織田信奈の野望~乱世に舞い降りた黒の剣士~   作:piroyuki

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キリトと直葉の珍道中?はじまりはじまりー


直葉主観もアルYO!!



そして最後には・・・にっしっし


兄妹

~那古山城下~個室茶屋

 

 

「それで、アンタはどうするのよ?」

 

 

キリトは信奈に連れられて個室茶屋に来ていた。

この個室ならば防音完備なので聞き耳を立てられることもない。会議が終わってから信奈はキリトに作戦の概要を確認しにきていた。

 

 

「俺は黒母衣衆を引き連れて浜松までいく。もちろんバラバラに行動するがな。」

 

「浜松?」

 

「そうだ。恐らく武田軍の主力は東海道から来る。」

 

「え??倉井の宣戦布告は偽りだというの?」

 

「いや、中山道からの進軍は間違いない。武田の本軍も中山道から来るはずだ。だが中山道からの攻略は厳しいと分かっているはず・・・そこで主力を東海道から上らせて織田軍を併撃する・・・山本勘助ならそういう策でくると半兵衛は考えている。」

 

「でも三河が容易く破られるとは限らないじゃない!」

 

「そうだ。でも北と東から攻撃を受けたらいまの松平の兵力では敵わない。駿河の守りは堅いが、長篠が破られたら終わりだ。駿河方面から主力、長篠方面から真田の主力・・・その二つの主力が合流すれば尾張も一気に抜かれる。」

 

「くぅっ・・・・」

 

「そこで俺達黒母衣衆の出番だ。駿河方面の東海道の守りは本多忠勝だ。ある程度は凌げると思うが長篠方面は別だ。俺達は真田を叩く。その足で駿河の主力も叩く。どうよ?」

 

「じゃ、じゃあその読みがはずれたらどうするのよ?」

 

「それならそれで俺と直葉はそのまま旅を続けて武田の本拠を襲う。」

 

「はぁ!?」

 

「躑躅ヶ崎館炎上!!なんてことになったら家族を置いていった信玄や武田の家臣は撤退してくるだろ?」

 

「そんなうまくいかないわよ!!」

 

「まぁな。・・・・・(相手はあの信玄だ。俺の知る信玄という人物は相手の裏の裏を読む人物。史実では父親を謀略によって追放して家督を得て甲信地方に一大勢力を築いた謀略家だ。どんなイレギュラーにも対処できないようでは勝てない。)」

 

「信奈、信奈の部隊に里香も連れていったほうがいい。」

 

「里香?あの子?」

 

「あぁ。里香はマスターメイサーだ。そこらの武将よりも強い。もし俺達みたいな能力を持った敵が出てきても彼女なら対処できるはずだ。」

 

「ますたぁ?うぅぅ・・・キリト語ね!・・・・五右衛門の戦った相手のこともあったわね・・・わかったわ!」

 

「あともう一人心強い男も援護に来てくれる手筈を整えてある。」

 

「もう一人?」

 

「あぁ。・・・・・甲賀を・・・義父の仇を頼む。」

 

「わかってるわよ・・・」

 

 

本当はキリトが直々に出向いて仇を取りたいに決まっている。しかし状況を鑑みてキリトはあえて他方面の作戦を重視したのだ。信奈はその心をわかっていた。

 

 

「それで、キリトは倉井がどこに現れると思ってるの?」

 

「中山道が5割、東海道が3割、長篠方面が1割・・・」

 

「随分割れてるわね。。あとの1割は?」

 

「俺の現れる場所だ。」

 

「そうよね・・・それだけ昌幸の策は読めないってことよね・・・。」

 

「あの半兵衛でさえ読み切れないんだ。仕方ないさ。」

 

「ねぇ、キリト・・・・」

 

 

信奈は立ちあがり、キリトの傍に寄った。

 

 

「アンタは・・・あたしの天下統一を見るまで・・・」

 

「あぁ、見ててやるさ。」

 

「そうじゃ・・・そうじゃない!天下統一まで絶対に傍にいなさいよね!!死んだら殺すわよ!!」

 

「ははは・・・死んだら殺せないだろ・・・」

 

 

信奈はキリトの頬を掴み、そのまま自分の胸に引き寄せた。

この男を離したくない。信奈の気持ちは自分が思っているよりもどんどんと大きくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~甲斐の国~躑躅ヶ崎館

 

 

「よぉぉう!俺のマイハニー!待ってたかい?」

 

