東方軌跡録   作:1103

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第二話です。
本当は主人公紹介を投稿しようと思ったのですが、文字数が少なかったので、後回しにさせてもらいます。
それでは、第二話をどうぞ。

追記 大幅に修正致しました。ぶっちゃっけ、別話です。


森の魔法使い

 ある日の事、ジンは日課の掃除をしていると、箒を股がった一人の少女が空からやって来た。

 

「おーい」

 

「ん? 魔理沙か」

 

 彼女の名前は霧雨魔理沙。普通の魔法使いで、霊夢の親友でもある。

ジンが知る限り、霊夢と一番付き合いが長い人物だろう。

 

「今霊夢を呼んでくるから、少し待ってくれ」

 

「それには及ばないぜ、今回はジンに用があるんだぜ」

 

「俺に用?」

 

「まさか・・・約束を忘れたわけじゃないよな?」

 

 魔理沙の言葉を聞いて、ジンはここ最近の出来事を思い出そうとした。

 

「そう言えば、何か約束していたような・・・・・・」

 

「おいおい! 今日はきのこ狩りを手伝う約束だろ!」

 

「・・・・・・・・あ」

 

「・・・・・あ、じゃないぜ! 私との約束を簡単に忘れるな!」

 

「それは悪い、本当にすまなかった」

 

「分かればよろしい。それじゃ、早速出発だぜ!」

 

「へ? ちょっと待て! 準備くらいさせ――――」

 

 ジンが言葉を言い切る前に、魔理沙はジンの手を取り、箒を股がり空へと飛んで行ったのだ。

そして境内には、ジンが使っていた箒だけが残されて0いた。

 

―――――――――――

 

 ここは魔法の森。幻想郷唯一の原生林で、多種多様のきのこが生息しきのこの産地でもある。

その森に、魔理沙とジンはやって来ていた。

 

「まったく、お前はいつも強引だな魔理沙」

 

 そう言って、魔理沙を睨むジン。それに対して魔理沙は、誤魔化すように笑う。

 

「いや~悪い悪い、早くきのこ狩りをしたくてつい」

 

「きのこ狩りなんて、いつもやっているだろ?」

 

「私はジンと一緒にきのこ狩りがしたいんだ」

 

「それは、俺がレア物を見つけるのが多いからか?」

 

「そうだぜ。ジンの能力“珍しいきのこを見つける程度の能力”は便利だからな」

 

「俺の能力は、“あらゆる軌跡を視る程度の能力”だ」

 

「そうだったけ? まあ、どっちでも良いんだけどな」

 

「良くは無いだろ・・・・・」

 

こうして二人だけのきのこ狩りが始まった。

 

 

 それからしばらく経ち、二人の篭にはきのこで一杯になっていた。

 

「おお! テンゲダケじゃないか!! よく見つけたな!」

 

「よくわからんが、毒きのこって訳か。何か食べれそうなきのこは無いのか?」

 

「そうだな・・・・・これとこれは食用に使えるぜ」

 

 二人はきのこを食用と研究用に分けた。

食用はジンが、研究用が魔理沙が引き取る約束なのだ。

 

「いや~、ジンにはいつも助けられるな。また次も頼むぜ♪」

 

「それは良いが、少し疲れた・・・確か、魔理沙の家はこの近くだったよな?」

 

ジンのその言葉に、魔理沙の表情は険しくなった。

 

「あ~悪いけど、私の家は今駄目なんだ・・・・・」

 

「ん? 何が駄目なんだ?」

 

「家の天井が壊れて、しばらく入れないんだ」

 

「それじゃあ、魔理沙は今何処に住んでいるんだ?」

 

「アリスの所だぜ」

 

「確かアリスの家も、ここ辺りだったよな。ならそっちに行くか」

 

 こうしてジンと魔理沙は、この森に住んでいるもう一人の魔法使い。アリス・マーガトロイドの家へと向かった。

 

―――――――――――

 

 アリスの家に到着した二人、呼び鈴を鳴らすと家主であるアリス・マーガトロイド本人が現れた。

 

「あら、お帰り魔理沙。それにジンも来ていたのね」

 

「ただいまだぜアリス」

 

「こんにちはアリス」

 

「どうぞ入って、今お茶入れて来るから」

 

 そう言ってアリスは、二人を招き入れた。

 

 

 家のリビングでは、アリスが二人にお茶を振る舞い、事の経緯を聞いていた。

 

「なるほど、貴女も強引ね魔理沙」

 

「強引じゃないって。もともとそういう約束なんだし」

 

「それにしたって、準備くらいさせてあげなさいよ。彼丸腰なんでしょ?」

 

 アリスの言う通り、ジンは札も浮遊玉も持っていない状態であった。

この状態で妖怪に襲われれば、逃げる事しかできないのである。

 

「安心しろ。その時は私が守ってやるから」

 

 魔理沙は自信たっぷりにそう言ってのけた。その姿は、何とも頼りがいのあるものであった。

 しばらく談笑をしていると、不意にジンの腹の虫が鳴る。

 

「・・・・・・悪い」

 

「ふふ、気にしないわ。そろそろお昼だし、何か御馳走するわ」

 

「私も手伝うぜ」

 

 アリスと魔理沙は、キッチンの方へと向かい、昼食の準備を始めた。

 

 

 二人が作ったのは、キノコのクリームパスタ。香ばしい香りと新鮮なキノコの味で、フォークがとても良く進んだ。

 

「うん、美味い! 美味いぞこのパスタ!」

 

「当然の事だぜ。なんせ私とアリスの合作だからな」

 

「まあ、ほとんど私が作ったんだけどね」

 

 美味しいパスタを楽しく食べる三人。ふと、ジンはあることを思い出した。

 

「・・・・・・しまった。うっかり忘れていた」

 

「ん? 何を忘れているんだ?」

 

「霊夢の事だよ。何も言わずに出かけたから、きっと怒っているだろうなぁ・・・・・・」

 

「それについては大丈夫よ。魔理沙が何とかしてくれるから」

 

「私かよ!?」

 

「貴女さっき言ったじゃない。“私が守ってやるから”って」

 

「それはまあ・・・・・・」

 

「一応私も行ってあげるから」

 

「それは心強いぜ」

 

「やれやれ・・・・・・」

 

 こうして三人は昼食を終えた後、博麗神社に向かう事になった。

 

 

―――――――――――

 

 博麗神社に到着すると、案の定霊夢が鬼のような怒りのオーラを出して待ち構えていた。

 

「ようやく帰って来たわねぇ? 何か弁明はあるかしら?」

 

「いやそれは・・・・・・」

 

 なんて言えばいいか悩んでいると、アリスが魔理沙を指をさして言う。

 

「魔理沙が強引に連れて行ったのよ」

 

「はあ!? おいアリスどういう―――――」

 

「元はと言えば貴女が原因なんでしょ? 責任はとるべきだと思うわ」

 

「だからって、そういう風に言うと―――――」

 

「魔理沙? 少しお話いましょうか?」

 

「待て霊夢! 話を聞―――――――」

 

「問答無用!!」

 

 霊夢はそう言い放ち、魔理沙に弾幕勝負を仕掛けてきた。

二人が戦っている様子を、眺めながら、ジンはアリスに尋ねる。

 

「もしかして、最初っから魔理沙を?」

 

「これくらいしないと、懲りないでしょ? いい薬なると思うわ」

 

 そう言ったアリスの顔は。とてもすがすがしい笑顔であった。

その後魔理沙は、霊夢の怒りが収まるまで、弾幕勝負に付き合わされるのであった。


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