Muv-Luv Alternative ~take back the sky~   作:◯岳◯

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★3章・最終話 : Restoration_

1999年、8月5日。極東の島国に、これまでにない数の戦力が集まっていた。戦略上の優先目的は、H:22横浜ハイヴの攻略と本州島を奪還すること。そのために帝国軍に、斯衛軍。大東亜連合軍と国連軍に加えて、昨年に一方的に条約を破棄し日本より戦力を引き上げた米国さえも参加していた。歴史上にして、パレオロゴスに次いで2番目。アジアでいえば史上最大の戦力が集まった作戦は、こう呼ばれた。

 

明星作戦。オペレーション・ルシファー、と。

 

開始の合図は、艦隊による号砲だった。初手である太平洋と日本海からの大規模な艦砲交差射撃による後方寸断が始まったのだ。大地をも揺るがす轟音と共に、横浜の大地がBETAの肉と血に汚れていく。だけど、この程度で蠢くものどもが絶えるはずがなかった。

高層ビルよりも高い、忌々しいモニュメントも健在だ。だがそんな事は元より承知の上とばかりに、待機していた衛士達が乾いた唇を舐めて湿らせた。

 

『全軍、構えぇっ!』

 

先鋒たる帝国本土防衛軍が、一歩前に出て、かがむ。

 

『突撃ぃ!』

 

最前線の指揮官の怒声と共に、見上げるほどはあろうという巨大な鉄騎の群れが流れこむようにモニュメントの下へと殺到していく。塊となって、赤の密集する死地へ。やがてぶつかり、その死を削り取る余波で周囲に破壊の跡が撒き散らされていく。

 

――――最初は人類側に圧倒的優勢であった。戦術機甲部隊も、かつてのパレオロゴスの時とは違い、機体も戦術機動概念も1世代ほどは更新されていた。かつての時は、戦術機は第一世代機のみで、軌道降下兵団も居なかった。人類は、その頃の自分達とは違うと、圧倒的な戦果でもってBETAに見せつけていった。それは敗北さえも重ねて糧としてしまう。同胞の死をも飲み干し進化し続けた、この星の頂点たる種族の意地でもあった。

 

かつての脆弱な存在ではない、と。レーダーに赤の光点が滝のように流れても、的確な戦術と共に動けば、損害少なく対処できるような。被害はあった。だが全体的に見れば優勢であると断言できるほどに、誰もが今までにない手応えを感じていた。

 

かつての、難攻不落というイメージも払拭されている。フェイズ1未満のハイヴといえど、マンダレーでの前例もあるのだ。突入部隊には居なくても大東亜連合の援軍の中に、精鋭部隊としてクラッカーの名前は健在である。

 

メンバーはほぼ違う人物であるが、厳しい訓練を越えた彼らもまた精鋭だった。そして、帝国にも誇るべき衛士達が存在する。昨年の京都防衛戦、多くの兵士達が死んでいった中で、名を上げた部隊がいる。武家出身者を主として構成される、帝国斯衛軍。かの部隊の勇猛さは京都で知られ、瞬く間に国内に広がることになった。彼らに比類するものなく、また心強い味方であると、場に登場するだけで士気を上げられる存在になっていた。

 

優勢だったのだ。誰もが作戦は順調に、勝利のそれに推移していくものと思っていた。

だが、時間が経過するにつれて異変が察知された。横浜のハイヴは外観よりフェイズ2相当とされていたが、とてもそうとは思えないほどにBETAの数は多かった。ハイヴ内のBETAの規模もフェイズ3かそれ以上の大きさだったのだ。潰しても潰しても湧いて出るBETAを前に、また地中侵攻を含めた奇襲による分断作戦も合わさって、人類は次第に劣勢へと追いやられていった。

 

BETAの海を乗り越え、からくも突入に成功した部隊も例外ではない。想定以上の規模を前に、広間へのルートを迷っている内に新手が来る。果ては迷路の中で分断され、偽装された穴より押し寄せてきたBETAに各個撃破されていった。

光さえ届かない穴蔵の中はBETAのテリトリーだ。生半可な弾薬の数では、すぐに力尽きてしまう。

 

高く聳えるモニュメントの下は魔窟で、BETAの熱が犇めく、死の坩堝の果てであった。

帝国軍や、大東亜連合軍や国連軍が死力を尽くしても、広間にさえ辿り着くことができない。前者の2軍は米国に良い感情を持っていないが故に、自分達の手で片をつけたいと考えている者が多かった。

 

だけど最奥まで届かない自分達の力に不甲斐なさを感じずにはいられなかった。

 

次第に戦況は移り変わっていく。優勢が善戦に代わり、苦戦に変わろうかという頃。残っている者達は、控えている米軍の主力を、後詰めの部隊に頼るしかないと言った動きにシフトしていった。

