ハミングっていうのは鼻歌とかそんな感じ。用法とか守ったらの話ね。
人間って煮詰まるとどうも先に進まなくなるよね。勉強に然り、研究に然り、創作に然りね。
だから今日は遊びに行ってる。といっても根本的には違くてやることは身近なところから研究へ……という名目。どうせ友達の家に勉強しに行ったはずが遊んで帰ってくるフラグだよこれ。どう転ぼうが方便って大事。次の行には遊びのことしか考えてないけど。
で、どこに遊びに行くかといえば紅魔館近くの湖だ。目当ての妖精がいなけりゃ釣りにでも勤しむつもりだ。のんびり座って釣るのも結構いいものだよ。釣れたためしないけど。でもほら
で、釣竿装備して鼻歌一つ歌いながらまず先に行ったのは紅魔館。何しに行ったのかって? そりゃ喧嘩売られたくないから使用の許可……というか喧嘩売られないように言付けしに行くんだよ。あそこの連中案外血気盛んだし。
まぁ弾幕勝負なら相手になるつもりではあるけど……新しくスペカ作ったから試したいし。正直魅せるほどいい出来ではないから表立って使うつもりあんまりないんだけど。
パチュリーに会いにいく過程で美鈴とも仲良くなったんだけど弾幕勝負の練習相手が欲しいとかいろいろボヤいてたから、機会があればじゃんじゃん誘う予定。予定は未定で決定ではないんだけどもその予定。
ということで
「ちわー」
「おや、魔理沙さん。釣竿装備でどうかしたんですか?」
私の挨拶に和やかに返してくれたのは門番こと紅 美鈴。個人的に付き合いたい性格ナンバーワンだ。付き合うって友達としてだよ? 他意はない。
「そりゃ竿があるなら釣りだよ。そこの湖でやるつもりだから借りるよってこと」
「なるほど。許可を……ということですね。ならば問題ありませんよ。一応あの湖は私物ではありませんしね」
「そっか。でも問題がないように確認したかったんだよ。門番頑張れよ美鈴」
「ははっ。魔理沙さんも釣り頑張って下さい」
竿を持った手とは別のバケツを持った方で美鈴に手を振る。そんな私に美鈴は小さく手を振り返してくれた。
個人的に些細なことでも返事があるのは嬉しいものだ。霊夢にも見習って欲しい……と思うが霊夢が血気盛んなのは私のせいにも等しいし……んー、もどかしい。
仲直りっぽいのはできたけど未だにトゲが抜けないんだよなぁ。
▽
妖精はいなかったからね、探すのが面倒で釣りに逃げたわけじゃない、決して。誓いはしないけども。
釣れた魚はパチュリーか妖精に……いや自分で識別魔法……はダメだな失敗してたら危険だからやっぱ聞こう、食用なら今夜の食事が豪華になるぞぅ。やっばい今から楽しみになってきた。後ろ向きな考えだけど食用が釣れなかったらいつも通りのキノコ料理だ。
釣り餌は
湖に着いた私は適当な石の上に腰掛けた。案外座り心地がよくて長時間いても困らなさそうだ。動かずにぼーっとして釣るつもりだからケープを羽織る。水辺は温度変化とか激しいからね。魔法で防水対策はバッチリ! 防寒魔法は完璧に覚えてないから本当に寒くなったらますぽを使う予定。まぁ余裕があれば、ね?
言っちゃいけないだろうけど備えあれば憂いなしとか言うが、備えてても勿体なくて使えない……貧乏性だからだろうか。我慢できなくなったら使おうと一応計画してるつもりだ。結局使わないとか野暮なこと思っちゃいけません。
水影が見えるほど湖は澄んでいた。浮きを魔法光でカバー(魔法使いだけにしか見えない)していたけど重装備過ぎたかな?
ここまで澄んでいると気分も晴れそうだ。汚い水で釣るよりも綺麗な水で釣ったほうが気分がいい。あとあと出来たら食べるつもりだから身体的にも衛生的にも精神的にも健康なはず。
鼻歌を鳴らしながら上機嫌で竿を振る。こんなのは感覚だ、遠くに飛ばすようにイメージして疑似餌を飛ばす。勿論後方確認はしっかりした。安全第一!
ぽちゃん という心地よい音を響かせて疑似餌が沈む。竿を適当に固定して軽い振動を与え続ける。浮きの行動を阻害しない程度に動かし疑似餌を生きていると錯覚させうんぬんかんぬん。てきとーにするのが私のスタンス。でも全力で。
遊ぶのにも全力でどうでもいい方向に全知識を使いながら本気でやるのが面白いと思うんだ。
……こういうぼーっとした時に読書とかするといいんだろうなぁ。
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何度も同じ行動をすれば人間は覚えるもんだ。洗練されていくといってもいい。
案外疑似餌効果はいいらしくポンポンつれた。案外経験なくてもいけるもんだね、病みつきになっちゃいそうだ。もう弾幕勝負はいいや、今日は釣りだけをする絶対に。
私が見てわかった魚はアユとかブナとかマスかな? 途中、悪乗りでカエルを釣り餌にしたら
釣れた魚は四匹、すぐ食べなくても何匹か飼うつもりなのでもう少し粘ろう。
え? あの魚を飼うのかって? アノ魚? ナニソレシラナイヨ?
金魚鉢で飼える程度のやつ釣れるまで粘ろう。ちっこくて可愛いのがいい、この際ブサかわでもいいからちっこいの狙うんだー!
餌を疑似餌から団子状の練り餌に変えて竿を振る。練り餌のサイズは指爪くらいだ。竿も振る必要はないので浮きが動くのをじっくりと待つ。
あー……この何もない時間が幸せだぁ。
適当に餌なしでやっても楽しいと思う。個人的に。
魔理沙が釣り逃した魚はどんなのだろうね? 気になる。
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