ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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悪魔と秘密道具 ⑧

「ねぇ、ヤバくない? 私達以外で残っているのはユーベルーナ様とライザー様だけよ」

 

「大丈夫でしょ。あの二人が居れば勝てるわよ。それより、まさかリアス様達が此処まで奮闘するとはね。レイヴェル様は飽きたからライザー様にリタイアさせて貰ったんだと思うわ」

 

一誠がレイヴェルを倒した少し後、青年はライザーの『兵士』六人に囲まれていた。彼女達は人間である因果や一誠が此処まで自分達を追い込めるとは思っていないらしく、リアス達の活躍だと思い込んでいるようだ。ちなみにそのリアス達は今で拠点で接着剤によって貼り付けにされている。

 

「やれやれ、敵を前にお喋りなんて、俺も舐められてるな」

 

「はっ! 人間程度なんか敵扱いすらする必要ないわ」

 

自嘲気味に呟く青年に対しライザー眷属達は得物を構えながら見下した笑みを浮かべ一斉に飛びかかる。

 

 

そして、青年が放った光によって一瞬でリタイアになった。

 

 

「おっと、名乗りが遅れたな。俺の名は曹操。三国志の英雄である曹操の子孫だ。そして俺の神器は最強の神滅具である黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)だ。まぁ、もうリタイアしたから聞こえていないだろうけどね」

 

『ライザー・フェニックス様の『兵士』六名リタイア』

 

曹操は槍の絵で肩を軽く叩きながら微かに笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!? 聖槍だとっ!?」

 

「馬鹿なっ!? 何故、彼処まで強力な人材が揃うのだっ!?」

 

曹操の戦いを見ていた貴族達は一斉にざわめき出す。そんな中、我道は何時もの人の良さそうな笑みを浮かべながら画面を見ていた。

 

「……さて、計画成功まであと少し」

 

そして、その瞳は浮かべた笑みとは裏腹に邪悪極まりない濁りを見せていた。

 

 

 

 

 

 

「くそ! まさかリアス達が此処までやる!」

 

今秋のゲームは自分の勝ちが決定していると考えてたライザーは自陣のソファーで『女王』であるユーベルーナと楽しんだ後に軽いうたた寝に入り、先に起きたユーベルーナに漸く起こされた時には残っているのは二人という劣勢状態だった。

 

「……出るぞ。人間もリアスの眷属達も焼き尽くしてやる!」

 

ライザーはソファーから飛び起き、彼の自陣である新校舎にミサイルが降り注いだ。

 

『ライザー・フェニックス様の『女王』一名リタイア』

 

 

 

 

 

「はっはっはっ! 見たか、私と母さんの合作であるザンダクロスの力を!」

 

因果は巨大ロボットであるザンダクロスのコックピットで高笑いを上げる。その横には目を輝かせている一誠と曹操、そしてどう反応して良いのか分からないアーシアの姿があった。

 

「すっげぇ! ロボだっ!」

 

「……これは封印指定なんだろ? だったら今の内に俺にも操縦させてくれないかい?」

 

「あ、先輩ズリィ! 俺も操縦したい!」

 

「あ、あの~。ライザーさんはまだリタイアしていませんから喧嘩は其の辺りで……」

 

アーシアも言葉の通り、瓦礫まみれの巨大なクレーターとなった新校舎後から炎が吹き出し、ライザーが飛び出してきた。その体に出来た怪我は見る見る内に再生していく。

 

 

 

「く、くそ! 貴様ら八咫烏だなっ!? リアス達はどうしたっ!?」

 

 

「そういえばフェニックス家には不死の特徴があったな。……曹操、これを使え」

 

ライザーの叫びを無視した因果は、面倒臭そうな顔をしながら曹操に何かを投げてよこした。

 

「これは?」

 

「サイコントローラー。それを持ってザンダクロス(此奴)が動いている所を想像したら、その通りに動く」

 

「あれ? ハンドル持ってなかったっけ?」

 

「馬鹿か、貴様。ロボットの操縦席に座っておきながら、無駄だという理由だけでハンドルを握らない訳がないだろう。大体それを言うなら、コイツは自立思考とが可能なのだぞ。スイッチを入れれば勝手に考えて動く」

 

