ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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if 霊王の子と乳龍帝 下

「そういえば、あの機械ってどういう物だったんですか?」

 

「……また変な物作ったの、アザゼル?」

 

「うっせぇな。……平行世界の子供を呼び出すって機械だったんだが……」

 

買い物から帰ったリアス達は一誠達と共に午後のお茶を楽しむ。兵藤家に住み着いているオーフィスも黙々とお菓子を口に運んでいたが、ジーッと天井を見ていた。

 

「……変な気配」

 

「変な気配? そういえば白音が部屋から戻ってこないわね……」

 

「木場っ!」

 

一誠は祐斗と共に機械のあった部屋に向かい、他のメンバーも後に続く。騎士の祐斗とゼノヴィアが真っ先に部屋にたどり着いた。

 

 

 

「小猫ちゃん! ……やはり侵入者か」

 

「……リゼヴィムの仲間か? まぁ、捉えてから吐かせれば良い話だな」

 

二人は黒無達の姿を見るなり剣を抜いて向かっていく。だがローラの背後に無数の魔法陣が出現し、無数の魔術が放たれる。二人はそれを避けようとしたが体が動かない。何時の間にか二人の影には針が刺さっていた。

 

「ようじゅつ・カゲぬい!」

 

「あの子供かっ!」

 

二人が玉章の仕業だと気付いた頃には魔術が直ぐ其処まで迫っていた。しかし次の瞬間、ロスヴァイセが張った障壁が二人の前方に出現する。しかし魔術を防ぎきれず障壁は砕かれ、魔術は三人の方へと向かっていく。三人は思わず目を閉じるが衝撃はやってこず、前を見ると魔術が空中で止まっていた。

 

 

 

「母上!?」

 

「あ~! ロスヴァイセさんだぁ」

 

「いや、何でアンタが此処に? 今日は仕事だろ?」

 

 

 

「小猫ちゃん!」

 

「白音!」

 

 

「あっ! お父さん! クロカお母さんも!」

 

「いや、何で父さんと母さんが居るんだっ!? まさか、あの箱はマユリの発明品かっ!?」

 

 

「はぃ?」

 

「ひぇ?」

 

「ほぇ? ……え~と、貴方達はその機械から出て来たのよね? 母さんって、私の事?」

 

「いや、そうに決まってるだろ。ほら、その証拠」

 

黒無は普段は隠している尻尾を出しネコミミを立てる。なお、普段隠している理由は”男の猫耳とか誰得だよ”という事らしい。ちなみに長兄にも狐の尻尾と耳が生えており、同じ理由で普段は尻尾は隠している。

 

 

 

 

 

 

「……あ~、リアス。この騒動、俺の責任か?」

 

「決まってるでしょっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……成る程。何時もと気配が違う気がしたんだが、平行世界の父さん達だったか」

 

「……え~と、お前は俺と黒歌の息子って事で良いんだよな?」

 

「ああ、俺の世界のアンタと母さんの息子だ。ちなみに母親が同じ姉と妹が一人ずつ」

 

リビングで事情を説明された黒無は少し思案しながら話し、玉章は黒無の膝の上で眠そうに目を擦っている。ローラは椅子に座らずに黒無の後ろで控えていた。

 

「貴女は座らないの? え~と、ロスヴァイセの娘の……」

 

「ローラです。私はあくまで黒無様達の護衛ですから」

 

「あら? 貴女はイッセーの子供じゃないの?」

 

「はい。私の父の名はランスロット。一誠様にお使えする騎士で御座います」

 

「まぁ、此奴みたいに少し頭の固い人でさ。俺とローラは公認の恋人なんだから、もう少し軟化してもいいと思うんだけどよ。まぁ、デートの時とかはベタベタ甘えてきて可愛いんだけどな」

 

「く、黒無様ぁ」

 

「……ラブラブね」

 

「好きな相手を褒めるのは当たり前だろ? 気持ちも伝えず他の奴に取られたら馬鹿だぜ?」

 

二人が醸し出す空気にリアス達女性陣は羨ましそうな顔をし、先程からローラの胸をガン見していた一誠は嫉妬のこもった視線を向けてリアスに脇腹を抓られる。アザゼルは黒無が破壊した機械の修復に駆り出されていた。

 

 

「……にしても、俺の知る歴史とは随分違うな。ソーナ・レヴィアタンの眷属のゼノヴィアが取り潰しになったグレモリー家の眷属だったり、玉藻母さんが居なかったり、ロリショタ皇ホモペドンが生きてたり」

 

「……ちょっと待て。なんだ、その不愉快な名前は」

 

「あ、気にしないでくれ。俺の世界のアンタは歴代最強最悪の赤龍帝の父さんに連戦連敗の口だけの戦闘狂な変態だったらしいから。アルビオンはあまりのショックでボケたらしいぜ?」

 

「ヴァーリ……」

 

