ケツアゴ作品番外及び短編集   作:ケツアゴ

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従者が金ピカと青タイツと半裸だったら…… ⑩

「やぁ、今日も世話になるよ」

 

「……いや、気が向いたら何か作るとは言いましたが」

 

コカビエル討伐から数日後、神の不在を知ったせいで教会から追放されたゼノヴィアは毎日の様に柳の料理を食べに来ていた。家事能力がない彼女には自炊は無理だったようだ。柳は呆れながらもゼノヴィアは家に招き入れ、それを見てどこか不機嫌になるアーシアのご機嫌取りに邁進し、それを愉悦であるかの様に眺めているギルガメッシュに苦心しつつ柳の朝は過ぎていった。

 

そんなある日である。ゼノヴィアの口からとんでもない言葉が飛び出したのは。

 

 

 

 

 

「そういえば貴女、悪魔になったんですね」

 

「……ああ、信じていた神の不在を知ったショックでな。それでヤケになって悪魔になってしまった」

 

「分かります! 私も主の不在を知らされた時はショックでした!」

 

アーシアはゼノヴィアナに同調し、二人は手を取り合う。そんな中、柳は『グレモリーの眷属になったのなら不干渉の対象になりますよね。まぁ、食事の後にでも切り出しますか』、と考えながら味噌汁を口に運んでいた。そんな時である、ゼノヴィアは真剣な顔で柳に向かて口を開いたのは。

 

 

 

 

 

「モノは相談なのだが、私と子供を作らないか?」

 

「……は?」

 

「……私にとって夢や目標というものは、子供の頃から神や信仰に絡んだ物だった。だから悪魔になって、それらを見失ってしまったんだ。だからリアス部長に相談したら、『悪魔は欲を、持ち、与え、望む者。好きに生きてみなさい』、と言われてな。そこで考えたんだが、今まで捨てていた、女としての自分を取り戻そうと思ったんだ」

 

「……ああ、それで子供が欲しくなり、どうせなら強い子供が良い、てなってコカビエルとの戦いで見た私を選んだんですね?」

 

柳はそう言いながら近くの二人に視線で助けを求める。だが、アーシアは不機嫌そうに頬を膨らませて横腹を抓ってきており、ギルガメッシュは今にも吹き出しそうなのを堪えている。明らかにこの状況を楽しんでいた。

 

「安心しろ、子は私が育てるさ。ただ、子供が父親の愛情を欲しがったら相手をして欲しい。子供には親の愛情が必要だからな」

 

「だ、駄目です! 柳さんの子供は私が産みます! それに、私はプ、プロポーズされてるんです! 柳さんは言いました、『ずっと私の傍に居て下さい』って!」

 

「……え?」

 

その言葉を聞いた時、柳は目が点になり、ギルガメッシュは表情が固まっている。あまりの状況に男性陣がついていけない中、女性二人は火花を散らしながら睨み合っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いじゃないか、子供の一人くらい。強いオスが複数のメスを囲うのは自然の摂理だろう?」

 

「柳さんは人間です! 動物と一緒にしないでください!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……柳よ。したのか? 求婚。我は初めて聞いたぞ」

 

「いや、勧誘が鬱陶しかったので、人質や神器目当てに無理やり悪魔にされないように傍に居て下さいとは言いましたが……言葉が足りなかった様ですね」

 

「……うむ、貴様が悪い。それに貴様も我の家臣なら、そろそろ女を知っておけ。我が許可する! 二人共、せいぜい可愛がってもらうと良い!」

 

「「はい!」」

 

「……バルバトスさん(ツッコミ役)、早く帰ってきてください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃のバルバトスとエネルだが……、

 

 

 

 

「ぶるぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「よし! ホームランだ! やっぱゲーティアさんとエネルさんをチームに誘って良かったな!」

 

近所の草野球チームに所属して試合で活躍していた。大分世の中に馴染んできている様だ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、疲れた。とりあえず後でギルさんがやり込んだゲームのデータを消しておきましょう。栄光装備全種? 知った事じゃありませんよ」

 

