ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

100 / 120
ダンまち二次のオリ主を少し変更を加えてアカメが斬る!に入れてみました


ネルガル君をアカメが斬る!に入れてみた

『ねーさま! ごけっこんおめでとうございます!』

 

『ふふふ、未だ結婚はしてないわ。婚約しただけよ』

 

 此れは僕の幸せだった頃の記憶。父様がいて、母様がいて、姉様がいて、何不自由ない幸福な時の記憶。

 

 

 

『……お願い。私を連れて逃げて』

 

『お嬢様……』

 

 此れは私が過ちを犯した時の記憶。生涯忠義を貫くと誓ったお方を裏切り、淡い恋心に身を任せてしまった時の記憶。

 

 

 

『……これより私の全てを賭してお仕え致します』

 

 此奴が居たから僕は全てを失った。何を今更言っているんだ! ……いいよ、其処まで言うんだったら仕えさせてやる。お前を利用して使い倒してやろうじゃないか。そう……

 

 

 

『お前が居たからだっ! お前が居なければ僕は幸せだったのにっ!』

 

 私のせいで此の方は全てを失った。ならば残る我が人生は全てこのお方に捧げよう。たとえこの誇りが血にまみれ、憎まれ続けたとしても命を賭して守り抜こう。そう……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  『『永遠に』』

 

 

 

 

 帝国が始皇帝によって建国されて早千年程が経ち、滅亡への道を歩んでいた。幼い皇帝を傀儡にする大臣を始めとした役人の腐敗に多民族との抗争。何時しか国を変えようと革命軍が立ち上がり、ナイトレイドと名乗る暗殺者集団が国に巣食う悪人達を裁いていた。無論帝国はナイトレイドを悪人として手配、多くの構成員が捕まるも未だ壊滅には至らなかった。

 

 

「……見つけたぜ」

 

 首切りザンク、元々処刑人であったが多くの者の首を刎ねている内に狂い、今では辻斬りだ。この日も夜中に一人で歩いている少年を発見し、誰も居ない所で襲いかかった。

 

「駄目だぜぇ、坊や。こんな日は首切りが出るからなぁ」

 

 目の前の少年が首を切られた時の顔を想像して溢れてきた涎を拭う。怯えているのか立ち尽くしている少年の表情は影になっていてよく見えないが、きっと恐怖に染まっているのだろうと想像しながら襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……遅かったか」

 

「一体誰が……。軍人に負けたなら死体は回収されるはずだし」

 

「多分帝具使いの仕業だろうが……」

 

 ナイトレイドの一員であるアカメとタツミはザンクを狩る為に夜の帝都を捜索し、この死体を見つけた。体中を貫かれて息絶えたザンクの死体である。そして其の体には彼が持っているはずだった帝具、始皇帝が作らせた超常的力を持つ四十八の秘宝は消え去っていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……詰まらん。ロクな奴が居ないな」

 

 ザンクが死んでから少し経ち、ナイトレイドの仕業と判断されて事件には終止符が打たれた。この日は将軍であるエスデスが自ら開いた武術大会を見学しており、討伐したナイトレイドの鋏型帝具の適合者候補を探していた。だが彼女が気に入る選手はおらず、あと数試合で大会が終わろうとしている。

 

「東方! 剣術道場師範コザノダタ!」

 

「西方! 旅芸人ネルガル!」

 

「って、どう見ても子供じゃないですかっ! 止めましょう隊長!」

 

「知るか。子供のくせにこの大会に出る彼奴が悪い」

 

 次に試合が始まった時、会場がざわつく。エスデス直属部隊イェーガーズの一員であるランが訴えるもエスデスは止めようとしない。その理由、それは西方の選手は精々が十歳程度の少年だったからだ。相手は刃物を持っているにも関わらず臆した様子は無い。素手の子供に舐められていると思ったのか相手は剣を大上段に構えて切り掛っていた。

 

 誰しもがネルガルが血に塗れて息絶える姿を想像し気の弱いものは意識を手放しそうになる。エスデスは詰まらなさそうに鼻を鳴らし、次の瞬間目を見開いた。

 

「しょ、勝者ネルガル!!」

 

 勝負はたった数秒。相手の懐に潜り込んだネルガルは膝蹴りを顎に叩き込み、仰け反った相手の頭を掴んで逆立ちの状態になると腕力だけで飛び上がって空中で上下を元に戻すと顔面を踏み付ける。ゴキリという()()()()()()()()が響いた。

