Muv-Luv Alternative ~take back the sky~   作:◯岳◯

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感想に点数評価時のコメントに、ありがとうございます。
全てこまめにチェックしています。

いつも頂けるその言葉が、続きを書く励みになりますので。


遅れましたが、短編を。今週末も更新予定です。


シリーズ:クラッカーズ―1 クリスティーネ・フォルトナー

 仄かに輝く明かりの下、申し訳程度に照らされた酒瓶の(ラベル)が、小さく出身地と自分が何者かであるかを示している。そんなどこにでもあるバーの中で、私はアイリッシュウイスキーが入ったグラスを傾けていた。隣に居る口の上手いイタリア人の男も、私に同調するようにしてグラスを傾けた。

 

口の中にピート臭とアルコールの熱が回っていく。質の悪いものとは違い、どこまでも後味に浸りたくなるような。それでも長引けば飽きがくるし、悪ければ後日に残ってしまう。それを阻止するために、傍らにあるチェイサーを口に含んだ。ウイスキーの後味と混じった水は、いつもとは違って甘く感じる。なんとも贅沢な時間だ。

 

これで隣に居る男が、イタリア人ではなく、約束していたあの人だったら良かったのに。内心を察したのか、男は―――腐れ縁となった同隊の戦友であるアルフレード・ヴァレンティーノは、溜息をついた。

 

「そう怒るなって―――言っても無駄か。分かってたが」

 

「ああ、我慢しているが、やはり顔に出るよう。分かっていたけど」

 

本当に、そう思う。カゲユキが居れば、この酒も味とあいまって最高のものになっただろうにと。考えていると、アルフレードは小さく笑いながら言った。

 

「あいっかわらず嘘がつけねえのな、お前は。一応はオレの奢りなんだから、女らしく愛想振りまいてもバチは当たらんと思うぜ。此処も安くはないんだからよ」

 

「二重の意味で、そんな不誠実な真似は出来ない」

 

愛想を振りまいて人を勘違いさせることも、その相手が浮名を流している男であることも罪である。はっきりと答えると、アルフレードの笑みが引き攣ったものになった。だがすぐに諦めたのだろう。

 

一つ溜息をついてグラスにあった酒を飲み干すと、私の方を見た。

 

「それだよ。前々から聞きたかったんだけどよ。お前、どうしてカゲユキのダンナに惚れたんだ? いや、スカウト時に何かがあって―――ってのは予想がついてるんだが」

 

「………一応、間違ってはいない。参考までに聞くけど………どこまで知ってる?」

 

「そりゃあ………タンガイルの後だったか。12人揃えた方がいいって時に、インファンが人材の目星をつけて。どうしてか、ターラーの姉御はカゲユキのダンナにスカウト役を頼んだって聞いただけだ」

 

「少し違うな。インファンは一度、話を持ってきたが、断った」

 

「じゃあ………その後に、ダンナが?」

 

私は頷き、ターラー大尉の慧眼を改めて認識する。カゲユキさんが直接来ていなかったら今頃私はどうなっていた事か、はっきりと分かるからだ。

 

「―――別に隠すようなことでもない。お酒も美味しいし、な」

 

努めて吹聴する必要性は感じられないが、高い酒を奢ってもらっていることだ。私はその礼として、ひとつ昔話でもすることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――断る」

 

はっきりと、自分の意志を告げる。クラッカー中隊への異動の話をもちかけてきた、どうしてか分からないが整備兵の男に向かって。見たところ年上だろうが、関係はない。そもそも下の階級の者が、それも一介の整備兵が持ってくるような話ではないのだ。身体はそれなりに引き締まっているが、軍人のそれではない。少し強めに睨みつければ引き下がるだろう。そう思ったのだが、実際には違った。

 

「即答、ですか。その理由は? いえ、自分が質問をするのはおかしいと思うのですが」

 

