Muv-Luv Alternative ~take back the sky~   作:◯岳◯

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1話 : 衝突~The two~_

 

男二人が、座りの悪い座席に体重を預けながら窓の外を見ていた。BGMは機体が大気に衝突する事で生じる振動音と、それを切り裂く推力の源であるエンジンの震えだ。輸送機にある窓外から見える光景は、一言で表すならば緑と青。空からでも全貌を一目で把握できないほど雄大な、アラスカの大地が広がっていた。

 

それに対する男たちの反応は全く異なっている。金色の髪を持つ男は少し演技がかった口調ではしゃいで、隣で沈黙を貫いている黒い髪を持つ男に話しかけていた。自然の豊かさ、食べ物にアメニティに加えて、季節の折に見ることができるであろう、天然の芸術。気むずかしい女性に初対面で接する気の良い性格の男のように、アラスカの地のひと通りの良いところを褒めた男――――ヴィンセント・ローウェルは、ため息をついた。

 

「ユウヤ………気持ちは分かるけどよ。ここで不貞腐れたってしょうが無いだろ?」

 

ユウヤと呼ばれた、黒髪の。衛士徽章をつけた男は、憮然とした表情を崩さなかった。

 

「ならお前と一緒にはしゃげっていうのかよ。こんな最果てに飛ばされたってのによ」

 

不貞腐れているという言葉を否定せずに、男――――ユウヤ・ブリッジスは窓の外を眺めていた。

 

納得のできない事だらけだった。命令は、国連軍に転属し、ユーコンで行われているというプロミネンス計画に開発衛士として参加しろという内容だった。

 

(………ヤキマの基地からグルームレイクに異動させられて半年。たった半年で、国連軍に転属だと?)

 

プロミネンス計画の重要度は知っている。だが、とユウヤは命令を伝えた、グルームレイク基地ではちょっとした“顔”であるダンバー准将の言葉を思い出し、内心で舌打ちをした。

スヴェン大尉が死亡して、グルームレイク基地に飛ばされた。実質は左遷だと考えているユウヤは、今回の事にもまたかと言った気持ちがあった。

 

米国の軍人として、米国のために命を賭けて開発衛士としての責務を果たしてきたのだ。そうした果てが国連軍への転属であるとなれば、納得できるはずもない。

ユウヤが1人で考えこんでいる横で、ヴィンセントがため息をついた。ユウヤが何を考えているのかを察し、呆れた声で言う。

 

「准将の言葉を思い出せよ。ボーニングだぜ? 世界最大の戦術機メーカーからの直々の指名だって。その計画に最初から携われるなんて、どれだけ貴重な経験なのか………」

 

米国代表として計画に参加する。ユウヤにも、それが光栄なことであり、准将の言うとおりにこの上ない名誉であることは理解できていた。

 

(だが、それは通常の開発計画であればの話だ………よりにもよって、米日共同での開発計画だと?)

 

だからこそ、日系の衛士が必要である。選抜理由としては、あまりに不足に過ぎる。表面的だけ取り繕おうとしているように見えた。

それでも命令は命令。ユウヤは拒否は除隊を意味するものと思えという、准将の言葉を思い出して舌打ちをした。

 

(何が名誉だ、あの野郎っ………!)

 

歯をむき出しにして拳を握る。それを見たヴィンセントはため息をついた。

ユウヤが思い出しているであろう場面に自分も立会っていたからだ。その上で、ユウヤとは浅くない付き合いである。

今にも苛立ちが極限に達しそうになっているだろう相棒に、声をかけた。

 

「実際、いい経験になると思うぜ。噂じゃあ、相当な衛士が集まっているって話だからな。眉唾レベルだけど、欧州の有名な部隊も参加しているって聞いたぜ?」

 

「へえ………それはいい話を聞いたな。ちょっとはやり甲斐が出て来そうだ。技術云々は置いといてな」

 

「お、我らが開発衛士様は機体より衛士に興味津々ってか? 俺は逆だな」

 

ヴィンセントは機体の方に興味があると、笑った。特に日本の機体を生で触れられると眠れなかったと、興奮気味に話している。

 

「………間違いなく期待はずれに終わると思うけどな」

 

「水を差すような事言うなよ。日本は自国内外での実戦証明済技術をたんまりと持っているし、その他の技術力も高い。侮れる要素なんて無いだろ」

 

「BETA相手に近接格闘をやらかす、時代遅れの国の技術の何が参考になるってんだよ。米国が日本から学ぶことだって? そんなもんねえよ」

 

「………分からねえなあ、ユウヤ。お前、なんでそう日本の事となると熱くなるんだよ」

 