 

「ねぇ審判さんっ! これって相手が死んでもお金は貰えるんだよね?」

 

「あ、ああ……」

 

 首がねじ曲がった死体を前にしてもネルガルは勝った事で嬉しそうに笑う。その笑顔は行いからは想像も出来ない程に無邪気な物だった。

 

 

 

「……見付けた」

 

「帝具使いの候補ですね」

 

「ああ、それもあるが……」

 

 徐に立ち上がったエスデスは階段を下りてユックリとネルガルへと歩み寄っていった。

 

 

 

 

「ネルガルといったな。見事な試合だった。褒美をやろう」

 

「本当!」

 

 エスデスが胸元に手を入れたことで予め聞かされていた見事な試合への褒美かと思ったネルガルだが、次の瞬間後ろに跳ぶ。エスデスの手には鎖が着いた首輪が収まっていた。

 

「どういうつもり?」

 

「ほほぅ、見事な動きだな。即戦力になりそうだ」

 

 次の瞬間、ネルガルの首にエスデスが持っていた首輪が付けられていた。

 

「光栄に思え。お前を私の物にしてやろう」

 

「……えっと、オバ……お姉さんってショタコン? 僕、十歳なんだけど」

 

 オバさん、と呼ぼうとしたネルガルだが本能で危険を察して言い換える。エスデスには聞こえなかったようで顔は上機嫌なままだ。

 

「大丈夫だ。愛さえあれば年の差など気にならん。此処は邪魔が多いから宮殿に行くぞ」

 

「愛とかないからっ!」

 

 ネルガルはジタバタと暴れるもエスデスにズルズルと引き摺られて行く。その姿を遥か上空から見詰める目があった。

 

 

 

『ケケケケケ。なーにやってんだ、あの阿呆はよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隊長。流石に十歳の子供を無理やり入れるのは正義としてどうかと……」

 

「私も同感ですよ。まだ子供じゃないですか」

 

「知るか。私が此奴を隊に入れると決めた。貴様らの意見を聞く気はない」

 

 ネルガルを部下にする事に対しイェーガーズの隊員である六人中四人から反対意見が出るもエスデスは聞く耳を持とうとせず、膝の上に無理やり座らせたネルガルの頬を突く。ちなみに反対しなかった二人は興味無さそうにしているか彼の体を舐め回すように眺めていた。

 

(……困ったなぁ。流石に七人全員この場で殺すのは無理っぽいや。この人なら仕込んだナイフで殺れるかな? 可能性は低いからやらないけど)

 

 この様な物騒な事を()()()考えているネルガルだが殺気に敏感な筈のエスデスはピクリとも反応しない。あえて反応しなかったのではなく、殺気を全く放たずに殺す事を考えていたからだ。

 

「其れに此奴は只の子供ではない。なぁ、ネルガル。お前、どこで実戦を経験したんだ?」

 

「何処でって普通に戦場。僕、六歳の時から『ブケファラス』って傭兵団に所属していたから」

 

「……ほぅ」

 

 その傭兵団の名には聞き覚えがあった。遠くの国で革命軍に協力した後、あからさまな濡れ衣を着せられて壊滅に陥ったという事。そして帝具三つと帝具を作ろうとして生み出された臣具と呼ばれる物を一つ所持していたという事。壊滅後捜索が行われたがそれらは見つかっていないとも聞いていた。

 

「……なあネルガル。お前、帝具と臣具の在り処を知っているのか? 教えてくれたらご褒美をやろう」

 

「それなら僕と僕の道具が持ってるよ。三つの内二つは僕の荷物の中で……」

 

 突如上空から何かが飛来する音が響き、イェーガーズとエスデスは直ぐに武器を構える。そして音の発生源が窓の外に姿を現した。

 

 

 

 

 

『ケケケケケ! 性格キツそうなババァに怪しいガスマスクに平胸に頭が軽そうな女、後はヘタレっぽいのと腹黒っぽい奴たぁ愉快そうなメンツだなぁ、おい!』

 

「若っ! ご無事ですかっ!?」

 

「あっ、紹介するね。あのちっこい龍が『暴虐龍王/ザハク』。完全自立の生物型最強の帝具で、逆さまに吊り下げられているアレが臣具の使い手だよ」

 

 

 




意見  感想 誤字指摘お待ちしています

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。