それでも引き下がれない、というような口調。そこに意地や見栄が含まれていれば、自分の勝手だろうと言って早々に退散を願っただろう。でも男の目や表情には、虚飾を取り繕った部分がないような。

 

そこで私は少し考えを変えた。人員の補充はその実、容易ではない。衛士となれば尚更だ。それが託されているという事は、この男に幾ばくかの重さを持つ期待が掛けられているということ。衛士達が来ないのは腑に落ちなかったが、相応の理由があるのだろう。

 

何度も来られるのは立場上拙いものがある。だから私はいつもの通り。一切の嘘なく、正直に答えることにした。幸い、男性はドイツ語も話せるようだった。

 

『インファンという女にも言ったが―――先のタンガイルの戦いで、クラッカー中隊の奮戦ぶりは近くで見せてもらった。彼らの実力を疑う気はない。でも、私は英雄になりたい訳ではないから』

 

『衛士なのに、衛士として大成したくはないと。なら、別の目的がある? いや………もっと別のものになりたいのですか』

 

打てば響くと言うような。普通であれば臆病者と取られるか、衛士としての適性を疑われる答えだ。実際に、インファンという女は糾弾するような表情を浮かべていた。でも、目の前の男は少し違った。私は少し驚きながらも、その通りだと頷いた。

 

男は顎に手を当てて考えると、顔を上げた。

 

『………開発者(Entwickler)?』

 

ぽつりと、一言。声は小さかったが、私の中では雷鳴のように響いた。どうして分かったのか、と驚いている私に、彼の方も驚いていたようだった。理由を問いただすと、彼は苦笑しながら言った。

 

―――クリスティーネ少尉の選択とその方針は、自分と酷く似ているからです、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沈黙が流れていく。その中でアルフレードは、氷の隙間で泳ぐアルコールで唇を少し湿らした後、呟いた。

 

「普通の方法じゃあ平凡な設計者で生涯を終えることになるから、か」

 

図抜けた才能があれば良かった。代々受け継いできた何かがあれば、また別の道もあった。どれも持たない人間が憧れた道を登り詰める方法は、同じだった。クラッカー中隊の勇名は聞いていたが、入ることで後戻りが出来なくなる事を恐れた。英雄とは体のいい犠牲だ。使い潰される恐れは十分にあった。だからなんとかして生き延びて欧州に戻り。実戦で培った経験を活かしてどうにか戦術機開発の道に。開発衛士にでもなれれば、とそう考えていた。

 

「今思えば、甘すぎる考えだったけど」

 

「それでも、信じてた。諦めるつもりはなかったんだろ?」

 

アルフレードの言葉に首肯を示す。諦められない理由があったからだ。それは承知のようで、小さい苦笑が返ってきた。

 

「歩くことを諦めない………その道中に思う人は違っても、か? 皮肉だな」

 

「ああ………でも、私は運命だと思った」

 

白銀影行は妻を。好き嫌いではなく、戦争の都合により別れざるをえなかった人ともう一度巡りあうために。二度と会えなくなる未来を認められなくて、整備の技術まで身につけたのだ。

 

「私は―――死んだ父のようにはなりなくなかった。転げて、“そこ”に落ちるのが嫌だった」

 

「………お前のオヤジって、確か」

 

「そう。元は西ドイツで、戦車の設計に携わっていた」

 

知識と技術は相当なものだったらしい。だが、それもパレオロゴス作戦が始まる前までの話だ。正確には、あの欧州最大の作戦が失敗に終わる前までは、戦車という兵器は陸戦において信用を集めていた。

 

実際は違った。戦場の主役は既に戦術機に移り変わっていた。軍部もそれは理解していただろう。だが、痛感させられたのはあの時が初めてだったのではないか。BETAに対する戦場において、戦車はもう動く砲台以外の役目を果たせないのだと。そして、歴史ある欧州が連合を組んで全力で進軍した所で、BETAの侵攻を阻むことはできないのだと。

