いわゆる「普通」な魔法使い   作:朱莉

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短編みたいなので気楽に投稿しようかなって思ってます。
 
 
他の方のお話を読んでいたら何故か書いてました。
 
 


その壱! 「普通」が一番!

 前世の記憶……というのをどう思う? 

 私としては最初は有り得ない、まやかしだ みたいに思っていた。

 そう、思っていたのだ。

 

 いつも通りに生活していたつもりだった。変なキノコを食べたとか、誰かに訳のわからない魔法や妖術を使われたわけでもない。ただ普通に生活していたつもりだった。

 朝起きて、知り合いの本を借りて、神社に遊びに行って、それで寝た。

 それなのに朝起きたら私以外の別の記憶が私の中に居た。

 二重人格とかそういうわけではない。勝手に体が動くとか、気付いたら別の場所にいるとか、夢遊病とかの気配もない。

 ただ全く覚えのない記憶が頭の中に居る。それだけである。

 

 そりゃ、最初はびっくりしたよ? でもそれも最初だけ。

 今じゃ別に問題なく過ごせる。でもまわりからは不気味らしい。なんでさ。

 

 それからというもの「普通」に過ごしてきた。

 でもそれはその記憶にとっての「普通」で、

 私のとっての「普通」とは別になってしまったんだけど。

 

 昔の私からしたら変なんだろうな……。

 

 

 

 

 とりあえず最初にやったことは、今ある借りてきた本を返したことかな。

 流石にメモ……というか写書きし終わったやつだけどね。

 いつもだったら侵入して、無理やり奪ってきた本だけど、「普通」を知った私はそんなことできない。

 「普通」に門から入って、

 「普通」にメイドと挨拶して、

 「普通」に話して借りてきた。

 死ぬまで借りるとかそんなことしないもん。泥棒ダメ、絶対! 

 

 無理やりでなければパチュリーも問題ないって言うのにね。争いごとのない「普通」ばんざーい。

 

 隣人である魔法使いのアリスこと、アリス・マーガトロイドから借りたものも勿論返しました。

 最初は訝しげに怪しまれたけど借りたまま返したので特に問題はなかった。

 返した時に「これからは普通に過ごす」って言ったんだけど、今も警戒されてる。

 まぁ、しょうがないね。

 

 人付き合いも大事だから知り合いの神社(寂れた方)にお賽銭を入れた。

 その神社の巫女である霊夢こと博麗 霊夢からは熱でもあるの? と心配された。

 「これから普通に過ごすんだ」と伝えたら手をおでこに当てて「熱はないわね」とまで言われた。世知辛いなぁ。

 

 勿論もうひとつの神社(神が二柱もあるほう)にもお賽銭を入れた。

 緑の2Pカラーこと東風谷 早苗に組み付かれるほど心配された。

 「普通に過ごす」と伝えたら「あの魔理沙さんが? 有り得ない!」とまで言われた。そろそろ堪えてくる。というか堪えたのでそろそろ帰ろう。

 

 一日でいろいろ回ったけど空を飛べるって楽だなぁ。

 え? 普通に過ごすんじゃなかったって? 普通の魔法使いだからいいんだもん。

 

 

 

 

 今日の御飯は美味くできたからアリスと一緒に食べた。

 キノコが入ってるからまた訝しげだったけどちゃんと食用です。魔法のキノコで料理はしたくない。あれは魔法の媒体にするものだし。

 

 食後に予定はなくて暇だったのでアリスと一緒に人形を作った。

 アリスは邪魔しなければ問題ないらしく色々教えてもらいながら作った。

 目がボタンの簡単な人形しか作れなかったけど、楽しかったから都合をつけてまた挑戦しよう。次挑戦するついでにこの子の服も作りたいな。

 

 

 夜遅くまでお邪魔するわけにはいかなかったので、折を見て帰宅した。

 家に帰ったら魔法の研究。派手な魔法は私の専売特許(?)だけどお淑やかでお洒落な魔法も学ぶ上では大切。「普通」に借りた本でお勉強。

 わからなかったところは今度パチュリーに教えてもらおう。

 

 詰めすぎてもダメなので、キリのいいところでやめて就寝する。

 明日も「普通」に過ごそう。

 

 あぁ、「普通」っていいなぁ。

 

 

 

■  ◆  ■  ◆  ■  ◆

 

 

 

 最近になって魔理沙が可笑しくなった。

 何が可笑しいとか、そんなの気づかない方が絶対に可笑しいって言えるくらい可笑しいのだ。

 曰く「普通に過ごす」とか、

 曰く「借りたものは早く返す」とか、

 曰く「人付き合いは大事」とか……。

 悪霊の類いなら私だったらすぐ気付くはずなんだけどなぁ。

 悪霊がとり憑いたと思えるくらいに違和感しか感じない。魔理沙には悪いけど。

 

 これが起きる前動作とか一切なかったし……飽きれば元に戻るかしら?

 

 まぁ、普段のあいつを知らなきゃこのままでいいんだろうけど……。

 

 アリスが言うには食事に誘ってくれたらしい。しかも普通のキノコ料理だ。

 魔理沙が普通のキノコ料理を作るとかとか絶対ありえない。私の神社に参拝客が来るくらい……って何言ってんのよ私! というか……あー、魔理沙が参拝したときのこと思い出しちゃった。普段から私のところに来るのは変わらないけどそれはお茶をするためにだし、なんなのよっもう! 

 

 気が向いたら紫にでも聞いてみようかしら……私の勘が一切働かないとか、どういうことなのよ……。

 

 

 

■  ◆  ■  ◆  ■  ◆

 

 

 

 近隣に住まう「普通」の魔法使いが最近になって妙なことになった。

最近……とはいえ今日からだが。

 普段なら思想の違いで些細ないざこざが多発する私たちだが、今回に於いては私の失態が引き起こした問題に対して先にあちらが謝り、その上「死ぬまで借りる」と言って盗っていった本を返してきたのである。

 受け取ってすぐに自身の魔法で差異がないか調べた私は悪くないと思う。警戒したが特に問題はなかった。

 

 それと食事を一緒に摂ったのも初めてだったか。

 彼女は魔法や私生活に於いて、魔法の森で取れるキノコを頻繁に使う傾向にある。

 霊夢が言うにはそのキノコを食事にも使っていると聞いていたので、食事に誘われ警戒したが入っていたのは一般の人が食べる食用キノコ。

 扱いには長けていたのか、至るところに使用されていたキノコにも嫌悪せず美味しく頂けた。もしかしたら私が作る料理よりも格段に上かも知れない。それくらいだった。

 

 食事のあとは一緒に人形も作った。

 先ほどの料理で気を良くしていた私が(決して物に釣られた訳ではない)詰まるたびに教えて彼女は初めてにしては「普通」に出来ていた。

 魔法で操る訳でも無く、糸で吊る訳でもない、ただの人形だが彼女は笑みを綻ばせながらも一生懸命作っていた。

 

 人形が出来るころには日もだいぶ暮れていたので彼女は足早に帰り支度を整えて帰っていった。次の人形作りの約束もして。

 

 以前から彼女を知る人は違和感しか感じないだろうが、私としては今の彼女も尊重したいところ。

 彼女が「普通」を目指すなら、私としてはそれを手伝っていこう。

 

 




つぎからこれでもかってくらいさっくりとしたみじかいおはなしになるよてい。


※誤字、脱字に於きましては問答無用でご報告願います。
(割と頻繁にタイプミスや変換ミスが炸裂するため)
 
※一部変更。いれる → 過ごせる

 

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