インフィニット・ストラトス ~栄光のオリ主ロードを歩む~ 作:たかしくん
バシャバシャバシャバシャッ
俺がここに入ってきたとき最初に聞いた音はそんな音だった。
ここは三津村商事本社ビルにある会見場。目の前にあるのは目が眩みそうになる光の嵐。この光を放つ人々は今日俺のために集まった人々だ。
俺はジジイに指示され、会見場にあるステージの真ん中にある椅子に座る。光の嵐は止まらない。
「本日は急な発表にも関わらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。社長の大泉幸三郎でございます。早速ですが発表させていただきます。」
ジジイは会見でも話が早い。
「本日、私立織朱大学付属中学校で男子に対するIS適性調査が行われ、織斑一夏君に続く第二の男性IS操縦者が発見されました。紹介しましょう、藤木紀春君です。」
ジジイが俺に手を向け俺を紹介する。フラッシュが強すぎて何も見えない。俺は軽く会釈をした。
ジジイが話を始める。俺が発言するのはこの後にある質疑応答の時だけである。
ジジイが話す内容を要約するとこうなる。
藤木紀春は三津村のモノだから手を出すなよ、手を出したらどうなるか解ってんだろうな?国も例外じゃないぞ。
多少乱暴な表現になってしまったが大体あってる。
おっ、ジジイの話が終わった。まだ会見開始から五分しか経ってないぞ。さすがジジイ、早い。
「では質疑応答に入ります。質問のある方は挙手の後所属とお名前を言った後で質問をお願いします。」
司会が会見を進行させる。会見場の記者達が一斉に手を上げる。
司会が質問する記者を決める。
「京東新聞の朽木です。今のお気持ちをお聞かせください。」
最初の質問はかなり普通だった。
「凄く混乱しています。八時間前まで普通の中学生だったもので。」
俺を知る人たちはテレビの前で普通じゃ無いだろと突っ込んでいるに違いない、俺も自分が普通の人間じゃないことは生まれる前から解ってる。でもこう言うしか無いじゃないか。
俺は矢継ぎ早に繰り出される質問を捌く。
「今後の抱負を一言。」
「大泉社長から、君は世界中の男の期待を受けることになると言われました。それに答えられるように頑張っていきたいです。」
「IS学園入学まではどうお過ごされるつもりですか?」
「すいません、今後のことは話してはいけないと言われていまして…」
「野球で全国優勝を経験されたそうですが、未練は無いんですか?」
「野球に関しては未練はあります。しかし小さい頃白騎士を見たとき、あれに乗ってみたいと強く思いました。思い返せばあれが僕の最初の夢だったんです。女性しか乗れないと解って落胆しましたが…しかし奇跡的に僕はISに動かせることが出来ます。あの日の夢の続きを見ようと思います。野球の夢は仲間達に託します。」
「IS学園でやってみたいことは何ですか?」
「そうですね、まずは同じ男性である織斑君と友達になりたいですね。学園に二人しか男いませんし。」
「男同士ってどう思いますか?」
「興味ないです。」
なんださっきの質問は。
おっ、次で最後の質問だ。
「では、あのカメラに向かって同じ男性操縦者の織斑一夏君にメッセージをお願いします。」
見てるか?主人公。俺がオリ主だ。
俺はテレビカメラを見つめる。
「…織斑君、初めまして。藤木紀春です。もしよければ僕と友達になってください。他の事は会って話しましょう。ではIS学園で君と会うのを楽しみに待ってます。」
俺の名前は織斑一夏。世界初の男性IS操縦者ということになるらしい。俺がISを動かしてからというもの、家にはマスコミが大挙して押し寄せ大変な目に遭った。家の前に護衛の人が着くようになってそれも収まってきたが、それでも気を抜けない。俺は自宅で軟禁状態に遭っていた。
でも悪いことばかりでもない。こうなってから千冬姉が毎日家に帰って来るようになった。どこで働いてるかは知らないが一ヶ月に一回か二回ぐらいしか千冬姉はここに帰ってこない。いまのこの状態に不満もあるが正直嬉しい。食事の作り甲斐もあるってもんだ。
玄関から音がする。千冬姉が帰ってきたようだ。
「一夏、帰ったぞ。」
「お帰り千冬姉。今日は鯖味噌だよ。」
