さっそくではありますが、ご報告があります。なんと紅魔郷ノーマルをノーコンテニュークリアーしました!
買ってから一年近くなりましたが、ようやくクリアしました。そしてフランがいるEXTRAをやってはおりますが、まだまだ先は長そうです・・・・・・。
ともかく、せっかくクリアしたので、その記念で過去編を書きました。
少し矛盾が出るかもしれませんが、気にしないで読んで頂ければ幸いです。
これはジンが幻想入りしたばかりの話である。
ある日の事、ジンは霊夢に御使いを頼まれ、人里に訪れていた。
「ふう、やっぱり神社から人里は遠いな・・・・・・もう少し近くに建てなかったのかな?」
そう愚痴りながらも、ジンはメモを確認しようとした時。ジンの視界が何かを捉えた。
「なんだ・・・・・・」
眼を凝らしながら見ると、そこには一人のメイドが立っていた。
殆どが人が和服の中、そのメイドの姿はジンから見て異様であったが、他の人は特に気にも止めなかった。
(コスプレか? ここにはそんな人も――――)
次の瞬間、そのメイドの姿は消えてしまった。普通なら何処に行ったか分からないのだが、ジンは本能的に後ろを振り向く。そこには先程のメイドいた。
「うわぁ!?」
「きゃあ!?」
ジンも驚いたが、メイドもまた驚いていた。そして、何故かジンを警戒していた。
「あ、あんたさっきそこに――――」
「貴方、どうして振り向いたの?」
「え?」
「・・・・・・」
メイドの質問の意味が分からず、立ち尽くすジン。するとメイドは再び消える。そしてジンは視線を動かすと、少し離れた場所にそのメイドがいた。
(瞬間移動? そんな漫画みたいな――――って、妖怪や空飛ぶ巫女がいるんだから、瞬間移動出来るメイドもいるかも知れないな)
「・・・・・・」
そして再びメイドが消えた。ジンはおもむろに店の屋根を見上げると、そこにメイドが立っていた。そして再び消えると、今度はジンの目の前に現れる。
「貴方・・・・・・見えているの?」
「え? 何が?」
「惚けないで、私が移動した場所を迷わず見ているじゃない」
「まあ・・・なんだ、何となくそこに居そうな気がしてな・・・・・・」
「勘・・・って感じじゃないわね。なるほど、お嬢様が気にかける訳ね」
「お嬢様?」
「お嬢様が貴方に会いたがっているわ。同行して貰えるかしら?」
「悪いが断る。霊夢に御使いを頼まれいるんでな。それに、知らない人について行くほど、俺は馬鹿じゃない」
「そう、なら――――」
次の瞬間、メイドは消えると同時に、ジンは後頭部に痛みが走った。
「な・・・ん・・・・・・」
「力ずくで連れて行くわ。悪く思わないでね」
そのメイドの言葉を最後に、ジンは意識を失った。
―――――――――――
次にジンが目を覚ました場所は、豪華に装飾された赤い部屋のソファーの上であった。
「ここは・・・・・・」
「あら、気がついたかしら」
少女の声の聞で、ジンはソファーの向かい側に、十歳ぐらいの少女がいることに気がついた。
「君は・・・・・・?」
「初めまして、私はレミリア・スカーレット。この紅魔館の主よ」
「紅魔館・・・・・・」
ジンはその名前に聞き覚えがあった。吸血鬼の姉妹がすんでいる館であると、以前霊夢に聞かされた事があった。
『いい? あそこ一体は危険だから、絶対に近づかないように』
そう念を押されていたので、ジンは一切近づかなかった。
(それじゃ、目の前にいる子が吸血鬼って訳か・・・・・・)
「意外だったかしら? 噂の吸血鬼が、こんな年端のいかない少女だったのが」
レミリアはからかうように話すが、ジンは首を横に振った。
「いや、吸血鬼っていうなら、その外見であっても不思議じゃない。見た目は少女でも、何百年も生きている。創作でもよくあったし、ましてやここは幻想郷。見た目と実年齢が釣り合わないのが殆どじゃないか?」
「ふーん、冷静なのね貴方」
