銀河英雄ガンダム   作:ラインP

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投稿期間があいてしまい申し訳ないです。

入学早々、4月に実力テストがありまして。
その試験勉強と、その後の補習授業で執筆時間が大いに削れてしまいました。

GWは家族で海外に行くので投稿できないかも。
もし出発までに書き上がったら予約投稿しておきますね。

では今回も楽しんで読んでください。


第十二話 発進!銀河帝国殴り込み艦隊!!

ジェネシス要塞から超加速で離脱したアークエンジェル艦隊は1年前まで冥王星があったあたりで停止し小休止することにした。

 

「ラミアス提督、各種レーダーで調べましたが、地球からの連絡が完全に途絶えています」

 

通信観測兵からの報告にマリューラミアスだけでなくブリッジのみんなも愕然とする。

 

「恐らく私たちが発進後に守りがなくなった地球を銀河帝国軍が総攻撃をかけたとみるべきね、非戦闘員を虐殺するなんて、やはりやつらは残虐な宇宙人なんだわ」

 

マリューラミアスは地球を守り切れなかった自身の力不足を悔やみ、嗚咽を漏らす。

 

「提督、そんなに悔やまないでください。まだ天の箱舟があります。きっと人類はまだ生き延びているはずですわ」

 

ラクスがマリューラミアスの頭を撫でながら宥める。

 

天の箱舟とはジェネシス要塞で秘密裏に建造中の人類脱出船で、1万人の選ばれし優秀な人間と太陽光発電で稼働可能な食料プラントを搭載した巨大移民船である。高級軍人、高級政治家、天才科学者などより良い血統を残せるように選別された船であり、プラント製造設備や材料、コーディネイター技術を応用した人類繁殖装置も搭載されているので地球圏から離脱後、人類をすぐさま繁栄させる手段を搭載している。

 

「天の箱舟はまだ未完成ですが、幸いムウさんが起動権限を持っていますから、それで脱出しているはずです。あとはどれだけの人を助け出せたかわかりませんが、もし人手が足りなくてもすぐに培養可能な精子バンクと卵子バンクは10兆人分搭載済みなのですぐに人手を増やせるはずですよ」

 

コーディネイター技術を応用した人類繁殖装置。

これはコーディネイター技術とクローン技術を使い、ジャパンの博士が開発したSTAP細胞を培養させることにより、10日間で成人の人間を作り出す装置である。

そして産みだした人間にあらかじめ用意しておいた知識や技術と疑似記憶を植え付けるクルーゼシステムにより、総額17万円ほどのコストで優秀な兵士を生み出せるのだ。

このシステム名は開発者によって用意されていた疑似記憶や知識、技術の元となったとある人物の名前から付けられている。

この装置は計3台作られていて、一つはアークエンジェル、二つ目が天の箱舟、そして三つ目は月に設置される予定だったが、輸送を委託したジャンク屋の横流しにより、銀河帝国軍へと渡っていた。

銀河帝国軍がジャンク屋に1000万隻もの艦を発注した理由はその装置なのである。

その装置によりラインハルト艦隊の兵士数は5年前の段階ですでに5000兆人まで増えているのだ。

そして増えた兵をなんとか使わないと食料がもったいないと気づいたラインハルトは装置を売りつけてきたジャンク屋に戦艦を作らせることに決めたのだ。ジャンク屋も1000万隻もの艦隊を作るのには苦労をしたのだが、ツーバイフォー工法により、すべての艦の規格を統一することで流れ作業で組み立てる手法を確立した。今まで職人が艦隊毎に指揮する提督の戦闘スタイルに合わせた戦艦を作っていたが、それでは到底間に合わないための苦肉の策である。また、曲面ではなく平面の装甲によるプレハブ構造にすることによって打ち出した鉄板を6面合わせるだけという簡易的な建造も製造スピードを飛躍的に高めることができた。

そして出来上がった艦艇は従来の艦艇に比べれば性能的な特徴はなく、すべて凡庸な艦艇となってしまったが、それでも5000兆の兵が操作する分には十分な性能である。

ラインハルトはこの艦隊を信頼する副官であるキルヒアイスへのサプライズプレゼントとして用意したのだ。

事前に知らされていなかったキルヒアイスはラインハルトの想いに感激し一層の忠誠を誓うことになった。

そしてキルヒアイスは戦場任官として宇宙艦隊副指令の任を受け、大佐から上級大将の最先任へと昇進することになった。

 

そのような装置が地球側とラインハルト艦隊側双方に設置されることにより、人的資源の価値というのものが著しく軽くなっていた。

兵士が減ったなら作ればいいじゃないかの精神である。

もはや兵士が畑で取れるレベルを超えていた。

ラウ・ル・クルーゼの記憶と知識そしてMS操縦技術を持ったエリート兵士が兆単位で量産されていた。

もしこの作品が公式でアニメ化した際には関○彦さんが過労死するだろう。

 

 

 

 

「「「「私にはあるのだよ! この宇宙でただ一人、全ての人類を裁く権利がな!」」」」

 

「「「「正義は双方にある。それは互いに相容れない 戦場に立つものは全て 己の正義の為に敵を討つ」」」」

 

