「おむにばす!」   作:七音

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第三話「もうすぐ、なんです」

 

 

 

「最近さぁ、華が色っぽくなったと思わない?」

 

 

 アンツィオ高校を快勝で下し、大洗女子学園が準決勝進出を決めた翌日。

 あんこうチームのメンバー四人――西住みほ、武部 沙織、冷泉 麻子、秋山 優花里は、日も高い内から、74アイスクリーム店内でアイスをつついていた。

 が、唐突な沙織の問い掛けに、残る三名は揃って小首を傾げてしまう。

 ちなみに、食べているのは紹介順にチョコチップ、オレンジピール、ストロベリー、クッキークランチである。

 

 

「あの……。沙織さん、一体なんの話?」

 

「ちょっといきなり過ぎると思うであります」

 

「沙織が振ってきた話題だぞ。男関係以外にある訳ないだろう」

 

「ちょっと麻子ぉ!? 誤解を招く言い方しないでよ!」

 

 

 スプーンを掲げる沙織に対して、みほが困惑し、優花里はアイスをすくい、麻子も一つ目を完食した。一方の沙織は憤慨中だ。

 常日頃から色恋に傾倒した発言を繰り返している彼女であるが、流石に、脳内が男一色みたいな言い方をされては嫌なのだろう。

 しかし、オレンジピールの爽やかさで怒りを溶かした沙織は、更なる持論を展開する。

 

 

「確証はないんだけど、近頃ずうっと携帯と睨めっこしてるし、メール見て一喜一憂してるし。

 今日だって陸に行ってるんでしょ? これはやっぱり、遠距離恋愛の彼氏が出来たんだよ!」

 

「そうかなぁ……? 確かに、携帯でメールしてるのは多くなったと思うけど……」

 

「それ以外はいつも通りでしたよね?」

 

「むしろ砲撃の腕が上がっているな。男にかまけていたら、あんな風に上達しないと思うが」

 

「むー。それはそうかも知れないけどぉ……。絶対に今までと違うもん! 間違いなく男の影がチラついてるもんっ!」

 

 

 妙な確信があるようで、鼻息荒く一歩も引かない沙織。

 気になり始めたのは、華の携帯ストラップ――可愛らしい陶器の仔犬を見かけてからだった。

 沙織が「どこで買ったの?」と聞いても、華は「頂き物なんです」と微笑むだけ。

 その表情に“何か”を感じ、コソコソ様子を伺ってみると、頻りにメールの着信を確認しては、満面の笑みで頷いたり、逆に難しい顔で返信したり。

 オマケに、戦車道の練習が休みの日は、わざわざ連絡船に乗って、足繁く陸へ通っている。

 本人は華道に関する用事が……なんて言っていたけれど、これは何かある、と沙織は乙女の勘を働かせ、今に至るのだ。

 余談だが、華のメール時の行動、ライカとやり取りを始めたばかりの、沙織自身と全く同じなのだが、当然の如く気付いていない。

 人は得てして、自分自身を理解できていないものなのである。

 そんな沙織に嫌気が差し始めた――もとい。面倒臭くなった麻子は、話題の中心を変える事で対処した。

 

 

「男の影といえば、沙織。いい加減、ライカにOKの返事はしないのか」

 

「うっ。……な、なんでそこでライカが出てくるのよ……」

 

「なんでって、ねぇ? 優花里さん」

 

「ですよねぇ。武部殿ー、そろそろキチンとしたお付き合いを始めないと、逃げられちゃいますよー?」

 

「んんん……っ、そんな事、ないもん……。わ、私の事はいいのー! たまには他の子の恋話で盛り上がったっていいじゃーん!」

 

 

 果たして、麻子の計算通りに話は進み、沙織はムキになって己の恋話を否定し始める。

 もう少し素直になれば、めでたくカップル成立となるはずなのに、困ったものだ。

 いや、カップルになったらなったで、所構わず惚気そうでもある。どっちにしろ迷惑を被りそうな友人の恋路に、三人はやれやれと肩をすくめていた。

 そして、業を煮やしたライカが、メールで彼女たちに協力を求めるのは、この日の夜であったりする。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 乗り慣れたバスを降り、見慣れた景色を眺めながら。

 わたくしは、若さんが待つ工房へと脚を進めていました。

 

 

(この前の試作品は、添付された写真と実物で感じが違いましたけど、今度はどうかしら……?)