「おお、そうか。そうだ一夏。お前にビッグニュースだ。」
「えっ?何?」
俺は鯖味噌をテーブルに運びながら答える。
「二人目の男性IS操縦者が発見されたそうだ。」
「何・・・だと・・・?」
俺は驚きのあまり、鯖味噌を落としそうになるがなんとか持ちこたえた。
「一応機密扱いになるから、誰にも言うなよ。」
「やったああああああああ!!」
ああ、正直不安だったんだよなIS学園。俺以外全員女ってきついなーって思ってたんだよ。二人目の男性操縦者がどんな人か知らないけど、仲良くやっていければいいな。ああ、どんな人なんだろう。今から楽しみだな。
そのとき千冬姉の手刀が俺の脳天に落ちた。それでも鯖味噌は守った。
「煩い。」
「あい、ずびばぜん。」
その後夕食を食べながら千冬姉と二人目の男性IS操縦者について話したが、千冬姉もよく知らなかったようだ。
ふとテレビのニュース見る。アナウンサーが速報を伝えている。
「本日、三津村商事が緊急記者会見を行うそうです。現場の半田記者に繋ぎます。半田さーん。今の状況はどうでしょうか?」
緊急記者会見か。何か不祥事でもあったのだろうか。
「はい、現場の半田です。会見の内容は明かされていませんが。三津村商事が緊急記者会見を開くという事で多くの報道陣が詰め掛けています。あっ大泉社長が入ってきました。」
壇上のテーブルに数人の人が座る。その中に明らか異質な人物が居る。少年だ。年は俺と同じ位じゃないだろうか。
壇上に上がっている人の一人が喋り出す。
「本日は急な発表にも関わらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。社長の大泉幸三郎でございます。早速ですが発表させていただきます。…本日、私立織朱大学付属中学校で男子に対するIS適性調査が行われ、織斑一夏君に続く第二の男性IS操縦者が発見されました。紹介しましょう、藤木紀春君です。」
彼が…二人目!?
千冬姉が「何だと!?私は何も聞いて無いぞ!?」と言い、怒っている。
しかし、俺はその言葉の意味を理解できない位にテレビの内容に集中していた。
発表が終わり質疑応答に移る。第二の男性IS操縦者藤木紀春君は記者たちの質問に次々と答えていった。
「IS学園でやってみたいことは何ですか?」
「そうですね、まずは同じ男性である織斑君と友達になりたいですね。学園に二人しか男いませんし。」
藤木紀春君は俺と友達になりたいと言ってくれている。俺からも是非お願いしたい。
ついに、最後の質問になったようだ。
「では、あのカメラに向かって同じ男性操縦者の織斑一夏君にメッセージをお願いします。」
藤木紀春君はカメラに目を向ける。テレビ越しに俺は彼に見つめられている気がした。
「…織斑君、初めまして。藤木紀春です。もしよければ僕と友達になってください。他の事は会って話しましょう。ではIS学園で君と会うのを楽しみに待ってます。」
嬉しくて涙が出そうになった。
「…ああ、藤木君。俺と友達になろう。」
俺は藤木君へテレビ越しに言葉を返した。
あああああ、やっちゃったやっちゃったやっちゃったよーーーーーー。何やってんだよーーーーーー。
俺は今三津村商事本社ビルに近い高級ホテルの中のスイートルームのベッドの上で、枕に顔を埋め足をバタバタさせている。
何が「IS学園で君と会うのを楽しみに待ってます。(キリッ」だ、きっと織斑一夏もテレビの前で爆笑し、今頃俺のことをブリュンヒルデと一緒に馬鹿にしているに違いない。
携帯電話を見るとおびただしい量ののメールが来ていた。無理も無い、俺は今一躍時の人となっている。メールには『あの会見は本当なのか。』とか『すげええええええ』とか。そんなんばかりだ。あ、花沢さんからもメールが届いてる。見てみよう。
件名:笑った。
本文:織斑君、初めまして。藤木紀春です(キリッ
もしよければ僕と友達になってください(キリッ
他の事は会って話しましょう(キラリッ
IS学園で君と会うのを楽しみに待ってます。(キリリッ
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
…死のうかな!
オリ主の命の危機です