 

かくして、欧州における戦術機開発熱は極まった所まで加速した。父は、その流れに乗ることが出来なかった。あくまで戦車に固執する事を選んだのだ。

 

その結果、職を失った。戦車の設計・開発が完全に中断される事はなかったが、それは極一部の選ばれた者達だけの話で、父はその中に選ばれなかった。それでも徴兵はされなかった。父は昔に工場で怪我をした事が原因で、左腕に少し障害があったからだ。

 

「それからは………箍が外れた、と表現した方がいいのかも」

 

まず、酒を多く呑むようになった。蓄えもあったが、全て酒に注ぎ込んでいた。次に、身体を心配する母に当たるようになった。稀にだが、暴力を振るう事もあった。問題はその後だ。罪悪感はあったようで、顔に傷を負った母を見た父は、酷く狼狽えていた。そうして耐え切れなくなったのか、また酒に逃げた。

 

「いっちゃなんだが、ひでえオヤジだな」

 

「私も、そう思った………でも、最後まで憎むことは出来なかった」

 

嫌いになったと言われれば否定はできない。だけど、害する程に憎しみを抱いていたかと言われれば、はっきりと首を横に振る事ができる。だって忘れられないのだ。眠りについた父の寝言を。申し訳ない、すまない、情けない、ごめんなさい。繰り返し呟いて涙を零しながら横になる父の姿は、今も鮮明に焼き付いている。

 

ドイツに居た頃、同期の衛士に同じ話をした事がある。その時は東ドイツの人達が味わった苦痛に比べれば、と言われた。それでも当時の私にとってはどうしようもなく苦しい事だった。

 

他人ではなく、割り切れなかったから。血の繋がった、少し前までは誇りに思っていた父のあまりの変わりようを目の当たりにしたから。子供ながらに、未来が怖くて恐ろしくなった。父が落ちぶれるまでかかった時間はたった数ヶ月だけだ。栄光を手にするまでに積み重ねた時間はどれほどだろう。なのに人はたったひとつの巡り合わせ次第で、ここまでの状況に落とされるのか。一度でも落とされた後は、穴の底でのたうち回るような生を送るしかないのか。

 

尊敬していたのは本当だ。同時に、落ちぶれた姿を嫌いになったのも本当。どちらが真実なのかは分からない。それでも、自然と思えた事がある。

 

父、ダンクマール・フォルトナーは死んでいない。ただ、巡り合わせが悪かっただけで、父は偉大だった。娘である私の中に、尊敬の念は生きていると。証明するための道は一つしかなかった。

 

「一方で嫌いな父の顔が脳裏にちらつく、と」

 

アルフレードは複雑だよなぁと言いながら酒を煽った。彼は父親の顔を覚えていないという。それでも、聞いた事があった。逆に血の縁があることが足枷に、不幸の種を呼び寄せる切っ掛けになることもある。人生は之複雑怪奇にして塞翁が馬、とはインファンの言葉だったか。

 

そうしていると、場にそぐわない軍人がバーの中に入ってきた。顔には見覚えがあった。基地の中の衛士の取りまとめ役をしている者だ。操縦の力量はさほどでもないが、他人に気を使える男だ。周辺の酒飲み場などで問題が起きた時などには、忙しなく動いてくれているという。

 

アルフレードも察したのだろう。席を立って男の元に向かい、会話の途中でリーサとヤエという言葉を聞いた途端に、アルフレードは空を仰いだ。そのまま片手で謝罪のポーズを示し、私が頷くとアルフレードは肩を落としながらバーから去っていった。

 

残された私は、小さく安堵の息を吐いた。話せない事を話さずに済んだ事に対して。

 