「まいはにーとはなんじゃ!?べ、べつに遼太郎など待ってないぞ!」

 

「ったくよぉ!連れないねぇ・・・ホントは待ってたくせにぃ」

 

 

倉井は甲斐に帰還した。信玄とは2週間ぶりの再会である。

信玄は待ち遠しかったにもかかわらず相変わらず素直になれないのである。

それをジト目で見ていた才蔵は「はっ」と我にかえり跪いた。

 

 

「御館様、あまり近付くと妊娠してしまいますよ?」

 

「お、おぉ!わかっておる!そ、それより首尾はどうじゃ?」

 

「はっ!宣戦布告の儀、完遂致しました!」

 

「うむ!大義であった。出陣は2日後じゃ!ゆるりと致せ。」

 

「んじゃあ久しぶりに一緒に風呂でも入るかぁ?姫さんよぉ!」

 

「久しぶりも何も一緒に入ったことなどないわーーー!!!」

 

 

 

本当は3かいほど一緒に入ってるのは内緒のお話なのである。

 

 

 

 

 

武田軍の準備はほぼ完了していた。しかし勘助の策の為に出陣の日取りを少し遅らせていたのだ。

昌幸の策は・・・・

 

中山道を進軍する高遠城駐留の真田の先鋒2千と逍遥軒率いる偽装本隊3千、東海道を進む信玄率いる本隊1万5千、長篠の昌幸率いる陽動部隊と殲滅部隊1万。合計3万の大遠征だ。

中山道に気を取られた織田軍が後手に回るように仕向けるのが目的であり、かつての友人、倉井が来ると信じたキリトを中山道に釘付けにするのも目的だった。

倉井には東海道を守備する強敵、本多忠勝の相手をさせるのだ。

 

史実で圧倒的な勝利に終わった三方ヶ原の戦い、これは武田家史上最期の栄華だ。この再現はすべきであると踏んだ倉井はこの策に賛成、長篠の戦いは再現を避けるため、山中に陽動し、伏兵と火計で一気に殲滅する作戦にした。長篠方面の松平軍を壊滅させるのだ。

そして勘助の策を加えて一気に三河を制圧し、尾張も蹂躙しようと考えている。

 

 

 

しかし・・・・・

 

 

 

相手は天才・竹中半兵衛。そして倉井と同じく未来を知るキリト。生半可な策では看破されると予測していた。そこで上杉に停戦を取り付け、その北信濃防衛軍一万を高遠城に集結させていた。昌幸は織田軍の主力が東海道方面に来ると踏んだのである。

そしてその裏を見据えて勘助は中山道方面軍に策を施すのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~尾張の国~清州城下

 

 

キリトと直葉は行商人に偽装していた。キリトは名前を本名の「桐ケ谷和人」とし、兄妹の行商人として荷馬車と共に東海道を下っていた。

 

「お米に塩、あと胡麻と醤油と油~?」

 

「そう、このへんの行商なら差し支えないだろ。」

 

「ん~・・・まぁいっか。それにしてもお兄ちゃん・・・その服似合ってるねぇ」

 

「ははは・・・みんなが選んでくれたおかげだよ。さて、いくか」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

お兄ちゃんと二人きり・・・今回の任務がチャンスなんだから・・・

頑張るのよ!直葉!!

 

 

「ね、ねぇお兄ちゃん」

 

「ん?」

 

「私達って本当はいとこ同士じゃない?」

 

「・・・・・あぁ」

 

「従兄妹同士ってさ・・その・・・・」///

 

 

結婚・・・・って!!!ああああああたし何言ってるの!?

 

 

「そ、そういえばスグ、里香に武器作ってもらったんだよな?」

 

「え?・・・うん、まぁ・・・」

 

 

は、話を逸らされた!?

 

 

「曲刀って聞いたけど、どうなんだ?実際・・・」

 

「うーん・・・ALOで使ってた武器に近い感じだったし、結構しっくりきてるかも!」

 

「そっか。でも使い慣れた武器のほうが戦いやすいだろ?」

 

「まぁね~」

 

・・・・・・・・

お兄ちゃん・・・なんでこんなに前より普通に話してくれるようになったんだろう?前はいつも避けられてたし、挨拶すらまともにしてくれてなかったのに・・・

 

 

「それで犬千代のやつその葉っぱの鍋がうまいうまいって言ってさ」・・・

 

 

この世界に来てから?それともSAOのときに何かあったの?

