銀河英雄ガンダム 作:ラインP
いや、はじめましての方は1話から見てね。
前回は雰囲気がちょっと違ってびっくりした方も多いのではないでしょうか。
実ははじめはもっとライト路線な内容だったんですよ。
ちょっとだけ最初に書いていたあらすじを紹介します。
アークエンジェル艦隊は補給のためにオーブへ立ち寄る。
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カガリが雷門中学の教師になっている。
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オーブとの交流のため雷門イレブンとのサッカー対決。
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円堂守とアーノルド・ノイマンとの一騎打ち、同点のまま引き分けで試合終了で親友同士に。
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そこにマリーンドルフ伯爵令嬢ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ率いる神聖黄金樹サッカークラブが乱入。
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マリーンドルフ伯爵領とオーブ本国、負けた方の領地をブラックホール爆弾で吹き飛ばすという条件で試合。
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最終的に円堂守とアーノルド・ノイマンの合体技ダブルイナズマブレイクでゴールを貫き、その勢いのままマリーンドルフ伯爵領を吹き飛ばして勝利。
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故郷を喪い悲嘆に暮れるヒルデガルド・フォン・マリーンドルフをアーノルド・ノイマンが優しく慰めて恋仲同士になる。
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最後に旅立つアークエンジェル艦隊を「いつまでも待っている」と涙ながらに見送るマリーンドルフ伯爵令嬢の美しいラストシーン。
顧問の先生に見せた初稿はそんな切ないラブストーリーだったのですが、先生から帰ってきたら前回の話になっていたわけで。
3割ぐらいかな、残ってたの。
その御蔭でとても詩的で重厚なストーリーになったので先生には感謝ですが。
今回は前回を踏まえて書いてみなさいと言われたので殆ど直しなしの私節でがんばりますよ。
第十六話 千里の道も一歩から
「リューネブルクが見つかったですと」
デザートを食べ終え、腹ごなしに感謝の正拳突き1万回をしていたシェーンコップ。
そこにジェネシス要塞崩壊後における地球の被害状況調査をしていた通信兵が入手したネット新聞の記事を持ってきた。
記事には『ロシア国家代表選手決定!代表決定トーナメントを勝ち抜いた新たな英雄ヘルマン・フォン・リューネブルク!』という大見出しが載っていた。
「国家代表選手としてリューネブルクは次回のモンド・グロッソへの出場が決定。つまりIS乗りとなったということか。これまた厄介なことだ」
IS…正式名称「インフィニット・ストラトス」
それは日本の篠ノ之束という科学者によって宇宙空間での活動用に開発されたノーマルスーツやモビルスーツに代わる新たなマルチフォーム・スーツである。モビルスーツ全盛の時期だったため、開発初期は見向きをされなかったが、束が起こした最大級のテロ『血のバレンタイン(※1)』にてこのISが使用されたことがヤキン・ドゥーエ戦役後の調査により分かったため、注目されることになる。
だが、本来は宇宙開発用のために作られたはずのISはこのテロにより戦闘での優位性を証明してしまい、戦闘用パワードスーツとして活用されるのになったのが束にとって痛恨のミスである。
