ストライク・ザ・ブラッド 〜同族殺しの不死の王〜   作:國靜 繋

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聖者の右腕
プロローグ


 あれから、どの位の月日が経っただろうか。

神様転生的な事をやったのが何時だったかのさえ覚えていない程だ。

まあ、貰えた力が力だから今の今まで生きてこれたのだが。

 

 

 

幾多の聖殲に参加し、多くの血を啜り、数多の命を取り込んで来た、だからだろうか、同族である三人の真祖に危険視され、あまつさえこの身を封印されたのは。

だが、奴らも相応の代償を払った。

己の夜の帝国(ドミニオン)の貴族を失ったのだ。

それも旧き世代の多くをだ。

そして、奴らが俺の身を封印させるのに選んだ土地が、日本だった。

勿論それにはさまざま理由があった。

それ故に三人の真祖は対応が遅れてしまったのだ。

俺の復活を阻止するという事を。

 

 

 

 

 

 

「那月ちゃん」

 

俺は、自称26歳のゴスロリ衣装の幼女に飛び掛かった。

が、それは見事にカウンターの肘鉄を鳩尾(みぞおち)に喰らってしまった。

 

「ぉぉぉおおおおおおお」

 

鳩尾を抑え、のたうちまわってしまった。

その、のたうちまわる俺に対して、那月は顔を踏みつけて来たのだ。

しかも靴でだ。

 

「朝から盛るな」

 

鼻で笑いながら、丁度顔の両目を踏みつけされているので、どんな表情をしているか分からないのだが、長年の勘で、蔑んでいるのは間違いないと思う。

しかし、スカートの中が見えないのが残念だ。

 

「あ、あのう~那月ちゃん、いや那月様御足を退けては頂けないでしょうか」

 

「はっ、お前の事だ、足を退けた途端スカートの中を覗くに決まっている」

 

何故分かったし。

俺の天才的な頭脳を持って考え付いた作戦がこうも簡単に看破されるとは。

伊達に俺の主人(マスター)をしている訳では無いな。

 

「これから、私は授業があるんだ。大人しくておけよ。ダアト」

 

そう言い那月は、俺の顔面をもう一度強く踏み抜いた。

そして、俺は一言だけ発して、またのたうつはめになった。

 

「あっ、黒」

 

 

 

 

所変わって、獅子王機関

そこでは、獅子王機関の長老達、三聖と呼ばれるもの達の前で、第四真祖についての説明と、七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)銘を雪霞狼を渡され、今後の事を説明された。

 

「そして、最後に姫柊雪菜これだけは、胸に留めておきなさい。あの地には、世界最強の他に、世界最悪である吸血鬼、ダアトがいる事を」

 

その名を聞いた途端、雪菜は背筋に寒気を感じた。

一方的に言い終わった、三聖の気配が御簾の奥から消えた。

拝殿に残された雪菜は、第四真祖、転校、接触、監視、抹殺、そして世界最悪の吸血鬼。

もしかしたら、自分はとんでもない厄災に巻き込まれたのではないか。

そう思うと、ため息が出てしまった。

 


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