それなので今回、クランピースの愛称決めの話しを書いてみました。
ミズナラの御神木。その中にサニー、ルナ、スターの三人は暮らしていた。
今日はクラウンピースを誘ってお茶会をしていた。そんな時の事である。
「三人に折り入って相談があるだけど」
そう言ったのはクラウンピースであった。地獄から博麗神社にホームステイしているという、かなり変わった経歴をもつ妖精である。そんな彼女が、サニー達に相談を持ち掛けた。
「相談って・・・何の?」
「あたいにつける愛称についてよ」
「何でまた急に?」
「前々から思っていたけど、あたいの名前ってちょっと長くて呼びづらい気がするのよ」
「まあ確かに・・・・・・」
「時々噛みそうになるわね」
「そこで、短く呼びやすい愛称を付ければ、そんな事も無くなるし、何よりあだ名で呼ばれたい!」
クラウンピースはそう叫んだ。どうやら余程、愛称で呼ばれたいらしい。
「それはわかったけど、何で私達?」
「そうね、そういう事はジンに相談したら?」
ルナとサニーは疑問に思っていた。こういった悩み事なら、ジンは率先して協力してくれる筈、それなのに彼より自分達に相談を持ち掛けるのには、何かしらの理由があると二人は思っていた。だが―――――。
「ダメダメ、後で知らせて驚かせられないじゃない」
そんな深い理由も無く。ただジンを驚かしたい、それだけの理由であった。
「「「なるほど」」」
人を驚かしたい、悪戯したいというは妖精の本分なので、クラウンピースの理由にあっさり納得するサニー達であった。
「それでクラウンピース。貴女はどんな愛称が良いの?」
「そうねぇ・・・やっぱりいかす愛称がいいな」
「いかすあだ名?」
「例えば、ヘル・クラウン・ピースとか!」
それを聞いたサニー達は思わずずっこけた。
「いやいや、短く呼びやすい愛称なのに、どうして付け加えるのよ」
「あっ、それもそっか」
ルナの突っ込みにより、愛称第一号はこうして却下された。
「ここはやっぱり、私達みたいに省略化してみれば? サニーミルクのサニー、ルナチャイルドのルナ、そして私のスターサファイアのスターとか」
「その流れで行くと、クラウンピースだから・・・クラとか?」
スターの提案で、新たな愛称を作ったルナ。しかし、クラウンピースはあまりお気に召さなかったようである。
「うーん、ちょっと地味なような・・・・・・」
「なら、クラウンのクラとピースのピー。それを合わせてクラピーとか?」
「それちょっと変じゃない?」
その後も、色々な候補が出たが、それでも決まらず、愛称決めは暗礁に乗り上げた。
だが、その終止符を撃ったのがスターの一言であった。
「それならいっそ、下だけにしてみれば? 例えば“ピース”とか」
「「「・・・・・・それだ!!!」」」
この瞬間、クラウンピースの愛称が決定された。
――――――――――――――――
それから夕方頃、クラウンピースを迎えにジンがミズナラの御神木にやって来た。
「おーい、クラウンピース! そろそろ帰るぞー」
「あ、はーい! それじゃあ皆、今日はありがとねー」
クラウンピースの陽気な声と共に、彼女自身がミズナラの御神木から出て来た。彼女の顔は笑みに溢れており、今日も楽しく過ごせた事を容易に想像出来た。
「今日も楽しかったか?」
「うん! 皆であたいの愛称を決めてたんだよ」
「愛称?」
クラウンピースは今日の出来事をジンに話した。
「へー、それでどんな愛称になったんだ?」
ジンがそう尋ねると、クラウンピースは待ってましたと言わんばかりに、決まった愛称を自慢気に口にした。
「ピース。それがあたいの愛称だよ!」
「ピースか、良い名だ。それじゃあピース、一緒に帰ろう」
「うん!」
二人はまるで親子のように手を繋いで、神社に帰って行った。
その日から、彼女はピースと呼ばれるようになった。