ストライク・ザ・ブラッド 〜同族殺しの不死の王〜 作:國靜 繋
あまりバトル描写得意でないので、期待しないでください。
蠅から天使へと姿の変わった
「久しぶりに使ってやるよ」
そして、
今現在この場にいるのは、ダアトと
賢生たちは既に
もし、その内のどちらかだけでもこの場に残っていたら、各自で反応は違っていただろうが驚愕はしただろう。
「『暴食の地獄浄火』、お前の死の羽を持って、あれを燃え散らせ」
骨のみと化した右腕を天高く上げた。
その動作だけでは、誰も何をしているか分からないだろう。
しかし、次に起きた現象を見れば誰もが理解は出来ずとも何が起きているかは、理解できるはずだ。
海水を巻き上げ天高く出来上がっていた氷の柱が溶け出したのだ。
徐々に徐々に氷の柱は天から降り注ぐ見えない何かに貫かれ、そこから溶け出し、遂に氷の柱がなくなったのだ。
「Kyriiiiiiiiiiiiiiiiiii――!」
氷の柱の中から無理矢理解放された
「『怠惰なる辺獄烈火』」
今までなら、闇色の炎を纏い豪華な王冠を被った巨大な骸骨が現れていたが今回は現れなかった。
しかし、ダアトが闇色の炎を左半分だけ厚手のコートの様に纏っていた。
ダアトに向かってくる光の剣に対して闇色の炎を纏っている左手を向けると、光の剣に闇色の炎が纏わりつき燃やし尽くしたのだ。
後は、直接
ならやる事は簡単だ。
「|『暴食の地獄浄火』あれの翼を焼き尽くせ!!」
未だ制空権をダアトから取っている
理解できていなかった為、今のダアトが
再度六枚の翼にある六つの眼球から光の剣をダアトに向かって放った。
それと同時だった。
一枚の翼に穴が穿たれた。
それだけだ。
それだけの事で
天から降り注ぐ何かに、
「夏音――!!」
氷の柱がなくなったから戻って来たのだろう。
賢生たちは、急いで戻って来たらしく賢生だけが汗を掻き肩で息をしていた。
残りの二人は、伊達に魔族をやっている訳では無いらしく余裕の表情であったが、翼を穿たれ続け飛んでいられなくなり、空より墜ちてくる
「ちっ!!あたしたちそろそろ第四真祖ぶっ殺して帰りたいのよね。それをあんたがいつまでも邪魔するから帰れやしない」
獣人化しているキリシマが、棺桶ほどのサイズの金属製のコンテナを無造作に投げた。
どうやら他のコンテナの中にも積んでいたらしい。
そして、女の方は胸の谷間より賢生が使っていたのと同じタイプの
その
回転しながらダアトに向かってくる
ダアトに当る前に
それと同時に、金属製のコンテナが轟音と共に内側からはじけ飛んだ。
「kryiiiiiiiiiiiiiii――――」
耳障りな咆哮を上げて、その中から小柄な影が二つ現れた。
醜く不揃いの四枚の翼と、肌に浮かび上がる魔術文様。
そして、金属製の奇怪な仮面。
「面白いもの、まだあるじゃないか」
未完成品で模造品とは言え天使。
暇つぶし程度にはある。
背後に墜落中の
これだけで小国が保有する戦力と同等だろう。
しかし、ダアトと戦うのであれば戦力不足だ。
たかが小国が保有する戦力程度でダアトと戦えるならば、那月が態々ダアトに拘束術式を施したりなどしない。
「ほら来いよ。俺を少しでも楽しませて見せろよ」
未だ本当の意味での全力を出せない状況のダアトだが、この程度の戦力と遊ぶにはちょうどいいハンデだと思った。
実際はハンデがあって尚オーバーキルなのだが。
実力を見極められない獣人は己の爪を立て、吸血鬼の方は槍の眷獣をダアトに向って突き刺してきた。