因果はヘルメットと二枚のマントを身に付け、靴下を履いて手袋をはめるとコックピットから飛び出す。外では先程からザンダクロスに炎を浴びせるも全く効果がなく、疲れの色が見え始めたライザーが居た。

 

「ノコノコ出て来やがったな、人間が!」

 

彼らの一族の持つ不死の特性を破るには魔王クラスの力で一気に吹き飛ばすか、精神がすり減るまで攻撃を続けるかだ。口で言うのは簡単だが実際に出来る者は少なく、故にライザーは今回のゲームで慢心していた。

 

「さて、なんで人間が空を飛べるかは知らんが……」

 

「ああ、私が空を飛んでる理由は二つの発明品によるものだ『スーパーマント』と『変身セット』と言ってな……」

 

「がはっ!」

 

因果が口を開いた次の瞬間には彼の姿は掻き消えライザーの眼前に現れる。そして彼が反応するよりも早く因果の拳はライザーの腹部に叩き込まれ、そのまま貫通していた。ライザーの口から大量の血が溢れ出し、傷も治ってきてはいるが再生スピードは常時より遥かに遅い。今の位置が気は魔王クラスの魔力による一撃にあと少し届かない、といった所だったようだ。

 

「この通り、空を飛べ力も上がる。まぁ、スピードを上げる『イナズマソックス』と力を上げる『パワー手袋』も身に付けているがな」

 

「くそっ! こうなったら!」

 

ライザーは一時撤退しようと距離をあけるそれに対し因果は我道に似た凶悪な目を彼に向けた。そしてその手には団子を玉替わりにしたパチンコが握られている。

 

「これを試したかったんだ。この『絶対必中パチンコ』をなっ!」

 

因果がパチンコを放つと団子はライザーの口の中にすいkまれるように飛んで行き、そのまま胃に収まる。次の瞬間、ライザーは腹を押さえてうずくまった。

 

 

「は、腹がぁぁぁ! き、貴様何をしたっ!?」

 

「『お尻印のキビ団子』。強力な下剤団子だ。後、舐めると苦労する『苦労味噌飴』を仕込んでいる。大勢の貴族の前で漏らして社会的な死を味わうが良いっ!」

 

「し、死ねぇぇぇ!!」

 

「させるか! 

 

ライザーが苦し紛れに放った炎は曹操が操るザンダクロスによって防がれ、ライザーの腹痛はピークに達する。あと少しでも動けば漏らしそうだ。

 

「リ、リタイアだっ! 俺の負けで良い! だから早くトイレに行かせてくれ!」

 

涙目のライザーが必死に叫ぶも試合終了のアナウンスが流れない。実は不慮の故障で試合フィールド内の声が審判に届かなくなっていたのだ。おそらくこれが苦労味噌の効果だろう。

 

 

「兵藤! 最後の仕上げだ!」

 

「はい!」

 

『Transfer』

 

今回の目的は勝つだけではなく圧勝し、自分たちと敵対する事の愚かさを知らしめる事。故に因果達に手加減する子はなく、大幅にパワーアップした因果に対し、一誠は最大まで高めた力を贈与する。道具の力で頑丈さが上がっているため因果の体はその力に易々と耐える事ができた。

 

「ま、待て! 今回の婚約が悪魔社会にとって……」

 

「知らん! 文句があるのなら、私達との試合を妹の婚約がかかった試合と一緒にしたルシファーを責めろ! 現当主も修行に協力していたし、グレモリー側は破棄を望んでいたのだろうよ!」

 

この時になって漸くフィールド内の声が届くようになり、貴族達は一斉にグレモリー家現当主を見る。そして因果の一撃はライザーを地面に叩き落とし巨大なクレーターを作り上げた。衝撃で何もかもが舞い上がり空が闇で覆われる中、試合終了のアナウンスが流れた。

 

「ライザー・フェニックス様の投了を確認。この試合、リアス・グレモリー様の勝利とします」

 

こうしてリアスの望みは叶った。フェニックスを中心とした貴族達とサーゼクスやグレモリー家の間に大きな溝を作る、という我道の計画の成就と共に……。

 

 

 

なお、気絶したライザーからは強烈な便臭が漂い、転移装置の故障でその姿を大勢の貴族の前で晒す事となった。

 




3巻は1話で終わる予定

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