ヴィンセントは言葉を選んだ。本当であれば、熱くをバカと言い換えた方が正しいのだ。

BETA相手の戦闘経験が皆無な衛士の言う真実などに重みはない。実際に戦った者にしか分からない“風味”というものは存在する。

環境が変われば兵装も変わる。ドクトリンと照らし合わせれば、近接格闘の重要性も理解できるはずなのだ。

ヴィンセントは、ユウヤ・ブリッジスが優秀な開発衛士であると知っていた。そういったジャンルに限定すれば、米国でもトップクラスの能力を持っていることも。

当然、そのあたりの事に関しても過去に一度考えてみて、その上で自分なりの考察を済ませているだろう。

 

ありとあらゆる可能性に関する懐疑心と、不明をそのまま放置しておかない探求力。

その両方を持たずかつ頭の悪い衛士に務まる程、テスト・パイロットという職は甘くない。

 

だが、今のユウヤはまるで子供だ。嫌いな食べ物を出された子供の、数十倍は感情的になっている。

理屈になっていない言い訳で、いったい誰を納得させようとしているのだろうか。

 

「半分は日本の血が流れてるってのに。俺も色々あったけど、プエルトリコを毛嫌いした事なんて――――」

 

「おい、いいかげんに――――っ!?」

 

語らいは、外部よりの衝撃により中断させられた。機体が一度、大きく揺れた。そして、一瞬で元の安定性を取り戻した。

 

(エンジン・トラブル………じゃない、これは………!?)

 

「ユウヤ!」

 

ヴィンセントの声を無視して、ユウヤは操縦室へと駆け込んだ。

 

見れば、機長と副機長が必死の形相で通信越しの管制室へと叫んでいた。

内容は、戦術機2機が交差機動で後方よりこの飛行機へと接近中とのこと。

 

それを聞いたユウヤは事態を把握し、更なる事実を察して戦慄した。

聞こえるのは、めまぐるしく位置を変えるだけではなく、上下に激しく動きまわっている事が分かる轟音だ。

 

「これは………格闘戦機動じゃねえか、どこの馬鹿だ!」

 

「くっ、機体を上げて再アプローチをするぞ!」

 

「駄目だ!」

 

ユウヤは制止する。2機が向かっている方向、高度を半ば以上に感じとって、叫んだ。

 

「上げればぶつかる、このまま突っ込んで着陸を!」

 

必死な、確信のある声。それを聞いた機長と副機長は操縦を着陸する方向へと瞬時に切り替えた。

 

機首を下げて滑走路へ。

 

――――直後に、2機が輸送機の上を越えて姿を現した。

 

追いかけられている機体と、追う機体。前者はイーグルのようにも見えるが、同じとはとても言えない様相だった。

後者は米国のそれではない。が、どこか見たことのある機体で、迷彩色のように紫と薄い灰色の塗装が施されている。

Su-27か、あるいは。判断できないままのユウヤは、そこで目を疑った。

 

追いかけられている機体が急に減速したのだ。つられて背後の機体も衝突を回避するために、減速。

同時にイーグルらしき機体が制動をかけて全身を左に滑らし縦軸に回転、減速している紫の機体の背後に回ろうとする。

 

そこまでは理解の範疇にあった。急速な格闘戦機動、そのキレは尋常ではなかったが、図抜けている程ではない。

 

問題はその後だ。紫の機体は、まるでそれを読んでいたかのように、同じく縦軸反転をして、イーグルらしき機体の後ろに回り。

同時に、綺麗な弧を描いていたイーグルらしき機体の制動がブレて。

 

「なっ!?」

 

機内にまで甲高い衝突音が聞こえて。

 

コントロールを失した2機は、若干の回転と共に高度を落としていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………なんだよ、これは」

 

ユウヤは呟いた。

着陸してから、機長は自分に向けて言った。助かった礼に加え、噴射音から戦術機の進路を予測した自分に対して、流石はユーコンに来る衛士なだけはあると。

 

目の前には、不時着したイーグルらしき機体が。そこに続く道の最中には、浅く細い掘削跡が続いている。

まるで棒状の何かで地面を掘りおこしたように。推測の通りに、掘削の跡を辿って走っていった先には短刀と、機体があった。

いや、短刀ではない。長刀でもない、ちょうど中間にあるそれを一体なんと呼べばいいのか。

それ以上に、認めがたい光景があった。イーグル(仮)は地面に尻もちをついている体勢なのだが、その下のコンクリートがめくれ上がっていない。

見えるのは、せいぜいがひび割れ程度でしかなかった

 

「あの状態、高度から………立て直しを成功させたっていうのかよ」

 

そのまま落下したのであれば、衝突のエネルギーは相当なものになっていた。つまり、コンクリートはもっと盛大に壊れていなければおかしい。

それが無いということはつまり、半ば制御不能であっただろう状態から機体をコントロールして不時着したということだ。

 