 

 

 若さんに花器を頼んで、その関係で連絡先を交換してからというもの、わたくしたちは頻繁にメールをやり取りしています。

 作品の進み具合や、デザインを再現する上で失敗してしまった点、その事への対応策など、彼はこまめにメールを送って下さいました。

 文面や、送られてくる写真から真剣さが伝わり、返信にも思わず力を込めてしまうほど。

 やっぱり彼にお願いして良かったと、再確認しているこの頃でした。

 

 今日は、通算で三度目の訪問。

 試作品が焼き上がるのを見計らい、この目で確かめに来た訳です。

 ……それとは全く、関係ないのですが。

 今日の格好は、白い生地に薄茶色の襟のシャツと、襟と同じ色のスカート。小さめのショルダーバックという出で立ちです。

 スカートの丈が少し短いような気もしましたけれど……。いえ、何を気にしているんでしょう、わたくし。

 

 な、何はともあれ。

 少し歩けば、落ち始めた日に陰る建物が見えて来ました。販売所の前でウロウロする女性の姿も。

 昔はヤンチャしていたらしい、若さんの再従姉妹、猪俣 葵さんです。

 

 

「こんにちは、葵さん。若さんはいらっしゃいますか?」

 

「あっ、華ちゃん! 丁度良い所に、こっち来て!」

 

「はい?」

 

 

 挨拶がてら声を掛けると、葵さんは大慌てでこちらへ駆け寄り、わたくしの手を取って走り出しました。

 え、えっ? 何事ですかっ?

 

 

「あ、あのっ、どうかなさったんですかっ」

 

「大変なのよっ、親方と若が大喧嘩しちゃって……っ!」

 

「え、若さんがっ!?」

 

 

 驚きつつも、脚を早めて大木を回り込み、若さんのお父様である、親方さんの作業場へ。

 遠く、「いいから返せ!」という叫び声が耳に届きます。

 ちょうど辿り着いたタイミングで、若さんが作業場の戸口から転げ出てきました。

 

 

「若さんっ、大丈夫ですか!?」

 

「ぐ……っ、五十鈴、さん……?」

 

 

 側に寄って、尻餅をつく若さんを支えつつ、怪我が無いか確かめます。どうやら……突き飛ばされただけ? 大丈夫みたいです。

 そして、戸口の奥からもう一人、若さんと同じ作務衣を着る人物が姿を見せました。

 頭を三角巾で覆い、筋骨隆々で、豊かな口髭が特徴の、初老の男性。初めてお会いしますが、この人が親方さんなのでしょう。

 親方さんの手には、細めの砲身が半ばで折れてしまっている、戦車型の花器が。

 

 

「最近、妙に小せぇ方のガス釜が埋まってると思ったら、こんなもんに油売りやがって。どういうつもりだ」

 

「……仕事はしてる。他の時間に何しようが、親父には関係ないだろ」

 

「そんなんだから、お前はいつまで経っても半人前なんだ。言われた仕事しかしやがらねぇ。こんなもんを遊び半分で……!」

 

 

 肩を震わせる親方さんの表情は、憤怒に満ち満ちて。今にも花器を叩きつけそうな雰囲気です。

 しかし、怒りを覚えていたのは親方さんだけではありません。

 その物言いに、わたくしの中からも、激情が込み上げていました。

 

 

「待って下さい! ……それは、わたくしがお願いした物です」

 

「……お前さんが?」

 

 

 立ち上がり、親方さんへ真っ向から言葉をぶつけると、濃い眉毛が胡乱に歪みます。

 身長は高く、身体も大きくて、後退りたくなる威圧感がありました。

 けれど、ここで引き下がってはいけないと、わたくしは自分自身を奮い立たせます。

 

 

「そうです。見ず知らずのわたくしのお願いを、若さんは真剣に聞いて下さって、真剣に取り組んでくれています。決して、遊び半分などではありません!」

 

 

 怒りを覚えたのは、若さんの試作品を、遊びと断じられた事でした。

 何度も試作を繰り返して、何度も失敗して。

 でも、それに決して挫けず、わたくしの為に花器を作って下さる方を、馬鹿にされたように感じたからです。

 親方さんの鋭い眼を、わたくしは見つめ返します。ガンの付け合いなら負けませんっ!