 

そうして、運命の時はやってきた。地上とて、BETAの密度が異なる部分がある。そこでは旗色悪しとの見解を通り越して、敗北の絶望に染まり切る直前だった。その只中で、二人の衛士が戦っていた。

 

A-01と呼ばれた部隊。ハイヴ内にあるだろうG元素の確保と、間違いなく同じ目的を持っているだろう米国の戦術機甲部隊の牽制を任務に送り込まれた、オルタネイティヴ4の直轄部隊だ。だが、突入するもあえなく分隊は半壊してしまった。多すぎるBETAを前に隊長は撤退の判断を下したが、分断された挙句、ハイヴ内より無事に脱出できたのは二人だけだった。

 

奇しくも、抜けた先は生き残った二人の故郷だった。足元にある町を見慣れた風景として捉える。柊町に産まれた、任官したての新人少尉。その名前を、鳴海孝之と、平慎二といった。

 

『ち、くしょおっ!』

 

『デリング07、落ち着け! ここで冷静さを欠いちまえば………!』

 

『っ、でも慎二! お前には、これが見えねえのかよ!』

 

目の前には、変わり果てた故郷の姿があった。並んでいた民家など、残っている方が少ない。見覚えのある公園は、ただの荒野になっていた。待ち合わせの場所に、町中を移動する足として知られていた柊町駅も同じ有り様だった。かつての姿は見る影もなく、コンクリートが壊れ剥げて、中の鉄筋があちこちから飛び出していた。

 

地面には壊れ果てたものがあった。死骸。残骸。芥。骨。黒ずんだなにか。

全てがかつての有り様ではなく、無様を晒して動かない物になり下がっている。

 

『っ、でも! くそ、これじゃあ脱出が………誰か………!』

 

周辺に誰か居れば、合流して。だけど、平慎二はすぐに後悔した。

聞こえたのは、終わっていく人間の声だった。

 

『ザザ………が………こちら、ヴァイ………1……ザザ……救援を、たの…………救い、が、あああああ………あっっっっっ!?』

 

『………く、くるな………ザ…………くるんじゃ…………いや、来ない……………ゥぐヒ』

 

『くそ、どけよ! …………こんな所…………日本を……………せよ、返せよぉぉぉっっっっ!』

 

途切れる度に死んでいく。足元に見えるもの達と同じように、何も言わない物になっていく。

 

『や、めろ…………やめろ…………っ、これ以上はやめろぉぉぉぉっっっっ!』

 

孝之は叫ぶと同時に、機体をまだ健在であるBETAへと突っ込ませた。群れとはいえないが、点在の。だけど自分達2機よりかは圧倒的に多い敵へ、突撃砲を乱射していく。

 

『孝之! おい、止ま――――』

 

『なんで………なんで、なんでこんなっ!』

 

また、遠くから爆発音が。空に舞っていた機体がレーザーに貫かれ、堕ちて地面に抱かれて破砕し。

戦車級に取り付かれて、味方さえも撃とうと。悲痛な叫びが、周囲に満ちていた。自分達の故郷で、平和だったあの町で。柊町で、今も数えきれない程に多くの人間が死んでいる。

 

先ほど、穴の中。目の前で見た、同じ部隊の戦友たちのように。

 

孝之はフラッシュバックする映像と断末魔を思い出した。脳を削られていくような感覚に襲われながら、機体の引き金を絞る。直撃を受けた戦車級が、要撃級が斃れていく。

 

『死なせたくない…………!』

 

制止の声は聞こえていた。だが、孝之は止まらなかった。

 

『死なせたくない…………っ、俺たちの町で、これ以上死なせたくないんだぁぁぁっ!』

 

撃つ、撃つ、撃つ。半狂乱になりならがも、身体は訓練を覚えていた。ばら撒かれたウラン弾はBETAへと迫っていく。そして孝之はその弾幕を乗り越えた、近寄ってくる敵があれば長刀で斬り捨てていった。

 

『待て、深追いするな、無茶を…………っ、いい加減にしろ、お前まで死ぬ気か!?』

 

追いついた慎二が激昂する。同時に、通信が届いた。

 

『デリング中隊、聞こえる!? 生き残りがいるのなら返事をしなさい!』

 

『こ、香月博士!?』

 

『………平、ね。すぐに撤退しなさい。急いでハイヴのモニュメントから離れるのよ』

 

『ですが! 孝之も居ますけど、米国の突入部隊の牽制はどうするんですか!? ここで撤退しちまったら、任務が失敗に………!』

 

『良くなったのよ。少なくとも、今の所は米国の戦術機甲部隊は、突入しない…………その前に、やってくれるものだわ』

 

