独断と偏見で決めたので、これは違う、こうではないのか、という部分もあるかと思いますが、広い目で読んで頂ける幸いです。
ここは無縁塚。幻想郷と外の世界の揺らぎでもあり、名も無き外来人が弔らわれている場所でもある。
そんな場所に、霖之助は今日も掘り出し物を探していた。
「さーて、何が出るかな・・・・・・おや?」
霖之助はふと、落ちていた水晶玉を見つけ、それを拾い上げる。そして能力で鑑定をすると、彼はニヤリと笑うのであった。
――――――――――――――――
それから数日後。霖之助は拾って来た水晶玉について、遊びに来ていたジン、霊夢、魔理沙にうんちくを並べていた。
「――――――ってな訳で、これを使えば、その人のアライメント属性が分かるんだよ。なかなか面白い物だろ?」
「へー・・・確かに面白そうだな」
「ねえ? そのアライメントってなに?」
イマイチ理解が出来ていない霊夢がそう尋ねて来た。霖之助は、ここぞとばかりに解説を始めた。
「アライメントというのは、その人が社会やルール、道徳心をどう重んじているのかを、九つの属性に当て嵌めた表の事だよ。
例えば秩序・善、これは規律や決まりをしっかり守り、人を思いやる人物。ジンみたいな人間が、この属性に当てはまる」
「いや、俺はそんな高等な人間じゃないって」
「どの口が言うんだよ。まんまお前の事だろ?」
「そうか?」
「当の本人だけが知らないんじゃない? それで霖之助さん、他には無いの?」
「そうだね、逆に混沌・悪というのは、自分の事にしか関心が無く、他者を平気で傷つける。ハッキリ言って、害意しか持たない存在だ。
昔の妖怪の殆んどが、これに分類されていたんだ。
まあ、あくまで昔の話だし、今の幻想郷には殆んどいないだろうね。居たとしても、排斥されてしまうだろう」
霖之助の話を聞いて、ジンは内心安堵した。
自分は幻想郷が好きである。それを台無しにする奴等が居たとしたら、自分は容赦はしない。それが“幼い自分”だろうと、ジンは密かに思っていた。
「それで香霖、これはどう使うんだ?」
魔理沙が興味津々で尋ねて来た。どうやら、先程の話を聞いて、自分もやって見たいと思ったのであろう。
それを見据えた霖之助は、魔理沙に使い方を教えた。
「水晶に手をかざせば良いだけさ」
「こうか?」
霖之助の言われた通りに、水晶に手をかざす魔理沙。
すると、水晶が赤と紫二色に染まった。
「香霖、これは一体何の属性を示しているんだ?」
「これは、混沌・中立を示している。
この属性の人は主に、“自由主義者”や“個人主義者”が多いんだ」
霖之助の言葉に、ジンと霊夢は思いっきり納得した。
自由奔放な魔理沙に、ピッタリな属性と言えるだろう。
しかし、当の本人はやや不満があるらしい。
「混沌っていうのが納得出来ないなぁ・・・・・・」
「そう不満に思う事は無いんじゃないか? 僕は魔理沙にピッタリな属性だと思うけど」
「なら、香霖の属性は何だったんだ?」
「僕かい? 僕の属性は“中立・中立”。何処にも属さない、中立の属性なんだ」
「それって、単に無個性って事じゃないのか?」
「!!?」
魔理沙の一言は、霖之助の心を深く突き刺さり、彼を心底落ち込ませてしまう。
そんな様子を見てジンは、慌てて話題を反らした。
「そ、そうだ! 俺もやってみよう! 実際やって見ないと分からないんだし」
そう言って、ジンは水晶に手をかざした。
すると水晶は、青と藍に染まる。
「霖之助、これは?」
「ん? ああ、それは秩序・善だよ。やっぱり、ジンはそれみたいだったね」
「そうか・・・正直、自分がそんな人間だとは思っていなかった」
「それは君が、自分の事を知ろうとしていないからだよ。悪い癖だから、少しは直した方が良い」
「・・・分かった。少し頑張ってみる」
「ねぇ、私もやっても良い?」
他の人がやったのを見て、霊夢もまた興味を示していた。
霖之助は二つ返事で応える。
「構わないよ霊夢。僕自身も、君の属性には興味があるから」
「それじゃ遠慮なく」
霊夢は水晶に手をかざす。水晶は、青と紫となっていた。
「これは秩序と・・・中立?」
「そうだね。秩序・中立の属性は、情より規律やルールを優先する傾向がある人。閻魔様になるには、この属性を持たないとなれないと言われている」
「私、あんな堅物じゃないわよ!」
「あはははは! 霊夢にまったく合っていない属性だな!」
「いや、そうでも無いよ。博麗の巫女としての立場を考えるとね」
霖之助の言葉で、ジンはまたしても納得した。
彼女は博麗の巫女、それは幻想郷の秩序を守る側であり、それを破る者は無慈悲に裁く裁定者でもある。
実際にジンは、一度だけその場面に出くわしたから、実感出来ていた。
「どうしたのジン?」
考え込んでいると、霊夢が心配そうに声を掛けて来た。
ジンは、先程の考えを頭の隅にやり―――――。
「何でもない。大丈夫だよ霊夢」
そう笑って答えた。
「何だか面白そうだな。ちょっと借りるぜ香霖!」
「あっ! ちょっと魔理沙!
