がおー!」

 

 手で頭の上に角を作っている。怒りを表しているらしい。

 

 「・・・いいから・・・さっさと話せ・・・茶番してるヒマはない・・・」

 

 「わかったよー。まずランクだけどSだね。2年生でSって指で数えるぐらいしかいないんだよ?」

 

 「・・・俺あいつ抜いてもSランク並の奴5人知ってるんだけど・・・」

 

 「それはキー君がおかしいんだよ?」

 

 ぐあ・・・おかしいやつにおかしいっていわれた・・・なんかショック・・・

 

 「あと理子より小さいけど徒手格闘も上手くてね。流派はボクシングも関節技もできる・・・バーリ、バーリ、バリトゥ・・・」

 

 「・・・・・・・別に無理して思い出さんでいい・・・」

 

 俺も思い出せんのだが・・・と、自分に聞かれる前に話を逸らす。

 

 「あとは・・・拳銃とナイフの腕は天才だね。どっちも二刀流でさらに両利きなんだって。」

 

 「・・・続けろ・・・」

 

 「それでアリアには二つ名があってね・・・”カドラのアリア”。カドラは双剣双銃って意味だよ。」

 

 双剣双銃・・・まあ、この世界での戦力としては十分だろう。 

 

 「・・・アイツの実績は?・・・」

 

 「あ、そのこと忘れてたよ。今は休職してるらしいんだけど、アリアは14歳の頃からロンドンの武偵局で武偵としてヨーロッパを中心に活動しててね、その間一度も犯人を取り逃がしたことがないんだってさ。しかも、99回連続、それも一度の強襲でね。」

 

 ふむ、あんな子供っぽい性格だが・・・やはり人を見た目で判断するのは難しいな・・・

 

 「・・・家族構成は?」

 

 あいつには何か引っかかるところがある。そしてそれは多分家族に関することだろう・・・

 え?なんでそう思うかって?経験だよ。

 

 「えーとね、お父さんがイギリス人でお母さんが日本人でクオーターなんだよ。」

 

 ・・・うあー、イギリス人か・・・絶対天罰だ・・・

 

 「・・・もしかして家族とうまくいってなかったり・・・」

 

 「お、キー君よくわかったね。お父さんの方の実家がミドルネームの『H』家なんだよ。すっごく高名な一族らしくておばあちゃんは”デイム”の称号を持ってるんだよ。でもアリアは『H』家の人とうまくいってないみたい。」

 

 「・・・”デイム”・・・王族から授与される称号か・・・」

 

 「さすがだね~、ちなみに男性は”サー”だよ。」

 

 じゃあ貴族か・・・金持ちじゃん。

 

 「・・・よくやった・・・後は自力で何とかする・・・これは追加報酬・・・」

 

 そう言って持っていた袋・・・チョコやスナック菓子、ジュースが入ったビニール袋を渡す。

 

 「うわあーーー!さすがキー君!わかってるうーーー!」

 

 バシッ!

 

 と、理子の手が自分の右手・・・腕時計を叩き・・・・

 

 がしゃ!

 

 「「あ」」

 

 入学祝いにじいちゃんが買ってくれた腕時計が・・・

 

 回想シーン

 

 『入学したお祝いじゃ!ほれ!腕時計じゃ!』

 

 『遠山家の男児たるもの身だしなみに気を付けねばな!ほら!よく似合っとる!』

 

 『どうじゃ、かなり値は張ったがいいつけ心地じゃろう!オーダーメイドじゃったかな?』

 

 

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 「キーくんごめん!修理する!理子に修理させて!」

 

 「・・・当たり前だ・・・!」バシン!

 

 理子の金髪の頭を思いっきり叩く。

 

 「あいたぁ!キー君力加減して!すごく痛い!」

 

 「・・・ヴァルハラに送ってやる・・・!覚悟しろ・・・!」

 

 「これはキー君の本気の時の構え!でも簡単にやられるリコじゃないぞ!先手必勝!てやあぁぁぁぁっ!」 

 

 

 

 30分後

 

 理子をひとしきり叩いて気が晴れてから、叩かれすぎて失神している理子を尻目に温室をでて自宅へ向かっていく。

 ここんとこいい事がない・・・襲われるし、腕時計は壊されるし・・・ついてない

 

 重い体を引きずりながら帰宅する。

 

 「遅い」

 

 「・・・不法侵入のお前に言われたくない・・・」

 

 なんでコイツがうちにいるんだよ・・・鍵も掛けたのに・・・ああ・・・温泉に行きたい・・・ブッチしたい・・・何処か遠くへ・・・

 