夕呼の言葉は、形にはならなかった。通信に乗って、米国の周辺衛士への避難勧告が出され始めたからだ。英語で話される内容は、こうだ。

 

――――米国は新型兵器の投下を決定した。

ハイヴ周辺に居る部隊は至急、兵器の効果範囲外にまで逃れろと。

 

まるでそれが決定事項のように繰り返し全軍に通達している中、ショックで放心していた慎二ははっと正気に帰ると同時に叫んだ。

 

『孝之、今のは聞いていたな!?』

 

『ああ………だけど、そんな………この町で! まだ中で戦っている奴もきっと居るのに………っ!』

 

『二人共、嘆いてる暇があるのならさっさと撤退しなさい!』

 

孝之も慎二も、夕呼の声から、事態の深刻さを悟った。聞いたことのない怒声、そして焦った声。苛立ちを隠しきれていないそれは、告げられている内容に間違いがないことを確信させられるものだ。

 

だが、周囲の状況を見渡して舌打ちをした。広域データリンクを見ればわかるが、自分達がいるポイントの周囲はBETAの赤の反応だらけになっているのだ。突破口を見出す必要はあるが、たった2機では時間がかかってしまう。かといって、全速で匍匐飛行をしながらの突破は分の悪すぎる賭けになってしまう。両者ともに機動に対する特性はそれほどでもないからだ。

 

『だが、四の五の言ってられないだろう。弾も燃料もまだ残ってるな?』

 

『………ああ。だけど、突破できるのか? どこかに当てちまったらそれで終わりだぞ』

 

全速の飛行はそれだけで危険なのだ。瓦礫かBETAか、質量のある何かに機体をぶつければバランスを崩し、堕ちてしまう可能性は高い。不知火は第三世代機で、機動性は高いが頑強性で言えば撃震や陽炎にも劣る。さりとて、論議を交わしている暇もない。

 

生き残りの可能性を賭けて、二人が決意を固めようとした時だった。

 

『さて、行く………いや、待て………7時の方向から味方機の反応あり!』

 

『っ、この識別信号は!?』

 

孝之は機体が読み取ったデータを、網膜に投影された機体の名称を見て驚いた。

機種は試製98型、俗称を『武御雷』と呼ばれている。

 

『帝国、斯衛だと…………どうしてこんな所に!?』

 

こちらに向かっている機影、数は3機。だがその内の1機は、明らかに全速で移動し続けていた。遠くからでもその異様さがわかる。そしてレーダーの範囲を狭めてからこそ、その常軌を逸した機動が見て取れた。味方機の反応、その青い蛍が舞うように乱れる度に、赤い敵の反応が消えていく。

 

そうして、見惚れている内にこそ。機体は肉眼で、自分達のもとにやってきていた。燃えるように赤い機体。だけどあちこちが補修跡だらけで、今回の作戦でついた傷も多い。だけど健在であるとアピールするかのように、近くに居た要撃級の頭部を長刀で掻っ捌いていった。

 

そうして一掃されたBETAの鮮血を踏みながら、赤の機体より通信が飛んだ。

 

『第16大隊の者だ。そっちは、デリング中隊の生き残りだな………今の内に撤退を』

 

声に、慎二は驚いた。斯衛の赤と言えば、大名格として知られている。なのに、聞こえてくる声は少年のものだったのだ。武御雷を許されるからには当主であると考えるのが普通なのに。

 

あまつさえは、デリング中隊の事を知っていた。オルタネイティヴ4の直属部隊であるA-01は秘密部隊であり、その存在すら知る者は少ないはずだった。だが、どうしてと警戒する間もなくその機体の衛士は告げた。

 

『磐田、吉倉。二人はデリング中隊の撤退を援護、大至急ここより撤退しろ』

 

『………了解です。少佐も、お早く』

 

山吹の瑞鶴が、無言のままデリング中隊に近づいた。その声には、多大な不満の声が含まれていた。対する慎二は言われていた内容は理解できたが、事態の把握が全くできないと混乱していた。だが、黙っているだけでは子供と同じだ。顔もこちらに映し出さない相手に、最大限の警戒を抱きながらも話しかけた。

 

『何故、どうしてここで斯衛が俺たちを助ける』

 

『A-01の、デリング中隊の男性衛士――――ということは鳴海孝之か、平慎二か』

 

『な、どこまで………!?』

 

『お、当たってたか。説明している時間もないんだけどな。信用を問答している時間もないけど、そっちはどう思う?』

 

『何がだよ! それに、間に合わないかもしれないのなら、いっそこの町で………!』

 

最後まで、と言いそうになった孝之に、返ってきた声は穏やかなものだった。

 