答えていなかった事を思う。結局の所、クラッカー中隊に入ったのは私にとっても利点があったからだ。公ではない功績をいくら積んだ所で欧州の開発戦線に食い込める筈がないと指摘されたから。半ば目をそらしていた事実を突きつけられたからには、路線を変更する以外の選択は取れなかった。正真正銘の命を賭けることにはなったが、その後の事を思うと正解だったと確信できる。何より、かのフランク・ハイネマンより教えを受けた彼の知識について。それを全てではないが吸収できるという魅力に抗うことはできなかった。

 

でも、私が彼に。白銀影行という男に惹かれた理由は、そういったメリットから来るものじゃない。切っ掛けは、入隊してしばらくしてからの事だ。

 

私は幾度か会話をした中で、白銀影行の知識が洗練されている事に気づいた。基礎知識とそこから発展した現場の知識は、世界でもかなりのものだろう。一切の妥協なく積み重ねられた努力は、世界に認められ輝かなくても見事だと思えた。

 

素直に、綺麗だと思えた。父とは異なる、大人の男の人。知りたいという欲求を持った私はすぐに行動した。

 

この場所のように洒落たバーでは無かったが、良い酒が手に入ったのも僥倖だった。私は勉強会をしたいと誘い、打ち上げにカゲユキを誘った。礼だと言えばカゲユキは断らない。彼も自分の知識が貴重なものであることは理解していた。その引き換えに、という申し出ならば受け取るのも礼儀だ。

 

それでも疲労が積み重なっていた彼はいつになくすぐに酔ってしまって。私は興味本位に色々と過去の事について質問をした。

 

どうして、開発者になろうと思ったのか。すると彼は少し不満そうな顔で、「パイロットになれなかったからだ」と答えた。少年の時分に目指していた夢は、異星起源種の光条線を前に泡と消えたという。それでも忘れられなかったと。強い戦術機を開発して数年以内にBETAが駆逐できればもしや、と考えたらしい。何とも見通しの悪い若造だった、と苦笑しながら語ってくれた。

 

次には、曙計画の時の話を。若年にして計画に選ばれた自分、それなりに自負があったというのに、その誇りを粉々に砕かれた場所だという。フランク・ハイネマンに篁祐唯という正真正銘の天才が自然体で放ってくる気鋭の刃は凶器そのものだと、そう言いながら彼は酒を煽っていた。それでも、何も成し遂げられないのならば計画に参加した意味がないと、自分なりに出来ることに注力したらしい。それでも、全方位的に応用できる知識を携えたハイネマンの姿は眩しく。一時は口論に発展しそうになった時もあるという。凡才である事を知れた事、代えがたい戦友のような存在を得られたこと。それが何よりの収穫だったと聞かされた。

 

日本に戻ってからも、彼は焦っていた。瑞鶴の開発計画に参加できた事は本当に嬉しかったと語っていた。そこで出会った、女性の事も聞かされた。曙計画に参加した技術者として、篁祐唯の事を良く知る者の一人として、なんとか成果を上げようと躍起になっていたらしい。国産機が世界でもやっていけると証明する必要があった、戦術機開発における時代の転換期だった。そこで出会ったのは、心もとなそうな、背丈の小さい女性。

 

互いに我が強く、幾度と無く衝突したらしい。どちらも暴走気味だったとも自嘲していた。白銀影行は、若輩ながらも曙計画に参加したという自負を少し取り違えた方向に向けていて。小さい女性は―――風守光は、義実家の期待と、周囲から向けられる揶揄と羨望と嘲けりの視線を振り切らなければならないと、硬化した努力を重ねていて。

 

酔っていてもその時の自分の事は思い出したくないのか、かなり端折っていたが語ってくれた。その後の事に関しても。

 

幸せの絶頂にあった自分が、1本の電話によって谷底まで転げ落とされる話。風守としての誇り。彼はそれを理解すると同時に、どうしようもない不甲斐なさを感じたのだという。

 