ひと通り、機体をチェックしたヴィンセントが叫ぶ。

 

「ユウヤ、大丈夫そうだ!」

 

分かっていたが、損傷は少ない。燃料漏れも無いらしい。

だが、衛士がまだ降りて来ないのはどういった理由か。あるいは、中への衝撃だけは相当なものだったのかもしれない。

 

慎重に、コックピットブロックを開放していく。強化服があるとはいえ、頭部でも打っていたら急いで応急処置をする必要がある。

怪我人を前にして何もしないという選択肢だけはあり得ない。そうした軍人としての義務感と共に、胸に生まれていたのは期待感だった。

 

ユウヤは機体の状況、それらに関する情報を元にした考察は既に終えていた。

着陸地点からも分かることだが、こいつを操縦しているのは相当な衛士だ。並より上というレベルには収まらない程度には。

 

歴戦の衛士か、あるいは。欧州の有名部隊ならば、相当に年季の入った衛士だろう。

それも、機体のGに振り回されないぐらいに強靭な身体能力とセンスを兼ね揃えている。

膨らんだ想像、内心を焦らすように、コックピットはゆっくりと開き。

 

ユウヤはまた、目を疑った。

 

「っ、子供!?」

 

俯き、膝に顔を隠していた少女は、せいぜいが10代半ばといった身長の。

胸にある膨らみはその衛士が女性であることを示していた。

 

「ユウヤ、様子は!」

 

「あ、ああ」

 

ユウヤが内心の動揺を抑えて、怪我でもしたのか俯いたままの応急処置をしようと手を伸ばした時だった。

 

黒髪の、褐色の肌を持つ少女――――タリサ・マナンダルは酷く傷ついた表情でユウヤを見上げて、呟いた。

 

 

「………にほん、じん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4人を乗せて、基地の中を車が走る。その上で複雑な内心を持つ二人は、口を閉じたままだった。

車上の空気は最悪の一歩手前だ。

居心地の悪さで言えば、犬猿の仲である女性二人の間に座らされた哀れな男に匹敵するぐらいの。

 

そんな中、仲間内でも気遣いのできる男として有名であった整備士、ヴィンセント・ローウェルは肩を縮こまらせてハンドルを握っている運転手のために起った。

 

「い、いや―人生はこれ波瀾万丈といいますが、到着早々にこれとはなあ。ほんと、一寸先は闇っていうか………」

 

言葉のチョイスが悪かったのか、二人の不機嫌オーラが増した。

過去の経験から、機体だけではなく人間への洞察力も優れている男、ヴィンセント・ローウェルは咳をして誤魔化した。

ちら、と隣を見る。ユウヤは基地にある建物を見ているようだが、その内心はここには在らず。だが、輸送機にいた時よりも苛立ちが高まっているようにも見えた。

恐らくは、日本人と言われた事が原因か。その言葉を発した後ろの少女は怪訝な表情と共に、ユウヤの方を見ている。

 

視線を戻すと、バックミラーから運転手の懇願するような目が。ヴィンセントは引きつった顔で、しかしその意志を受け取った。

タイミングの良いことに、目の前からは各国の戦術機が並んでいる光景が見えている。

 

「おい、あれ見ろよユウヤ!」

 

バシッと肩を叩いて、各国の戦術機を説明していく。中には米国の機体が元になっているものも多く、説明しているヴィンセントも意図とは別に内心が昂揚するのを感じていた。

 

「あ、あんたらついているよな。今日は広報用のスチール撮影があったから、こうして機体が表に出てるんだよ」

 

「へえ………しかし、本当に東西関係無しなんだな。プロミネンス計画ってのはそこまでやるのか」

 

「共通する大敵のためならば、ってやつさ。まあ、お題目だけでトラブルがゼロになることもあり得ないんだけどな」

 

ユウヤはそこで耳を傾けた。内心では並び立つ各国の戦術機に圧倒されていた、同じくして先ほどの事、後部座席で座っている女衛士に関しても忘れてはいない。

 

「すげ~っ! この期に及んで冷戦引きずっているとか半端ねえな」

 

興奮したヴィンセントは、そのまま各国の戦術機を説明しはじめた。

軽量機であるF-16をベースに格闘戦特化型へと改装した、統一中華戦線の殲撃。

北欧連合最新のJAS-39。

 

演技ではなく、興奮し始めたヴィンセントは、更に熱を入れた説明をし始めた。

 

見えるのは、米国が誇る第二世代機最強の機体、F-15E。傑作とも言えるそれは、ユウヤが数日前までは乗っていた機体である。

 

だが、内心でユウヤが想起したのは目の前の機体ではない。

間もなくして見えた、先ほどに見た機体である。

 

(特徴は肩と頭部に腕、跳躍ユニットって所か)

 