「冷静かどうかは知らないが、色々ありすぎて、いちいち否定するのも馬鹿らしくなった。
ところで―――――」
「何かしら?」
「君があのメイドを使って、ここに連れて来た。目的は一体なんだ?」
ジンのその言葉を聞いて、レミリアはくすりと笑った。
「貴方に興味があった。ただそれだけよ」
「そのわりには、随分と手荒な歓迎だな」
「それについては申し訳無いわ。咲夜は貴方の能力を警戒していたから」
「俺の能力?」
「別に話しても構わないけど、どうせなら紅茶を飲みながらにしない?」
そう言って手を叩くと、先程のメイドが突然現れた。
「如何いたしましたお嬢様?」
「紅茶を淹れてちょうだい。私と彼の分を」
「畏まりました」
そう言うと次の瞬間、いつの間にか紅茶が淹れられたカップがテーブルの上に置かれていた。
「それでは失礼いたします」
そう言って、メイドは再び消えてしまったが、ジンは何故かドアの方を見てしまった。
「見えたかしら?」
「へ? 何が?」
「時間を止めた咲夜の動きが」
「時間を・・・止めた?」
「それがあのメイド――――咲夜の能力よ。厳密に言えば、空間を操って、時間を止めているんだけど」
「なんだか、漫画みたいな能力だな。かなり強い能力じゃないのか?」
「強いわ。彼女の強味は、時を止めた事を相手が認識出来ない事にあるから。でも例外があった」
「例外?」
「それは貴方の事よ。無意識であったけど、時を止めた咲夜の動きを認識出来た。だからこそ、咲夜が時を止めて通ったドアを見た」
「そんな馬鹿な、俺はただの一般人だ」
「あら、一般人でも、突然異能に目覚める時があるわ。外の世界だと、霊能力や超能力と呼ばれるらしいわね」
「でもだからって・・・・・・」
「信じられない? でも事実よ。貴方はここに来て、異能目覚めかけている。いえ、もしかしたら異能目覚めかけていたから、ここに来たのかも知れないわね」
「・・・・・・」
「まあ、いきなりこんな話をしても戸惑うだけね。
ところで提案があるんだけど」
「提案?」
「しばらく紅魔館に通いなさい。そうすれば、貴方の能力の使い方を教えてあげるわ」
「・・・・・・何でそこまでしてくれるんだ?」
「あら、最初に言った筈よ。貴方に興味があるって」
そう言って、レミリアは優雅に紅茶を飲んだ。すると突然、彼女は苦しそうにむせた。
「ゲホッ! ゴホッ! 咲夜!」
「はい、どうかなされましたお嬢様?」
「また紅茶に変な物入れたでしょ!」
「変な物は入れてはおりません。珍しい葉を見つけたので、それを使いました」
「それが変な物って言うのよー!」
先程の威厳が何処へ行ったのか、レミリアは見た目相応の態度で、咲夜に抗議していた。
「ぷっ」
ジンは、その光景がなんとも微笑ましいと感じ、思わず吹き出してしまった。
「ちょっと貴方! レディを笑うなんて、失礼よ!」
「ん? ああすまない。微笑ましくてつい」
「うー・・・これも咲夜がいけないんだからね!」
「それは申し訳ございませんお嬢様」
「だったら、今後は変な物は入れないで。わかった?」
「畏まりました」
「はぁ・・・取り合えず、今日はここまでにしましょうか、あまり引き留めていると、霊夢が心配するでしょうからね」
「あっ、御使いを頼まれいるんだった! 急いで買って帰らないと!」
「咲夜、人里まで送って上げなさい」
「畏まりましたお嬢様」
ジンは咲夜というメイドと共に、部屋から出ようとした時、ふとある事を思い出した。
「そうだ、まだ名前を教えていなかった。俺は――――」
「貴方の名前は知っているわよ。ジン・・・でしょ?」
「調べたのか?」
「まあそんなものね。気にさわったかしら?」
「いや、別にそれぐらいで怒らないさ」
そう言って、ジンはレミリアに手を差し出した。
「今後とも、よろしくなレミリア」
「ええ、よろしくねジン」
レミリアは微笑みながら、差し出されたジンの手を握り、握手を交わした。
―――――――――――
