銀河英雄ガンダム   作:ラインP

5 / 28
SEED側に有利すぎると言われていますが、帝国軍にも強みはあります。

今回はやっと本腰を上げた帝国軍が逆撃を開始します。

君は生き残れるか!


第五話 ローゼンリッター出陣

「ラインハルト様、妙案があります」

キルヒアイスが提案した。

 

「艦隊は旧式でも、兵士は最新です」

 

「兵士?やつらは所詮平民だろう?そんなもの使い物にならないではないか」

 

「いえ、貴族階級のエリート部隊がいます。陸戦隊です。装甲鉄団兵です。常勝不敗のますらお達です。もう呼んでありますのですぐに来ます」

 

ブッブー!

来客のブザーが鳴り、そして扉が蹴り壊される。

司令官室の暑い防御力を誇る装甲が施された頑丈な扉が地面と水平に吹っ飛んでいく。

飛んでいった扉はガシャーンと窓を突き破り、宇宙の彼方へと飛んでいった。

まさに怪力。

荒々しいまでの入場の仕方だ。

だがそれでこそ陸戦隊。肉体の強さこそ評価されるべき真の兵士たちだ。

蹴り破った男は腕組みをしたまた悠然と司令官室へと入ってくる。

身の丈2メートルを超え、筋骨隆々。腕の太さはラインハルトの身長程もある。

背中には血で真っ赤に濡れた炭疽菌でできた斧を背負っている。

彼こそが肉弾戦では帝国軍最強の男。

貴族たちから恐れと畏怖と怯えから石器時代の勇者と呼ばれている。

その反面、類まれなる美貌で女性たち熱狂させる美丈夫でもある。

 

「帝国軍陸戦隊装甲鉄団兵ローゼンリッター隊長、ワンダーフォンシェーンコップ。御身の前に」

 

ラインハルトに忠誠を誓っているような口ぶりだが、その顔は侮蔑にまみれている。

そしてラインハルトの正面に座っていたキルヒアイスを蹴飛ばすと、空いたその席にどっかりと座り、テーブルへと足を叩きつける。

野性味溢れるスタイルが似合う男である。

 

「それで、金髪の小僧閣下が俺みたいな貧乏貴族に一体何のようだ」

 

「何奴!無礼だぞシェーンコップ!」

 

あまりの無礼な態度にキルヒアイスが激高し、銃を取り出し銃殺しようとする。

だが銃を撃つより早く、ショーンコップの体が椅子の上から消える。

からーん。

キルヒアイスの持っていた銃が輪切りになって床へと落ちる。

そしてキルヒアイスの喉元に血濡れの斧が押し当てられる。

 

「小姓の坊やは黙っててくれねーか。俺はお前ごときに指図されるなんて虫唾が走るんだよ」

 

「まぁまてショーンコップ。お前を呼んだのは大事な作戦があるからだ」

 

ラインハルトはショーンコップの荒々しい態度にも動じず、鷹揚に止める。

それを見たシェーンコップは面白くもないとばかりに鼻を鳴らすと斧を振り抜き、血糊を飛ばし背負い直す。

 

「まずは現在の状況を確認しようか。現在、我々は未開の原住民に襲われ、2個艦隊が消し飛んだ」

 

「噂には聞いていたが随分な状況じゃねーか。流石に旧式艦では限度があるってわけかい。でもクソッタレ、栄光ある帝国臣民を殺した罪は重いぜ。しかも降伏勧告もなく女子供関係なく無差別に殺したらしいじゃねーか。とんでもない野蛮人共だ。奴ら全員挽肉にしてやらねーと、気が収まらねえ」

 

「そうだ、落とし前だけはきっちり付ける必要がある。お前たちをはるばるオーデンから呼んだのは、そのためだ」

 

ラインハルトは懐から取り出した数百ページはあろうかという分厚い紙束をシェーンコップの目の前に投げつける。

 

「こんな事もあろうかと日頃から俺が準備していたプランBだ」

 

ショーンコップがその紙束、プランBと書かれた作戦文書を読む。

へぇこいつはなかなか…読み進めるごとにシェーンコップは面白そうに口元を釣り上げる。

緻密にして大胆、周到にして簡潔、鬼才にして王道。

まさにラインハルト節ここに極まれりな神がかった作戦案だった。

 

「そうだ。ガンダムには勝てずともアークエンジェルならば。そしてそれを動かしている兵士になら勝てる」

 

「揚陸作戦ですな」

 

「そうだ、ローゼンリッター全軍を使ってアークエンジェルに乗り込み、白兵戦で制圧。その後ガンダムを遠隔で自爆させるという作戦だ」

 

「ローゼンリッターの揚陸艇1万隻、そして隊員100万人を動員した空前絶後の大作戦ですな。1万隻と全隊員をいきなりオーデンから呼び出したから何事かと思ったらこんな面白いことを考えてたなんてね、閣下、俺は一生テメーについていくぜ」

