銀河英雄ガンダム 作:ラインP
感想で指摘を受けたので、姉の持っている同人誌を全部読み、Wikiも確認しました。
本当なら原作も読むべきなので1巻を読んでみたんですが、なんかよくわからないことばかり書いてて数ページで挫折。今度お小遣いが入ったらアニメをレンタルしようと思います。
でもやっぱりBLとしては最高傑作だと再認識しました。
それで今回はなぜ帝国軍がやられたのかの説明回になっています。
これで軌道修正できたはずです。
「ビッテンフェルトに続いてミッタマイアもやられただって!」
びっくりしてラインハルトは指揮官席から転げ落ちた。
まさかこんな未開の原住民に帝国軍がやられるなど想像もしていなかった。
「いやまてよ、本来の俺たち帝国軍ならどうやっても負けることはないはずだ。でも今回の場合は・・・」
そう、今回ばかりは帝国軍は不利な状況なのだ。
何万年も宇宙戦争をしている帝国軍と宇宙に進出して数年のアークエンジェル軍とは技術レベルが数万年以上離れている。
光の速さで動くことができる帝国軍人の乗る船はそもそもそれ以上の速さである。
何しろ光秒単位で銃を打ち合うのだ。
数十キロ先を狙撃したムウラフラガ隊長が凄腕と持て囃される人類とは生物的にも大きな隔たりがあり、本来なら戦闘などおこがましく、吹けば飛ぶような塵芥と同類である。
にもかかわらずビッテンフェルト艦隊とミッタマイア艦隊がやられたのには理由があった。
元々、ラインハルトは減衰になったばかり。
宇宙帝国減衰に就任して帝国軍艦隊総司令官となり、今回の偵察任務が最初の任務である。
帝国軍は貴族社会なので貴族同士の足の引っ張りあいが酷いのが売りである。
ラインハルトは元々貧乏な帝国騎士階級だった。
後ろ盾のないラインハルトは出世もできず、本来なら父と同じく世間を恨みアル中になっていただろう。
だがラインハルトは帝国軍で出世するために姉のアンネローゼを皇帝の愛人にすることに成功し、今の地位まで上り詰めた。
当然だがその強引なやり口に他の真面目にコツコツやっていた貴族たちは激怒した。
金髪の小僧として揶揄され、陰口を叩かれたり、不本意な任務を回されたりした。
今回の偵察任務もその一つだ。
艦隊総司令官としての最初の任務で躓けば、皇帝も呆れ、解雇になるだろう。
なのでラインハルトは任務を成功させるために全艦隊を動員することに決めたのだ。
本来なら15万隻の最新鋭の艦隊で見事に偵察任務を完了して華々しくデビューを飾れただろう。
だが貴族たちはそれを許さなかった。
「たかだか偵察任務のために最新鋭の艦隊などはもったいない」
帝国荷台貴族のオットー・フォン・ブラウンシュヴァイクとウィルヘルム・フォン・リッテンハイム3世は皇帝にそう忠告した。
これを受けた皇帝は適切な艦隊を支給するようにオットー・フォン・ブラウンシュヴァイクに命じた。
オットー・フォン・ブラウンシュヴァイクが用意した艦隊は帝都オーデンの皇帝博物館に展示されていた5000年前の艦船だった。
「常勝の艦隊総司令官様ならこの程度の船で自由軍を討ち滅ぼすこと容易いことです」
それを聞いた皇帝は大貴族が太鼓判を押すのならばそうなのだろう。確かにラインハルトはいつも勝ってたから大丈夫だ。そう納得して決定の印を押した。
当然ラインハルトは激怒した。
だが誇り高いラインハルトはこんな古い船では勝てませんなど口が裂けても言えない。
新しい船をくれと言ってしまえば大貴族へのお願いということで下につくことになる。
かと言ってこのままこの船で任務に行けば負けてしまうかもしれない。
ラインハルトはこのジレンマに頭を悩ませ、どうすればギャフンと言わせれるかを必死に考えた。
そして考え抜いた末に一つの名案を思いついた。
さすが戦略の天才ラインハルト。
これならば任務成功して自由軍も打ち倒せる。
「囮作戦だ」
ラインハルトは配下の指揮官たちに今回5000年前の旧式艦艇で出陣して勝利する案を披露した。
「まずは旧式艦隊15万隻でイゼルローン要塞に突撃する。自由軍は当然迎撃に来るだろう。そしていくら善戦しようとも旧式では歯が立たず全滅するだろう。
だがよく考えてほしい。全滅してもそれは本来数に入らない旧式の船だ。
それを全滅させた自由軍はこう考える。
これで帝国の全軍は壊滅したと。
自由軍は無防備になった帝国首都星オーデンまで一直線に全軍を上げて突っ込んでくる。
そこで隠れていた本来の帝国軍艦隊が退路を立つように回り込んで攻撃するんだ。
自由軍は旧式艦隊との戦いでボロボロになっているだろう。そこを無理してオーデンまで攻めてくるんだ。
補給もままならず弾も食料もない状態でも戦闘がないとわかってたら全軍を上げてやってくる。
そこに新品で補給万全の帝国艦隊が襲いかかる。
まさに必勝だ。
そしてこの私、ラインハルトは偵察任務で敵軍を壊滅させた稀代の英雄として次期皇帝の座を確実のものにできるだろう。
その際はお前らは全員大貴族として取り立ててやるぞ」
その演説を聞いた兵士たちは大喝采でラインハルトを讃え、我先にと旧式艦艇に飛び乗ったのだ。
そして現在、アークエンジェルたちに襲いかかったラインハルト艦隊は全部5000年も前の旧式の艦隊ということなのだ。
本来の艦隊なら歯も立たないぐらい実力に差があるアークエンジェルがジャイアンツキリングを成し遂げた理由はこういうことだった。
「ラインハルトさま。今からでも遅くありません。オーデンで待機している帝国正規艦隊を呼ぶべきでは」
キルヒアイスは苦悩を浮かべたラインハルトに提案する。
「いやだめだ、今オーデンから艦隊を呼べば囮作戦がバレてしまい、作戦は失敗する。今回の為に俺がどれだけ根回ししたと思っている。しかもオーデンの正規艦隊を今指揮しているのは皇帝閣下なのだぞ。今か今かと自由軍を待ちわびている皇帝に原住民に喧嘩を売ったら2個艦隊壊滅したと報告するのか?お前も俺も銃殺刑だ。こうなったらこのボロ船でなんとしても奴ら原住民を根絶やしにして有耶無耶にするしかないのだ」
ラインハルトの苦悩の戦いは始まったばかりだ。