 ……と、思っていたのですが。

 

 

「これが仕事だってんなら、尚更だ。娘さん、悪いがこの仕事、諦めてくれ」

 

「そんな、どうしてですかっ!?」

 

 

 親方さんは若さんの首根っこを掴み、少し離れた場所で、いきなり土下座のような体勢に。

 困惑するわたくしは置いてけぼりのまま、ついには頭を下げられてしまいます。

 

 

「さっきも言いましたが、こいつは半人前のヒヨっ子だ。

 一人で仕事を任せるにゃ早過ぎる。

 もしどうしても必要だってんなら、他の職人を紹介しやす。

 半端な仕事のモンを、ウチの窯から出したくねぇんです。申し訳ない!」

 

 

 会ったばかりの、生意気な口をきく小娘に対し、親方さんは本気で頭を下げているように見えました。

 ついでに若さんの頭を押さえつけて、彼まで無理やり。職人気質な人物というのは、本当だったようです。

 

 頭を下げる二人の男性を前に、わたくしは考えさせられました。

 諦めるしか、ないんでしょうか。

 他の職人さんを紹介して頂けるのなら、花器は問題なく手に入るかも知れません。

 ……本当に? 本当にそれでいいの?

 縁も所縁もない女子高生に、ここまで親身になってくれた人から、安易に乗り換える。

 そんなのは……。

 

 

「ふざ、けんな……」

 

 

 何か、形にならない気持ちが、口をつこうとした瞬間。

 若さんの、くぐもった声が聞こえて来ました。

 

 

「勝手な事ぬかすな、この頑固親父っ!」

 

「うぉっ」

 

 

 彼は、今までに聞いた事もない大声を張り上げて、親方さんを突き飛ばします。

 その拍子に零れ落ちた花器を抱きとめ、わたくしを背に庇うようにして、叫びました。

 

 

「半人前が、なんだってんだ……。いつもそうやって、勝手に決めつけやがって!

 これは俺の仕事だ。俺が五十鈴さんから請け負った、俺だけの仕事だっ。

 途中で放り出したら、それこそ半人前だろっ! 俺が最後までやらないで、どうすんだよっ!」

 

 

 座り込む親方さんへと、正面から切られた啖呵。

 鼓膜を通じて、胸の奥をジリジリとさせる、熱い響き。

 初めて主砲を放った時と似た感覚に助けられ、わたくしもまた、言葉を尽くします。

 

 

「わたくしも、若さんと同じ気持ちです。

 このお仕事を、若さん以外に頼もうとは思いません。

 わたくしは、彼にお願いしたいんです。どうか、このまま続けさせて下さいっ」

 

 

 若さんの隣で、腰を九十度に曲げる最敬礼で、親方さんに懇願しました。

 今、ハッキリと自覚しています。

 きっとわたくし、他の職人さんじゃ駄目。

 彼が作ってくれる花器でないと、お母様を納得させられる花は、絶対に活けられないと。

 心から、そう感じています。

 

 

「……ふん。物好きな娘さんも居るもんだ……。勝手にしやがれ、馬鹿息子が」

 

 

 ぶっきらぼうな声に頭を上げると、親方さんは既に立ち上がっていて、作務衣の尻を叩きながら、作業場へを姿を消しました。

 ボウっと、その大きな後ろ姿を見送ってしまいます。

 認めて下さった……のでしょうか。

 勝手にしやがれと言われたのですから、若さんにお仕事を続けて頂いても、問題ない……んですよね? 良かった……。

 

 

「五十鈴さん。もうすぐ、なんです」

 

「……え?」

 

 