あの後、何とか二人を落ち浮かせた柳は滲んだ汗を流す為に浴室に向かっていた。柳の家の風呂は王であったギルガメッシュとエネルが満足いくように作られており、休日に朝風呂に入るのが柳の楽しみなのだ。浴槽にはギルガメッシュの宝具で常に温泉が蓄えられている。『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』は実に便利な宝具であった。

 

 

柳は脱衣所で服を脱ぐと浴室の戸を開けようとして手を止める。浴室からは聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

 

「……」

 

柳はタオルを腰に巻くと戸を開け、中に居た人物は柳に気づいて振り返る。浴室に侵入していたのはセラフォルーだった。体を洗っている最中だった為に何も纏ってはおらず、かろうじて大切な部分は泡で隠されている。もっとも、泡越しにうっすらと見えていたし、その泡も体を伝い落ちようとしていたが。

 

 

 

 

「あっ! 待ってたよ、柳ちゃん♪ さぁ、来て♡」

 

「……分かりました」

 

セラフォルーはそう言うと両手を突き出し柳を向かい入れる格好を取る。その動きのせいで泡が流れ落ち、隠すべき部分が完全に露出してしまった。柳は無言でセラフォルーに飛びかかる。空中で両膝を曲げた彼はセラフォルーに接近した所で一気に膝を伸ばす。柳が腰に巻いたタオルの中身に注目していたセラフォルーは対処が遅れドロップキックが見事に命中した。

 

 

「ふげっ!?」

 

セラフォルーは可憐な見た目に似合わない声を発しながら浴室の床を滑っていった。」だが、直ぐに何事もなかったかの様に立ち上がると高速で柳に抱きつき、そのまま押し倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁん♪ 柳ちゃんったら、だ・い・た・ん♡ 私から誘ったとは言え、朝から特殊プレイがしたいなんて。……キャッ!」

 

「いえ、不法侵入者に対する制裁です。……丈夫になってますね。一撃で気絶させてゆっくり風呂に入ろうと思ったのですが……」

 

「そんなの簡単だよ! どSの君の為に頑張ったんだ。私って、良妻の鏡でしょ?」

 

「……もう、手遅れですね」

 

柳がセラフォルーの更生を諦め、どうやって状況を打開しようかと悩んでいた時であった。急に戸が開き、一糸纏わぬ姿のアーシアとゼノヴィアが入ってきた。

 

 

 

 

「柳さん! お背中お流しします。学校で桐生さんから聞いたんです。日本には裸の付き合いというものがある…と…」

 

「むぅ、どうやら他の女に先を越された様だな。あれは確か魔王だったか? 魔王よ、頼みがある! 私にも柳の子種を分けてくれないか!?」

 

 

いきなり現れてとんでもない事を口走ったゼノヴィアに対し、セラフォルーは暫し渋顔で悩みだした。

 

「う~ん、あの子はリアスちゃんの所の新人さんだったよね~。まぁ、悪魔は一夫多妻オッケーだから別に良いか! 分かったよ! でも、先に私がっ!? 痛たたたたたたたたたたたたたたたぁっ!?」

 

ゼノヴィアに気を取られていた為かセラフォルーの力が緩み、その隙に柳は彼女の頭に手を伸ばし全力で掴む。そのまま柳は立ち上がり、アイアンクローで持ち上げられたセラフォルーの頭からは絶対にしてはならない音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……いい加減にしてくださいよ。私は並行世界の私ほど頭のネジが外れてはいませんが、それでも限度というものがあります。浴室が壊れたなら後で直せば良いし、ギルさんの薬を使えば死んでなければ大丈夫ですね」

 

柳はそのままアーシアとゼノヴィアに近づくと、セラフォルーをゼノヴィアに投げつけ、アーシアには後ろに回るように手で指し示す。

 

 

 

 

 

「……アーシアさんは後で正座でお説教とデコピン50回です。……断罪の……エクスキューション!!」

 

 

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」

 

上空から降り注いだ闇のエネルギーは二人を飲み込み、後にはピクピクと痙攣する姿があった。柳が手加減したのか生きてはいるようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっ、浴室は無事ですから私は入っていきます。アーシアさんはそれまでリビングで正座していて下さい」

 

「は、はい!」

 

 

アーシアは柳の迫力に逆らえず、彼が風呂から上がるまでリビングで正座を続けるのであった……。




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