スマートな流線型ではなく、全体的に隆起が目立つかなり“いかつい”外見を持っている。

恐らくはF-15の機動力を強化した機体だろう。先ほどの格闘戦機動を見るに、運動性も悪くないように見えた。

 

そこで、ヴィンセントは後ろを向いた。確かめるような口調で、たずねる。

あれが、ボーニングの戦術機強化改修計画の機体であるかどうかを。

 

それを見たタリサは、ため息をついて。そして若干に柔らかい口調で、告げた。

 

「あれはF-15の高機動実験機だけど、事前に資料とかもらってないのかよ?」

 

軍事機密であれば、出まわらない。だが、知る権限があれば。

タリサはまあいいけど、と続けた。

 

「噂レベルでも聞いたことがないか………あんた達、どこの田舎から出てきたんだ?」

 

タリサの少しだが嘲笑するような口調。それに、ヴィンセントが噛み付いた。

以前に居たネバダのグルームレイク基地を、強調するように言う。

対するタリサの反応は、淡白だった。

 

「へえ。そっちも、グルームレイク基地さえ知らねえんだ。エリア51とかも、聞いたことがない?」

 

「アメリカの基地になんか、興味を持ったことが無いからね」

 

「開発衛士としてどうかと思うけどなぁ~。エリア51は、世界最大の先進兵器研究施設だ。勉強になって良かったな、お嬢ちゃん」

 

「そこから、こんな僻地に呼ばれもしないのにやって来たんだ」

 

「そうだ、ありがたく思え!!」

 

ムキになるヴィンセント。その隣に居るユウヤは、チラと横目でその顔を見た。

 

(………お前も結構辛かったんだな)

 

ひょっとすれば、自分の左遷に巻き込まれたのかもしれない。追い出される直前に聞いた、私刑の標的になっているという面子。それを思えば分からない話ではない。

内心で気まずさと申し訳の無さを覚えているユウヤをよそに、タリサとヴィンセントの口論は加速して。

 

つい、と矛先は変更された。

 

「で、そっちのアンタも飛ばされたクチ………って衛士徽章? なら、アンタが自称最強部隊の衛士さんなんだ」

 

「………ああ」

 

ユウヤは取り敢えず同意だけを示した。それ以外に言えなかったとも言う。

なんとも言えない感情が胸の中を渦巻いているからだ。

 

ユウヤは、あの格闘戦機動を見られた時は嬉しかった。こんな僻地で、相当な技量を持っている衛士がいる事に感謝したのだ。

腕の良い衛士を見て、そいつを越えてやろうと思わない奴はいない。障害物は歯ごたえのあるものこそ楽しいのだ。

ところが、その衛士が女。しかも子供であるとは想定外にも過ぎる。

ユウヤは素直に、このやる気というか衛士としてのプライドをぶつける気持ちにはならなかった。

 

「なら………ひょっとしてだけど、輸送機を下げたのアンタの指示?」

 

「………まあな」

 

特に何も考えず、ユウヤが答えた。輸送機――――アントノフの上昇を制止したのは確かに自分だ。

自慢するような事でもないがな、と付け足したが、対するタリサは気まずげに頭をかくだけだった。

 

「一応、礼は言っとくよ。流石にあの状況であんたら落としたら………くそ、なんでアタシが」

 

愚痴るようにして、小さく呟く。

そして、ため息を一つ。ユウヤとヴィンセントはタリサのため息の理由を車の先、目的地である建物の中で理解した。

 

ヴィンセントが、タリサの言わんとしている事を理解し、ああと頷く。

 

「まあ、確かに。このユーコンで貴重な開発衛士を落としたら………洒落とか、調停で済むレベルを越えるよな」

 

「はあ………無茶を通してこその開発衛士って言うけどね。でも――――」

 

少女の顔が緊張に固まり、そして。

 

「タリサ・マナンダル少尉!」

 

「はっ!」

 

怒声に、敬礼。呼びつけた男は歩いてくると、告げた。

 

「マナンダル少尉………軍人たるもの、無謀と無茶を取り違えるは愚か。線引きというものがある。それを一歩でも行き過ぎると、大惨事に成るとは思わないか………?」

 

「その通りであります!」

 

敬礼。直後に、褐色の男性衛士はじっとタリサを見た。

 

「国連軍の名誉ある広報任務を預かったこと。それを忘れ、貴様は自分が何をやらかしたのか理解しているのか!」

 

「あれは………あっちから喧嘩を売ってきたんだ! ロックオンされて黙っている方が、その、衛士としての取り違えだって………!」

 

「応戦したのが問題だと言っているんだ! ………詳細は後で聞く。幸い、機体の損傷は軽微のようだが………整備兵に対しての言い訳は考えておけよ」

 