『俺も柊町の生まれだ。だからこそ、この町で死なせたくない』

 

『な、にを………!』

 

『でも、はっきりと分かるのは柊町駅だけなんだよな』

 

他は多種多様の死体と残骸に紛れて、原型をとどめていない。

悲しそうな声を出す武に、孝之と慎二は思わず言葉を止めた。

 

『だが、逃げるわけには』

 

『生ある限り最善を尽くせ、決して犬死にするな…………だろう? 此処に残ったら間違いなく死ぬ。それに答えを出さないまま、女を遺して逝くのは感心しないぜ』

 

その上でこの町を、彼女たちの辛い思い出にするか。

言葉に、孝之は今度こそ押し黙った。

 

『と、口論している時間もないんだ。急ぎ脱出を』

 

『………そっちはどうする?』

 

『どうやらまた新手が出てきたようなんでな。追ってこられないよう、殿を務めるさ。なに、京都の時に比べれば軽い』

 

赤の衛士が何気なく告げた軽口に、二人は言葉を失った。京都の撤退戦で殿を務めたのは、斑鳩崇継が率いる第16大隊、つまりは目の前の人物も戦ったはずで。凄惨さと斯衛の勇猛さは、語り草になるほどだった。最後に、ダメ押しに告げられた言葉を最後に、二人は撤退を決意した。

 

 

『デリング中隊の衛士、夕呼先生に伝えておいてくれ――――賭けは、また俺の勝ちだって』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後退していく2機。武はそれを見送り、誰にも聞かれない状況になると、ぼそりと呟いた。

 

「あー、焦った。まさか速瀬中尉と涼宮中尉の想い人と、ここで会うとは思わなかったぜ」

 

柊町跡に向かったのは、目的があったからだ。だけどまさか、ここであの二人の想い人と会うとは武としても想定外だった。この場に残れば、結末は見えている。だからこその高圧的な態度。事情をも把握しているぞというアピールは効果があったと、移動しながらも安堵のため息をついた。

 

「いや、"横浜で会いましょう先輩"、の方が効果があったかも…………ってそれじゃあ黒幕っぽく思われちまうか」

 

悪ければG弾を、米国の爆弾投下を知っていたのか、と問い詰められかねない。

知っていて、何もしなかったのかと。

 

「まあ、知ってたんだけどな」

 

多くの将兵が死ぬだろう。もし秘密を明かしていれば、という思いはある。

だけど、武はそうはしなかった。大勢を殺すことになっても、選択したのだ。

 

そして、G弾のこと、夕呼との賭けの内容はそういう事だ。武は米国が強行手段を取る方に賭けていた。最後に会った時も意味ありげに含み笑いを残して告げている。

 

賭けの支払いは横浜の基地で、また会った時にでも。夕呼からは疫病神を見るような目で見送られたことだけが、武にとっての不満だったが。

 

武はそうして余計な事を考えながらも、目の前を斬り払いながら道を進む。かつての町は、壊されていた。大陸で、京都で見たものと同じに、廃墟のように荒れに荒れ果てている。

 

だけど僅かにであるが、位置がわかる目印はあった。

それは、柊町駅だ。帰郷の際にここで降りて、そして即迷子になった事を武は忘れてはいない。同じように、記憶の中に何度も刻みつけた。この駅と、自分の家との方角と距離を。

 

『U.N. Space Control to all Units deployed――――』

 

通信には、米国の宇宙軍よりの通告が聞こえてくる。繰り返す、繰り返すと、アンチ・ハイヴウェポンの使用を決定したので逃げろと、英語で繰り返している。

 

そうして、間もなく目的地である場所にたどり着いていた。隣の家には、帝国軍の撃震が倒れこんでいるせいで半壊していた。表札には、"鑑"と。そして、その隣にある家には、"白銀"と書かれてあった。

 

 

―――――そうして、白銀武は最後の覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武は日本を飛び出してから、今までの事を思い出していた。切っ掛けは、頭の中に突然舞い込んだ記憶だった。それはBETAと未来への不安と焦燥を喚起するには、十分なもので。焦り、何かに追われるように海を渡って、見知らぬ土地で戦い、戦って、勝って、頑張ればいつかはBETAの脅威その全てをと、ずっとそう思って生きてきた。

 

だが、相手は世界が苦戦するBETAだ。そう上手くいく筈がなかった。打開策が見出だせないまま、流されるだけの状況。その中で結局は何も掴み取れず、いつだって眼の前で零れてしまった水はコップに戻らなくて。

 

多くの人の死に様を見た。そして死に様を見るのは、生き様を見るのと同じことだった。日本に居た頃に見た誰彼のように、人の心に余裕はない中で、最後まで生き抜いた人たちを見送った。

 