しかし、束は事前に戦闘に使われないように男性には使えないようにロックはかけていた。
だが、束は知らなかった。実は戦いにおいて女性のほうが怖いのだということを。
論理では戦う男性と違い、感情で戦う女性は時として容赦というものを知らなかったのだ。
よって、ISでの戦闘はより悲惨なものとなった。
唯一の救いはISを作るにあたって必須であるコアは篠ノ之束にしか製造できず、その数は合計467個しかなかったことである。
各国に割り当てられたコアは平均10個に満たない数であり、少ないがゆえにお互いが抑止力となり、ISによる戦闘は小規模に留まった。
モンド・グロッソとはそのISを使用した国家間の代理戦争であり、そこでの勝利が連合内での各国の発言権強化に繋がるため、それに出場する国家代表選手は国から最高級の持て成しと保護を受けることになる。
故に、逃亡中のリューネブルクがロシアの国家代表選手として選ばれたということは、彼に危害を加えることはロシア全体を敵に回すことに等しいということである。
ちなみに女性しか使えない設定について、数年前に織斑一夏という男子高校生が初めてISを起動して話題になったが、後々に彼は新宿二丁目常連のオネエ系で中学時代に愚息をモロッコで取り外していたことが分かり、オネエ系で愚息さえなければ乗れるというセキュリティーホールが判明している。
つまり、現在リューネブルク氏はリューネブルクちゃん(アラフォー)なのである。
シェーンコップが見ているネット記事では代表決定トーナメントの動画が掲載されていた。
その動画には、オネエ系の濃い化粧を施したリューネブルクちゃんがシリコンで出来た豊満な胸を激しく揺らしながら汗まみれでコサックダンスを踊っている光景が収録されていた。
ロシア代表は代々コサックダンスで決めるのだ。
どの女性も、また元男性も、それぞれ過酷なロシアで生き抜いてきただけあって熊のような巨大な体に分厚い筋肉を纏い、足の太さなどラインハルトの身長よりも大きいほどである。
その丸太のような足を激しく交互に前へと突き出しながら踊り狂うさまは圧巻の一言である。
ISでの戦闘時はそのコサックダンスで相手選手を容赦なく蹴り殺していくのだ。
これこそロシアにおけるパワー・オブ・ジャスティスの体現である。
「これはなんと美しい…」
「は?」
記事を横から見ていたオフレッサーが汗まみれになって踊るリューネブルクちゃんを見てポツリと感嘆を漏らす。
それを聞いたシェーンコップは聞き間違いかと思いつつオフレッサーを見る。
「マジか」
そこには鼻を手で押さえ、その指の隙間から血を滴らせて前かがみになっているオフレッサーの姿があった。
マジか。
さすが石器時代にできた氷から蘇生されて現代によみがえったオフレッサー、美意識が野性的である。
「いや、なんというか、俺が生きていた石器時代は恐竜と戦うために男も女も皆頑健であってだな。肉体的に優れている者が伴侶として相応しいという概念があってだな、だからいや違うぞ、誤解するな」
何も言っていないのに慌てて弁明するオフレッサー、いやマジか。
どうやら今のリューネブルクちゃんはオフレッサーのどストライクのようである。
いつだって"ラブストーリーは突然に"なのだ。
そんなオフレッサーは置いておくとして、まず考えるべきなのはこれからの身の振り方である。
現状、アークエンジェル軍と戦っている銀河帝国にロシアまで敵に回す余裕はない。
ロシアというのは侵略に際してはその強大な国土故に前線と首都首脳部の連携が遅れ、補給線も長くなるため国力に反してその戦果は往々にして敗北の度合いが高い。
だが、防衛に関して言えば、その巨大な国土と過酷な気象風土、そして畑でなぜか採れる大量の兵士が強みとなり、更に、進行すればするほど『冬将軍』という称号を与えられた強力な防衛専用の将軍が猛威を振るうため、たとえ銀河帝国軍であろうとも迂闊に手を出すと痛い目にあう相手なのだ。
そんな国だからこそ、リューネブルクちゃんはロシアへと逃げ込んだのであろう。
