接物語   作:貝木

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【23】アニメ「アキバ冥途戦争」3話 木島の部下発言の考察・改

2話で、「なごみ」のメイドになりたかった理由の説明が難しい、と書きましたが、3話でなんとかなりそうです。見過ごせない、説明台詞を超えた設定台詞が出ました。番組序盤、木島とその部下が、メイドがチラシを配る秋葉原を歩き、部下の一人が『チョット、一般人に手出さないで下さいよ。』『怖っ、メイドがビラ配って来たんだけど』『殺されるかも』と発言してます。でも、他の通行人の耳には届いてない感じ。メイドは発言者の方を見ます。「なごみ」の反応は『なに?あの人たち』。「嵐子」は、この後、木島と揉め、手を上げようとするも、「ゾーヤ」に押し留められる事態になるので、その「呼び水」的な台詞とも取れますが、この過激な台詞が、実は誰向けかと言うと、答えはタイミング的に「視聴者」の感じがします。説明しようとしているのは、1点、「メイドの裏側を知っている人間はいるが、一般の人はメイドの裏側など知らない、矛盾した世界だ」という事が考えられますので、説明します。

 

1話で「嵐子」がいきなりライバル店の店長の頭を撃ち抜き、「なごみ」と共に退店。ライバル店のメイドは追いますが、全員が路上で、「嵐子」により殺害されます。この、強引なプロットを作品化することにより、根本的な無理、内部矛盾が発生します。この事件が報道されているのに、翌日、何も無かったかのように営業を開始し、客が普通に来店していることですね。「なごみ」も不思議に思いますが、視聴者も同じです。

(やくざは客商売して無いから抗争可能な訳で、客商売のメイド達がグループ間で対立し、抗争するのは本来不可能です)

 

「なごみ」と同じように不思議に感じている視聴者に向けて、「意図的に木島の部下に過激な発言をさせている」と考えることが出来ます。それは、知ってる者だけに、メイドはやくざと同じに見えるということ、そして、テレビで報道されたとしても、一般の人はメイドをメイドとして認識し、危険なやくざ的なものとは思わない世界。という事です。

それを補助するようにに1999年で店にも街頭にも、防犯カメラが無く、嵐子が路上で華麗に打ちまくる、証拠映像は存在しません。

( 3話では防犯カメラで、死体をトランクに入れる「嵐子」が録画され、悪用されますから、防犯カメラは存在する世界です。しかし、メイドグループの店や秋葉原の街頭には、取り付けられていないですね。抗争を前提とすると防犯カメラは邪魔な存在なのでしょう。思惑で街頭から防犯カメラを一掃しているとしたら、力を持った人間がいるはずです。[ケダモノランド代表の「凪」かもしれません] メイド間の抗争が録画されては、大切なメイドのイメージが崩壊します。

 

「しぃぽん」は1話で「なごみ」がメイドになることに対して、『今どきメイドになりたいなんて珍しい』と発言しています。

これは『やくざ同士が抗争する今どき、やくざになりたいなんて珍しい』というのと同じ意味ですが、「なごみ」はそんなこと知りません。

メイド喫茶「チュキチュキつきちゃん」壊滅、のニュースがテレビに流れても、一般の人のメイドに対するイメージは変化しない (知らない) のです。

だから、ごく普通に来店しますし、過去にそのような報道がされていても、「なごみ」のようにメイドにあこがれて、上京する子がいる訳です。

でも、裏街道を歩いている木島の部下からすると、メイドとやくざは同等で『チョット、一般人に手出さないで下さいよ。』『怖っメイドがビラ配って来たんだけど』『殺されるかも』と発言する訳です。常識的に考えれば、ちょっと考えられないことですが、一般人はメイドの裏の顔を知らないのてす。

そういう世界 (設定) ですよという事を説明してると考えられる訳ですね。

 

下準備としての説明は2話で、たぶん抗争相手と思われる、メイドリアングループ「侵略カフェですとろん」の「ねるら」からスタートしてやってます。

彼女の発言の【メイド】の部分を【やくざ】に変えると組・組織の事をズバリ言ってます。

『うーん、確かに暴力は付き物ですけど、メイドもそんなに悪くないですよ。お店(組)やグループを信頼して、その分、面倒を見て貰って、メイドの世界って家族みたいなんです。可愛い制服(カッコ良く決めて[菱形の襟章付けて]歩ける)も着れますし』と。

「ねるら」とお話して元気になって店に戻ると、やはり戻ってきた店長が閉店を告げます。

この辺に出てくる言葉も念を押すように同じですね。

闇金にて…

男『メイドカジノっていう……』 店長『騙されませんよ。メイド絡みって危ないやつでしょ』

店で…

ゆめち『店売ったの?お店がどれだけ大切な物か分かってるの!メイドにとっては命より大事なもんでしょう』……私たちが知ってるメイドとは明らかに違うものです。

 

最初に戻ると、「なごみ」は知らなかったのです一般人ですから、ニュースで報道されても、メイドのイメージが壊されることはありません。

【当事者にならない限り分からないことなんですね。】凄い世界を強引に設定したものだと思います。力業ですね。

また、現実もそういう一面は持っています。メイドカフェは全て設定の上に構築されて、客もメイドも設定どうり動き楽しみます。

高度な楽しみ方とも言えますね。需要を発見する者がいれば、そこに商売が発生する訳です。複雑な商売が。

このアニメも進化の末に成立していて、言い方を変えれば高度な構成をしています。頭が固ければ楽しめません。複雑な設定の上に構成しているので、受け手の度量が無いと、ただの訳の分からない無茶苦茶なダメアニメという事になりますね。センスが必要で人を選ぶアニメだと思います。

 

嵐子殺すのは『SPY×FAMILY』でヨルさん殺すようなものです。

 

 

 


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