もっと、努力を重ねていれば。血を吐いてでもいい。公に認められるように邁進し、動いていれば。そうしたら、光と、武と、もっと一緒に、同じ時の中を生きられたのかもしれないと。武と二人きりになった初めての深夜に、ハイネマンとの差を知った時とは比べ物にならないほど、自分に対する情けなさを思って声が枯れる程に泣いたという。情けなくて、悲しくて、渇いて喋れなくほど泣いたのは後にも先にも一度きりだろうなと、彼は恥ずかしそうに呟いていた。

 

その時に思ったのだ。なんというか、その、可愛い人だと。

 

それからの事も聞かされた。腐っていた頃の事。会社まで辞めようとした時に駆けつけて、殴ってくれた恩人の事。やる気になったは良いが、偶然出会った重役の娘に求婚された事。それを断ったら、二進も三進もいかなくなった事。あまりの理不尽に、何もかもを投げ出して挫けそうになった事もあるらしい。

 

それでも諦めずに今を生きる事が出来るのは、多くの人に支えられていたからだという。会社の同期や、同級生が家に来てくれたこともあると。酒を持参しながら「愚痴を聞かせろや」、と笑顔で申し出てくれたこと。小さいころの同級生の言葉が気に入ったらしい。地球の戦士として、悪の証明たる異星の化物を倒す兵器を作る正義の科学者。間違った所だらけだが、間違ってはいないと良いな、と思ってからは気持ちが上向きになったらしい。かくいう私もその一人だ。戦術機開発を取り巻く環境は複雑だが、開発者としてはそれぐらい割り切った方が正しいのかもしれないと。

 

それ以外にも、多くの話を聞けた。それを聞いて分かるのは、影行が人から好かれていた事だ。余談だが、私はそれを聞いた時に、彼の息子である白銀武の強さの裏を知ったような気がした。人が好きだから頑張れる。頑張れるから、諦めない。そういった彼の下地を編み上げたのは、父である影行の周りに居た人達が持っていた暖かい“何か”によるものかもしれない。

 

同じように、彼も妻を愛していた。だからこそ、賭けに出たのだ。誰が何を言おうとも反論できないぐらいの実績を積む機会に。同時に、ハイネマンに言われた事を思い出したらしい。

 

―――零からつくり上げる才能は僕に遠く及ばない。でも、人の言葉と考えを理解する事に関しては、到底敵いそうにないと。

 

世界に出れば、多くの人と言葉をかわせば、才能を育て上げれば、そうでなくても育った才能を理解して正しい方向に協力できれば。そう考えて最前線に旅だったという。

 

その後の事は、理解不能かつ予測不可能な現実のオンパレードで。息子の付属品のような扱い。その中でも成果を出そうとやってきて―――ひとつだけ、形になりそうなものがあると、嬉しそうに笑っていた。

 

そこまで考えた時だ。ふと気づけば、私は笑っていた。自分でも、顔が綻んでいるのが分かる。視線を上げて、目があったバーテンダーも。私よりも遥かに年上の、白い髪が目立つ初老のバーテンダーの顔は、慈しみが含まれているようだった。

 

言葉はない。静かな音と、上質なアルコールの香りと、仄めく光が支配している空間。それだけで、余分なものは要らないと思えた。視線だけは感じる。『男の人を想っているのですか』というような。心の中だけで首肯する。

 

だって、反則だろう。他の女性の話をするのはマナー違反だというのに、それを忘れるほどに。妻の事を語る白銀影行の顔は、本当に見惚れる程の虚飾ない笑顔だけがあったから。

 

―――人は生涯を懸けるほどの恋を、血縁でもない誰かに向ける事ができるのか。女性としての憧れに対する回答が、これ以上ないぐらいの形で得られるような夢を持たせてくれると、思ってしまうような。

 

届かなくても、届かなくても。

 

質の悪い事だと思ってはいても、手を伸ばしてしまうのは、その先に掴めるのは正しいものであるのか。答えなど存在しない問いに、グラスの中でカランと崩れる氷が答えてくれたような気がした。

 

 

 


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