疫病的な意味ではそうだけど、個人的には骨くらい残してほしい。
目の前に広がる光景をなんとか飲み込み異変と捉えるとする。わざわざ霊夢に喧嘩を売ると言うことは私の知り合いではないだろう。私の知る妖怪は『普通』ではないが態々住処を奪ったりはしない。相手の前に現れて挑むか、特定の技(?)の範囲の無差別に巻き込むか、だ。
境内から見える範囲内ではこれ以外に大岩はみられない。地面のヒビの入り方からして、尋常じゃない威力で叩き込まれたのだろう。神社の破片は境内だけに収まらないのに大岩の破片がない。十中八九、妖怪の仕業だろう。妖力が解るわけではないのでそこは巫女に任せる。……巫女? あ、やべ、忘れてた。
「霊夢! 何処に居るの!? 巻き込まれてなんか居ないわよね?!」
いつ叩き込まれたのかわからない。もしも深夜にならば寝首ドッキリなんてもんじゃない。急を要する。もしかしたら紫が、なんてすがりたくなるが優しくても妖怪なのだ。頼るのはいけない。
「霊夢!」
「なによ、喧しいわ……ね……?」
破片に気を付けながら進もうと足を動かせば、声は後ろから聞こえた。丁度出掛けていたらしい。面倒そうに頭をかきながらこちらをみて固まる霊夢。いや、これは私の後ろのせいだろう。そうして思い出す。あれ、これ、やばいかも。
「あ、あ、ああ、あんた!?」
「ひゃい!?」
しどろもどろになるがしょうがないじゃん。
「先に家ぶっ飛ばしたのは私だけどこれ、どうしてくれんのよ?!」
「わた、私じゃ、」
「見る影もなくぶっ飛んでるじゃないの?!」
「わたし、」
「しかも見せびらかす様に大きな石! なんの嫌がらせ? 私が拝むのは石で十分ってこと?」
謝ろうとしてきたけどこれは違くて。
何をするべきか、なんかもう、どうしていいのかわからくて。
「どんな言い訳を聞かせてくれるのか楽しみね、ほらなにか言いなさいよ」
このままここに居たらどうなるかなんてわかっていたのに。
でも心配になったらそんなことどうでもよくて。
「なによ、今度はだんまり? 前々から思ってたけどあんたが普通普通言ってて可笑しいわよ」
「ぇ?」
「だって、あの魔理沙よ? 自己中の権化とも言えるべき魔理沙が普通? なんの冗談よ。この際言わせて貰うけどあんた、新手の妖怪なんでしょ?」
「ち、ちがっ」
「はっ、どうだか」
ようやく答えが出て舞い上がってたみたい。持ってきたお弁当なんか気が動転してひっくり返ってるし、反論しようにも口が動かないし、視界はぼやけるしで最悪だ。
「だー、かー、らー? 喋らないとわかんないっつてんのよっ!」
「あ、のね……わた、うぅ、っ」
「あんた……ちょっ、ま、まちなさい!」
謝らなきゃって思ったのに気が付いたら私は走っていた。階段なんて知らない。わりと傾斜も有った気がする。でも止まらなかった。色々痛くて、色々苦しくて、念頭に謝らなきゃって思ったけれど今はそうじゃなくて。
霊夢はむちゃくちゃだけど、正しいと改めて思っちゃった。
やっぱり私はダメなのかなって。
私は『普通』になれないんだ。
わかっていたのに。ね。
もう、ほんと、ダメかもしれない。
ざんねん、わたしの、ぼうけんは、ここで、おわってしまった。
短いですが区切ります。それによって次回が早くなるかは別問題。
謝れると思ったか、この戯けめ。……なんか書いてて楽しくなった。自分の魔理沙弄り楽しい……(愉悦)
誤字訂正は暇をみて。それと誤字訂正の申請感謝します。あんなのあったのですね、とても楽で助かりました。ありがとうございます。
仕事中のお話は楽しいなぁ……。(愉悦)
愉悦多すぎてトリップしそう。