東方軌跡録   作:1103

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今回は三月精ネタです。
サニー達みたいに過ごせたら、毎日が楽しそうです。



三妖精の宝探し

ある日の事、神社にやって来た魔理沙は、ある物を持って霊夢とジンに見せていた。

 

「これが巷で噂になっている京丸牡丹だ」

 

京丸牡丹とは、最近巷で噂になっている六十年に一度咲くと言われている幻の牡丹である。

しかし、魔理沙の手に持っていたのは、花のような形をしているヘマタイトであった。

 

「これが牡丹なのか?」

 

「元々幻想郷の京丸牡丹は、これを見間違えて広まった物なんだ。だから断崖絶壁に咲いてたり、神出鬼没って伝えられていたんだよ」

 

「なるほどね、どうりで曖昧な言い伝えしか無いわけね」

 

「一体どうしたんだそれ?」

 

ジンがそう聞くと、魔理沙は自慢気に話始めた。

 

「玄武の沢で見つけたんだ。これは小さい方だが、もっとデカイのもあったぜ」

玄武の沢とは、魔法の森の奥地にある場所で、玄武が住んでいると言われている。

最も、本当に住んでいるかどうかは、一部の人物しか知らない。

 

「もっとデカイの?」

 

「ああ、三尺くらいはする物まであったぜ」

 

「三尺!? それはまたデカイわね・・・」

 

「ああ、中々貴重な物だから、見つけてラッキーだったぜ」

 

魔理沙は、とても嬉しそうに話していた。そんな魔理沙の話を盗み聞きをしている三人の妖精がいる事も知らずに。

 

―――――――――――

 

ミズナラの木の中で、サニー、ルナ、スターの三人は作戦会議をしていた。

 

「これより、京丸牡丹捜索会議を始めるわ」

 

サニーは気合いの入った声を出す。

彼女達はこの数日間、京丸牡丹を探し続けていたのだが、一向に見つからず、諦めかけていた時に、魔理沙達の会話を聞いていたのだ。

 

「玄武の沢にあったのね、どうりで中々見つからないわけね」

 

「よーし、それじゃあ早速玄武の沢に――――」

 

「ちょっと待って、彼処には玄武が住み着いているのよね? 私達だけで大丈夫かしら?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「誰かについて来てもらうとか?」

 

「誰にしよう・・・・・・」

 

三人はそれぞれ考え、同行者候補を述べて行った。

 

「魔理沙さんはどうかな? 発見者なんだし、一緒についてって貰えば――――」

 

「確かに心強いけど・・・報酬を取られそう」

 

「霊夢さんは・・・除外ね」

 

「妖狐も駄目そう、ぼったくられそうだし」

 

「うーん、そこそこ強くて、尚且つ無償で手伝ってくれる人いないかなー」

 

「「「・・・・・・あ!」」」

 

「いたじゃない一人だけ!」

 

「そうね、あの人なら無条件で手伝ってくれそうね」

 

「よーし、早速頼みにいくわよ!」

 

「「おー」」

 

こうして三人は意気揚々と、ある人物の元へと向かうのであった。

 

―――――――――――

 

再び神社に訪れた三人は、その人物に同行をお願いしていた。

 

「そう言う訳だから、一緒に来てくれるジン?」

 

「まあ別に良いが、俺はそんなに強くないぞ」

 

「大丈夫よ、いざとなったらお酒を飲んで鬼になれば」

 

「しばらくは酒は飲みたく無いんだが・・・・・・」

 

「やっぱり駄目?」

 

スターは上目遣いでジンに尋ねた。彼女はジンがこういう頼み方にめっぽう弱いと知っていたのだ。案の定、ジンはやれやれと呟きながら、二つ返事で答えた。

 

「わかった。俺で良ければ付き合う」

 

「「「やったー♪」」」

 

「ただし、こっちにも予定があるから、後日になるが構わないな?」

 

「うーん・・・それはしょうがないわね。それじゃまた今度ね」

 

「ああ、それまで準備をしっかりしておくんだぞ」

 

「「「はーい」」」

 

そう言って、三人は飛び去って行った。

こうしてジンは、サニー達と共に京丸牡丹探しを手伝う事になった。

 

―――――――――――

 

それから数日後、ジンとサニー達は京丸牡丹があるとされる玄武の沢に訪れた。

 

「本当にこんな所に京丸牡丹があるの?」

 

「魔理沙さんが言っていたんだから、間違いないわよ」

 

「ん? もしかして詳しい場所を知らないのか?」

 

「魔理沙さんが自慢に話していたのを少し聞いたぐらいだから、詳しい場所は知らないのよ」

 

(うーん、それなら魔理沙の軌跡を視た方が良いな。残っていなかったら、しらみ潰しになるが・・・取り合えずやってみよう)

 

ジンは能力を使い、魔理沙の軌跡が残っていないかを視た。すると案の定、彼女の軌跡が残っていた。

 

「魔理沙はこっちに行ったみたいだ」

 

「よーし皆、ジンの後に続くわよー」

 

「「おおー♪」」

 

先頭を歩くジンの後を、三人は楽しげに着いていった。

 

 

魔理沙の軌跡を辿ると、一つの大きな洞穴に辿り着いた。

 

「どうやらこの洞穴に入ったらしいな」

 

「中は・・・暗いわね。サニー」

 

「任せなさい! そりゃ!」

 

サニーは光を集め、洞穴の中を照らす。すると中にはヘマタイトの花が幾つも壁に埋め込まれていた。

 

