東方軌跡録   作:1103

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 ダンジョンズ&ドラゴンズのアライメントの項目を見て、これを東方キャラに当てはめたらどうなるんだろうと思い、今回の話しを書いてみました。
独断と偏見で決めたので、これは違う、こうではないのか、という部分もあるかと思いますが、広い目で読んで頂ける幸いです。



アライメント

ここは無縁塚。幻想郷と外の世界の揺らぎでもあり、名も無き外来人が弔らわれている場所でもある。

そんな場所に、霖之助は今日も掘り出し物を探していた。

 

「さーて、何が出るかな・・・・・・おや?」

 

霖之助はふと、落ちていた水晶玉を見つけ、それを拾い上げる。そして能力で鑑定をすると、彼はニヤリと笑うのであった。

 

――――――――――――――――

 

それから数日後。霖之助は拾って来た水晶玉について、遊びに来ていたジン、霊夢、魔理沙にうんちくを並べていた。

 

「――――――ってな訳で、これを使えば、その人のアライメント属性が分かるんだよ。なかなか面白い物だろ?」

 

「へー・・・確かに面白そうだな」

 

「ねえ? そのアライメントってなに?」

 

イマイチ理解が出来ていない霊夢がそう尋ねて来た。霖之助は、ここぞとばかりに解説を始めた。

 

「アライメントというのは、その人が社会やルール、道徳心をどう重んじているのかを、九つの属性に当て嵌めた表の事だよ。

例えば秩序・善、これは規律や決まりをしっかり守り、人を思いやる人物。ジンみたいな人間が、この属性に当てはまる」

 

「いや、俺はそんな高等な人間じゃないって」

 

「どの口が言うんだよ。まんまお前の事だろ?」

 

「そうか?」

 

「当の本人だけが知らないんじゃない? それで霖之助さん、他には無いの?」

 

「そうだね、逆に混沌・悪というのは、自分の事にしか関心が無く、他者を平気で傷つける。ハッキリ言って、害意しか持たない存在だ。

昔の妖怪の殆んどが、これに分類されていたんだ。

まあ、あくまで昔の話だし、今の幻想郷には殆んどいないだろうね。居たとしても、排斥されてしまうだろう」

 

霖之助の話を聞いて、ジンは内心安堵した。

自分は幻想郷が好きである。それを台無しにする奴等が居たとしたら、自分は容赦はしない。それが“幼い自分”だろうと、ジンは密かに思っていた。

 

「それで香霖、これはどう使うんだ?」

 

魔理沙が興味津々で尋ねて来た。どうやら、先程の話を聞いて、自分もやって見たいと思ったのであろう。

それを見据えた霖之助は、魔理沙に使い方を教えた。

 

「水晶に手をかざせば良いだけさ」

 

「こうか?」

 

霖之助の言われた通りに、水晶に手をかざす魔理沙。

すると、水晶が赤と紫二色に染まった。

 

「香霖、これは一体何の属性を示しているんだ?」

 

「これは、混沌・中立を示している。

この属性の人は主に、“自由主義者”や“個人主義者”が多いんだ」

 

霖之助の言葉に、ジンと霊夢は思いっきり納得した。

自由奔放な魔理沙に、ピッタリな属性と言えるだろう。

しかし、当の本人はやや不満があるらしい。

 

「混沌っていうのが納得出来ないなぁ・・・・・・」

 

「そう不満に思う事は無いんじゃないか? 僕は魔理沙にピッタリな属性だと思うけど」

 

「なら、香霖の属性は何だったんだ?」

 

「僕かい? 僕の属性は“中立・中立”。何処にも属さない、中立の属性なんだ」

 

「それって、単に無個性って事じゃないのか?」

 

「!!?」

 

魔理沙の一言は、霖之助の心を深く突き刺さり、彼を心底落ち込ませてしまう。

そんな様子を見てジンは、慌てて話題を反らした。

 

「そ、そうだ! 俺もやってみよう! 実際やって見ないと分からないんだし」

 

そう言って、ジンは水晶に手をかざした。

すると水晶は、青と藍に染まる。

 

「霖之助、これは?」

 

「ん? ああ、それは秩序・善だよ。やっぱり、ジンはそれみたいだったね」

 

「そうか・・・正直、自分がそんな人間だとは思っていなかった」

 

「それは君が、自分の事を知ろうとしていないからだよ。悪い癖だから、少しは直した方が良い」

 

「・・・分かった。少し頑張ってみる」

 

「ねぇ、私もやっても良い?」

 

他の人がやったのを見て、霊夢もまた興味を示していた。

霖之助は二つ返事で応える。

 

「構わないよ霊夢。僕自身も、君の属性には興味があるから」

 

