ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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悪魔と秘密道具 ⑩

「さて、これは臨時ボーナスのようなものだ。受け取り給え」

 

 その日、支部長室に呼び出された一誠達は、我道から聖剣を一本ずつ渡された。ジャンヌが貰ったのは荒々しいオーラを放つ聖剣。一誠は少し嫌な感じのする聖剣を渡された。

 

「……え~と、この剣は? エクスカリバーに見えんですが……」

 

 聖剣の見た目はコカビエルから取り返したエクスカリバーそのまま。ただし、放つオーラは段違いだ。

 

「ああ、エクスカリバーにアスカロンやデュランダルを混ぜた物だ。言うならば”デュランカリバー”に”エクスロン”といった所かな?」

 

「……は? いやいや、なんでそんな物が!?」

 

「この間、因果が送ってきた”フエルミラー”でエクスカリバーを増やし、教会に返す条件として一日だけ研究の為にと借りたアスカロンとデュランダルも増やしたんだ。ああ、聖剣の因子なら問題ない。そっちもコピーしてジュースに入れてあるから飲みなさい」

 

 一誠達は言われるがままにジュースを口にする。この日、八咫烏の隊員の装備に聖剣が追加された。一誠達の様に戦闘能力上位や強い神器持ちにはデュランカリバーやエクスカロンを、他の隊員にはエクスカリバーを支給し、全員に因子を挿入した。聖剣計画関係者が知ったら涙目である。

 

「ああ、レオナルドには其処のサブマシンガンをあげよう。聖剣を鋳潰して作った弾丸を撃ちだすから魔獣に使わせるといい。悪魔や堕天使には効果的だよ」

 

 

 

 

 

 

 

「……曹操さん、ジャンヌさん。支部長って……」

 

「……慣れろ。あの人はあの二人(束と因果)の身内だぞ」

 

「じょ、上司として見れば最高でしょ? 気前良いし、手柄には報いるし。……絶対に敵に回したくない人だけど」

 

 

 

 

 

 その日の夜、一誠とジャンヌと曹操は聖剣の訓練も兼ね、はぐれ悪魔の群れの討伐の任務を言い渡された。調査によると元から悪魔で保護検討の余地のない悪魔達の為、一誠もなんの迷いもなく任務を受ける。基礎訓練は済ませておいたので特に問題なく任務は終わり、

 

 

 

 

 

「エクスカリバー!」

 

同じはぐれ悪魔を退治しに来たリアス達と鉢合わせした。祐斗は一誠達が持っている聖剣を見るなり目の色を変え、曹操は面倒な事になりそうだと内心で舌打ちをする。

 

「……グレモリー。そこの狂犬を躾ておく事だ。今にも飛びかかって来そうじゃないか」

 

 そう言って帰ろうとする曹操の足元に魔剣が刺さる。振り向けばリアス達が押さえているのにも関わらず、今にも飛び掛って来そうな祐斗の姿があった。

 

 

「……渡せっ! 怪我をしたくなければエクスカリバーを置いて立ち去れ。僕はその剣に復讐しなければならないんだっ!」

 

それを聞いた曹操は大袈裟に溜息を吐き、黄昏の聖槍の切っ先を祐斗に向けた。

 

「……これが最後の忠告だ。次、手を出してきたら消す。おい、グレモリー。下僕を消されたくなければ手足を消し飛ばしてでも止める事だ」

 

「ッ! 朱乃!」

 

 リアスの声と共に朱乃は祐斗の首筋に雷を流して気絶させる。それを見た曹操は一誠達を連れてその場から離れていった。

 

 

 

 

 

 

 

「……授業参観? 母さん、来るのか?」

 

「うん! 因果ちゃんと白音ちゃんが授業受けるとこ、見てみたいし♪ ダーリンも授業するし、最新式のカメラを開発しないとね」

 

 買わないとね、と言わないあたりが束らしいだろう。そして数分後、全く新しい技術を使ったカメラが束の手で作り出された。

 

 

 

 

「言っておくけど、学校には何時もの不思議の国のアリスっぽい服は着てきちゃダメよ?」

 