まずは精密検査だと。告げられたタリサは、納得がいかない表情のまま医務局へと歩いて行った。

男は見送りながら、腕は確かなのだがな、と呟きながらユウヤとヴィンセントに向き直った。

 

男の階級章は、中尉。ユウヤとヴィンセントは敬礼と共に、着任の挨拶を行う。

 

「私は、貴様らの所属する小隊………アルゴス試験小隊を預かっている、イブラヒム・ドーゥル中尉だ」

 

「―――はっ!」

 

「トラブルの星に恵まれているようで、転任早々盛りだくさんだったようだな――――それでこそだと言えるが」

 

 

不敵に笑い、イブラヒムが告げる。

 

国境の基地―――――最前線へようこそ、と。ユウヤとヴィンセントはその言葉の重みを噛みしめながら、イブラヒムの黒くて大きな手に自分の掌を重ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

案内された部屋の中。ユウヤは先ほどの言葉の意味を考えていた。

 

ここ、ユーコン基地は複雑な背景を元にして建設された基地である。

元は、北米の大陸の防衛力強化としてアメリカの国防省に建設され。だが、ソ連が首都機能を北米に移転、アメリカ合衆国のユーコン川以北のアラスカ州の租借を要請。

国境を直に接することになった米国とソ連、その緩衝地帯でもあり、中立地帯でもある方がいいと判断された結果、出来上がったのが今のユーコン基地である。

 

含まれた意図は多い。東西陣営を超越して協力するポーズを見せることなど、政治的なものがほとんどではあるが。

だからこそ、表面上は争いなど起きては困るのだ。

部屋の中では、アルゴス試験小隊の隊長であるイブラヒムから、隊員であるユウヤ達――――特にトラブルを先ほど起こしたタリサに念入りに説明が成されていた。

 

「でも、あいつらが先に…………いえ、何でもありません」

 

喧嘩両成敗。理由はどうであれ、衝突するという事態がまずいのだ。タリサは眼に力にこめながら無言の言葉を叩きつけてくるイブラヒムを見て、言葉を止めた。

昨日の件は事故として処理されているが、最悪はプロミネンス計画の中止にまで発展する可能性もあった。

 

(………そうした危機感を共有しておかなければまずい、ってことか)

 

そして、注意だけで済ませる理由も。

ユウヤは、イブラヒムがタリサ・マナンダルに対して一目置いているか、あるいはこの計画に必要不可欠な存在であると判断しているか、そのどちらかであると推測をつけていた。

 

ユウヤが思う。確かに、あの機体をああまで操っていた事からも納得はできると。

フェニックス構想――――既存の第二世代機を改修してアップデートし、第三世代機の域にまで押し上げる。

 

その有用性は先ほど証明された。改修されたF-15、“F-15ACTV”は2.5世代機と言われている紫の機体、Su-37に劣勢ながらも負けていなかった。

そのフェニックス構想は終了しているらしい。完成品が、あの機体である。

 

アルゴス試験小隊はフェニックス構想の完了と同時に、XFJ計画に編入。

構想により完成したF-15ACTVはXFJ計画の比較機体として、そのまま隊として使用されるとのことだ。

 

(俺たちの着任をもって、事実上のスタート………この基地で、か)

 

ユーコンでは各国の軍が技術交換を重ねながら、独自の計画を進行しているという。

主に言えば、戦術機の開発計画。対BETA戦略や戦術に関してはもちろん、整備の事も各国の交流が深められているという。

とはいえ、国籍の違う者達だらけである。

ローカルルールや宗教的なこと、細かい所を上げれば際限がないほどに、世界が違う者たちが集まっているのである。

そうした中での相互関係を保つための独特なルールがある。すれ違いから時には口論や喧嘩など、実際に衝突する者たちが居る―――が今の所、概ねは問題なくやれているらしい。

 

(でなければ、すぐに中止だ………一部、分かっていない奴らも居るみたいだけどな)

 

ソ連の、そして目の前のタリサ・マナンダルも。

だがユウヤはタリサの気持ちも分かるような気がした。ロックオンされたから反撃するというのも、当たり前の話だ。

問題は技量のこと。ユウヤはタリサが最後のあたりまで追いかけられていたことから、ソ連の衛士の方が技量的に上であったように思えていた。

 

ヴィンセントとの口論から察するに、感情的になりやすい質であることも。こうして反論を続けないのも、何か挑発するような事を言ったからかもしれない。

冷静に判断せず、感情的に喧嘩を売って無様を晒す。

 

(米軍に居た俺がそんな事をやらかしたら………にしても、ここでからかいの一言も出てこないとはな)

 

随分と冷めた部隊だ。ドーゥル中尉は、何だかんだとタリサを許しているし、それに反論する奴らもいない。

ユウヤは私見だが、容姿と仕草からも、タリサ・マナンダルは愛されるトラブルメーカーの部類だという感想を持っていた。

 