場所を限らず、生の感情のぶつかりあいがあった。生き残るためならばと人の道より外れた者も居れば、なお人で在ろうと思い続けていた気高き人も居た。人の白さに甘え、人の黒さに泣き、それでも何かを信じたいと思った。

 

その中でも、子供の、幼い部分は抜けなかった。だからこそ人の黒きを必要以上に憎み、汚らわしいものだと断罪しようとした。

 

だけど黒は多く、いつしか人間の全てがそうであるといった、早合点に頷こうとしていた。見返すほどの余裕がないと言い訳をした。そして迷った。失くしていく中でも、一生懸命に諦めなければいつかは勝てると思い込んでいた。感情論と、物事の成否は違うというのに。

 

幼稚で中途半端な正義感―――主観に踊らされて、気づけば自分というものを見失っていた。わずかに残っていた勝つ方法さえも見えなくなっていた。辛いからって、記憶さえも捨てて。

 

欺瞞に溺れた。失った事を覚えているから、逃げなければ良いという言葉に逃げて。その先にあった、容赦の無い答えにまた塞ぎこんで。いつかの中隊のようにと、夢の跡をなぞるだけで、目的もなく戦い続けた。否、戦いの途中であった。吹っ切ったはずの今でも、自分の手は震えている。

 

「この期に及んで………やっぱり、情けねえな」

 

覚悟を決めたつもりなのに、こんなに自分は弱い。武はその決意と共に、ぎゅっと掌を握りしめた。弱ささえも認めようと、そう思った。逃げないという姿勢、その中にこれまでに積み上げた全てを混ぜ合わせて。

 

だけど、震えは止まらなかった。今この時、これより挑むのは無謀というにも外れた、荒唐無稽の奇策だからだ。成功の果てに得られるものの大きさと、失われる自分の命と、危機感と高揚感が綯い交ぜになって脊髄を打つ。その興奮に恐怖に、震えずには居られなかった

 

――――かつて、世界の破滅か、純夏か。どちらかを選ぶならと、自分で自分に問うた二択がある。

 

苦しんで、結局は答えを出せなかった。以前と同じように、拒否したい方を選んで、自分が頑張ればと誤魔化した。更に迷った。迷いの中で、だけど多くの人と出会った。

 

その果てが、今現在のこの時である。武は掌を見つめ、そしてかつての声の問いを思い出した。今の自分ならこう答えることができるだろう――――その二択は、絶対に決まったことなのか、と。捨てる方を選ぶしかない、そんなに俺は不甲斐ないのかと。

 

選択肢そのものを変えられるなんて、当時の自分は思いもしなかった。ただ、声とその事実に対する恐怖に負けたまま。オルタネイティヴ4とは何なのか。成功した場合は、その成果と方法は。直視したくない現実でも、細かに分析し、否定をすべきはずなのに、かつての自分は怯えるあまり停滞を選んだ。

 

そう、誰も二択そのものは変えられないなんて、言っていなかったのに。その問いを見極めようと、覚悟を決めて深くを理解すれば、前提から覆せるものがあると分かったのに。

 

流されるままに戦い、約束に逃げて、人の生命の重さを盾にして、耳触りのいい言葉だけを発し続けた。

 

だけど、思い出した。そして、覚悟を決めてからようやく知ることが出来た。

 

今の“オルタネイティヴ”は、あの時に示された二択ではない。武はその言葉の意味までもを、勝手に変えていた。

 

“Alternative”のもう一つの意味に。それまでの常識にとらわれない、二択を越えた自分だけの新しい代替案であると。

 

不敵に笑いながら、空を見上げた。そこには、世界を救う方法があった。

 

「その一歩を成すのが世界を滅ぼす兵器でなくてはならないのが、何とも皮肉な話だけどな」

 

 

そんなこちらの事情など一顧だにせず、その物体は落ちてくる。

落ちてくる、落ちてくる。

 

黒い帯を引き連れて。光線級のレーザーが撃墜せんと殺到するが、全くの無駄に終わっている。鉄をも溶かす熱光線は、G弾の周囲に球形状に展開している黒い壁のようなものに遮られるか逸らされ、空へと消えていった。

 

止められない破壊が、落ちてくる。

 

周囲には、もう誰の姿も無い。遠くで味方機の反応はあるが、誰も自分を見ていない。BETAも新兵器に夢中になっているのだろう、G弾の落下地点へと集結しているようだった。

 

その中で自分は、たった1人だった。当たり前だと自嘲する。こんな事を、誰も彼もに言えるはずもない。ごく一部の人物を除き、言ってしまえば狂人扱いされるか、スパイとして疑われるだけだ。

 

理解されない秘密を抱えて、ずっと1人で、戦うことしか許さなかった。

 

