あの貝木ストライドで軽々と神原を凌駕し、もうこの世の人ではないような貝木だが、実はちゃんとこの世にいるのを僕は知っている。
恋物語ラスト、瀕死の貝木を助けたのは――――羽川だった。
Aルートでは貝木の嘘語りに騙されたらしく、山を下りきって道路に出たあたりで攻撃されてるが、あそこに血だまりがあったのでは、後から撫子を背負って下山した僕が発見していたはずなのだが、僕はそんなもの見なかったし、そんな気配もなかった。
入試が終わった後になってから羽川に教えられ、僕は詐欺師、貝木泥舟の本当の顛末を知った。
実際は以前の尾行のこともあり、下山中の待ち伏せを危惧した貝木が、通常ルートを避けて下山したはずが、それを扇ちゃんに見抜かれ、彼女に操られた中学生に襲われたのだ。
回避したはずなのに下山中襲われたことを、貝木らしく隠しているというか、貝木が全て本当のことを語るはずもないのだろう。
貝木の危機を察知した羽川が現れると、呪いを受けた中学生は脱兎のごとく逃げ去った。
ここで羽川のNGOでの経験が役立ち、まず止血、そして、サバイバルナイフを取りだすと、負傷者を山中から運び出す道具を作り出した。
そこそこ傾斜のある山の斜面で、救急車を依頼しても、道路が無いし、
警察に救助を要請しても、雪国だが有名な冬山ルートを近隣に持たないこのあたりの警察では初動に時間が掛り、非効率。
羽川の作った物は簡単な構造で、基本的な形は担架で片方は羽川が持ち、片方は雪面を引きずる。細めの木と植物のつるがあれば作成可能で、羽川の体力でも下りなら移動可だ。
除雪してある車道まで出ると携帯で救急車を呼び、貝木は一命を取り留めた。
羽川は世界中のNGOを知るにつれ、その長所と短所を目のあたりにし、
怪異現象も扱える人助けのNGOを模索していたのだ。
忍野は筋金入りの風来坊で、一か所に留まることはない。
貝木のピンチは結果的に、羽川の模索の助けになったようだ。
花物語で神原にゴーストバスターの名刺を出しペンで修正していた貝木だが、
今は、羽川の仕事にもときどき関わるようになったと聞いている。
高校3年生の時、忍野を探しながら世界中回ったこともあり、春に旅立った羽川は初夏、帰国した。そして、卒業した高校が所在する市に、事務所兼自宅を借りたが、まだ、正式には活動していないようだ、活動資金が羽川のバイト的なものしかないからだろう。一般常識的なバイトとは違う気がするので、僕は詳しく聞いていない、その辺はまだなぞに包まれた彼女なのだった。
知らないこと以外、なんでも知っていて、その気になれば、ジェット戦闘機も手配してしまうほどの羽川だが、得意分野は貝木と、全く違うと言っていいのだろう。貝木が動くしかない状況もあるらしい。
貝木の出動が必要になった時には、多少の金銭の動きはあるようなのだが、必要経費ほどしか受け取らないのは貝木らしくないと言えるだろう。
正式なメンバーではないが、僕は頼まれなくても動くし、斧乃木ちゃんも本来の監視の目的から逸脱しない範囲なら、僕が頼めば助けてくれる。そんな状況で羽川の模索は続いていてた。
八九寺神の能力はまだ不明なので、頼めば何とかしてくれるかもしれないくらいに思っていたのだが、まさかあんなことに………………という事態はまだだいぶ先のことになる。
※2015年7月6日
アニメ憑物語放送終了あたりから、今年の7月7日には何か発表がとの憶測が飛んでおります。
いよいよ明日です。楽しみ。
※2015年7月7日
なにかセレモニー的なものを、うっかり期待してしまったのですが、15時50分時点では尾石さんの短冊の写真だけです……
金色の短冊に「激闘中」……アア……傷……
※2015年7月8日
ファイナルシーズン「終物語」のTVアニメ化が決定!2015年10月より放送開始予定!です。