モンスターファーム・キルジョーカー   作:標準的な♂

1 / 11
新米調教助手コルト、頑張ります!

 わたし、コルティア。皆からはコルトって呼ばれてます。お茶とお煎餅で有名なコラート地方のガロエ村出身で、今年で14になります。1000年3月4週付をもって調教助手になりました。

 調教助手試験を合格した翌週には、もうブリーダーさんと一緒に仕事をすることになっています。

 

 わたしが新しく担当するブリーダーさんは、手元にある資料によると、何でもIMaから遠く離れた外国のモンスターバトル協会で、会長職をされていた方なのだそうです。

 とてもモンスターが大好きな方で、会長職を引退してこちらへ引っ越した後も、モンスターと一緒に暮らしたくて、IMaでのブリーダーの資格を修得されたという話です。

 

「コルト君、ブリーダーさんがお待ちですよ」

 髪の毛が薄くなった係員の人の案内で、ブリーダーさんの待機場所へと案内されました。

 

 胸がどきどきしています。形式上は新人ブリーダーということになるのかもしれませんが、わたしみたいな新人調教助手が担当する方としては、とても凄い人です。

 

 今、わたしは大きな扉の前に立っています。いえ、緊張しているために、扉が威圧感を放っているように見えるのかもしれません。

 私が恐る恐る扉を開けると、そこには――

 

「にゃはははは!」

 

 体長5メートルくらいの、名状し難いピンク色の肉の塊が蠢いていました。

「にゃははははは! きみがコルティアちゃんかい? はじめまして、ぼくはガルマッゾ! よろしく!」

 実際に会ってみたら、資料よりもすごい人でした。

 ガルマッゾさんは。ピンク色の芋虫のような体で、頭から手が生え、その手のひらのあたりに顔がついている、ちょっと変わった人です。

 

 彼、ガルマッゾ博士は、遠い遠いグランプール諸島のモンスターバトル協会、バトルGPの会長をされていただけでなく、腕のいいお医者さんであり、しかもモンスター研究の第一人者でもあるそうです。人は見かけによらないものだなぁ。

 

「はじめまして、ガルマッゾさん。調教助手のコルティアです……え~っと、コルトって呼んでください!」

「元気があっていいね! ぼくも、キミの資料を読んだけれど、あれかな、モンスターマスター……ああ、こっちじゃブリーダーだったね。コルトちゃんはブリーダーを目指しているのかな?」

「え、あ、はい……」

 ちょっと馴れ馴れしいところはあるけど、思ったより気さくそうな人で良かった。

 

「長い付き合いになりますから、仲良くしてやってください。お互い頑張って、四大大会で勝てるようなモンスターを育てられるように期待していますよ!」

 わたしとガルマッゾさんを引き合わせてくださったIMaの職員のおじさんの激励を受けつつ、わたしたちはその場を後にしました。

 

「……さっきの資料、見ました?」

「うん、見たよ見たよ」

「わたしって、まだ新人なんですよ。ガルマッゾさんみたいなすごい人の調教助手が務まるか、ちょっと不安で……」

「にゃはははは、結構、結構! 誰だって最初は新人さ! ぼくも、こっちの勝手はよく知らないしね」

 見た目はちょっと変だけど、ガルマッゾさんは悪い人じゃなさそうです。

 

「ガルマッゾさん、それじゃ、新しいモンスターを探しに行きましょ!」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。