だが、武はG弾を見上げながらも、まったく別のことを考えていた。

 

見上げる度に思うのだ。空はこんなものだったか。誰かが飛んでいれば次の瞬間には死が生まれるだろうという、焦燥感だらけであったものか。

 

答えは、否だった。平和な世界での空はもっと、見上げるだけで気分が晴れるものだったはずだ。

可能性を感じさせられるからか。果てがないものがあると、思わせてくれるからかもしれない。

今も見上げている、BETAの支配域としての印象に染まっていく地球の空とは違う。

 

空の果てにある宇宙、人類のフロンティアでさえも、BETAの脅威に汚されている。

記憶の中に在る、降下部隊に参加した時に聞いた、管制官らしき女性の言葉を覚えている。

 

全てがBETAに歪められている。

 

死に、恐怖に、絶望に、未来まで。

 

 

「認めねえ」

 

 

黒い光が漏れでていく。間も無くして、世界が変わった。五次元に作用する破壊の波が広がっていく。青い空が別のものに変えられていく。

 

認められなかった。本来ならば空はもっと、違うもののはずだ。広く雄大で、何も縛られることはない、自由を象徴したもののはずだ。この星に住む人間と同じように、在り方を変えられている。別の世界を、BETAのいない世界とやらを知っている武だからこそ、それが痛いほどに強く思うことができた。

 

心ながらに無言で叫ぶ。

 

もっと、違うはずだ。

 

もっと、人はこんな。

 

 

王紅葉も、話に聞いた王白蓮も。黛英太郎も、小川朔も。樫根正吉も、甲斐志摩子も、能登和泉も。

多くの死んでいった人たちも、生きている人たちも、もっと別の生き方があったはずだ。

 

BETAになんか殺されない、もっと幸せで報われる未来があったはずだ。

 

だけど歪められてしまった。この空と同じように、BETAに汚され落とされてしまった。許すことなどできない。あの光景も。人が攫われた挙句に分解されていくなど、許されるはずがない。

 

このハイヴ周辺に居る誰よりも、あんな未来を認められないということを、G弾の有用性を認めた未来のことを、実際に見たからこそ断言できるのだ。

 

 

「俺は! みんなが死ぬ未来なんか、絶対に認めねえぞォォォッッ――――!」

 

 

灰色に染まっていく空。間も無くして、白銀武は虚空へと霧散していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

武は、何もない空間に居た。気づけば、自分が漂っていることを感じていた。だが、目に映るものはなにもなかった。手も、足も、身体があるのかどうかすら。いつから自分は自分だったのか、それすらも分からなくなる。だけど、息だけは出来た。

 

武はそして言葉を思い出した。

 

――――まず呼吸から。

正しく生きるにはまず正確な息をする事からだ、という誰かの声が聞こえた。

 

言葉が反芻し、それを頼りに武は吸って吐いてを繰り返した。吸って、吐いて、吸って、吐いて。当たり前のことを意識して行い、切っ掛けにして武は徐々に自分を取り戻していく。

 

途中で遠くで誰かが空間の中に消えていくのがわかった。感覚だけでなんとなくだが、薄くなってどこまでも広がっていくような。そんな中で武だけが自己を保てていた。

 

覚悟が違う、と自分の中の誰かが言った。世界の異物たる自分が分解されても、虚数空間の穴に放り込まれても、それは覚悟の上のことだ。だが、分かっているならば耐えられるというような生易しい場所ではないことも確かである。

 

この空間は、無数の人間の意識に染まっている。時代を飛び越えて、様々の。特にG弾がさんざんに爆発した世界からは、世界の滅亡を嘆く絶望の声が滝のように流れこんでくるような。

 

糞溜めのような場所であった。悪意の吹き溜まり、劇毒の沼の深奥の底の底だ。きっと普通の人間であればひとたまりもないだろう。だけど、武だけは染まってはいなかった。漂わず、自己を保ち在り続けられている。絶望に負けてはいない。外郭に浸される毒を、飲み干して死すこと無く。

 

だけど、人間の悪意を"在る"ものと、受け入れては否定していった。

 

肯定し、否定する。

 

光を、闇を。

 

白を、黒を。

 

希望を、そして絶望まで―――ただ、囚われずに、拘るのだ。

 

何もかもを見失っていた時は、希望を失えば人は絶望するのだと思っていた。光がない暗闇だからこそ、人は膝を抱え込むのだと。だが、絶望は時として必要なのだ。何故ならいつだって、人が光を、希望を強く望み欲するために力を振り絞るのは、大きな絶望の闇の中に落とされた後なのだから。

 