それから数日後、ジンは定期的に紅魔館に通い、能力の使い方を教えてもらっていた。
今日もまた、館の地下図書館で、レミリアの友人であるパチュリーと共にあらゆるテストを行っていた。
「ふむ・・・なるほどね」
「何かわかったか?」
「貴方の能力が何なのかがわかったわ。そうね、分類的には魔眼って言えば良いかしら」
「魔眼って・・・あの眼に宿る呪いの力って奴か?」
「ええそうよ。他にも邪眼や鬼眼なんて呼ばれているわ。ともかく、貴方の眼にはそういった類の力があるの」
「何でそんな物が俺の眼に・・・・・・」
「別に不思議な事じゃないわ。こういったものは遺伝や突然変異で得る物なのよ。だから、貴方が魔眼を手に入れても、何の不思議では無いわ。ただ――――」
「ただ?」
「あまりにも強い力が宿っている場合、力を使い過ぎると、失明をする可能性があるから注意した方が良いわ」
「何だか怖いな・・・・・・それで、俺の能力は一体何なんだ?」
「そうね・・・・・・」
パチュリーはしばらく考えてから、口を開き答えた。
「貴方の能力は過程――――軌跡を視る事が出来るのよ」
「軌跡?」
「生きとし生ける物――――いえ、この世界に存在する物全ては、そこにいるだけで世界に自分の軌跡を刻んでいるのよ」
「??」
「例えば咲夜。他の人から見れば、あたかも瞬間移動をしているように見えるけど、実際は時を止めて移動しているだけ。この世界で動いている以上、時を止めていても、その行動の記録は世界に刻まれる。軌跡としてね。
一方、霧の湖近くに住んでいる大妖精やスキマ妖怪の能力は、一時的に世界の認識外の部分で移動しているから、彼女達の軌跡は世界に残らないのよ」
「なるほど・・・時止めの移動は、咲夜自身がこの世界で移動しているから、彼女行動は軌跡として残る。一方、パチュリーが言っていた二人は移動の軌跡――――要は過程をすっ飛ばしているから、彼女達の行動は軌跡として残らない」
「そういう事。あと貴方は、未来の軌跡も視えるらしいわね」
「未来の軌跡?」
「これから世界に刻まれるであろう軌跡―――要は簡単な未来予知よ。でも、未来は不確かであるから、確実に視えるのは少し先程度みたいね」
「なんだか、とんでも無い能力だな・・・・・・」
「ええそうね・・・・・・レミィが欲しがる訳よ」
「ん? 何か言ったかパチュリー?」
「いえ何も、今日はここまでにしましょう。能力の本格的な使い方は、また後日にでも」
「わかった。また次も頼む」
ジンはその後、図書館の片付けを手伝ってから、博麗神社へと帰って行った。
―――――――――――
その日の夜。レミリアは一人テラスでワインを飲んでいた。そこに、パチュリーがやって来た。
「ここに居たのレミィ」
「あらパチェ、私に何か用?」
「レミィに聞きたい事があって」
そう言ってパチュリーはテーブルの向かい側に座る。レミリアは気にも止めず、夜空の満月を眺めていた。
「それで、聞きたい事って?」
「ジンの事よ。レミィ、貴方の目的は彼の魔眼じゃない?」
「あら? どうしてそう思ったの?」
「彼の魔眼の力は、強いて言うなら過程を知る力。それは僅かであるけど、未来の過程すらも知りえる」
「それで?」
「もし、レミィがあの眼を手に入れたら、レミィは本当に運命を自在に操る事が出来る。違うかしら?」
レミリアの能力は、確かに運命操作が可能である。しかしそれは、ほんの小さな物でしかない。例えるならば、サイコロの目を思い通りに出す程度である。大きな運命であればある程、複雑な事前準備をしなくてはならない上に、一つ間違えれば自分が望んだ運命どころか、最悪の運命を引き当ててしまう場合もある。
レミリアは運命(ゴール)は視えるが、その過程(ルート)まで詳しく視れない。それ故、彼女は全ての運命を操れないでいた。
だがもし、自分の欲しい運命の軌跡(ルート)を視れるとしたら――――。
