銀河英雄ガンダム 作:ラインP
元旦という目出度い日に更新できて感無量です。
高校受験でちょっと忙しくて更新が滞っていました。
でも無事に推薦貰えたので他の受験生よりは速く受験戦争から抜けれる予定ですので、お待ちください。
感想もいっぱい頂けて、みんなの期待が高まっているのを感じます。
より良い作品にできるように敢えて厳しい言葉を掛けてくれて私も頑張ろうって思えてホロリときてます。
拳銃弾の射程距離とか分からなかったことを教えてくれたのもありがたかったです。
おかげで投稿直前で修正できました。
これからももっと感想をお願いします。
戦場を高速で飛ぶアークエンジェルの艦橋に立つムウガフラガの髪は彼の闘志の昂ぶりを表しているのか太陽風を受け鬼神のごとく舞い上がっている。
彼は敵艦を厳しい目で睨みすえ、腕を組み拳銃の射程圏内に捉えるまで仁王立ちだ。
そして敵艦とすれ違う一瞬、拳銃の射程圏内に入り込んだ敵艦。
その一瞬で敵艦の核融合炉があるエリアへと拳銃を抜き撃つ。
拳銃から飛び出した弾丸は20メートル先の敵の装甲へと着弾する。
だが宇宙戦艦の装甲は厚い。
50センチもの分厚い鉄の装甲に守られた宇宙戦艦を一発で破壊するのは不可能だろう。
だが、ムウラフラガはエンディミオンの鷹と呼ばれた男。
その鷹の如き目は敵装甲のウィークポイントを一瞬で見抜く。
装甲が貼り付けるためのネジを高速ですれ違う一瞬で狙い、そのネジの頭を正確に撃ち抜いたのだ。
そしてネジ穴から艦内へと飛び込んだ拳銃弾は核融合炉の中のコアを撃ち抜く。
撃ち抜かれた核は一瞬でメルトダウンを起こしキノコ雲を上げながら核爆発を起こす。
その爆発力は凄まじく、周りの味方の戦艦20~30隻を巻き込み吹き飛ばして破壊する。
つまり1発の拳銃弾で30隻ほどを一度に破壊できるのだ。
ビッテンフェルト艦隊がアークエンジェル1隻に全滅させられた理由はこのようなわけなのである。
数が多いからこそ巻き添えで吹き飛ぶ味方が多く、アークエンジェルは味方がいないからこそ巻き添えでダメージを受けることがなく、そして多数の敵の中に1隻しかいないアークエンジェルが紛れることで、敵はアークエンジェルがどこにいるかわからなくなり、すれ違いでまた撃ち抜かれるとういう悪循環に陥ったのだ。
まさに発送の転換。
時の賢者シズコ・ヤマトが考え出したアークエンジェル必勝の作戦である。
常に単艦で戦ってきたアークエンジェルは今までシズコの考え出したこの戦術でジャイアントキリングを巻き起こしてきたのだ。
ヤキン・ドゥーエでの連合とザフトを相手にした戦いではこの手法でアークエンジェル単艦で1000隻を超える連合とザフトの艦を一隻残らず撃沈させたのだ。
そしてビッテンフェルト艦隊を打ち破ったアークエンジェルは今、月へと向かっていた。
各コロニーを消滅させた敵艦隊はその後、地球の衛星軌道上に集結しているが、ただ一つの艦隊だけ、その集結へと参加せずに月を目指して飛んでいるのだ。
このままでは月もコロニーのように虐殺されてしまう。
コーディネーターは後でコーディネーター技術でいくらでもすぐに生み出せるがナチョラルはそうはいかない。
ナチョラルは赤子で生まれ、成人するまでに20年かかる。
そして復興に必要なだけの人口を確保するのに更に数年かかるだろう。
コーディネーターが死ぬのとナチョラルが死ぬのでは命の重みが全く違うのだ。
故に、ムウラフラガ首相はすぐさま月へ侵攻する敵を追いかけることを選んだ。
「敵はエンディミオンにあり!あれだ!あれを行かせるな!」
アークエンジェルの向かう、月。そこへと向かう敵艦隊を指差し、更に速度を上げるように指示を飛ばす。
その指示を受けたアーノルド・ノイマンはアクセルペダルを折れるのかと思うぐらいに全体重をかけて踏み込む。
バーニアが爆発するような音を立てアークエンジェルを月へと、あの憎き艦隊へと喰らいつけとばかりに押し出していく。
だがビッテンフェルト艦隊と戦い、敵艦隊よりも月に向かうのが遅れてしまった事実は覆せない。
このままでは敵艦隊のほうが先に月へと到着するだろう。
敵艦隊がすでに到着後にすぐに爆撃できるようにミサイルハッチが開いているのが見える。
少しでも月につくのが遅れればミサイルで月が破壊されてしまう。
そのことを理解してしまったのだろう。
艦橋のクルーたちは青ざめた顔でオロオロと辺りをうろついている。
月に家族がいるあるクルーは「もう我慢出来ない!これなら泳いで行ったほうが早い!」と怒鳴りアークエンジェルの艦橋ハッチを開け、外へと飛び出していく。
当然だが、そんなことをしたらアークエンジェルから振り落とされ宇宙の彼方へと漂流してしまい、彼の生存は絶望的だ。
だが、誰もが他の人にかまっていられるほど正常な判断ができず、その奇行を止めることはなかった。
まさに絶体絶命の危機。
否、艦橋の中、ただ一人、時の賢者シズコ・ヤマトだけはニヤリと笑みを浮かべる。
「あの愚かな抜け駆け艦隊には絶望の光を味あわせて上げましょう」
