ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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思いついたのに書かないと落ち着かないから投稿!


不死鳥の王と収集家の戦車 ハイスクールDD×植木の法則

「探せっ! 何としてでも見つけ出すんだ!」

 

「くそっ! よりによって一番能力の高い008号が脱走するなんて! この施設の事がバレたら俺達は終わりだぞ!」

 

とある山奥の秘密の研究所。その中を研究員らしき男達が慌しく走り回っている。会話の内容からして、男達はどうやらバレたら非常に拙い事になる研究を行っているらしく、十字架を下げた胸元から拳銃のようなものが覗いているような者も居る。

 

「……」

 

そんな中、幼い少年が空調ダクトの中で息を潜めながら男達の様子を伺っていた。やがて少年は空調ダクトの中を這いながら進み外に出る。施設の外にも警備員らしき男達がいて少年を探し回っている。少年は息を潜め、身を屈めて見付からない様に逃げていく。漸く施設が微かに見える所まで逃げ出した少年は最後に一度だけ施設を振り返った。

 

「皆…ごめん……」

 

少年は涙を流しながらそう呟くと先を急ぐ。まだ此処まで追っ手は来ていないが、マゴマゴしていると見つかる恐れがあるからだ。少年は疲れでフラつく体に鞭を打ち一歩でも先に進もうとする。だが、暫く歩いた時、後ろから唸り声が聞こえてきた。振り返ると其処に居たのは牙を剥き出しにした山犬。

 

「う…うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「ガルルルルルル!!」

 

少年は必死に逃げ出し、山犬はその後を追っていく。やがて目の前に崖が見えた時、少年は迷わず崖から飛び出し、山犬は崖ギリギリで止まる。折角見つけた獲物に対し山犬は諦めきれない表情で崖下を見つめ、猛烈な勢いで地面に叩きつけられた薄れゆく意識のなか見たのは先程まで自分が居たハズの崖の上に居る少年だった。

 

 

 

「(……もう、どれだけ歩いただろう? 水を飲んだのは二日前に雨が降った時。何か食べたのは不味くて吐きそうな味の葉っぱ。もう、此処で死ぬのかな? ……嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だっ!!)」

 

空腹と脱水症状、そして疲労で少年は限界を迎え地面に倒れ込む。やがて意識は薄れて行き、少年の魂は体から離れようとしていた。

 

「ん? 誰だ、コイツ?」

 

「死に掛けの人間の子供、ですね。 どうしてこの様な所に?」

 

その時である。ガラの悪い金髪の少年が少女と共に倒れた少年の近くを通りかかる。最初は興味無さそうに通り過ぎようとしていた少年だったが、ふと思い付いたかの様に小箱を取り出す。中にはチェスの駒が入っていた。

 

「あら? この子を眷属にするんですか? 男の様ですが……」

 

「まぁ、俺のハーレムに男は要らんが、肉盾や捨て駒、引き立て役には成るだろ。精々兵士の駒一個……おいおい、マジかよ」

 

「……兵士八個使っても転生できず、戦車を二個使ってようやく転生可能ですか。少なくても駒九個分の価値が有る、という事ですね」

 

「……仕方ねぇ。いい拾い物したと思って諦めるか。気に入った女が出来たら母上かレイヴェルと交換して貰えば良いしな。……ま、それまで俺の為に生きな」

 

 

そして十年以上の月日が流れ、とある貴族の屋敷の中を一人の少年が歩いていた。中性的な顔立ちのスラっとした体格の長身で、女性の服を着ていれば女性と見間違える程だ。すれ違うメイド達と挨拶を交わしながら少年は廊下を進む。その手には何故かお玉とフライパンが握られており、たどり着いた部屋の前には困った顔をしたメイド服の少女が立っていた。

 

「あ、ケリィさん。お早う御座います。あの…ライザー様なのですが……」

 

「……聞いてるわ。また、なんでしょ? アタシが起こすからモーニングティーの支度をしてくれるかしら?」

 

言いにくそうに口篭る少女を見て溜息を吐いたケリィは、部屋の主を起こす為に部屋のドアを開ける。すると独特の匂いが漂ってきた。

 

「……全く、婚約者が居るってのに」

 

広い部屋の中央にある大きなベットの上には部屋ぬぬしである金髪の少年と十人近くの少女達が裸同然で眠っている。その体は汗やら何やらで汚れており、匂いと合わせれば昨日何があったか丸分かりだ。

 

「ほら、ライザー様、起きなさい」

 

「……う~ん」

 

ケリィはまず部屋の主であるライザーに声を掛けるが起き様としない。それを何度化繰り返したケリィはフライパンとお玉を頭上に上げ激しくぶつけ合わせだした。

 

「秘技! 亡者の目覚め!! 起~き~な~さ~い~!!!」

 

「うわっ!?」

 

「ひゃっ!?」

 

ケリィの大声と騒音にライザーと少女達は目を覚まし、ベットの端っこにいた少女などは驚いたはずみにベットから転落してしまう。ようやく全員が起きた所でケリィはフライパンとお玉を下ろした。

 

「ほら、もう朝よ! お嬢様以外の方々はもう朝食をお食べになってるわ。ライザー様も貴女達も体を綺麗にして朝食にしなさい!」

 

少女達はあられもない格好をしていると言うのにケリィにも少女達にも同様は見られず、中には寝癖をとかして貰っている少女まで居る程だ。

 

「……ったく、ウルセェな。おい、お前ら、風呂行くぞ」

 

「……聞こえてるわよ。それと、どうせ一緒に風呂に行ったら朝から始める事になるんだから男女別! ライザー様は一族用の風呂で、他は使用人用の風呂を沸かして貰ってるから行って来なさい! ほら、ミィ、ニィ。まだ目ヤニ付いてるわよ。顔くらいちゃんと洗いなさい。ユーベルーナも顔色が悪いわよ。また飲みすぎたのね。カーラマイン! 寝る前に髪は乾かせって言ったでしょ!」

 

ケリィはまるで全員の母親のように世話を焼いて行き、少女達は言われるがままに行動していく。そんなこんなでケリィが一息付けたのは全員が朝食の席に着いた時だった。

 

「ほら、人参残さない! スープは音を立てないで飲みなさいって何時も言ってるでしょ? こ~ら、一口三十回は噛みなさい」

 

いや、ケリィは食事中も目を光らせ注意していく。そして食事が終わるとライザーの近くに行き懐からメモを取りだした。

 

「今日の予定はどうなってんだ? 俺は可愛い眷属達にプレゼントを買いに行きたいと思うんだがよ。あ、お前は優秀だけど可愛くない眷属な」

 

「アタシまで可愛いと言い出したら末期よ。そっちの気は無いんだから冗談でも勘弁して頂戴。それと却下よ。今日は午前は旦那様からの命令で大量発生した魔獣退治……はアタシが行くとして、リアス様を訪問する予定よ。仕事は後始末を手伝って貰う為に何人か連れて行くとして、女王であるユーベルーナは連れて行くべきね。午後からは今度あるゲームに向けた練習よ」

 

「……へいへい、了解。そうだ、風呂場で会った父上が朝食が終わったら執務室に来なさいって言ってたぞ」

 

「あ、そうなの? ……ユーベルーナ! 今晩行く予定のカラオケはパーティルーム取ってあるし、ゲームの練習場の予約も済んでるけど、一応確認だけしておいて!」

 

ケリィはそれだけ言うと急いでライザーの父親の下まで向かっていった……。

 

 

 




主人公の能力は……まだ秘密 分かっても言わないで(人∀・)タノム

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ケリィ オネェ口調のオカン系主人公

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