本当は主人公紹介を投稿しようと思ったのですが、文字数が少なかったので、後回しにさせてもらいます。
それでは、第二話をどうぞ。
追記 大幅に修正致しました。ぶっちゃっけ、別話です。
ある日の事、ジンは日課の掃除をしていると、箒を股がった一人の少女が空からやって来た。
「おーい」
「ん? 魔理沙か」
彼女の名前は霧雨魔理沙。普通の魔法使いで、霊夢の親友でもある。
ジンが知る限り、霊夢と一番付き合いが長い人物だろう。
「今霊夢を呼んでくるから、少し待ってくれ」
「それには及ばないぜ、今回はジンに用があるんだぜ」
「俺に用?」
「まさか・・・約束を忘れたわけじゃないよな?」
魔理沙の言葉を聞いて、ジンはここ最近の出来事を思い出そうとした。
「そう言えば、何か約束していたような・・・・・・」
「おいおい! 今日はきのこ狩りを手伝う約束だろ!」
「・・・・・・・・あ」
「・・・・・あ、じゃないぜ! 私との約束を簡単に忘れるな!」
「それは悪い、本当にすまなかった」
「分かればよろしい。それじゃ、早速出発だぜ!」
「へ? ちょっと待て! 準備くらいさせ――――」
ジンが言葉を言い切る前に、魔理沙はジンの手を取り、箒を股がり空へと飛んで行ったのだ。
そして境内には、ジンが使っていた箒だけが残されて0いた。
―――――――――――
ここは魔法の森。幻想郷唯一の原生林で、多種多様のきのこが生息しきのこの産地でもある。
その森に、魔理沙とジンはやって来ていた。
「まったく、お前はいつも強引だな魔理沙」
そう言って、魔理沙を睨むジン。それに対して魔理沙は、誤魔化すように笑う。
「いや~悪い悪い、早くきのこ狩りをしたくてつい」
「きのこ狩りなんて、いつもやっているだろ?」
「私はジンと一緒にきのこ狩りがしたいんだ」
「それは、俺がレア物を見つけるのが多いからか?」
「そうだぜ。ジンの能力“珍しいきのこを見つける程度の能力”は便利だからな」
「俺の能力は、“あらゆる軌跡を視る程度の能力”だ」
「そうだったけ? まあ、どっちでも良いんだけどな」
「良くは無いだろ・・・・・」
こうして二人だけのきのこ狩りが始まった。
それからしばらく経ち、二人の篭にはきのこで一杯になっていた。
「おお! テンゲダケじゃないか!! よく見つけたな!」
「よくわからんが、毒きのこって訳か。何か食べれそうなきのこは無いのか?」
「そうだな・・・・・これとこれは食用に使えるぜ」
二人はきのこを食用と研究用に分けた。
食用はジンが、研究用が魔理沙が引き取る約束なのだ。
「いや~、ジンにはいつも助けられるな。また次も頼むぜ♪」
「それは良いが、少し疲れた・・・確か、魔理沙の家はこの近くだったよな?」
ジンのその言葉に、魔理沙の表情は険しくなった。
「あ~悪いけど、私の家は今駄目なんだ・・・・・」
「ん? 何が駄目なんだ?」
「家の天井が壊れて、しばらく入れないんだ」
「それじゃあ、魔理沙は今何処に住んでいるんだ?」
「アリスの所だぜ」
「確かアリスの家も、ここ辺りだったよな。ならそっちに行くか」
こうしてジンと魔理沙は、この森に住んでいるもう一人の魔法使い。アリス・マーガトロイドの家へと向かった。
―――――――――――
アリスの家に到着した二人、呼び鈴を鳴らすと家主であるアリス・マーガトロイド本人が現れた。
「あら、お帰り魔理沙。それにジンも来ていたのね」
「ただいまだぜアリス」
「こんにちはアリス」
「どうぞ入って、今お茶入れて来るから」
そう言ってアリスは、二人を招き入れた。
家のリビングでは、アリスが二人にお茶を振る舞い、事の経緯を聞いていた。
「なるほど、貴女も強引ね魔理沙」
「強引じゃないって。もともとそういう約束なんだし」
「それにしたって、準備くらいさせてあげなさいよ。彼丸腰なんでしょ?」
アリスの言う通り、ジンは札も浮遊玉も持っていない状態であった。
この状態で妖怪に襲われれば、逃げる事しかできないのである。
「安心しろ。その時は私が守ってやるから」
魔理沙は自信たっぷりにそう言ってのけた。その姿は、何とも頼りがいのあるものであった。
しばらく談笑をしていると、不意にジンの腹の虫が鳴る。
「・・・・・・悪い」
「ふふ、気にしないわ。そろそろお昼だし、何か御馳走するわ」
「私も手伝うぜ」
アリスと魔理沙は、キッチンの方へと向かい、昼食の準備を始めた。
二人が作ったのは、キノコのクリームパスタ。香ばしい香りと新鮮なキノコの味で、フォークがとても良く進んだ。
「うん、美味い! 美味いぞこのパスタ!」
「当然の事だぜ。なんせ私とアリスの合作だからな」
「まあ、ほとんど私が作ったんだけどね」
美味しいパスタを楽しく食べる三人。ふと、ジンはあることを思い出した。
「・・・・・・しまった。うっかり忘れていた」
「ん? 何を忘れているんだ?」
「霊夢の事だよ。何も言わずに出かけたから、きっと怒っているだろうなぁ・・・・・・」
「それについては大丈夫よ。魔理沙が何とかしてくれるから」
「私かよ!?」
「貴女さっき言ったじゃない。“私が守ってやるから”って」
「それはまあ・・・・・・」
「一応私も行ってあげるから」
「それは心強いぜ」
「やれやれ・・・・・・」
こうして三人は昼食を終えた後、博麗神社に向かう事になった。
―――――――――――
博麗神社に到着すると、案の定霊夢が鬼のような怒りのオーラを出して待ち構えていた。
「ようやく帰って来たわねぇ? 何か弁明はあるかしら?」
「いやそれは・・・・・・」
なんて言えばいいか悩んでいると、アリスが魔理沙を指をさして言う。
「魔理沙が強引に連れて行ったのよ」
「はあ!? おいアリスどういう―――――」
「元はと言えば貴女が原因なんでしょ? 責任はとるべきだと思うわ」
「だからって、そういう風に言うと―――――」
「魔理沙? 少しお話いましょうか?」
「待て霊夢! 話を聞―――――――」
「問答無用!!」
霊夢はそう言い放ち、魔理沙に弾幕勝負を仕掛けてきた。
二人が戦っている様子を、眺めながら、ジンはアリスに尋ねる。
「もしかして、最初っから魔理沙を?」
「これくらいしないと、懲りないでしょ? いい薬なると思うわ」
そう言ったアリスの顔は。とてもすがすがしい笑顔であった。
その後魔理沙は、霊夢の怒りが収まるまで、弾幕勝負に付き合わされるのであった。