その言葉に、他の人達は誰も真意を理解できないといった呆然とした顔を向ける。
「月へと通信を!アレを使うわよ!」
それはまさに帝国軍にとっては絶望の光となるのだった。
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帝国軍艦隊はコロニーを破壊後は、地球の反応を見て改めて戦略を立てるために一度衛星軌道上へと引いて集結するようにラインハルトが命令をくだしていた。
だがただ一人、その命令に従わず、月へと向かった艦隊。
それは「帝国軍の双璧」の一人、疾風迅雷のウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将が率いる艦隊だった。
「閣下。本当に集結地点へと向かわなくていいんですか?これって抜け駆けでは」
「馬鹿め。俺は疾風迅雷のウォルフガング・ミッターマイヤーだ。誰よりも二手三手先を読み、先取りして行動することが求められているんだ!お前ら俺らの仕事はなんだ!」
「もっと早く!速く!疾く!敵が想定するよりも疾く!味方が想定するよりも疾く!誰よりも疾く!」
「そうだ!戦果さえ上げてしまえばどうとでもなる!ミサイルの準備!一撃で月を粉々にしたあと、その爆風で更に加速するんだ!そのまま地球へと向かい、地球も破壊して勲功第一位で出世だ!お前ら!地球を攻略後はお楽しみだぞ!誰よりも先に降りて金も女も全部我が艦隊で独占だ!農奴がいっぱい手に入るぞ!これでまた我が領地は栄えるだろうな!」
「俺ら、閣下についてきて本当に幸運です!」
「ははははは!そうだろう!む?何やら月から光が?攻撃か?とりあえず防御態勢を取れ!」
月へと攻撃可能距離まであと僅かというところで、ミッターマイヤー艦隊が月からの不可思議な光を捉え、警戒のために散開する。
その不可思議な光はどんどんと輝きを強くし、そして巨大な光の柱となり、ミッタイマイヤー艦隊へと襲いかかる。
光の柱に飲まれた戦艦は一瞬で蒸発する。
ミッタマイヤー艦隊をその光が通り過ぎる頃には100隻の戦艦が蒸発していた。
だが、ビッテンフェルト提督と違い、防御能力にも優れていたミッタマイヤーは艦隊を散開させていたため、逆に言えばその程度の損害ですんだのだ。
「ふぅ、驚かせおって。確か日本のことわざで窮鼠猫を噛むというやつか。だがそれも無駄に終わったな。先程の発射工程を見るのに、撃つのに時間がかかる上に発射前に散開する時間すらあるほどだ。次を撃たせる暇などもう与えん!全艦攻撃開始だ!!」
ミッタマイヤーの号令で全艦前進を再開する。
だが、その前にミッターマイヤー艦隊の後ろから再度光の柱が襲いかかり、またもや百数隻を蒸発させる。
これにはさすがのミッタイマイヤーも指揮席から飛び上がって驚いた。
ゴロンゴロンと指揮席から転がり落ちたミッターマイヤーを愛妾であるお付きの少年兵が支える。
ミッターマイヤーは少年兵の尻を撫でながら落ち着け落ち着けと自分に言い聞かせながら立ち上がる。
そして索敵兵に怒声をあげる。
「後方に敵に回り込まれるとはちゃんと索敵しているのか!」
いつも朗らかな性格のミッターマイヤーが珍しく上げた怒声に索敵兵はしどろもどろになりつつ答える。
「後方の攻撃可能な範囲に敵はいません!それに今の光は先程月から放たれた光と同一です!」
「バカを言うな!ビームだかレーザーだか知らんが、そいつがUターンして戻ってきたというのか!」
「あれを!あれを見てください!その光が今まさにUターンしています!」
索敵兵が光が飛び去った方向を望遠機能で拡大する。
その先には筒型の移動コロニーが待機している。
光の柱はそのコロニーの中を通過するとグルっと曲がり、再度ミッターマイヤー艦隊へと飛び込んできた。
またもや百数隻を蒸発させた光の柱。
索敵兵はすかさず光の飛んでいく先をモニターに映し出す。
筒型コロニーがすばやく光の向かう先に回り込み、光の柱の侵攻先を捻じ曲げる。
艦隊の周り広範囲を索敵すると筒型コロニーが多数あり、それらが光の先に回り込み、何度でも帝国艦隊へと光の柱を叩き込むべく動いていた。
「な・・・なんだこれは・・・これでは逃げようがないではないか!」
ミッターマイヤーは信じられない光景を見て絶望の表情を浮かべる。
これこそがシズコが用意した最強の切り札。
月面ダイダロス基地に設置された巨大ビーム砲と筒型コロニーを使ったオールレンジ戦略砲『レクイエム』である。
もともと地球連合軍が隠し持っていた兵器であるが、シズコの知略で撃たせることもなく秘密裏に奪取して隠していたのだ。
これによってミッターマイヤー艦隊は次々と削りとられ、最後の一隻、ミッターマイヤー艦隊旗艦だけになる。
持ち前の疾さで味方艦を盾にして避けてきたミッターマイヤーだったが、流石に1隻になってしまえば為す術がない。
疾風迅雷のウォルフガング・ミッターマイヤーは顔に絶望を貼り付けたまま光の柱に飲み込まれ蒸発した。