と、意識を逸らしてるとユウヤを、ドーゥル中尉が紹介をする。

合衆国陸軍戦技研部隊出身。

 

「そんなエリート衛士でありながらも、このような地の果てに飛ばされるという――――とても“日頃の行いが良かった”そうだな、少尉」

 

「はい、中尉殿」

 

洒落の利いた言葉に、ユウヤが答える。隣で試験小隊の1人が笑う声が聞こえた。

 

男の衛士だ。階級は少尉だが、出身国はどこか。考えているユウヤに、イブラヒムからの説明が始められた。

 

右側に座っているのが、イタリア軍から派遣されている男性衛士。名前はヴァレリオ・ジアコーザ、階級は少尉。

前にいるのが、スウェーデン軍に所属している、ステラ・ブレーメル。同じく、階級は少尉。

 

(イタリア………南欧に、スウェーデン………北欧、そして)

 

イブラヒムはタリサを見て、言った。

 

「大東亜連合軍のタリサ・マナンダル少尉だ。出身はネパール」

 

中央アジアか。ユウヤは地図を思い出しつつも、何処にあるのか分からないでいた。

 

「最後に改めて名乗ろうか。トルコ軍より派遣されている、イブラヒム・ドーゥル中尉だ」

 

アルゴス試験小隊の、隊長。ユウヤはひと通りの紹介を聞いて、へえと思った。

全員の国籍が見事にバラバラだ。国連軍なので当たり前かもしれないが、出身国で固められる傾向にあるというのも、ある話だ。

 

(どれも………今はBETA支配下の国か)

 

今は亡き、“元”がつく国の出身者ばかり。ユウヤはそれを、もしかして自分に対する皮肉かと考えた。

先ほどのタリサからの言葉が思い出される。

 

(ふざけんな………俺は米国人だ!)

 

1人憤るユウヤを尻目に、イブラヒムは本題に入った。

フェニックスよりXFJへ。新しい計画のために参加した、専任のテスト・パイロットの腕を期待しているという前提を置いて、イブラヒムは告げた。

 

今後共に計画を進めていくチームとして最も重要なもの――――信頼関係を強めるために、親交を深め合うために。

 

「演習を行う――――【CASE47】だ」

 

「汎用対人類戦術訓練プログラム………!?」

 

驚愕するユウヤとその他隊員を置いて、イブラヒムは意味ありげな笑いと共に説明を始めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コックピットの中。集合まであと30分という時に、ユウヤは自分が乗る機体の調整を始めていた。

 

(………あいつが敵に回ったのは、良かったな)

 

腕試しにはちょうどいい。あつらえたかのように、条件はシンプルだ。自分はF-15Eに、その他はF-15ACTV1に乗って。

タリサとヴァレリオがA分隊で、ユウヤとステラがB分隊。ステージは市街地だ。

BETA支配地域ということで、飛行高度の制限が入る。

 

(それにしても、ヴィンセントが居てよかったぜ)

 

本来の命令であれば、自分はドーゥル中尉の代わりにアルゴス中隊の一番機に、F-15ACTVに乗る筈だった。

だが、ユウヤはそれを断った。今朝に見たあの機体を、即興で使いこなすのは至難の業だと判断したのだ。

ともすれば、デッドウエイトにしかならない可能性がある。だからユウヤは、タリサが一番機に乗ることを提案した。

 

互いに乗り慣れた機体どうしで。ユウヤは言い訳の理由を作り合うのはごめんであると考えていた。

 

「“彫刻”も勝つ気があるみたいだったしな………」

 

「なんだよ、ユウヤ」

 

「いや。それよりも、お前が居て助かったぜ」

 

「なんだよ、いきなり。それよりも、お前あの女にF-15ACTVを譲ったんだって?」

 

純粋な機体性能で言えば、恐らくはあっちの方が上だろう。ヴィンセントもそれを察しつつ、聞いてきた。

 

「あいつじゃねえよ。“チョビ”だ」

 

ユウヤはほくそ笑んだ。チビで、ビビッとくる台詞を話してくるからチョビだ。

もう仇名をつけたのかと、ヴィンセントは呆れた表情になる。

イタリア野郎は“マカロニ”。戦場でパスタを湯掻いてたって噂が出るぐらいのイタリア軍出身ならピッタリだろう。

ステラは“彫刻”。尤も、表情を変えないながらも負ける気がさらさら無いと言ってのける女には相応しくないかもしれないが。

 

「………で、実際どうなんだ?」

 

「勝つさ。俺があいつらに負けるとでも思うのか?」

 

半ば以上に強がりの言葉を告げる。

――――実際はどうであれ、だ。

 

「一蹴するさ。それが“トップガン”の役割だろ?」

 

