ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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従者が金ピカと青タイツと半裸だったら…… ⑬

「……まさかこの様な殺風景な場所に我を呼び出すとはな。我に態々足を運ばせた非礼をどう詫びる気だ? 雑種共」

 

「まぁ、学園で行うんだから仕方ありませんよ。有りもので済ませようとする辺りせこい気がしますが、彼らの能力では他の場所で行う場合、警備が大変なんでしょう。組織をちゃんと纏めれてないですから」

 

三勢力会談当日。会場に入ったギルガメッシュは会場に入るなり傲岸不遜な態度でそう告げ、柳もそれに続く。その言葉にリアスや警備の者達が顔を顰め敵意を送るも、彼や後ろに控えている柳は気にした様子もなく進んでいった。

 

「なんだ、この椅子は。王の中の王たる我にこのような粗末な椅子に座れと?」

 

ギルガメッシュは不快そうに用意された椅子を睨む。その椅子はサーザクスやアザゼルなど各勢力のトップの椅子と同じものだが彼には気に入らなかったらしく、宝具から煌びやかな玉座を取り出すと其処に腰を下ろし、柳はその後ろに控え、その様子にセラフォルーは首をかしげる。

 

「あれ? 柳ちゃんは座らないの?」

 

「いえ、今の私は英雄王の従者として来ていますので」

 

その言葉にセラフォルーは納得したように座り、会談は何事もなく進められた。そして和平が結ばれることが決まり、今度は柳達に話が向けられる。話を振ったのはこの中では一番親しく、ギルガメッシュが唯一認めている男だ。なんでも自分の欲に忠実なところが気に入ったらしい。

 

「んでよ、お前らはどうすんだ? お前らは世界をどうしたい?」

 

アザゼルのその問いにギルガメッシュは腕を組み、踏ん反り返った態度で口を開く。

 

「どうしたいも何もこの世界は時の果てまで我の所有物だ。それを貴様らが勝手に領土やなんやらと決めておるのだろう。どうしようと貴様らの知った事ではない」

 

その時であった。ギルガメッシュの達の発言に我慢できなくなった一部の悪魔が立ち上がり魔力を込めた手をギルガメッシュ達に向ける。

 

「先程から大人しく聞いておれば! 下等な人間ごときが調子に乗るな!」

 

「その減らず口、閉じさせてやる!」

 

「止めろ! 此処は会談の場だぞ!」

 

その悪魔達はサーゼクスが止めようとするも聞かず魔力を放とうとする。対するギルガメッシュは殺気を向けられ、侮辱されているにも関わらず平然としていた。そして悪魔たちが魔力を放とうとしたその瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無礼者がッ! 誰の許可を得て英雄王に歯向かっている!」

 

柳のその叫びと共に悪魔達は聖剣で切り裂かれ声も上げずに浄化されていく。柳は剣に付いた血を払うとギルガメッシュに一礼した。それに対しギルガメッシュは満足気な笑みを浮かべる。

 

「大儀であった。……さて、王に刃を向けた不届き者を片付けるのは後ろに控える家臣の役目。なら、狼藉を働いた家臣の不届きの責任を取るのは王の努めよなぁ?」

 

そう言ってギルガメッシュが卑下したような笑みを向けたのはサーゼクスとセラフォルー。会談の席で部下が犯した客人への不届きに二人の顔色は悪くなった。

 

「……申し訳ない。今回の賠償については後日改めて……」

 

「っと言いたい所だが、あいにく悪魔には王が不在だったな。堕天使を纏めるアザゼルや亡き主の代わりを必死で務める忠節見事なミカエルと違い、貴族共の顔色を伺いながら出ないと政権を纏めれない貴様らは王には値せん。責任を取るべき者が居ないのでは仕方ない。今回は不届き者共の死をもって免じてやる。精々感謝せよ」

 

その言葉は現魔王への否定。その発言にサーゼクスさえも眉を動かし、直情型のリアスなど今にも飛び出しそうだ。アザゼルはアチャ~っとばかりに右手で顔を覆い、ミカエルはどうなるかとハラハラしている。そんな時、会場の時が停まった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フン。例の雑種の神器か」

 

「……どうやらテロのようですね。このままだと夕食遅くなりそうです……」

 

ギルガメッシュと柳が眉をしかめた時、校庭に魔方陣が現れ無数の魔術師らしき集団が転移してきた。その様子を見たアザゼルは嘆息を付く。その時、ギルガメッシュが椅子から立ち上がり、校庭を見下ろす。

 

 

 

 

 

 

「地を這う虫けらごときが我のいる場所にテロを仕掛けるだと? その無礼、万死に値するぞッ!」

 

その叫びと共に空を金色の空間の歪みが覆い尽くす。そして其処から無数の刀剣が発射される。それは一本一本が至高とも言うべき力を持っており、瞬く間に全ての魔術師達を殺傷した。それが止むと見るなり次の集団が現れるも同じように殺され、ボロボロの校庭にに残ったのは肉片と血の跡だけだった。

 

「……アーシアさんを連れてこなくて正解でした」

 

その光景に一誠が吐き気を催す中、柳は特に気にした様子もなくそう答える。彼が三人から学んだ事は『弱肉強食』。一般人なら兎も角、裏の世界に身を置いたのなら、死んでも弱い奴が悪い。その考えから魔術師たちの死に彼は何も感じていなかった。

 

 

 

 

「……相変わらずスゲェな。っと、雑魚共がやられて漸くお出ましになったか。おい、赤龍帝。お前らはハーフヴァンパイアを助けてこい」

 

アザゼルはそう言って神器をコントロールする腕輪を投げ渡す。そうこうしている内に会場内に現れた魔方陣から一人の女性が現れた。キツイ釣り目にメガネという、どこの理事長だよ!っと言いたくなるような見た目だ。

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」

 

彼女は旧魔王レヴィアタンの血を引く者、カテレア・レヴィアタン。彼女は自分から魔王の座を奪ったセラフォルー達に敵意を向け、恨みを口にする。その様子をギルガメッシュは愉快そうに眺めていた。

 

 

 

彼女達の目的は一度世界を壊して新世界を作り、其処を自分達が治める事。その為に各勢力の離反者達が手を組んだのだ。世界最強のドラゴンである『ウロボロス』オーフィスを象徴とし、やがて北欧のオーディンにも動いて貰う。其処までカテレアが言った時、先程からニヤニヤしていたギルガメッシュがついに吹き出した。

 

 

「民から王と崇められた者の血を引き、自分こそ王に相応しいと言っておきながら最後は他人任せ? それで新しい世界を作って其処を統治するだと? ・・・・・・くっくっくっくっくっく、はぁ~っはっはっはっはっはっはっ! 見事な道化っぷりだ! 此が笑わずにいられるか! おい、女! 我に道化として仕えぬか?」

 

ギルガメッシュは心底可笑しそうに笑い、カテレアの表情は怒りで引きつっていく。

 

「殺す! 貴様は私が殺してやる!」

 

「さて、我を存分に笑わせてくれた礼だ。その無礼な発言。我自ら裁いてくれる」

 

怒りのまま向かってきたカテレアに対し、再び椅子に腰を下ろしたギルガメッシュは余裕のある表情で宝具を射出する。その衝撃でカテレアは校庭まで吹き飛ばされ、其処めがけて無数の宝具が放たれた。

 

「精々散り様で我を楽しませよ、雑種」

 

 




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