「お、俺をそんな同情のこもった目で見るな! ……くそっ! 嫌な予感ってのはこの事かっ!」

 

ヴァーリが胃痛を感じる中、小猫が恐る恐る手を挙げた。

 

「……あの、先程気になった言葉が」

 

「何だ、叔母さん? ああ、レヴィアタンは先代の妹が継いだんだ。若手同士の勝負で全勝したのが評価を上げたらしい」

 

「いえ、其処じゃなくて……」

 

「じゃあ、玉藻母さんの事か? 父さんの正妻で腹心の部下だけど? ついでに言うと兄弟の中で一番上の玉兎兄さんと一番下の玉章の実の母親。まぁ、他の子供にも我が子同様に接してくれるけど」

 

「……ちょっと待って。今、イッセーの正妻って言ったけど、私達はイッセーと結婚してないのっ!?」

 

リアス同様に他の女性メンバーも不安そうな顔をする。ロスヴァイセはローラが目の前にいる手前、残念そうな顔を控えていた。

 

「まぁ、別に良いだろ? あくまで平行世界なんだ。……そろそろ時間だな」

 

黒無が時計を見るとちょうど昼ごろ。先程からスヤスヤと寝息を立てている玉章を揺り動かした。

 

「ほら、起きろ。グレンデルの弁当食べるぞ」

 

「……うみゅ?」

 

「グレンデルの弁当っ!? あのグレンデル!?」

 

「ああ、万能の家政龍(パーフェクト・ハウスワーク・ドラゴン)グレンデルだ」

 

「……多分名前が同じだけね」

 

「昔は邪龍だったらしい」」

 

「合ってたっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……にしてもよ、弱いなアンタ」

 

「……俺?」

 

ストレスから吐血して倒れているヴァーリを心配そうに見ていた一誠は黒無に声を掛けられて自分を指さす。黒無は黙って頷いた。

 

 

「こっちのお父さん、私より弱い~」

 

「こら! 幾ら雑魚でも正面から言っちゃダメだろ? 平行世界とはいえ、五歳の娘より弱いなんて!」

 

「……そっちの俺、そんなに強いの?」

 

「歴代最強って言われてる。俺と同じ年の頃には自己流の覇龍、更に発展系を取得し、部下と共にオーフィスさえも倒したらしいぞ」

 

「我、イッセーに負けた?」

 

「あ、此方の無の……リアス・グレモリーもオーフィスを匿ってるのか」

 

「今、無能って言おうとしなかったっ!?」

 

「言ってない言ってない。被害妄想じゃないのか? 直しとけよ」

 

「……疲れるわね」

 

「ちなみにイリナさんは父さんからの同じ様な扱いが板に付いて、今じゃ一流のリアクション芸人。副業で天使やってる」

 

「あ、私はさん付けなんだ。てか、芸人扱いっ!?」

 

「はい。見ていて笑えます。黒無様、一応天使が本業です」

 

「まさかの肯定っ!? うわぁ~ん! あっちのイッセー君はロクでもない性格してそうだよぉ!」

 

「あ、我が父ながらそう思う」

 

 

 

 

 

そんなこんなしている内にアザゼルが修理を終えたと言いに来て、三人は元の世界に戻る事となった。

 

 

「まぁ、色々と楽しかったぜ。イリナさんのリアクション芸が久し振りに生で見れたし」

 

「白音叔母さん、お姉ちゃんより小さかったんだね」

 

「……小さいは余計です。あの、私が聞きたかったのはグレモリー家の取り潰しについてです……」

 

 

 

 

 

「聞かないほうが良いぜ? 俺の知ってる歴史と此方の歴史は違う。ドッチも互いにとって最善の状態ならそれで良いだろ?」

 

「私達は私達。貴女達は貴女達です。……それにしても、今日はピクニックが台無しになってしまいましたね。今日は疲れました」

 

「わたしも~!」

 

「まぁ、埋め合わせは俺がするよ」

 

「……あの、なら今夜、お部屋に行っても宜しいでしょうか?」

 

「あ、良いぜ。ゴムは有るから手ブラで来いよ」

 

「じょ、上半身裸でですかっ!? ……黒無様が望むなら」

 

「いや、違うからな? 俺其処までに思われてる?」

 

「はい」

 

「ローラお姉ちゃん遊びに来るのっ! トランプやろ、トランプ!」

 

「そうですね。では、他の方々も呼べるだけ呼びましょう」

 

「やったー!」

 

 

 

 

 

「……あの三人、仲が良いな。なぁ、イッセー」

 

「何だ、ゼノヴィア?」

 

「今夜あたり、子を作ろう」

 

それから先は何時ものドタバタが繰り広げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヴァーリさんや、儂の朝ご飯はまだかのぅ?』

 

「ぐふっ!」

 

 

今回の被害者・ヴァーリとアルビオン


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