ユウヤは不敵に笑う。タリサにも見せた表情だ。マカロニは面白おかしくトップガンと自分を呼んだ。

本来であればそれはアメリカでも海軍の航空機乗りの呼称で、陸軍である自分には適していないと知りつつ、からかうように言ってきた。

 

「まあ、あいつもな。昨日に見た機動を再現するのは不可能だろうが………それでも、大した腕なんだろ?」

 

「ああ、そうだな」

 

間髪入れずに断言する。勝てると答えてはみたものの、確証を抱ける程にあいつらは甘くないだろう。

特にタリサについては、ユウヤは警戒心を高めていた。

 

機体を入れ替えるとの提案をした時。てっきり挑発に乗ってくると思ったあの少女は言ってのけたのだ。

―――お前はアタシを退屈させないよな、と。不敵に笑うその顔は、グルームレイクでも見たことがない種類の、鋭いと表現できるものだった。

勝てると断言できる材料など、どこにもない。今まで経験した中でも屈指の、難敵であることは間違いなかった。

 

(でもまあ、勝算はあるさ)

 

ユウヤは拳を握りしめた。もとより、自分は軍において誰にも負けることなど許されない。

劣る自分に価値など無いからである。停滞するだけの己に、存在する意味などない。

機体の性能差など、言い訳にもなりはしない。F-22Aを相手にする時も、ずっと胸に抱いていた決意と共に戦うだけだ。

ユウヤはそうして、気合を入れるように操縦桿を握った。

 

あっちも元はドーゥル中尉の機体で初乗りという訳だが、こっちはそうじゃないと。

 

「よし、いいぜ!」

 

ヴィンセントの声の後、ユウヤは機体の駆動を確認した。

また、更なる不敵な笑みを浮かべる。

 

全ての項目に関する補正誤差が期待以上に収まっているのでは、笑う以外の行動など取れないからだ。

 

「流石だな。まるで1年以上乗りこなした機体みたいだぜ」

 

「………とぼけるんじゃねえよ。これを見越してたんだろ?」

 

ユウヤはその声に無言で同意した。ヴィンセントの腕がなければ、機体を交換する話をもちかけはしなかっただろうと。

他人が乗っていた機体というのは、とにかくその癖が出る。

使い込まれた機体ならなおさらだ。コンマ数秒ぐらいのラグだろうが、特に対人戦闘においてはそのラグが命取りになる場合が多い。

 

それを短時間で、限りなくゼロに近づけることができるのがヴィンセント・ローウェルという整備兵の技量だった。

 

(――――ああ)

 

ユウヤは笑う。挑戦状は既に叩きつけ、相手も受け取った。

タリサ・マナンダルは言ったのだ。無様を晒すだけならば、田舎に帰れと。

 

それを示すことができなければ――――その問いかけに対して、自分は笑みで答えた。

やってやるとの言葉をこめて、お前こそと笑みで答えた。

 

(少し、笑った俺を見て何かを思い出したって表情が気になったが)

 

それも、全ては勝負が終わってからだ。

 

「じゃあ、行って来い!」

 

「ああ!」

 

ユウヤは頷き、親指を立てて応えた。

対人戦闘で、衛士が互いに賭けるのは自分の技量というプライドである。ユウヤは思った。まさか、それが米国だけではないはずだと。

 

負けず嫌いが集まる、誇り高き戦術機乗り。未来の同胞達が乗るであろう戦術機の”大元”を任された生粋の戦士達、それが如何なるものか。

 

ユウヤ・ブリッジスは乗り慣れた機体のような反応を示すF-15Eと共に、模擬であれ間違いなく戦場と呼べる舞台へと挑んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

賭けの札が飛び交う、整備兵が集まる場所。その中で、1人の新人整備兵は市街地で戦う衛士達の映像をじっと見つめていた。

立場としては特殊な技術と技能が必要である、武御雷の整備兵として基地に入り込んだ男は、背筋に冷たい汗が流れるのを感じていた。

 

(タリサ、腕上げてんなー………聞いていたよりもずっと)

 

前に見たのは1995年のシンガポール。その頃の面影が無いほどに可愛げもなく、タリサ・マナンダルは衛士としての存在を示していた。

ネパールだけではない、インドより以東のアジア圏内はほぼ全て大東亜連合に編成されている。

国連軍よりの離反、連合の成立のどさくさ紛れにアンダマンまで手に入れたのだ。

半ば強引ではあったが、難民の扱いに対して悪い方向での定評がある国連軍にとっては、対抗手段を見いだせなかった。

 

事実、国連のお偉方にとって、もう東南アジアに入り込む余地などないだろう。

脅しと実力排除と未知なる恐怖と。あちらさんは未だに情報が漏れた事、その要因を把握しきれていないだろうから。

 

(聞いた時にはどうなるかと思ったけど、人員に関しては想定の通りか)