獣人の方は動物的直観が働いたのか咄嗟にダアトと距離を取ったが、槍の眷獣はそのままダアトに向って突き刺してきた。
吸血鬼の女は獲ったそう思ったが、やられたのは眷獣の方だった。
見えない何かに槍の眷獣が、矛先部分から焼き尽くされたのだ。
「あんた、なにをしたんだ!!」
吸血鬼が吠えたのと同時に、上空に飛び上がっていた”仮面憑き”がダアトに向って急降下しながら無数の光の剣を乱射した。
ダアトは左手を上空に向けると、闇色の炎が天を覆う勢いで左手から放出された。
光の剣は闇色の炎の中に呑み込まれ燃やし尽くされた。
「何をしたかって、まあ教えた所でお前ら程度じゃあ防げないから教えてやるよ。俺の眷獣、
「なっ!?」
模造品とはいえ天使を作ろうとしていたのだ、驚くのも無理はない。
「だから何だって言うんだい”
吸血鬼の女の手の中にある、深紅の槍が宿主の心情を写し取ったかのように凶悪な姿へと変化する。
夏音は空から海へと墜ちて未だ浮かんできていない。
そろそろまずいかな~と若干思いつつも大丈夫だろうと思って放置していた。
「そろそろ俺としては、飽きたからもう終わらせていいよね」
いつまで経ってもダアト本体へ傷をつけるどころか触れる事さえ出来ない奴らに、ダアトは飽きを感じはじめて来た。
これが真祖クラスならまだまだ楽しむ余地があるのだが、比較する対照が間違っている。
「舐めんじゃないわよ!!」
「おい、待てベアトリス!?」
吸血鬼の女を止めようと獣人が声を掛けたが、頭に血がのぼっていた吸血鬼の女は獣人の声が聴こえていないどころか、先ほどの自分の眷獣が燃やされた事さえも忘れたようで凶悪な姿に為っただけの槍の眷獣をダアトに向かって突き出した。
次の瞬間、上空にいた上空にいた二体の”仮面憑き”を灰も残らぬ程の見えない極大の二つの裁きの炎が、柱の形をして上空から落ちて来た。
”仮面憑き”たちは、器用に翼だけを燃やし尽くされ悲鳴を上げながら墜ちた。
二体が地面に激突する瞬間、その首をダアトは掴み上げ、二体の”仮面憑き”の喉元へ牙を突き立てた。
最近、新鮮な生きた血を吸うことが出来ず、輸血パックの血ばかりを飲んでいたダアトとしては中々満足のいくものだった。
吸血鬼の女は、あまりの出来事に足を止めてしまっていた。
「なっ!?貴様、あたしらの商品を」
我に返ると口調が一層荒くなる吸血鬼の女。
しかし、既にダアトは吸血鬼の女からは興味を失っていた。
自分を楽しませられない以上、吸血鬼の女に興味を持つどころか意識する事さえ無駄と思ったからだ。
その事を吸血鬼の女は感じ取ったのか更に怒りを露わにした。
「あたしを舐めんじゃないよ!!」
「ああ、そういやいたなお前。でもお前、俺を楽しませる事出来ないじゃないか」
血を吸い尽くした”仮面憑き”を投げ捨て、骨のみと化している右腕を女吸血鬼へと向けた。
槍の眷獣はダアトに届くことなく完全に燃え尽き、吸血鬼の女も見えざる裁きの炎い燃やされてしまった。
「BB!!」
獣人は吸血鬼の女に駈け出したのと同時に、海に落ちていた夏音が翼を修復し海水を巻き上げながら空へと飛翔した。
翼は一対二枚にまで数を減らし、美しかった翼はその美しさを失っていた。
「まだ復活するか、しかしそれでこそ模造品とはいえ天使だ」
既にダアトを楽しませてくれる存在は、
獣人は、既に吸血鬼の女の惨状を見て戦意を喪失している。
”仮面憑き”は、ダアトに血を吸い尽くされたため既に死に絶え、もとより戦力外の賢生は見ているほか出来なかった。
「kryiiiiiiiiiiiiiiiiii――――――――!!」