母の言葉を思い出す。愛するべき苦境は、自分を鍛える糧になるものなのだ。苦境から目をそらすことなく抱き、理解した上で乗り越えることができれば苦い思い出ではなく苦労話になるだけだ。誰でも、変えることができる。時間が過ぎ去れば、ちょっとした苦労をした話であれば、あんなこともあったなと苦笑混じりに話すことができる。人間は苦くても、笑える話に変えて楽しく話すことができる。大陸での先任衛士達のように、辛い記憶を冗談混じりに語り、他の誰かの教訓にもすることが出来るのだ。

 

武は、改めて思う。死んだ人たちを思う。大陸で、日本で出会った大勢の人間。

そのみんなが居なければ、自分はここにはたどり着けなかっただろうと。

 

(死なせておいて、だけど気づいた)

 

直視しながらも、微妙に目を合わせなかった人の生命の重さというものがある。失った戦友に対しては、自分の戦う理由ではなく、あいつが死んだからという責任をおっかぶせた。共に戦う戦友に対しては、本当の方法を言い出せずに。

 

単機での戦闘成果という、戦略という視点から言えば気休めにしかならないものを見せ続けて、偽りの安堵感を与え続けた。失ったことで自分と向き合うものを、本当にすべき事は何なのか、その重さに気づくことができた。

 

どんな強敵であれ、対峙しようとしないのであれば倒すことはできない。過去の自分と、そして思いだすべき辛い現実と未来も同じことだ。直接的でなくても、それを諭してくれたのは戦友だった。

 

『………向き合わなきゃ、戦うことさえできないもんな』

 

辛くても言葉を、過去を自分のものとして思い出せたからこそ乗り越えることができた。今は、その痛みに感謝を捧げていた。だから、喰らったのだ。嘆き外に捨てるのではなく、自分の肉とした。死者に責任を負わせるのではなく、彼らと共に戦ったという事を噛み締めて、それを糧とするために。

 

ずっと繰り返してきたことがある。武は、未熟な鉄の兵士の頃より、鋼に差し掛かった今までを思い出した。主には戦争のことだ。10歳より長らく6年、生活はずっと戦場と共にあったこと、学んだことを忘れてはいない。その中で理解したことは、戦いはいつだって始まっているというもの。

 

だからこそ必要なのは"備え"であり、必死の状況を打破する"道具"を見極めることが重大であると。勝つための道筋と、それに必要なもの、最短で成せる方法を考えてきた。戦略であり、戦術であり、兵装であり。そして、足りなければどうするのか。武は人類とBETAと声の告げた内容、今は全て自分のものになった記憶に当てはめて、言葉にした。

 

『必要なものは、オルタネイティヴ4の成果』

 

それこそが、劣勢に追い込まれている現状を打破する唯一の方法だ。分厚い敵の層に点を穿ち得る無二の勝機である。ただ闇雲に戦うだけでは駄目なのだ。いくら強いとはいえ、獣のように暴れるだけでは何も変わらない。感情に振り回されるのは二流以下のやることだと、何度も教えられてきた。

 

自分以上の存在に勝てるのは、いつだって人間だけだ。知恵を持つ人間だけが、それを。

 

――――そして、点を穿つに足る弱点を。BETAへの勝利の可能性を現実のものとしたのは誰か、彼女は何を持っているのか。20を越えるハイヴを建てる人類の大敵に勝つためには、何が必要なのか。

 

『………ハイヴの、あの迷路を突破する地図。そして何より、喀什を落とす方法を』

 

鑑純夏が読み取った各ハイヴのデータと、オリジナル・ハイヴを攻め落とすに必要な情報があれば。

ピースとしては、転がっていたのだ。今ならばわかる、声が、自分が何を見出していたのかを。

 

加えれば、また別のことも。

00ユニットの鑑純夏が得たであろう膨大な情報も無視してはいけない。

 

武には、魔法染みた演算能力を持っていた純夏を知っていた。そして香月夕呼がその演算能力を利用したという確信があった。00ユニット脅威論というものを聞いたことがある。

何故あの時にわざわざ話したのか、今ならば察することができる。彼女が行使したことを。香月夕呼は、証拠など欠片も残さずに各国の極秘情報を集めようと、あるいは集めたのだ。

 

なぜかって、そうだ。

 

――――桜花作戦に臨まなければ、人類が滅びると。無謀にも程がある桜花作戦を認めざるを得なかった理由を。つまりは、そうした世界じゅうの情報を香月夕呼が保持していたからに違いないという証拠でもあった。

 

『そもそも、なあ………あの人ならやるよな、絶対に』

 

奇妙な確信があった。彼女がしないはずがないという、信頼があった。利用できるものは利用する彼女が、いつも当たり前のように前を向きながら戦っていた彼女が未来のためにと、使えるものを使わないはずがない。それを求めて自分は往かなければならない。