 

ユウヤ、タリサ、イブラヒム、ステラ、ヴァレリオ、そしてもう1人。

例外はなく、誰もが優秀であり、開発衛士に恥じぬ実力を持っている。持ちすぎているのが若干一名居るようだが。

 

ユウヤ以外の全員が実戦経験豊富な衛士である。出撃回数を直接聞いたわけではないが、少なくとも新人の域は超えているはずだ。それに対して、実戦経験がゼロでありながらも対処できているユウヤ・ブリッジスは、記憶にある通り、流石の技量であると言えた。

 

色々な要因から、聞いた所の"かつて”より状況が違い過ぎているのは悟らされていた。

他ならぬ本人達に直接尋ねたのだから、間違いがない。

 

「鬼が出るか蛇が出るか………できれば対処できるレベルであって欲しいんだけど」

 

「来年の話をすれば鬼が笑うとも言いますけどね?」

 

独り言に、答える者が居た。武御雷の整備班長を任せられた男性の整備兵だ。

名前を神代乾三という彼は、隣に立つ者へと話しかけた。

 

「成程、見事なものです………と言っても、実際の衛士の技量を判断できる程の腕はないのですが」

 

「こういうのは直感が大事なんですよ。班長から見て、あの4人の中で誰が一番強いと思いますか?」

 

気安く尋ねた男に、乾三は考え込んだ。互いに劣勢とも優勢とも言い難い試合運びをしているようだが、その目は2つの機体を捉えている。今も格闘戦機動でやり合っている、互いのチームの隊長機だ。

 

「あちらの二人でしょう。他の二名とは違い、覚悟が見えます」

 

一方は、確信的な。一方は、消極的でも妄執が激しい。それでも自分の意志が固められている手合は強いと、武家の1人である班長は断言した。

 

「戦うに迷わない人間は、それだけで一手早い。そして対人戦での一手は永遠の半馬身に近い」

 

「………武家が賭け事ですか」

 

「今は廃れてしまった道楽ですが、人間好きなものをそうは変えられないもので。それに、そういったものを禁止する法律はありませんよ、"小碓四郎”殿?」

 

おかしそうに笑う班長に、呼ばれた男は頷いた。

その通りである。そして本来であれば、人の行動を制限するものなど何もない。

だからこそ、こうと決めた人間の行動は常に一歩早くなる。

 

「その形が歪であれ。やり遂げると決めた人間は、やはり怖い。そういうものだと思っていますが、貴方はどう思いますか?」

 

「同意します。俺が言えることじゃありませんけどね」

 

何も言えることなどない。だけどやはりと、告げる。

 

「死者は穢せない。誰よりもそう信じている。だからこそあの二人は、あそこまで退かないんでしょう」

 

「………分かる、話ですね」

 

黙り込んだ整備班長をよそに、映像の向こうでは真剣勝負が続いていた。互いに必死の白刃を叩き込む機会を作り出そうと。移動している最中でさえ考え、勝機に至る道を全身で練り続けている。隙は即座に埋まり、一手が潰れては生まれていく。その観点から言えば、確かに偽りなき真剣での勝負である。

必勝の機会を伺うように、あるいは油断すれば喰うぞという恫喝も含めて、互いが互いに突撃砲で牽制しあっていた。

だが、共に相手の切り替えの早さに戸惑っているようだ。

四郎と呼ばれた男は、理解していた。想定外同士の戦闘に対戦相手はおろか、僚機もついて行けていないようにも見えると。

 

(………台本通りに行くのは舞台の中でだけ。流れる人の定めを変えるのは、星の位置を変えるに等しい)

 

数少ない、心より尊敬できる上官である1人で、五摂家の斑鳩家が当主、斑鳩崇継の言葉。

それを思い出した小碓四郎と呼ばれた男は――――4番目になる偽名を名乗る金髪にサングラスを掛けた白銀武は、未来の不安を言葉にした。

 

曰く、これどうすんだやべえぞおい、と。

 

「………五里霧中、暗中模索、四面楚歌、絶体絶命、自由突撃」

 

「あの、不安になるだけの四文字熟語をここぞとばかりに並べないでくださいね?」

 

「おっとすみません。つい本音が」

 

言い訳どころかトドメに近い言葉を発しながら、武は今もこの模擬戦を見ているであろう女性に思いを馳せた。

 

(後は任せた、と言えないこの身の辛さよ………でもまあ、ここからだな)

 

 

前提が大きく揺らいでいる、過酷に過ぎる舞台の上で。

 

道化以上の役割を秘めた男は、じっと勝負の行く末を見守り続けていた。

 

 

 

そして、十数分後。

 

 

勝負は、互いのチームリーダーが相撃つ形での、引き分けに終わっていた。

 

 

 

 

 


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