 

 

 

- SEED Side -

 

びーびーびー

 

警告音と同時にアークエンジェルに衝撃が走り指揮官席で寝ていたマリューラミアス提督が転がり落ちる。

指揮官席はなぜシートベルトがないのか。

何かあったら指揮官が転がり落ちるのが様式美なのか。

他のクルーの席は全部シートベルト完備なのに指揮官席だけついていないのはなにかの陰謀を感じる。

そのようなことをぶつぶつと愚痴りながらマリューラミアス提督は起き上がり、「いったいなにがあたー」とクルーへと大声で誰何する。

 

「マリューラミアス提督!揚陸艦です!1万隻の揚陸艦がアークエンジェルを囲むようにワープしてきてどんどん接舷してきています」

 

レーダー担当の士官が悲鳴を上げ報告してくる。

 

「敵が!兵士がどんどん艦内に乗り込んできてます!あれはローゼンリッターだ!」

 

「ローゼンリッターだって!やつら、戦場に出たら敵の死骸の山をまたたく間に作り上げる装甲鉄団兵のエリート部隊だろ!なんでこんな未開の地に来るんだよ!」

 

「ギャー私の腕がー!腕が切り落とされたー!」

 

「俺の下半身・・・俺の下半身どこいったんだよ・・・・おれ・・・の・・・ガクリ」

 

ブリッジはまたたく間に大混乱になった。

 

「静まりなさい!皆さん落ち着くのです!らーーらららーーーらーーらららーー」

間一髪。ラクスが現れて歌を歌いだすと、ブリッジのクルーたちはその美しい歌に惹かれ心ここにあらずといった恍惚な笑みを浮かべ、大人しく席へと戻っていく。

 

 

「皆さん正気に戻りましたか。では落ち着いて、現状を報告してください」

ラクスは優しげな笑みを見せながら安心させるように指示を出す。

 

「はい。現在艦内に帝国軍の装甲鉄団兵100万人が侵入してきて、戦闘状態に突入しています。いま現場のカメラの映像を出します」

 

モニターに激しい戦闘風景が映し出される。

斧を持った筋骨隆々の厳つい男たちがどんどん艦内に入り込んでアークエンジェルのスタッフを斬り殺している。

 

だがアークエンジェルは人類の希望となる旗艦であるので、乗り込んでいるスタッフも一流だ。

すぐに迎撃するためにバリケードと塹壕に鉄条網を構築し、侵略を抑え込む。

彼らは全員アークエンジェルに配備される為だけに物心ついたときから選抜され常に戦地で戦い続けたエリート兵なのだ。

モビルスーツ搭乗時間も10万時間以下の者は一人としていない。

だが多勢に無勢という言葉もまた真理。

烏賊にすぐれた兵士であろうとも、アークエンジェルに配備されている兵士の数はたったの5000人。

100万対5000。

一人当たり約400人と戦わないといけない比率だ。

普通なら勝率などまったくないであろう。

そう、普通なら。

 

それでもまだ均衡を保てる理由の一つは装甲鉄団兵にあった。

 

装甲鉄団兵は騎士道精神を重んじる部隊であり、皇帝陛下に恥をかかさないため常に正々堂々と戦うのが決まりだ。

なので卑怯な銃や爆弾は使わず、炭疽菌クリスタルでできた斧一本で肉弾戦をするのだ。

それも真正面から堂々と。

 

それに対し、アークエンジェル軍は重火器やミサイル、迫撃砲に地雷原、更には戦車や戦闘ヘリを駆使して戦う。

 

それだけではなく…

 

「援軍が来たぞ!ストライクダガーだ!」

 

アークエンジェルの整備室に繋がる通路の奥から多数のストライクダガーがフル装備で駆けつけてきた。

流石に艦内なのでビーム兵器はアークエンジェルのPS装甲を貫通してしまうため使用できないが、ミサイルランチャーやマシンガンで武装しているため強力な助っ人には違いない。

無数の装甲鉄団兵の群れに向かって乱射しながら突っ込んでいき、なぎ倒していく。

だが鉄団兵も負けてはいない。

戦車やヘリ、そしてモビルスーツにまとわり付き、しがみつき、強力無比な斧を装甲へと叩きつける。

装甲鉄団兵の持つ炭疽菌クリスタルは人工ダイヤモンドで、ガンダムの装甲よりも硬いのだ。

いくら人間が手持ちで使うサイズでもアリがたかるように無数にしがみついて延々とその斧で叩かれたらあっという間にスクラップになってしまう。

 

まさに一進一退の攻防が展開されていた。

 

これぞ稀代の戦略の天才、ラインハルトの神のごとき作戦であった。

あぁまさに恐るべしラインハルト。

 

これに対抗できるキラ・ヤマトは未だにベッドの中。

 

彼が目を覚ますまであと5時間。

 

それまでにブリッジを支配できるか。

まさに時間との勝負であった。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。