 確かめるような呟き声。

 ホッと胸を撫で下ろしていたら、いつの間にか、若さんがこちらを向いていました。

 差し出される、不完全な花器。

 反射的に受け取ると、わたくしの手を、彼の手が包み込みます。

 

 

「これは、焼き上がりで砲身が折れちゃいましたけど。

 もうすぐ、ちゃんとした形に出来るんです。俺、やります。

 必ず、貴方の全部を受け止めきれる花器を作ってみせます! 待っていて下さい!」

 

「は、はい。お願いします……」

 

 

 花器の上で手を重ねつつ、若さんは力強い瞳で、わたくしを見つめて。

 その逞しさに、半端な返事しか出来ません。

 ……わたくし、先程から変です。

 見事な啖呵を切った若さんの声が、いつまでも耳に木霊し、胸に感じた熱が、ジリジリ、ジリジリと。

 戦車道で主砲を撃つ時の、痺れるような感じとは違う。どこか、心を焦がされるような。

 こんなのは、初めてです。

 

 

「いやぁ……。若いって、良いわねぇ」

 

「はい?」

 

「え?」

 

 

 横合いからの唐突な含み笑いに、わたくしと若さんは、一緒になってそちらを見やります。

 葵さんが、何やらニヤニヤと微笑んでいました。

 その視線は、重なり合う手と手に向けられ……。

 

 

「うおぉおっ!? ご、ごごご、ごめんなさいぃ!」

 

「い、いえ、あの、いいえ、だ、大丈夫、ですから……」

 

 

 若さんが大慌てで手を離し、わたくしは、少し重い花器を抱え、苦笑いを。

 手を握ったのは無意識のうち、だったようです。多分ですけれど。

 ペコペコと謝り続ける彼を宥めながら、なんとなく、繋がれていた手を口元へ。

 ほんの微かに、優しい土の匂いがしました。

 

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 とっぷりと日も暮れ、数時間後。

 若さんの工房からバスで港に戻ったわたくしは、歩きながらもボウっと考え事をしていました。

 どうしても、啖呵を切る若さんの姿を思い返してしまいます。

 

 

(あんな風に、殿方に熱い眼で見つめられたの、初めてかしら……?)

 

 

 あの後のわたくし達ですが、葵さんにからかわれながらも、若さんの作業室――色んな小物が置かれていた部屋で、試作品を踏まえてのデザイン修正などを行いました。

 けれど、どうにも会話はぎこちなく、お互いの一挙手一投足が気になってしまい、詳しい事は後日、メールや電話で……という事になり、学園艦へ戻ろうとしている所なのです。

 今まで、こんな事はありませんでした。

 作業室で二人きりになる事はあっても、若さんを意識して話し合いも出来なくなるだなんて……。

 

 

(嫌だわ。まるで沙織さんみたい)

 

 

 殿方と手を繋いだだけで、こんなにも舞い上がってしまうなんて、らしくありません。

 前にも一度。しかも、わたくしから握った事だってあるのに。それこそ沙織さんみたいです。

 いえ、沙織さんはとても素晴らしい女の子だと思いますけれど、なんと言いますか、わたくしに恋愛事は似合わないような気がしますし。

 そもそも、わたくしと若さんは、沙織さんとライカさんのような関係ではない訳で。

 もし想いを寄せて下さっているなら、それはとても光栄な事ですが、今のわたくしに答えられるだけの余裕は……。

 ……なんだか、ますます沙織さんっぽくなっていそうな。

 

 

(やめましょう。その場の勢いで触れ合っただけで、若さんとの間に、特別な気持ちなんか……)

 

 

 不埒な考えを振り払い、連絡船に乗り込もうとしたわたくしの耳に、何かが聞こえました。

 おぉーい、と。遠くから呼び掛けられている……?