では、そんなロシアに守られているリューネブルクちゃんを倒すにはどうすればいいかだが。
シェーンコップはもう一度記事を見る。
「モンド・グロッソか」
ロシア国家代表選手となったリューネブルクちゃんはロシアから守られる代償としてモンド・グロッソというIS乗りによる代理戦争ともいえる大会への出場が義務付けられている。
「ユリアン君、現在代表選手の決まっていない国をリストアップしてくれないか」
シェーンコップは従士であるユリアン・ミンツ准尉に検索を頼む。
ユリアン・ミンツ准尉の操作によって旗艦に搭載されているスーパーコンピュータ『Ren-4』(※2)が唸りをあげて高度な演算を行う。
長い長い時間をかけ、月が昇り、日が沈み、そしてまた夜が明けるというサイクルをいくつ繰り返したか。
実際月も太陽も既に無くなっているので当然比喩的表現ではあるが、それだけ時間がかかる高度な演算なのだ。
その間、シェーンコップは来る決戦へ向けて日々鍛錬を続けていた。
あれからいくつの眠れぬ夜を過ごしたか。
ようやく演算が完了した。
『ピーガガーー。もっとも確度が高い結果を計算致しましたが2位の結果じゃダメなんでしょうか?』
『Ren-4』から計算終了を告げる人工音声が流れ、2位の結果を記したパンチカードが吐き出される。
いやダメだろう、ユリアン・ミンツ准尉は内心そう思いながらももう一度計算するのは面倒なのでそのことは黙ってシェーンコップへと渡した。
「ふむ、銀河帝国と自由惑星同盟、そしてフェザーンはすでに代表選手が埋まっているのか。そして残っているのがテロ実行犯として元代表の織斑千冬が逮捕された為、空席になっている日本の国家代表選手枠だな」
そしてその日本代表を決める試合が近々行われることが書かれていた。
試合内容は…それを見てシェーンコップはニヤリと笑みを浮かべた。
「これはこれは、私にも運が向いてきたようですな。ユリアン君、鍛錬の時間だ!」
シェーンコップが装甲服を脱ぎ捨てると、その下からは背中と左胸に<<亀>>の字が入った山吹色の道着姿が現れた。
これはシェーンコップが本気で戦うときの正装である。
まだ試合ではない。だが常に死合う気持ちで訓練をするのだ。
感謝の正拳突き一万回だけでは終わらない。
感謝の瓦割り一万枚、感謝の飛び膝蹴り一万回、感謝の100mダッシュ一万本、感謝の瞑想一万秒、感謝の牛乳配達一万件、感謝の書類整理一万枚、感謝の昼食一万皿、感謝の似顔絵書き一万人、感謝の靴磨き一万足、感謝のラインハルト一万人、感謝の映画鑑賞一万作、感謝の…感謝の…感謝の…
ありとあらゆる感謝の修練は、いずれ音を置き去りにし、そしてスピードの向こう側へ。
やがて艦橋は静寂に包まれていた。
全身のありとあらゆる穴から汗を吹き出し、それらが蒸発し蜃気楼となり、その中心に立つワルター・フォン・シェーンコップの背後には菩薩が浮き上がっていた。
ゆるりと。ただ感謝の気持ちに満たされ。無心の気持ちで佇むシェーンコップ。
シェーンコップの構えたその両の手は握らない、開かない、人生最初に型造る手の形…。
これか・・・ポツリとつぶやき、一人納得するシェーンコップ。
ブリッジクルー達はそれを理解できずとも何やらとんでもない事が起きている、それだけは本能で感じつつ只々息を飲んで無言で見つめる。
その静謐な空間にドアが開閉する音が響く。
入ってきたのは全長15メートルはあろうかという巨体の宇宙ベンガル虎であった。
過酷な宇宙空間に適応するために強大化しそしてその膂力は宇宙戦艦の装甲すらたやすく切り裂く。
小型の駆逐艦が宇宙ベンガル虎の縄張りに迂闊に足を踏み入れズタズタに切り裂かれ全乗員逃げる間もなく食い殺されるという悲劇もあちらこちらで幾らでも聞くことができるほどの極めて危険な猛獣である。
そんな危険な猛獣がなぜこんなところに。
何も聞かされていなかったブリッジクルーは泡を吹き意識を喪う者も多数。
だがその虎から放たれる空間すら歪ませるのではないかと思わせるような殺気に誰も声一つ上げることができなかった。
誰一人?