 

 

「それでS級素材がさぁ「ねぇお兄ちゃん!」

 

「ん?どうしたいきなり?」

 

「お兄ちゃんさ、SAOに閉じ込められる前と今と・・・なんか変わったよね・・・」

 

「スグ・・・?」

 

「前はすごく・・・その・・・」

 

 

聞きたい・・・・でも、なんだろう・・・いっぱい話ししたいのにうまく言葉がでないよ・・・

 

 

「SAOのときにさ、ある事件があったんだよ。」

 

「・・・事件?」

 

「MMOやってたスグならわかるだろうけど、どんなオンゲーにもPKっているだろ?SAOにもPKをする連中がいたんだ。」

 

「そ・・・それって・・・」

 

「あぁ、人殺しだよ。そのPK被害に遭ったギルドのリーダーが、PK集団を牢獄にいれるアイテムを全財産叩いて買って、最前線の町でPKギルドを全員監獄エリアに送って欲しいって依頼を受けてくれる人を探しててね。」

 

「俺はその依頼を受けたんだ。その時そのPKギルド・・・タイタンズハンドのリーダーが狙ってた人がいてさ、俺はその子に近づいた。危険な目に合っているところを偶然を装ってね。・・・その子に「どうして助けてくれたんですか?」って聞かれたときにとっさに「妹に似てるから」って言っちゃったんだよ。」

 

「わ、私に!?(っていうか女の子!?!?絶対フラグ立ててそうだよ・・・お兄ちゃん)」

 

「まぁ、実際は似てなかったんだけどね。そしてその後一日だけ二人で冒険に行ってさ、その時に聞かれたんだよね。「妹さんってどんな人なんですか?」って・・・。」

 

「な・・・なんて答え・・・たの?(っていうか二人で冒険~~~!?!?)」

 

「あぁ、俺が剣道やめたときの事・・・スグは覚えてるだろ?」

 

「うん・・・忘れないよ」

 

 

あの時のことははっきり覚えてる・・・あれからお兄ちゃんは・・・

 

 

「俺はさ、ずっと剣道を続けてて、他にもやりたいことがあったんじゃないかって、スグが無理してるんじゃないかって思ってて・・・前みたいに妹を避けてしまうのは、負い目を感じてたのかもしれないって話をしたらあの子は「きっとそんなことないですよ」って言って励ましてくれてさ・・・・」

 

「・・・・・」

 

「そのときかな・・・もしSAOから戻ってスグに再会できたら、ちゃんと昔みたいに仲良くできるようにしようって、そう決めたんだ。」

 

「お兄・・・・ちゃん・・・」

 

「・・・・俺は今、スグとちゃんと仲良くできてるかな?」

 

「うん・・・充分すぎるよ・・・」

 

「そっか・・・それならよかった・・・」

 

「ほら・・・私昔からお兄ちゃんっ子だったでしょ?だ、大好きだったんだから!」

 

 

いいいいいい言っちゃった!!!言っちゃった!?!?

 

 

「はいはい、いっつもくっついてたからなースグは。」

 

「・・・・・オ、オヨメサンニナリタカッタンダカラ・・・イマダッテ・・・////」

 

「え?なんかいったか?」

 

「あ!・・え!?・・・な、なんでもないなんでもないいぃぃ!!!」ポコポコ

 

「い、痛いって!スグ!!」

 

 

兄妹として大好きっていう風に捉えてると思う・・・。でも・・・今はそれでもいい・・・昔みたいに優しいお兄ちゃんに戻ってくれた・・・きっとそれでいいんだ・・・。私達は兄妹だもん・・・・。

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

 

尾張を出て、三河の国にきた。関所の通行手形は信奈が発行してくれているから難なく抜けられた。この先は他国になる。松平の領地には初めて入る。織田家の領地は治安が行きとどいているからいいとしても他国に入れば油断は禁物だ。いつ盗賊に襲われてもいいように警戒は怠らない。

 

この日は岡崎の町で休息を取ることにした。急ぐに越したことはないが、同盟国とはいえ油断はできない。下手に急ぐ旅だとかえって怪しまれる。

岡崎の町は松平の本拠地とはいえ清州ほどの賑わいは無い。しかしこういった長閑な町もいいものだ。

 

この町の宿も質素で趣があると言えばいいのか、なかなかいい。

 

 

「お兄ちゃん、お風呂入るなら着替えはこれね!」

 

「さんきゅー」

 

 