 振り返ってみれば、駐車場に停まった軽トラから、作務衣を着た大男がこちらに駆け寄って来ます。

 

 

「貴方は、親方さん……?」

 

 

 ぜいぜいと荒い息を整えるその人は、間違いなく、先ほど鬼のように怒っていらっしゃった親方さんでした。

 でも、今の表情はとても穏やかで、むしろ頼りなく見える位で、まるで別人みたい。

 

 

「先程は、見苦しい姿をお見せしまして。本当に申し訳ない」

 

「い、いえっ。わたくしの方こそ、分を弁えずに生意気な事を……」

 

 

 わたくしの前まで来ると、親方さんは自身の膝に手を置いて、ガバッと頭を下げます。

 本当に別人かと思いたくなる腰の低さに、わたくしも思わず腰を曲げていました。

 一体、どうなさったんでしょう。わざわざ車で後を追いかけてくるなんて……。

 もしや、やっぱり別の職人を使って欲しい、と言いに来たとか?

 ちょっとだけ警戒してしまうわたくしでしたが、しかし親方さんは遠い目をして、全く予想だにしない話を始めました。

 

 

「あいつは……。昔っから真面目で、引っ込み思案で、自己主張とかはせずに、周りに合わせていくような奴でした」

 

「は、はぁ……?」

 

 

 あいつ……。きっと若さんの事でしょう。

 いきなりで面食らってしまいましたけど、親方さんの言う事には納得です。

 物腰が柔らかく、手先が器用で、自分から波風を立てるような事はしない。

 まさしくそんな印象でした。だからこそ、あの侠気溢れる姿には驚かされたのですが。

 親方さんも同じ気持ちらしくて、厳つい顔には苦笑いが浮かんでいました。

 

 

「初めてなんですよ。仕事に関わることで、あいつが反抗したのは」

 

「そうなんですか?」

 

「ええ。いっつも、あっしの言う事を聞いて、顔色伺って。

 言われた事はキッチリやるんですが、それで終わっちまうのが悪い所でもありました。

 その先にこそ、職人が目指すべき物があるってのに」

 

「……少し、分かるような気が致します。わたくしも、華道を嗜んでおりますから」

 

「なるほど。道理で珍しく器を作っている訳だ」

 

 

 親方さんは楽しげに笑うと、三角巾を外し、わたくしを優しい眼差しで見つめます。

 

 

「あっし等みたいな職人には、我の強い部分がなきゃ駄目なんです。

 周囲に流されて自分の意見を押し込めるようじゃ、良い作品なんか出来るわきゃあ無い。

 口下手なもんで、ロクに指導も出来やしない、駄目な親でしたが……。

 これであいつも、ようやく職人としての一歩が踏み出せます。

 息子に仕事を持って来て下さって……。大事な仕事を預けて下さって、ありがとうございやした。本当に、ありがとうございやした!」

 

「そ、そんな。お礼を言いたいのはわたくしの方ですから」

 

 

 再び頭を下げられ、わたくしは恐縮してしまいます。

 ちょっと乱暴な一面もあるようですが、確かに親方さんは、若さんのお父様なんですね。誠実な所がそっくりです。

 けれど、ずうっと頭を下げられっ放しというのも居心地が悪くて、わたくしも頭を下げてお礼合戦に。

 それが終わったのは、連絡船の係員さんが「出航しますよー?」と、声を掛けて下さった頃でした。

 

 今日一日で色んな事が起きましたが、おかげで確信が持てました。

 わたくしは良い職人さんと出会い、そして、わたくしの為の、最高の花器を得られるのだと。

 埠頭から大きな手を振り、連絡船を見送ってくれる親方さんへと、手を振り返しながら。

 わたくしは決意を新たにします。

 

 若さんの器に見合う花を活けられるよう、精進あるのみ、ですわ!

 

 

 




 打ったね!? 親父にしか打たれたこと無いのに!(知らんわい)
 つまんない冗談はさて置き、五十鈴 華編、第三話でした。
 まぁ、職人さん系の話によくある展開でしたけど、王道には王道たる所以があるという事で、ご勘弁下さい。
 さおりん編と比べると、しっとり真面目な雰囲気の語り口ですが、それが華さんらしさであると考えます。
 そんでもって、親方さんの喋り方がやっぱりヤ○ザっぽい。アレか、足抜けしたのかな?
 次回はいよいよ華さん編の最終回。原作でのワンシーンを切り抜き、筆者なりに肉付けした上でお届けします。ちょっとだけお待ち下さい。

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