否。
断じて否。
この中で唯一人、ワルター・フォン・シェーンコップだけは違った。
彼は、彼だけは宇宙ベンガル虎と相対しているというのに、何も変わらず、ただただ心が凪いだように無心で立っている。
宇宙ベンガル虎はそんな彼を他とは違うと本能で感じ取り、一定の距離を保ったまま彼の周りの注意深く旋回する。
一回り。
二回り。
注意深く、狩りをする時以上の警戒。
まるで銀河マッコウクジラを相手にするかのような真剣さで宇宙ベンガル虎はシェーンコップを観察する。
他のブリッジクルーという餌などもはや彼には眼中にはなかった。
この得体の知れない人間?本当に人間なのか?いや、もっととんでもないナニカを。
そのナニカから少しでも気をそらすと次の瞬間に自分の生は終わっているのではないか。
猛獣の本能はそれを察知し、ますます警戒心を高める。
やがて、虎は完全に自然と同化し、完全に気配を消す。
これは宇宙ベンガル虎が真に強者と戦う時に見せる奥義であった。
ブリッジクルー達の目には、目の前に虎がいるはずなのになぜか見ることができない。
いるはずなのにいない。
そう感じられ、混乱の坩堝となった。
そして気配を隠した虎はシェーンコップの背後に忍び寄り。
一足飛びで飛びかかった!!!!
全長15メートルを超える巨体が伸び上がり、上空から鋭利な爪を伸ばした前足をシェーンコップの頭めがけて雷の如く振り下ろす!
そこまでで虎の意識は完全に消え去った。
ブリッジクルーが気づいたときには虎の頭部が消え去っていて、腕を振りきった後に残心の構えに戻したシェーンコップの姿があった。
「菩薩の拳。ようやく掴めた」
満足気な、やりきった男の顔でシェーンコップはつぶやいた。
それは完全に殺気を消し、攻撃の瞬間を、それどころか攻撃された事すら相手に感じさせずに逝かせる絶技。
今まで只管正拳突きを極めんと荒々しく腕を振り続けたが、極みとは速さでも強さでもなかった。
ただ無心の心。菩薩の心だったのだ。
それを漸く掴むことができた。
今、シェーンコップの心にあるのは唯、感謝、それだけであった。
その一部始終を見ていたラインハルト。
彼はそんなシェーンコップが真に欲しいと心に思った。
だが、シェーンコップは客食。
無理強いをするなどという器の小さいことなどできなかった。
だから只今は称賛を送るだけだ。
「シェーンコップよ、良いものを見せてもらった。これから卿はリューネブルクを討つために日本の代表者決定戦へと赴くのであろう」
その言葉にシェーンコップは、うむ、とだけ答え、背を向ける。
もはや決心はついている。
準備もすでに終わっている。
ならば後は征くだけ。例えその道が二度と戻れぬやもしれぬ一本道であろうとも。
「よかろう。だが手ぶらで行かせては、この獅子帝ラインハルトの名が廃る。これを持っていくが良い」
ラインハルトはブリッジの端に置いてある布に覆われた物体を指差す。
それを受けてシェーンコップが布を剥ぎ取る。
そこにあったのは一台の大型バイクだった。
「これは…まさか…」
現れたバイクを見て、シェーンコップは息を呑む。
SR400をベースにした改造バイクであった。
それも伝説級の知名度を誇る海賊バイクである。
「"時貞"クンの…"
その答えにラインハルトは応と答える。
「そのとおり。"
恐る恐ると、シェーンコップはそのバイクの表面を撫ぜる。
すると遥か江戸、肥後国、島原の風を感じた。
「菩薩を体現した男がキリシタンの伝説のバイクに乗って鬼退治。実に痛快ではないか」
そういって高笑いを上げるラインハルト。
ラインハルトの笑いに触発され、シェーンコップが顔を上げる。
その面は鬼退治どころか、シェーンコップ自身が鬼のような凶悪な笑みを浮かべていた。
「そいつぁ、ドエレー…"COOL"じゃねーか」
その一言を告げて、ヒラリとバイクに跨ったシェーンコップは。
「"
その叫びとともにアクセルをフルスロットルで一気に駆け出すのだった。
向かう先は日本。IS国家代表決定戦。試合会場は奈良県法隆寺の五重塔。
試合内容は日本の誇る武道。
それは"カラテ"である。
征くは自由惑星同盟が誇る最強の"カラテマスター"、誇りある"ホワイトベルト"をその身に巻いた"菩薩のシェーンコップ"
キラ・ヤマトが参戦するまで後4時間38分。
さぁシェーンコップ、いざ出陣!!