「それじゃ遠慮なく」

 

霊夢は水晶に手をかざす。水晶は、青と紫となっていた。

 

「これは秩序と・・・中立?」

 

「そうだね。秩序・中立の属性は、情より規律やルールを優先する傾向がある人。閻魔様になるには、この属性を持たないとなれないと言われている」

 

「私、あんな堅物じゃないわよ!」

 

「あはははは! 霊夢にまったく合っていない属性だな!」

 

「いや、そうでも無いよ。博麗の巫女としての立場を考えるとね」

 

霖之助の言葉で、ジンはまたしても納得した。

彼女は博麗の巫女、それは幻想郷の秩序を守る側であり、それを破る者は無慈悲に裁く裁定者でもある。

実際にジンは、一度だけその場面に出くわしたから、実感出来ていた。

 

「どうしたのジン?」

 

考え込んでいると、霊夢が心配そうに声を掛けて来た。

ジンは、先程の考えを頭の隅にやり―――――。

 

「何でもない。大丈夫だよ霊夢」

 

そう笑って答えた。

 

「何だか面白そうだな。ちょっと借りるぜ香霖!」

 

「あっ! ちょっと魔理沙!

それは大事な商品――――」

 

「死ぬまで借りるだけだぜ!」

 

そう言って魔理沙は、水晶を持って颯爽と行ってしまった。

商品を盗られた霖之助は、ガックリと肩を落とすのであった。

 

――――――――――――――――

 

それから数週間後、魔理沙はレポートを持って博麗神社にやって来た。そのレポートの内容は、幻想郷の主要人物のアライメントをまとめた物であった。

 

「よくこんなにまとめたな・・・・・・」

 

「貴女の行動力には、感心するわ」

 

「人生短し、思い立ったら吉日ってね」

 

「それを言うなら、恋せよ乙女で――――あら?」

 

霊夢はふと、レポートのある部分に違和感を感じた。そこに書かれていたのは―――――。

 

“茨華仙、混沌・善”

 

“小野塚小町、秩序・善”

 

「どうした霊夢?」

 

「えっと、華仙と小町のアライメントがおかしいなって・・・・・・」

 

「ああそれか、私も思って何度もやらせてみたんだが、全部同じ結果だったぜ」

 

「何だか、らしくない結果ね・・・・・・」

 

二人が不思議な顔をしている最中、ジンだけは納得していた。

華仙は、端から見れば生真面目で、誠実のある人物に思えるのだが、手段を選ばない冷酷さや、怨霊を握り潰し、理に反する事をする一面が存在する。しかも、それが善行と思っているから、末恐ろしい。

この事から、秩序ではなく、それを乱す混沌なのだろう。

逆に小町の場合は、一見サボっているように見えるが、上司である映姫の勅命に関しては、手を抜かずしっかりやるという一面がある。その事から、秩序となっているのであろう。

しかし、サボっている面が目立っているため、誰もその事に気づいていないのが現状であった。

 

「まさか、華仙が混沌で、小町が秩序なんて。もしかしたらあの死神、人が見てない所で仕事をしてるのかしら?」

 

「逆に、華仙は見てない所で、色々悪い事をしてたりしてな」

 

「それは聞き捨てならないわ魔理沙!」

 

いつの間にか、当の本人がその場に居た。そして、霊夢に抗議している。

 

「きっと、その水晶が壊れているのよ! でなければ、私が混沌な筈が無いわ!」

 

「なら、もう一回やって見るか?」

 

「望みところよ!」

 

そう言って、華仙は水晶に手をかざす。しかし、結果は“混沌・善”であった。

 

「な、何故に~~!?」

 

華仙の無情の叫びが、博麗神社に響いた。

今日も平和な幻想郷である。

 

――――――――――――――――

 

オマケ。

魔理沙アライメントレポート。

 

属性簡易一覧(自己解釈)

 

秩序・善(秩序を重んじ、道徳的に行動する者。善人、聖人)

 

秩序・中立(秩序、或いは主君を最優先し、善悪に囚われない者。裁定者、忠臣)

 

秩序・悪(ルールを利用し、利益を求む者。政治家、悪代官)

 

中立・善(ルールは守るが、自分の考えを優先する者。ヒーロー、慈善家)

 

中立・中立(何処にも属さない者。あるいは日和見主義者。大衆、一般人)

 

中立・悪(ルールはある程度守るが、自分の保身を最優先する者。悪党、詐欺師)

 

混沌・善(何物にも縛られず、自分の考えを優先する者。ダークヒーロー、義賊)

 

混沌・中立(ルール、善悪に拘らず、自由気ままに生きる。自由人、無法者)

 

混沌・悪(自らの欲求を満たす事しか考え無い者。略奪者、破壊者)