 

過去を振り返って考えている内に、武はいつの間にか取り戻していた。

身体に、手に足に。そうして、自分の掌を開く。

 

拳は壊すために。そして掌で掴みとるべきものは一つだ。

 

顔を上げる。そこに映るのは、途方も無い闇であった。

 

どこまでも続くような。見るだけで心がごっそりと削られていくような中、武は手と足をもがき前に進んだ。元の世界の自分は、まま残っている。

 

世界からも異物として認識されているからだろう。香月夕呼から聞いた、世界は安定を望むという言葉通りだ。他世界の記憶を自分のものとしているからには、世界より嫌われるという。

 

思えば、不幸が多すぎた。狙いすましたかのように、世界は自分を排除しようとしてくる。

 

だからこそ(・・・・・)自分がここまで残っている。G弾の爆発で、再現をする必要があった。

強い時空の歪でなければならなかった。

 

甲斐あって、まるで追い出されるように。世界か誰かは白銀武を消滅させることではなく、他の世界に投げることを選択した。そうして、武は自分の考えが正しかった事を悟る。

 

最初は、意思の強さが必要だと思った。世界を越えるには反応炉との共鳴、反応炉による意識の変換、それを元としてかつての白銀武を呼び寄せた純夏にも勝る強さの思念を持たなければならない。世界に嫌われていることは、その助けとなりうる。なぜかって、世界は自分を追い出したがっているのだから。

 

 

世界の望むままに、流れに乗ればいい。G弾の爆発による効果範囲の中の質量は、元のそれに比べて激減している。質量保存の法則を考えればあり得ないことだ。

 

つまりは、推測であるが物質が分解されるか変換されて観測できない何かになっているか、なにがしかの場所へと投棄されているか。

 

だが、どれでもいいのだ。どこに捨てられるのかは、純夏が証明した。

そして、ここに居る自分の存在こそが。

 

"入ってくる"ということは、"出られる"ことなのだから。

 

次に必要なのは、向う先を知ること。その理由を含めて、劇薬に近しい記憶の毒を受け入れること。

記憶の流入の発端となった世界、その白銀武が何を味わってきたのかを自分のものとすること。

 

そうして初めて、最低条件をクリアできる。強い意志、辿り着く場所、その両方を。

 

向うべきは、"かつての記憶の自分が居た、世界に望まれた場所に。オルタネイティヴ4が成功し、オリジナル・ハイヴが落ちた世界に。

 

本来ならあり得ない存在が大業を果たして、世界に多くの痕跡を残した――――それが世界の歪みとなるのは間違いない。だというのであれば、呼び寄せられるはずだ。

 

そして、覚えている。武は記憶の隅にある、白銀武に告げられた最後の別れの言葉を忘れていない。

社霞は、自分の世界にも居たあの銀髪の少女は"またね"と言った。忘れる気はないと、言葉にして示してくれた。

 

 

ならば、誰かが白銀武のことを、欠片でも覚えていてくれるのなら。

 

 

はっきりとした世界の歪みとなる。安定するためにまた、抜けた穴を埋めようとして――――――

 

『あ………………!?』

 

 

暗闇の中で、光が指した。まるで星のように。

 

 

『見え、た――――!』

 

 

自分を欲しているか、呼んでいるように見えるわずかな光が見えた。ならば、することは決まっている。歪まされた世界を正すために。人の世界を取り戻すために。暗闇の中を、わずかな光が流れていく。あれは、かつて誰かで会った光だ。絶望のままに死んだ生命だ。

 

このままでは、全てが滅ぼされる。そんな未来を修復するのだ。本来の、誰もが頑張れば、当たり前のように幸せを掴みとることができる世界を。

 

人間の可能性に溢れる、輝かしい未来を取り返してやる。

正す方法を、あるべき姿に戻してやる。

 

果てしない闇の中で1人、白銀武は静かな宣言を抱えて、光に向けて真っ直ぐに手を伸ばしたまま進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国連軍は横浜基地の、香月夕呼の研究室の中。

 

プラチナ・コードの事で疲れていた銀髪の少女が、ふと天井を見上げた。

 

 

「タケル、さん…………?」

 

 

隣では、同じように疲れていた白衣を着た女性が、驚愕の表情を隠し切れないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……………」

 

 

基地より遠く離れた、荒野の中。

 

柊町にあった崩壊している家の正面で、斯衛軍の赤色の強化服を着た、16歳の少年衛士がうつ伏せに倒れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ホームページで更新していた時に頂いた挿絵を追加しました。


『巷で噂のアイツ/ターメリックさん』


【挿絵表示】




『G弾の破壊の波に決然と耐える試製98型/ターメリックさん』


【挿絵表示】





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