翼にある眼球が、ダアトを視線だけで射殺すと言う事を感じさせるほど、翼より見開いていたのだ。
眼球は光の剣を限界まで溜め、臨界に達した瞬間ダアトただ一点に向けて今までにない極大の大きさの光の剣を放った。
それをダアトは闇色の炎を纏った左腕で正面から受け止めた。
光の剣は、闇色の炎に呑まれ消えた。
「次はこっちの番だな。『暴食の地獄浄火』」
骨のみの右腕を
色の無い裁きの炎が
物質界に近い天使が、神に最も近い天使だった者の裁きの炎を何度も受けたのだ。
その限界が、まさに今来たのだ。
落ちてくる
「『怠惰なる辺獄烈火』」
己の眷獣の名前を呼ぶと、纏っていた闇色の炎は勢いを増し、
「夏音……」
賢生が弱弱しく呟くと、闇色の炎が勢いを衰えさせた。
闇色の炎が完全に収まると、かつての模造品とはいえ天使だった存在は、元の銀髪の少女へと戻っていた。
流石にいつまでも首を掴みっぱなしは、人に戻ったのであれば窒息死させる恐れがあるので砂浜にそっと寝かしつけた。
「よう、古城!!無事だったか。それにお三方、随分楽しんだんじゃないか?」
ニヤケ顔でダアトは、古城たちを迎えた。
しかし、古城たちは顔を赤らめるのではなく状況が呑み込めずに呆然としていた。
ダアトが、首から上が見えるだけで他は鎖によって、全身雪だるま上に雁字搦めにされていたのだ。
そして、そのダアトの横にフリルを大量にあしらわれたゴスロリ衣装を身に纏い、日傘をさし仁王立ちしている那月がいたのだ。
「雪菜!」
紗矢華は、森から出てきた雪菜に抱きつき、自分の頬を雪菜にぐりぐりと押し付けていた。
「那月ちゃん、そろそろ開放してくれない?俺珍しく頑張ったと思うんだけど……」
「……」
那月の無言の圧力にダアトは押し黙った。
先ほどまで、
押し黙るしかとるべき行動が無いともいる。
やり過ぎた、そう思わなくもないが仕方ないと割り切って貰うしかない。
ダアトが、徹頭徹尾遊ばずにいたらこうならなかった可能性もあるが、それは考えてはいけない。
IFを考えたらそれこそ限がなくなるからだ。
「はぁ……まあいい、お前の力を解放したのは私だからな」
そう言いダアトの体に巻きついている鎖が消えた。
既に拘束術式を付け直したから少し前までの力を使うことが出来ないが、それでも十分脅威なのは事実だ。
「ああ、そういやそこの王女様。俺の名前を知っていたみたいだけど?名前教えてなかったはずだが?」
「その事でしたら、絃神島に行く際に事前に父王から教えられていたのです。貴方は欧州では嫌われていますからね」
軽い笑みを浮かべて毒を吐かれた。
まあ、仕方ないとと言えばそれまでか。
「ふっ、お前の存在は暁古城が第四真祖だという事を隠すにはいい隠れ蓑だからな。これからも十分役に立てよ居場所がバレているみたいだしな」
那月にとって、従僕より教え子の方が大事の様だ。
「酷いよ那月ちゃん。俺はこんなに那月ちゃんの事を思っているのに」
那月の腰にしがみつきながら言った。
先ほどまでとは、打って変わった表情に賢生は何とも言えない表情を浮かべながら巡視船に乗り込まされた。
那月は、鬱陶しいと言いながらダアトを足蹴りし離そうとした。
何だかんだで、いつもの雰囲気が良いなと思った古城だった。
絃神島に戻ってから修羅場に為ると知らずに。
リトバスで泣いたり、古いアニメで天地無用って作品にハマった為、更新遅れそう。
そして、試験勉強とかいろいろあるからやっぱり更新遅れそう。
遅れた時はすみません。
次の章でいろいろやらかすから、評価とお気に入り数が減るだろうけど気にしたら負けだと感じました。