 

キャラクター属性

 

博麗霊夢、秩序(幻想郷)・中立。

 

霧雨魔理沙、混沌・中立。

 

十六夜咲夜、秩序(レミリア)・中立。

 

魂魄妖夢、秩序(幽々子)・善。

 

東風谷早苗、中立・善。

 

鈴仙・優曇華院・イナバ、秩序(永遠亭)・善。

 

ルーミア、混沌・中立。

 

チルノ、混沌・中立。

 

大妖精、秩序・善。

 

紅美鈴、中立・善。

 

小悪魔、中立・中立。

 

パチェリー・ノーレッジ、中立・善。

 

フランドール・スカーレット、混沌・善。

 

レミリア・スカーレット、秩序・悪。

 

レティ・ホワイトロック、秩序(季節)・中立。

 

橙、秩序(藍、紫)・善。

 

アリス・マーガロイド、中立・善。

 

リリーホワイト、秩序(季節)・中立。

 

ルナサ・プリズムリバー、秩序・中立。

 

メルラン・プリズムリバー、混沌・中立。

 

リリカ・プリズムリバー、中立・悪。

 

西行寺幽々子、秩序・善。

 

八雲藍、秩序(紫)・善。

 

八雲紫、秩序・悪。

 

伊吹萃香、混沌・中立。

 

リグル・ナイトバグ、秩序(虫)・善。

 

ミスティア・ローレライ、秩序(鳥類)・善。

 

上白沢慧音、秩序(人里)・善/白沢時、秩序・暴。

 

因幡てゐ、中立・悪。

 

八意永琳、秩序(輝夜)・中立。

 

蓬莱山輝夜、混沌・中立。

 

藤原妹紅、混沌・善。

 

メディスン・メランコリー、秩序(人形)・善。

 

風見幽香、秩序(花)・善。

 

写命丸文、混沌・善。

 

小野塚小町、秩序・善。

 

四季映姫・ヤマザナドゥ、秩序・中立。

 

秋静葉、秩序(季節)・中立。

 

秋穣子、秩序(季節)・中立。

 

鍵山雛、秩序・善。

 

河城にとり、混沌・中立。

 

犬走椛、秩序(天狗社会)・善。

 

八坂神奈子、秩序・悪。

 

洩矢諏訪子、混沌・中立。

 

永江衣玖、秩序・善。

 

比那名天子、混沌・善。

 

キスメ、混沌・中立。

 

黒谷ヤマメ、混沌・中立。

 

水橋パルシィ、混沌・善。

 

星熊勇儀、混沌・中立。

 

古明地さとり、秩序・善。

 

火焔猫燐、秩序(地霊殿)・善。

 

霊烏路空、秩序(さとり)・善。

 

古明地こいし、混沌・中立。

 

ナズーリン、秩序・善。

 

多々良小傘、中立・善。

 

雲居一輪、中立・善。

 

雲山、秩序(雲居一輪)・善。

 

村瀬水蜜、中立・善。

 

寅丸星、秩序・善。

 

聖白蓮、秩序・善。

 

封獣ぬえ、混沌・中立。

 

姫海堂はたて、中立・善。

 

幽谷響子、秩序・善。

 

宮古芳香、秩序(霍青蛾)・中立。

 

霍青蛾、混沌・中立。

 

蘇我屠自子、秩序(神子)・悪。

 

物部布都、秩序(神子)・善。

 

豊聡耳神子、秩序・善。

 

二ッ岩マミゾウ、秩序・悪。

 

秦こころ、混沌・中立。

 

わかさぎ姫、秩序(魚類)・善。

 

赤蛮奇、中立・善。

 

今泉影狼、中立・中立。

 

九十九弁々、中立・中立。

 

九十九八橋、中立・中立。

 

鬼人正邪、混沌・善。

 

少名神妙丸、中立・善。

 

堀川雷鼓、中立・善。

 

宇佐見菫子、混沌・善。

 

青蘭、中立・善。

 

鈴瑚、中立・悪。

 

ドレミー・スゥイート、秩序・中立。

 

稀神サグメ、秩序・悪。

 

クラウンピース、秩序(ヘカーテ)・善。

 

純狐、中立・中立/混沌・悪(怨み度最高時)。

 

ヘカーティア・ラピスラズリ、中立・善。

 

森近霖之助、中立・中立。

 

サニーミルク、混沌・中立。

 

ルナチャイルド、中立・善。

 

スターサファイア、中立・悪。

 

茨華仙、混沌・善。

 

本居小鈴、中立・善。

 

綿月依姫、秩序・善。

 

綿月豊姫、中立・善。

 

ジン、秩序・善。

 

ジン(幼少時)、混沌・悪。


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