それは大事な商品――――」
「死ぬまで借りるだけだぜ!」
そう言って魔理沙は、水晶を持って颯爽と行ってしまった。
商品を盗られた霖之助は、ガックリと肩を落とすのであった。
――――――――――――――――
それから数週間後、魔理沙はレポートを持って博麗神社にやって来た。そのレポートの内容は、幻想郷の主要人物のアライメントをまとめた物であった。
「よくこんなにまとめたな・・・・・・」
「貴女の行動力には、感心するわ」
「人生短し、思い立ったら吉日ってね」
「それを言うなら、恋せよ乙女で――――あら?」
霊夢はふと、レポートのある部分に違和感を感じた。そこに書かれていたのは―――――。
“茨華仙、混沌・善”
“小野塚小町、秩序・善”
「どうした霊夢?」
「えっと、華仙と小町のアライメントがおかしいなって・・・・・・」
「ああそれか、私も思って何度もやらせてみたんだが、全部同じ結果だったぜ」
「何だか、らしくない結果ね・・・・・・」
二人が不思議な顔をしている最中、ジンだけは納得していた。
華仙は、端から見れば生真面目で、誠実のある人物に思えるのだが、手段を選ばない冷酷さや、怨霊を握り潰し、理に反する事をする一面が存在する。しかも、それが善行と思っているから、末恐ろしい。
この事から、秩序ではなく、それを乱す混沌なのだろう。
逆に小町の場合は、一見サボっているように見えるが、上司である映姫の勅命に関しては、手を抜かずしっかりやるという一面がある。その事から、秩序となっているのであろう。
しかし、サボっている面が目立っているため、誰もその事に気づいていないのが現状であった。
「まさか、華仙が混沌で、小町が秩序なんて。もしかしたらあの死神、人が見てない所で仕事をしてるのかしら?」
「逆に、華仙は見てない所で、色々悪い事をしてたりしてな」
「それは聞き捨てならないわ魔理沙!」
いつの間にか、当の本人がその場に居た。そして、霊夢に抗議している。
「きっと、その水晶が壊れているのよ! でなければ、私が混沌な筈が無いわ!」
「なら、もう一回やって見るか?」
「望みところよ!」
そう言って、華仙は水晶に手をかざす。しかし、結果は“混沌・善”であった。
「な、何故に~~!?」
華仙の無情の叫びが、博麗神社に響いた。
今日も平和な幻想郷である。
――――――――――――――――
オマケ。
魔理沙アライメントレポート。
属性簡易一覧(自己解釈)
秩序・善(秩序を重んじ、道徳的に行動する者。善人、聖人)
秩序・中立(秩序、或いは主君を最優先し、善悪に囚われない者。裁定者、忠臣)
秩序・悪(ルールを利用し、利益を求む者。政治家、悪代官)
中立・善(ルールは守るが、自分の考えを優先する者。ヒーロー、慈善家)
中立・中立(何処にも属さない者。あるいは日和見主義者。大衆、一般人)
中立・悪(ルールはある程度守るが、自分の保身を最優先する者。悪党、詐欺師)
混沌・善(何物にも縛られず、自分の考えを優先する者。ダークヒーロー、義賊)
混沌・中立(ルール、善悪に拘らず、自由気ままに生きる。自由人、無法者)
混沌・悪(自らの欲求を満たす事しか考え無い者。略奪者、破壊者)
キャラクター属性