「そうなれば、レミィの能力は正真正銘運命を操る能力になる。だから、彼の能力を目覚めさせる手助けをした。違う?」
パチュリーはそうレミリアに言うと、レミリアはクスクスと笑いだした。
「流石ねパチェ、そこまで推察するなんて」
「やっぱり・・・・・・」
「でも勘違いしないで、私は彼の眼を抉る事なんてしないわ。いいえ、彼の眼を手に入れる事は出来ないもの」
「どういう事?」
「確かに、彼の魔眼を私に移植すれば、私はあらゆる運命を操る能力得る。だけどそれは、幻想郷のバランスを大きく崩す事になる。あのスキマ妖怪も黙って無いし、それになりより―――」
レミリアは悲しそうな顔をして、月を見上げ。パチュリーにある運命の話をした。
「私がジンの眼を奪おうとしたら、彼は迷わず自分の眼を潰すわ。争いを無くすために・・・・・・。それに、私が知る運命の中で、彼の眼を得る運命は無いのよ。いえ、機会を完全に失ってしまったわ」
「機会を失った?」
「彼は幻想郷で、妖怪達に襲われ死ぬ運命であった。いえ、仮に生きていたとしても、人ならず物になっていたでしょうね。
ともかく、人間としてのジンは、幻想郷で死ぬ筈だった。だけど唯一、人のままで生きれる運命があったのよ。それが、博麗神社に辿り着く運命」
「ふーん・・・つまり、レミィが見た運命の中では、ジンがレミィの眷族になっているのもあったの?」
「ええ。他には亡霊として、蓬莱人として、完全な鬼として、怨霊として、私が視る限り、人として生きていたのは、博麗神社に辿り着く運命だけだったわ。それもほんの僅かな可能性で」
「そうだったの・・・・・・でも、それならどうして彼の手助けを?」
「強いて言うなら・・・期待かしら? もしかしたら、霊夢の所から、私の所に来てくれるかも知れないってね」
「レミィ・・・それは――――」
「分かっているわよ。こんな事をしても、確定してしまった運命は変えられない。無駄な足掻きよ」
「もしかして、レミィはジンの事が好きだったの?」
「まさか、私はそこまで軽い女では無いわ。ただ―――楽しそうって思っただけよ」
ジンがレミリアの眷族となった世界はどんな物かは、パチュリーは分からなかったが、レミリアの表情から楽しそうな世界である事が何となく理解出来た。それと同時に不安も感じた。
「レミィは、今の世界に不満?」
もしかしたらレミリアは、今いる世界が不満なのかも知れない。そう思って彼女に聞いてみた。するとレミリアは、首を横に振って答えた。
「そんな事無いわ。咲夜もいるし、パチェもいる。フラン、小悪魔、美鈴、皆がいるんだもの。不満なんて言ったらバチが当たるわ」
レミリアは笑顔で言った。確かに欲しい物は手に入らなかったが、だからと言って今の世界に不満は無いと、心の底から言ったのである。
それを聞いたパチュリーもまた、安心したかのように微笑んだ。
「そう、それなら良いわ」
「さあて、夜も長い事だし、思いっきり朝まで飲み明かすわよ! 付き合ってくれるわよねパチェ?」
「もちろん。たまには夜更かしも良いわ。とことん付き合うわレミィ」
「そうこなくっちゃ♪」
こうしてレミリアとパチュリーは、夜明けまで飲み明かすのであった。
―――――――――――
それから数週間後。
紅魔館の地下ホールで、ジンとフランが弾幕勝負をしていた。
「禁忌!“フォーオブアカインド”!」
フランがスペルカードを発動させると、彼女は四人に分身し、ジンに弾幕を放つ。
一方ジンは、この数週間教えて能力の使い方会得しており、その力をもってフラン達の弾幕の動きを予測した。
(最初は本人からの弾幕・・・次は右から・・・左へと・・・・・・)
こうしてジンは、見事にフランのスペルカードを攻略出来たのである。
「凄い♪凄い♪ 今の良くかわしたね♪」
「ま、まあな・・・・・・」
「それじゃ次は――――」
「そこまでフラン。ジンは能力に目覚めて日が浅いから、それ以上は眼に負担が掛かるわ」
止めに入ったのはレミリアであった。