部屋を出るとなんだか外が騒がしい感じになっている。どうやら人を探しているような感じだ。

宿の玄関に、その人探しらしき人が訪ねてきていた。

 

 

「こんな感じの方なのです!お心当たりはありませんでしょうか!?」

 

 

少し綺麗な雰囲気の女性だ。町人のようには到底見えない。

 

 

「いいえ、本日のお客様にはそのような高貴な方は来ておりませぬが・・・」

 

 

少し困ったような素振りで女将が対応していた。

 

 

「どうかしたのか?」

 

「あ、貴方様は旅の方にございますか?」

 

「はぁ、まぁそうだけど・・・」

 

「人を探しているのです・・・こんな方なのですが・・・」

 

 

その女性は人相書きのようなものを差し出してきた。

 

 

「こ・・・似顔絵・・・・ですか・・・」

 

 

その絵は筆で描いたためか、お世辞にも上手いとは言えない代物だった。しかしこの見た目はどこかで覚えがあった。

しかし・・・まさか・・・・実際その似顔絵の本人らしき人物とは会ったことはない。

 

 

「知っておられるのですか!?」

 

「いや・・・知らないな・・・」

 

「そう・・・ですか・・・失礼いたしました・・・他を当たってみます・・・」

 

 

落ち込んだ雰囲気で彼女は立ち去ろうとした。なんとなくその表情を見てキリトは声をかけた。

 

 

「あの、その探している人は・・・」

 

「はい・・・?」

 

「えっと・・・名前はなんていうんですか?」

 

「はい、お珪様です。我が国の姫君となる御方なのです・・・」

 

「そ、そうか・・・見かけたらどこ知らせればいいんだ?」

 

「あ、はい。常陸の国の者にお知らせいただければ・・・私は佐竹家家臣の真壁氏幹と申します。」

 

「わかった。俺はキリ・・・桐ケ谷和人、行商人だ。」

 

「桐ケ谷さんですね。ありがとうございます!」

 

 

(お珪様・・か。まさかな・・・違うよな。)

 

 

 

 

 

 

部屋に戻ると誰もいなかった。きっと直葉も風呂にいったのだろう。

 

 

「それにしても・・・・似てたなぁ・・・」

 

 

あの人相書きの人物には正直心当たりがあった。この世界にあんな髪型の人はいない。もしその人物があの子だったとしたら・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えていたら、庭に気配を感じた。

この雰囲気はかなりの手だれだ。まさか・・・狙われている?

敵だとしても覚られるのが早すぎる!キリトは武器を持ち、雨戸の前に構えた。

 

 

「誰だ!!!」ガラッ

 

「きゃっ・・・!!」

 

 

「き・・・君は・・・」

 

「え・・・・・?キ・・・キリト・・・さん?」

 

「シ・・・シリカ!?」

 

 

 

 

 

そこで見たのはあの人相書きに描かれていた人物・・・突然のことに驚いてしりもちをついてパン〇ィが見えてしまい、とっさに隠すシリカの姿であった。




シリカちゃんファンの皆さまお待たせしました!シリカ登場です。


というわけで今回も恒例の人物紹介!


まずはオリキャラ・・・


真壁氏幹(まかべうじもと):佐竹家臣、史実では国人・真壁家当主。佐竹義重に早くから仕え、長さ2メートルもの木杖「樫木棒」を振り回して戦場を駆け抜け、その秀でた武勇から「鬼真壁」と渾名され、恐れられたという。オリジナル設定としては女性で、身長165cm、モデル体系のぼいんぼいん。髪は長く、お珪(シリカ)の世話役兼懐刀。忠臣で武勇に優れ、お珪に仇なす者には容赦しない。


シリカ(お珪・綾野佳子):現在15歳。この世界では本名を名乗っていたが、この世界にきたときにピナがおらず、一人絶望していたところで真壁家に保護され、お珪と呼ばれるようになった。その愛くるしさから佐竹義重が気に入り、勝手に嫁にするとして迎えられようとしていたが、キリトの噂を町で耳にして国を飛び出した。武器は短剣。キリトとは一度SAOで救われ、一緒に旅をしたことがきっかけで好意を寄せており、兄のような存在として慕っている。その後もメールのやりとりをしていた模様。








ここまでくると、SAOの関係者、及び直葉がこの世界にきたきっかけがどのようなものなのかが見えている読者様もいるかもしれませんね!
まあそこは後々明かされるですよ!

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