(※1):『血のバレンタイン』とはプラントが有する農業用コロニーであるユニウスセブンが連合軍のMAによる核ミサイル攻撃を受けて壊滅した事件である。プラント側は連合を激しく非難し、連合側は寝耳に水の事件であったためプラント側の自作自演だと反論した。これによって両者の対立の溝が深まり開戦へと至った。だがヤキン・ドゥーエ戦役後の両国共同の調査により、ISの実力を示すための篠ノ之束のテロだったことが判明した。当時、篠ノ之束が連合軍へとハッキングし、核を搭載したMAを自動操作し、ユニウスセブンへと襲わせた。同時にユニウスセブンにもハッキングをかけ、当時駐在していたプラントの警備兵器も自動操作し、両方を束が作成したIS「白騎士」を纏った織斑千冬が撃破するといった自作自演テロだった。そして両者を撃破した後、最後に盛り上げるためにユニウスセブンを白騎士に蹂躙させ、最終的に用意していた核バズーカで吹き飛ばしたというのが真相である。もちろん、事件後に束は犯行声明と共に映像を公開したが、一個人が起こせる規模の事件ではないことと、プラントと連合のお互いへの憎悪により、無視された形となった。
(※2):スーパーコンピュータ『Ren-4』。銀河帝国軍で現在使われているスーパーコンピュータ『Ren』シリーズの最新機種。大変な吝嗇家で有名なオトフリート5世の統治時、それまでイゼルローン要塞や現代まで使われている最新鋭の技術などを開発する為に活用されていた当時のスーパーコンピューター『Kei』シリーズは開発に携わっていたスタッフの優秀さと、それによって作られる機種の超高性能故に、バージョンアップや維持費などに膨大な額がかかっていた。イゼルローン要塞の建設費用大幅超過を発端としたオトフリート5世の各部署の予算見直し、後に「事業仕分け」と呼ばれ、各部署から阿鼻叫喚の嵐を巻き起こした予算の大幅カットにより、次世代のスーパーコンピューターの選定から『Kei』が除外されることになった。当時、その事業仕分けを指揮していた皇帝の愛妾であった伯爵夫人は「2位じゃダメなんでしょうか?」と発言し、Kei開発スタッフ全員に死を賜るように示唆し、結果、開発スタッフは全員自由惑星同盟へと亡命することになった。その後、その伯爵夫人の実家と懇意にしているフェザーンの『ボッタ・クリーン物産』が自社開発したというスーパーコンピューター『Ren』を予算額限界ギリギリで導入することが決定され、現在まで新規に開発する予算を残さないかのような高額な費用を払ってバージョンアップを繰り返し使用されている。
『Ren』シリーズの特徴は、"古き良き技術の再発見"をテーマとしており、銀河連邦時代より前のCPUやメモリなどのレガシーパーツをデブリとして廃棄されている艦船などからタダ同然で入手して組み上げられている、人件費ぐらいしか開発費が掛かっていないほどの清貧さを売りにした機種で、吝嗇家の皇帝には「製作にほとんど予算を使いません」という説明を受け歓喜したという。当然その予算とはボッタ・クリーン物産の予算のことであり、原価と販売額は別である。皇帝は実際に使われた予算などいちいち確認したりはしないのだった。
故に、後のバージョンアップ作業とはあまりにも古い中古パーツを使っているため長期間使うと壊れてしまうためパーツを交換しているだけで実際には性能など下がることはあっても上がることなど一切なかったのは秘密である。
また、そのような理由で記憶媒体なども5インチフロッピーやパンチカードなどが現役で使われているため、もしラミアス提督がこのスーパーコンピューターを見たならば狂喜乱舞することであろう。
余談だが、その伯爵夫人は自由惑星同盟から潜入したスパイだったという噂がまことしやかに囁かれている。
話の流れ的に説明文を途中で入れるより、後に注釈として入れたほうが流れを阻害せずにすむかなと、2点だけ最後の所に解説を入れました。
ここから暫く、リューネブルクを追うシェーンコップの空手バカ一代編が始まります。
よろしくね。