まだやり足りないのか、フランはレミリアに不満を言うのであった。
「えー? まだほんのちょっとしかやってないよ?」
「それでもよ、あまりやり過ぎるとジンが失明してしまうかも知れないわ」
「はーい・・・それじゃジン。この続きはまた今度ね♪」
「あ、ああ、また今度な・・・・・・」
フランは屈託の無い笑顔を見せながら、ホールから出ていった。
彼女が出ていったのを確認すると、ジンはその場に腰を降ろした。
「ふぅ、死ぬかと思った・・・・・・」
「ごめんなさいね。あの子はまだ加減が上手く出来ないから・・・・・・」
「レミリアが謝る事じゃない。それに、おかげで眼を使いこなせるようになった」
「そう、それは良かった。・・・・・・ねえジン」
「ん?」
「時々でいいから、館に遊びに来てもらえないかしら? みんな喜ぶと思うから・・・・・・」
「良いのか? そんな簡単に遊びに来て?」
「もちろん、いつでも歓迎するわ」
「そうか、なら遊びに来るよ。約束だ」
「ええ、約束よ」
そう言ってジンは、自分の小指を差し出した。レミリアはそれに自分の小指を絡ませ、小さく指切りをしたのであった。
―――――――――――
それから時は過ぎ現在。ジンはこれから始まる宴会の準備で忙しかった。
「サニー、酒の用意は?」
「準備オーケー♪」
「針妙丸、皿の準備は?」
「こっちも大丈夫!」
「あと正邪! てめぇも働け!」
「けっ、やなこった。私は買い出しで疲れたんだよ」
働かない正邪に怒鳴りながら、ジンは着々と準備をしていった。
そんな時、ある一団がやって来た。
「こんにちはジン」
「こんにちはー♪」
「ごきげんようジン」
「邪魔するわねジン」
「こんにちはジンさん」
「どーもでーす♪」
レミリア、フラン、咲夜、パチュリー、小悪魔、美鈴六人の紅魔館一行であった。
「おっ、来たな。今回は美鈴と小悪魔も連れて来たか」
「貴方が連れて来いってうるさいから、連れて来たのよ。まったく、そんなに胸の大きい女性がいいのかしら?」
「何勘違いしているんだレミリア。俺はただ、美鈴と小悪魔が宴会に来ない事が気になっただけだ」
「この二人は門番と司書なのよ? おいそれと紅魔館から離す訳にいかないじゃない」
「それでも、またには労ってもいいんじゃないか?」
「ああ、ジンさん・・・・・・」
「貴方はまさに天使です・・・・・・」
ジンの言葉に、美鈴と小悪魔は感激して涙を流す。その様子をみていた咲夜とパチュリーは、やれやれとため息を吐く。
「ねえジン、約束の時間より早く来ちゃったけど、大丈夫だった?」
「ああそうだ!? 悪い! まだちょっと時間が掛かるんだ! 少し待っててくれないか?」
「別に構わないわ、こっちが早く来ちゃっただけだし。
でもそうね・・・待つだけってのもなんだし、手伝ってあげるわ」
「え!? そんな悪いって・・・・・・」
「どうせ、待っている間暇なんだし。それに、そんな事を言っている事態じゃないでしょ?」
「へ? それはどういう――――」
すると突然、台所からボンッという音が鳴り響いた。そして直ぐ様、血相を変えた妖狐がやって来た。
「た、たたたた大変ですジンさん!!」
「どうした!?」
「食材が爆発しました!」
「なにぃ!? 何でそんな事――――待てよ?」
そこでジンは、宴会の料理用の食材を、正邪に買いに行かせた事を思い出した。
「正邪! お前何か―――っていねぇ!?」
時は既に遅し、正邪は逃亡した後であった。
「あの野郎・・・しばらく大人しいと思ったら・・・・・・!」
「ど、どうします? 今から新しい食材買っても、調理の時間が・・・・・・」
「そ、それは・・・・・・」
ジンは恐る恐るレミリア達の方を見た。彼女達は笑顔で、ジンの言葉を待っていた。
「さて、どうするのジン?」
「・・・・・・力を貸してくれないかレミリア?」
「もちろん良いわよ」
そう言ってレミリアは、満面の笑顔で応えてくれるのであった。