流石に我慢の限界だ。いや我慢というよりも待っていたといったほうが正しいのだろうか。
今の魔理沙に期待するのもどうかなって思う。紫が言ったことなんて私にとって些細なことだったってだけ、もう辛抱堪らない。何があったのか逐一問い詰めてやる。
話したくないなんて言われても絶対に折れてやるもんか、今の魔理沙が知らなくたって前の魔理沙なら今の私の怒りをわかってくれるはず。
普通になってくれと思ったことは何度もあった。もっとマシになってくれとも。
でもそれは無理なことをわかっているから皮肉の意味も込めて言ったものだった。まさか本当にそうなるなんて昔の自分を殴ってやりたいと思うということはこういうことなんだろうか? まぁ、意味が違うんでしょうけどね。
思うが早いか神社での仕事をさっくり(どうせ来る奴なんて居ないし)終わらせ、今脳裏に思い浮かんだ言にがくりと膝をつくが今はそんなことをしている暇はない。
いや暇はあるけど……あーもうこうなったのも魔理沙のせいだ、全部あいつが悪い。
あいつが「普通」とか言い出してからなのだ。
私がこんな苦労を覚えるようになったのや、
私が珍しく紫にものを頼んだり、
いつも以上に気遣ったり、
この神社に参拝客が来ないのも、
全部あいつが悪い。私が決めた今決めた。そう思ったらイラついてきた、殴り込みならぬ弾幕の押し売りだ、あいつに拒否権はない。問答無用でボコる。
……とりあえず午後になってから押しかけよう。
▽
今日は特に予定もないし散歩よろしく箒で空中遊泳……でいいのかな? をしているところ。風を浴びながらよそ見をしても誰にも文句を言われないし、最高だよね。
じゃあ今日は何から話そうか……あぁ、ますぽに関してはパチュリーが興味持ってくれて、アリスとは一緒に作った時に気に入ってくれた。魔法使いが手伝ってくれるととても楽になることがわかったんだよ、材料とか制作時間とかいろいろ節制してくれて尚且つ教授してもらえる。いやぁ嬉しいことこの上ないね。大量生産(するの?)したって安全性は万全、用法用量守って厳守絶対にを確保。
で、ずっと研究ってわけじゃないから空いた時間は何してると思う? パチュリーの方に行ってる時はヴワルでヴワっちゃう(ただ読書してるだけ)無理矢理借りなければ基本自由らしい。だが紅魔館に遊びに行くと八割高の確率でフランが子泣き爺よろしく乗っかってくるわけだが。
アリスと居るときは人形作成とかお菓子作成とか、それが終わればのんびり紅茶タイムなんだけどもね。最近じゃ上海人形が頭に乗っかってくるようになった。人形なので軽いし嬉しいから何も言わなかったけど気付けば装備ありきで乗ってくるから地味に肩が凝る。
二人といる時はそんな感じかな? 霊夢とはあのご飯以来刺々しい空気が緩和されだいぶ楽になったかなぁ。私の性格が急激に変化したせいで距離感が掴みにくいみたい。「面倒をかけるねぇ……」ってしみじみ言ったら「誰のせいよ」って怒られた。その通り過ぎて涙目ですわ。
そういえばこの前、妖怪の賢者こと八雲 紫さんに出会ったわけですよ、さんなんて付けて呼ばないけどね。「霊夢をあまり心配させないで」って物凄くお母さんみたいな台詞をかまされたんで「わかったよお母さん」って言い返したら扇子で
で気分もよろしくお腹が空いたんでるんるん気分で帰ったんですよ、そしたら帰り際……というかもう家の屋根が見える寸前? すんげー見覚えのある結界が見えたわけですよ。家がすっぽり埋まるくらいの縦長で、巫女が使いそうな結界っていうの?
思わず素面になってしまったよ……。え、何、私なんかした? 覚えありすぎるけど家ぶっぱされるほどまで酷いことしてないと思うんだけど。
畏怖する気持ちを押し殺しつつ現行犯のうちに話しかけてみれば、
用があってやってきたけど家にいなかったからムカついてやった。
だってよ? ですっきりした顔で問答無用のスペカも申し込まれた、え、何この子一体どうしたの? 今日の霊夢おかしくない? もう霊夢自身が異変状態なんだけど、え? あ、平常運転ですか、そうですか。
押しかけ女房にしちゃ物騒すぎるっしょ? とか思ったけど今の霊夢に言ったら火に油を注ぐだけなんで好きなようにさせよう、そうしよう。
その弾幕勝負は肉弾戦が多かったのは何故だろうね。とりあえずグレイズそこそこ被弾は抑えてみた。なお、長くは持たなかった模様。
前略、隙間の奥の
後半もう弾幕勝負とか関係なく暴れまわってる霊夢にパワーボムをかけられた私は儚くも、海のもずくよろしく打ちひしがれております。
「ふーっ、すっきりしたぁ」
「……(満身創痍)」
そもそものお話で弾幕ごっこ云々の伝達者でもあるような巫女様が、弾幕なんてしゃらくせぇ精神で肉弾戦するとかどういうことなのよ。スペルカード宣言もなしにボンボン使ってくるし。弾幕は綺麗だったから限りなくアウトに近いセウトなんだろうけども。
満足顔の霊夢さんはそのまま神社に戻って行きましたとさ。
首を片手で抑えゆっくりとまわす。私が丈夫だったからか、霊夢が寸でのところで威力を殺していたのかよくわからないけど、軽く打ち身をした程度のようだ。
そして起き上がり深く息を吐く。
それはもう深呼吸のごとく吸い込んだ息を溜め、肺の中が空っぽになるくらい深くだ。
だってさ、家、消し飛んだじゃん。
研究した内容は全部とは言えないけど覚えてるよ? でもさぁ……私今日からどこで寝泊まりすればいいのよ。
……家がないなら家を建てる魔法を作ればいい。と前向きに考えようか。
で結局霊夢の言う『用』ってなんだったんだろうね。
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あ、問い詰めるの忘れてた。
まぁいっか。
ほっとけば治る。といいな。
夫婦=カップリングとかそんな気持ちはないんです、本当に。
やろうとしていたことを後回しにすると大抵忘れる。
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