「これが京丸牡丹? なんか想像とは違う・・・・・・」

 

「これはヘマタイトという鉱石だ。

魔理沙の話によると、これが牡丹のように見えたから京丸牡丹と勘違いされたらしい」

 

「そうなんだ・・・・・・あーあ、とんだ外れね」

 

残念そうにするサニー。

不憫に思ったジンは、ヘマタイトについて少し詳しく話始めた。

 

「いやそうでも無いぞ、一部のヘマタイト美的価値があってな、そういう物はは加工してアクセサリーに出来るんだ。

だからブラックダイヤとも呼ばれている」

 

「ダイヤ! それってお宝じゃない! よーし二人とも、一番大きいヘマタイトを探すわよ!」

 

ジンの話を聞いてやる気を出したサニーは、ルナとスターと共に洞穴に入った。それに続いてジンも洞穴へと入って行った。

 

 

それからしばらく経過したが、中々大きい物を見つけられず、段々と日が落ち始めて来た。

 

「おーい、そろそろ帰るぞー」

 

「「はーい」」

 

ジンの呼び声に、ルナとスターは返事をしてやって来たが、サニーの姿はなかった。

 

「あれ? サニーは?」

 

「奥の方まで行ってみたいだけど・・・・・・」

 

「しょうがない奴だな・・・呼んで来るから、お前達は外で待っていてくれ」

 

ジンは二人を外で待たせると、華仙から学んだ術で光を灯し、奥へと進んでいく。

 

「おーいサニー、そろそろ帰るぞー」

 

「ちょっと待ってー」

 

サニーの返事がした方へと歩むと、そこには何かを外そうとしているサニーの姿があった。

 

「何をしているんだお前?」

 

「これを取ろうとしたのよ」

 

彼女が見せたのは、一メートル位はある大きいなヘマタイトであった。

 

「これは凄いな・・・・・・魔理沙が言っていたのはこれの事か?」

 

「凄いでしょ! これくらいのを見せれば、皆驚くわよ」

 

そう言って、サニーは巨大なヘマタイトを岩壁から引き剥がそうとした。

 

「いや、素手じゃ無理だろ。道具か何かを―――」

 

「ここ辺りの岩壁は脆いみたいだから、簡単に剥がせるわよ」

 

その言葉に、魔理沙のある言葉が脳裏に過る。

 

『彼処は脆い地層になっているから、下手に大きいのを取ると崩れる可能性があるぜ』

 

「サニー! それを取るな!」

 

「え? キャア!」

 

ジンの静止の声は間に合わず、サニーは巨大ヘマタイトを岩壁から外してしまう。そして、地響きが鳴り響く。

 

「な、何よこれ!?」

 

「洞穴が崩れる! 逃げるぞ!」

 

「ちょ、ちょっと待って! ヘマタイトを―――」

 

「そんなのより命が大事だ!」

 

ジンはサニーの手を取り、急いで走り出した。その間も地響きは激しくなり、天井から岩が崩れ落ちてくる。

 

「うわわわ!!」

 

「くっそ!」

 

二人は天井から降り注ぐ落石をかわしながら、出口まで走った。

二人が外に出るのと同時に、洞穴は完全に崩れ落ちてしまった。

 

「サニー、大丈夫か?」

 

「え、ええ、なんとか・・・・・・」

 

「サニー! ジン!」

 

「大丈夫二人とも?」

 

幸いにも外で待っていたルナとスターは無事であり、ジンとサニーの元に駆け寄って来た。

 

「私達は大丈夫だけど・・・・・・」

 

「洞穴、崩れちゃったね」

 

「仕方ない、皆が無事で何よりだ」

 

「そうよ、それにこんなに一杯ヘマタイトが採れたんだし。今日は大収穫よ♪」

 

「そうね! よーし今日は牡丹鍋よー♪」

 

こうして、京丸牡丹探しは無事に終わり、サニー達はヘマタイトの花を持って帰って行った。

 

―――――――――――

 

それから数日後、数日前まで機嫌が良かった魔理沙だが、今日はあまり良くない様子であった。理由を聞いてみると――――。

 

「ヘマタイトがあった洞穴が崩れていてな。

あそこには特大のヘマタイトがあったのに・・・・・・」

 

「はは・・・そうか」

 

その原因を知っているジンは、視線をそらしながら苦笑いをした。

するとサニー達がやって来た。

 

「ジーン」

 

「ん? サニーか?また何か頼み事か?」

 

「違うわよ。この前の御礼をしに来たのよ」

 

「御礼?」

 

「ジンのおかげでお宝が手に入ったし、その御礼にと思って」

 

そう言ってサニーが出したのは、ヘマタイトを加工したペンダントであった。

すると魔理沙は感心するように、ペンダントを見た。

 

「へぇー、ヘマタイトのペンダントか。良いものじゃないか」

 

「そうでしょー♪」

 

「私達三人で作ったのよ」

 

「いつもジンに世話になっているから、日頃の感謝を込めて作ったの。大事にしてよね」

 

「ああ、ありがとな三人共」

 

ジンがヘマタイトのペンダントを受けとると、三人は満足そうに笑った。

 

「それじゃ私達はこれで。また何かあったら、頼みに来るから」

 

そう言って三人は、何処かへと飛んで行った。

ペンダントを受け取ったジンは、嬉しく思い。ペンダントを後生大事にしようと思うのであった。


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