仮面をかぶったクローン兵士たちが声をあげながら作業をしている。

このクローン兵士たちは戦闘中以外でも、また戦闘要員以外でもやたらと自己主張が高いのだ。

 

「ふむ、この地球産のクローン兵士は士気が高いのはいいのだが、やたら煩くて暑苦しいのが欠点だな」

 

便利なのはいいのだが、帝国軍将校の評価は今ひとつであった。

 

 

場面は戻りアークエンジェルの艦橋。

 

小休止となったのでブリッジのクルーはそれぞれ決戦前の休息を取っている。

 

マリューラミアス提督はそのクルーたちに今後について話す。

 

「2分の休息後、本艦は帝国軍首都星オーディンへと奇襲を仕掛けます」

 

そういってスクリーンへと天体図を表示させる。

地球のある天の川銀河、そこから7つの銀河を挟んだ先になるM87星雲。

そこの中心部にある一際明るく輝く一等星、それが銀河帝国の首都星オーディンである。

星の総人口は100億前後、大きさは太陽のほぼ1万倍ぐらいである。

スクリーンに映るM87星雲、それを拡大していき、中心の光り輝くオーディンへと焦点を合わせてどんどんと望遠レンズの倍率を上げていく。

すると首都星オーディンの周りに大量の艦隊が待機しているのが見えてくる。

 

「あれがラインハルトたちを送り出して、オーディンを守護している正規艦隊よ。数はおよそ10個艦隊、約15億隻。恐れ多くも偉大なる皇帝陛下が指揮されていらっしゃるわ」

 

マリューラミアス提督が言う通り、旗艦に黄金の獅子帝の旗が舞っている。

 

「首都星オーディンまで1兆光年。本来なら通常航海で10兆年かかりますね」

 

スクリーンを見ながらラクスはいう。

 

「ええ、5年前まではワープ技術なんてなかったものね。でも今は違う。次元波動超弦励起縮退半径跳躍重力波超光速航法、略してワープ。タンホイザー博士が開発したこの技術を使ったタンホイザーゲートで光速を超え、デュラックの海から虚数空間へと入り込みエーテルの中を進むことによって7つの銀河を飛び越えます」

 

「そのために、地球以外の太陽圏すべての星を消し去ることになってしまいましたがね」

 

マリューラミアス提督のワープに関しての説明を受け、ラクスはそれを可能にした新エンジンについて苦言を呈す。

 

「縮退炉がなければブラックホールを人為的に発生させて安定してタンホイザーゲートを発生させるのは無理だったの。連合議会でもちゃんと承認済みよ。人類は存亡をかけて全てを使い切ってでも生き残るって決めたの」

 

アークエンジェルは改造を施され、メインエンジンに太陽を1ミクロサイズまで圧縮して内部へと取り込んだ手のひらサイズの画期的な縮退炉を搭載してる。

「人類が母なる太陽を無くしてでも勝たねばならない。太陽は大切だ。それは分かるけど、みんなの太陽だって分かるけど、でもカガリ・ユラ・アスハは今泣いているんだ。アークエンジェルが負けるのが嫌で、今泣いているんだぞ! 何故みんなはそれが分からない!なのにこの戦争もこの犠牲も仕方がないことだって、全てラミアス艦長とカガリのせいだって、そう言ってみんなは討つのか!いまカガリが守ろうとしているものを!」

キラ・ヤマトが連合議会にストライクフリーダムガンダムで乗り込み、この演説を行い、太陽の使用権限を承認させたあの自己犠牲精神の発露たる行為はラミアス艦長の心を激しく揺さぶり涙を堪えることはできなかった。

そしてラミアス艦長は心を鬼にして、太陽だけではなく、地球以外の他の惑星全てを縮退炉へと変えることを心に近い、有限実行したのだ。

今、アークエンジェルと共にいる艦隊は、それらの縮退炉を搭載した艦である。

故に、現在太陽圏には地球だけが残っている状態なのだ。

地球の人々は開けぬ夜に耐え忍びながらアークエンジェルの勝利を願い空を見上げていることだろう。

 

「全員、出発前に地球に残った家族や知人へとメールを送っておきなさい。ワープするとウラシマ効果で首都星オーディンにつくときには1万年たっています。そこで帝国艦隊を倒してすぐに戻ってきても地球に帰ったときは2万年たっているわ。今後医学が発展して寿命が伸びたとしても、その頃まで家族が生きている可能性は少ないわ。そもそも人類がその間にラインハルトたちに滅ぼされる可能性もある。地球が生き残るには、私達が1日でも早く首都星オーディンを落とすことで、ラインハルト艦隊を帰還させるしかないの。なので、ワープ後は時間との勝負よ。一秒でも早く首都星オーディンを陥落させるわ」

 

 

そして休止後、アークエンジェルたち「銀河帝国殴り込み艦隊」はタンホイザーゲートを発生させ、首都星オーディンへとワープしていった。

 

キラ・ヤマトが参戦するまで後4時間46分。

人類最後の戦いが今、始まろうとしていた。

 


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