 ・・・言ってもしょうがないか・・・諦めよう・・・

 

 「・・・貴族がやることじゃない・・・」

 

 「・・・あんたあたしの事調べたの?」

 

 神崎が怪訝な表情になる。

 

 「・・・新しいチームメンバーがどんな経歴なのか気になってな・・・随分な経歴だな・・・99回だったか?連続で捕まえるとは・・・それと、家族と不仲なようだな・・・それにお前の性格から見て成績は・・・ロンドン武偵高の成果って事にしてるんだろ・・・」

 

 家族、という言葉を聞いて神崎の顔が曇る。

 

 「うっ!き、貴族はいちいち自慢したりしないのよ!」

 

 「・・・日本人で良かった・・・そうだ、一つ言い忘れてた・・・」

 

 「?なによ、まだ何かあるの?」 

 

 「・・・強襲科に戻ることにした・・・といっても、授業を受けるだけだがな・・・」

 

 この前、シュレディンガーの話を聞いてから決めたのだが、現状の状態では兄貴を倒した武偵殺しを倒せるか少し怪しい。なので訓練するべきと思い、強襲科の授業を受けることにしたのだ。

 

 「ホントに!?嘘じゃないでしょうね!」

 

 神崎が目をキラキラさせて喜んでいる。こいつ単純だ。

 

 「・・・ね?だから帰ってください。」

 

 「よろしい!じゃあまた明日!授業すっぽかすんじゃないわよ!」バタン!

 

 ・・・嵐みたいな女だ・・・

 

 「嵐みたいな人ですね。」

 

 ガラッとシュレディンガーが押し入れのドアを開け、リビングに入ってくる。

 

 「・・・いたのか・・・」

 

 「愚問ですね。僕はどこにでもいてどこにもいない。押し入れにいるかもしれないしスーパーでバイトしているかもしれない。」

 

 「・・・随分身近だな・・・」

 

 「そんなもんでいいんですよ。で、例のブツは?」

 

 スッ、と理子をぶっ叩いた時に落ちた髪を渡す。

 

 「へー、よく持ってこれましたね。警戒されませんでした?」

 

 「・・・警戒されなかった代わりに腕時計を持ってかれた。」

 

 「まあいいでしょ。じゃあ早速調べてきます。明日・・・遅くても明後日にはわかるでしょう。それじゃあまた。」

 

 そう言うとシュレディンガーは何の音も立てずに姿を部屋から消した。

 

 後には窓の向こうの空き地島を眺める大尉が残った。 

 

 

 

 某所 喫茶店

 

 「え~っとあのひとかな・・・」

 

 大尉と別れたあと、シュレディンガーはある人物に会っていた。

  

 「すいません、もしかして『@ほーむず』さんですか?」

 

 シュレディンガーが話しかけた男・・・コートを着た20代ぐらいの紳士が振り返る。

 もし女だったらその動作だけで惚れてしまうだろう。そんなイケメンだ。

 

 「どうも、では君が『キャットボーイ』さんだね。思っていたより背が高いね。」

 

 「いや~、この前のイ・ウーについての情報、ありがとうございました。それに今回の調査も。てか外国人の方なんですね。」

 

 「ええ、イギリスの生まれです。日本語、変ですか?」

 

 「いいえ、むしろ日本人よりうまいですよ。」

 

 「ははは、冗談がお得意で。」

 

 いや、冗談のつもりは・・・まあいいか。

 

 「で・・・この毛の主について調べて欲しいんです。」

 

 「ふむ・・・わかった。調べ終わったらすぐに連絡するよ。・・・そうだ、今日はいい話があるんだがいいかな。」

 

 「?なんですか。」

 

 「実は君が調べてるイ・ウーに知り合いがいてね。私の口利きがあればイ・ウーに入れるんだが・・・どうかね?調べるにしても損はないと思うんだが。」

 

 「!?」

 

 そうか・・・それでイ・ウーについて詳しかったんだな。もし上手く入り込めれば何かしらの情報が得られるかもしれない。

 

 「・・・入ります。入れてください。」

 

 「そうかい!それはよかった。では、詳しい話はまた今度に、今日は他にも約束があってね、紳士たるもの時間にルーズであってはいけなはいけないからね。」

  

 「そうですか、じゃあまた今度。」

 

 「ええ、それでは。ああ、これは私のおごりです。どうぞ好きなだけ食べていってください。」

 

 そう言うと彼は・・・イ・ウーのリーダー、『教授』は喫茶店を後にしていった。

  

 

 




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