博麗霊夢、秩序(幻想郷)・中立。
霧雨魔理沙、混沌・中立。
十六夜咲夜、秩序(レミリア)・中立。
魂魄妖夢、秩序(幽々子)・善。
東風谷早苗、中立・善。
鈴仙・優曇華院・イナバ、秩序(永遠亭)・善。
ルーミア、混沌・中立。
チルノ、混沌・中立。
大妖精、秩序・善。
紅美鈴、中立・善。
小悪魔、中立・中立。
パチェリー・ノーレッジ、中立・善。
フランドール・スカーレット、混沌・善。
レミリア・スカーレット、秩序・悪。
レティ・ホワイトロック、秩序(季節)・中立。
橙、秩序(藍、紫)・善。
アリス・マーガロイド、中立・善。
リリーホワイト、秩序(季節)・中立。
ルナサ・プリズムリバー、秩序・中立。
メルラン・プリズムリバー、混沌・中立。
リリカ・プリズムリバー、中立・悪。
西行寺幽々子、秩序・善。
八雲藍、秩序(紫)・善。
八雲紫、秩序・悪。
伊吹萃香、混沌・中立。
リグル・ナイトバグ、秩序(虫)・善。
ミスティア・ローレライ、秩序(鳥類)・善。
上白沢慧音、秩序(人里)・善/白沢時、秩序・暴。
因幡てゐ、中立・悪。
八意永琳、秩序(輝夜)・中立。
蓬莱山輝夜、混沌・中立。
藤原妹紅、混沌・善。
メディスン・メランコリー、秩序(人形)・善。
風見幽香、秩序(花)・善。
写命丸文、混沌・善。
小野塚小町、秩序・善。
四季映姫・ヤマザナドゥ、秩序・中立。
秋静葉、秩序(季節)・中立。
秋穣子、秩序(季節)・中立。
鍵山雛、秩序・善。
河城にとり、混沌・中立。
犬走椛、秩序(天狗社会)・善。
八坂神奈子、秩序・悪。
洩矢諏訪子、混沌・中立。
永江衣玖、秩序・善。
比那名天子、混沌・善。
キスメ、混沌・中立。
黒谷ヤマメ、混沌・中立。
水橋パルシィ、混沌・善。
星熊勇儀、混沌・中立。
古明地さとり、秩序・善。
火焔猫燐、秩序(地霊殿)・善。
霊烏路空、秩序(さとり)・善。
古明地こいし、混沌・中立。
ナズーリン、秩序・善。
多々良小傘、中立・善。
雲居一輪、中立・善。
雲山、秩序(雲居一輪)・善。
村瀬水蜜、中立・善。
寅丸星、秩序・善。
聖白蓮、秩序・善。
封獣ぬえ、混沌・中立。
姫海堂はたて、中立・善。
幽谷響子、秩序・善。
宮古芳香、秩序(霍青蛾)・中立。
霍青蛾、混沌・中立。
蘇我屠自子、秩序(神子)・悪。
物部布都、秩序(神子)・善。
豊聡耳神子、秩序・善。
二ッ岩マミゾウ、秩序・悪。
秦こころ、混沌・中立。
わかさぎ姫、秩序(魚類)・善。
赤蛮奇、中立・善。
今泉影狼、中立・中立。
九十九弁々、中立・中立。
九十九八橋、中立・中立。
鬼人正邪、混沌・善。
少名神妙丸、中立・善。
堀川雷鼓、中立・善。
宇佐見菫子、混沌・善。
青蘭、中立・善。
鈴瑚、中立・悪。
ドレミー・スゥイート、秩序・中立。
稀神サグメ、秩序・悪。
クラウンピース、秩序(ヘカーテ)・善。
純狐、中立・中立/混沌・悪(怨み度最高時)。
ヘカーティア・ラピスラズリ、中立・善。
森近霖之助、中立・中立。
サニーミルク、混沌・中立。
ルナチャイルド、中立・善。
スターサファイア、中立・悪。
茨華仙、混沌・善。
本居小鈴、中立・善。
綿月依姫、秩序・善。
綿月豊姫、中立・善。
ジン、秩序・善。
ジン(幼少時)、混沌・悪。