「え? 別に良いじゃん」

 

「え? 駄目なのか、父さん?」

 

「……駄目に決まっているでしょ」

 

 これが己道家で数少ない常識人の日常である。彼自身も巨漢のオカマで魔術師という非常識っぷりだが、嫁と息子と将来の娘候補達の前には薄れてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして授業参観当日。何が彼女を其処までさせるのか、因果達以外には普通の服装に見える様に服を改造した束は何時ものフリフリドレスで学校にやって来る。途中、何処かの会社役員や研究員が名刺を渡そうとするが、

 

 

 

「はぁ? お前らなんかに興味ないんだよ。あっち行け」

 

っと露骨に嫌悪感を顕にして追い払った以外は平和に過ぎていった。

 

 

 

 

 

「やぁ、因果。授業の方は順調かい?」

 

「うげっ! お兄ちゃんっ!?」

 

だが、その平和は我道の出現で脆く儚く崩れ去る。どうやら一応の保護者としてアーシアの授業を見学に来た、という名目で学校に入り込んだらしい。本当の目的は、直ぐ其処までやって来た。

 

 

 

 

「ソーナたんの馬鹿ぁぁぁ!」

 

 見ると向こうからやって来るのは魔王セラフォルー・レヴィアタン。魔法少女のコスプレをしながら廊下を走り、後ろからは生徒会長で妹のソーナが追いかけて来ていた。

 

「やぁ、久しぶりですね、レヴィアタン殿」

 

「あっ! 八咫烏の支部長の……我道さんだっ!」

 

 我道はセラフォルーの服装を上から下まで眺め、ニコリと人の良い笑みを受かべる。その笑みを見た因果と束の背筋に寒気が走った。

 

 

「……あ~あ。やっちゃった」

 

「……弱み、見せちゃったな」

 

 

 

「いやいや、素晴らしい格好ですね。……実に信用に値しない格好で.TPOも守れない者が王とは。はっはっはっはっはっはっ!」

 

 

「?」

 

 我道がなぜ笑っているのか分からないセラフォルーは首を傾げる。それを見ていたソーナの顔は青ざめていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……三すくみの会談? それに八咫烏が何の関係が? ……そうですか。面倒な」

 

数日後、我道からの電話受けた因果は不快そうに眉を顰める。その後ろではアイスを持った白音が首を傾げていた。

 

「どうしましたか? ……一口どうぞ」

 

「ああ、寄生虫共がこの間の一件のついて話をする気らしいが、その席に八咫烏にも第三者として

出席して欲しいと依頼が来たんだ。しかも、本部に正式な手続で申し込んで。……ああ、貰おう」

 

 因果は既に口を付けている所を齧り、白音は再びその場所に口を付けようとし、後ろから黒歌に取り上げられた。

 

「へへ~♪ 因果との間接キスは貰ったにゃ♪」

 

「……むぅ」

 

「痛い痛いっ! ごめんにゃあぁぁぁぁっ!」

 

 白音は黒歌の脇腹に肘を打ち込み続け、黒歌は悲鳴を上げながら逃げていく。逃げていった先では姉妹組んず解れつする音が聞こえ、向こうの部屋で黒歌の着物が宙を舞った。

 

 

 

 

 

 

「見に行きたいのかい? まぁ、君も年頃だ。見てきたまえ」

 

「……だから貴方はどうしてこっちの様子が分かるんだ?」

 

「其のくらい出来なくては支部長など務まらんさ」

 

 

なお、見に行った因果は黒歌の全裸を目撃し、流石に刺激が強すぎて鼻を押さえた隙を狙って押し倒され、あと少しで卒業する所だった……。

 

 

 

「……大丈夫ですか?」

 

「……何とか。だが、黒歌は良いのか? ピクリとも動かないが……」

 

「黒歌? 誰の事ですか?」

 

「いや、お前の姉の…」

 

「誰の事ですか? ……お疲れの様ですね。早く寝てください。添い寝します」

 

「……何でもない。それと添い寝はい…らん」

 

「……ちっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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