織田信奈の野望~乱世に舞い降りた黒の剣士~   作:piroyuki

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アスナファンの皆さま大変長らくお待たせしました。


アスナの登場です。今回はアスナ視点でお送り致します。


そして新キャラの登場です。


同じ様な夢

~堺の町~南蛮商店

 

 

「それじゃエギルさん、またね!」

 

「あーアスナさん!これもってきな。嬢ちゃんの好物だ。」

 

「お好み焼きセット!!天ちゃんよろこぶよー!」

 

 

私は結城明日奈、今はたぶん18歳。

今日はエギルさんのお店で食材の仕入れ。天ちゃんとは私の住ませてもらっているドミヌス会の南蛮寺に預けられている伊達家の女の子「梵天丸」。彼女はエギルさんのお好み焼きが大好きで、相変わらず面倒見の良いエギルさんがお好み焼きセットを持たせてくれる。

 

 

 

あれから約1年・・・私は74層の・・・キリト君が単身ボスを撃破して倒れたあと、駆け寄った瞬間にこの世界に飛ばされた。

飛ばされた先は山奥で、最初は何が何だかわからなくて彷徨っていたらそこは比叡山延暦寺だった。僧兵さんに南蛮人扱いされて、付近の村でも受け入れてもらえなくて途方に暮れていた。どこにも行く場所がなかった私は1週間後、堺の町に辿りついてルイズ・フロイスさん・・・ルイと出会った。

そしてエギルさんもこの町にいて、買い物にきた里香が紀州にいるって知って・・・すごく心強かった。もしかしたらキリト君やクラインさんもこの世界に来てるんじゃないか?とか、SAOにいたみんなももしかしたらこの世界に来てるんじゃないかって考えたりもした。でも出会えたのはその二人だけだった。

ルイは私を南蛮寺に迎え入れてくれて、私は堺の町の自警団に所属することになった。

 

 

「なんだよ!明日奈ちゃん帰っちゃうのかよ!」

 

「俺達来たばっかりだぜよ!?」

 

 

エギルさんのお店を出る時に出くわしたのは岸和田城の城主、「十河一存(そごう

かずまさ)」さんと、土佐の大名「長宗我部元親」さん。

十河さんは30歳くらいで少し怖い感じ?、元親さんは私よりも少し年上らしくて海の男って感じ。

いつも断られるのを解ってるのに「うちにこないか?」って勧誘(?)してくる。エギルさんとは仲良しで、よく腕相撲とか戦談義で盛り上がってる。男の人達のそういうところ、楽しそうでなんだかうらやましい。

 

 

「天ちゃんお腹空かせてるから、もう帰りまーす!」

 

「おう!気ぃつけて帰れよ!」

 

「また遊ぶぜよ!」

 

 

二人とも気持ちいいくらいサッパリしてるんだよね。

 

 

 

一年もここで暮らしてると、沢山の知り合いができる。

漁師のマサさんは、お昼くらいに漁から帰ってきてよくお魚を持たせてくれる。

お菓子屋さんのキイちゃんは天ちゃんにって飴をくれる。

酒場の女将さんは大きな欠伸をしながらたまにはおいでって言ってくれる。たまに酔っぱらいのいざこざを収拾しにいくよ。

ほかにも沢山の人達に挨拶される。みんな気のいい人ばかり。堺の町は素敵です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クックック・・・よくぞ戻った我が眷族よ」

 

 

天ちゃんはいわゆる中二病で、本人曰く「黙示録のびぃすと」なんだって。てかこの時代に中二病があるなんてびっくりだよね!?

そして同じような髪の色だから、私を同族だと思っている。天ちゃんは私が南蛮寺にきてしばらくしてからここに来た。一緒に付き添いできた片倉小十郎さんに懇願されて、護衛もかねて天ちゃんに剣術を教えている。

最初の頃はすごく大人しかったんだけどなぁ・・・。エギルさんが広めた私の「二つ名」の所為で中二に目覚めちゃいました。

 

 

「おおおおこのみやきぃぃ!!!明日奈!はよう作れ!!」

 

「はーい。ちょっと待っててね!」

 

「ちょっと!!はい!ちょっと終わり!まだか!?」

 

「もーー!天ちゃんったら・・・すぐにはできないってばぁ・・・」

 

 

お昼ごはんがお好み焼きだと知って天ちゃんの中二病は消え、素に戻る。そんな天ちゃんも可愛いです。

 

 

「あら、お好み焼きですか。エギルさんのおソースまだありましたよね?」

 

 

この礼儀正しい人がルイ。とても綺麗で優しい宣教師さん。ここに来た天ちゃんのことを一番に理解してくれている人。

エギルさんはこの町にあった「たこ焼き」に合う「ソース」を開発してさらに「マヨネーズ」も販売、お好み焼きも発案して独占販売してます・・・すごく儲けているらしいです。エギルさんは堺の町で一番の富豪なんです。お店も服装も質素にしてるけど・・・。

 

 

「天ちゃん、マヨ持ってきて!」

 

「マヨならここじゃ!!」

 

「ふふふ、さすがですね。」

 

「当然じゃ!」

 

「ルイー、そろそろいいよー?」

 

「では、皆さんを呼びますねっ。」

 

 

この南蛮寺では、お好み焼きを焼く日には必ず来ている信者さんにも振る舞うということにしています。

みんなで焼きながら食べるからこそ美味しい。お好み焼きっていいよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リズ・・・里香が美濃の織田家に行ったのは1週間前・・・町にきた行商人が話していた噂が発端だった。

「黒の剣士キリト」・・・その人物が織田家に仕えている。

 

正直私は信じられなかった。あのキリト君が大名家に仕えるなんて考えられない。だってそうでしょ?自由気ままで人を常に避けている・・・私の知っているキリト君はそういう人だった。

それでも里香は「確かめてくる!」って言って出ていった。私だって行きたかった・・・。だけど、今の私はここを離れられない。だから伝言を頼んだんだ。「私もエギルさんも堺の町にいるよ」って。

私には片倉さんとの約束を果たす義務がある。

 

 

伊達政宗・・・彼女は母「義姫」と南蛮商人との間に産まれた子。不義の子として産まれた彼女を周囲の家臣達は疎み、彼女は居場所を無くした。左目が赤いというだけで呪われた子とされて、「遊学」と称して家を出てきたという。

片時も離れず彼女の心を癒すこと、誰にも負けない剣技を身につけること、私は彼女にそれを師事して見守る。それが片倉さんとの約束・・・。

 

 

そしてここに留まる理由はもう一つある。

この世界から脱出する方法・・・その情報収集をこの町で見つけること。私は最初、常にそれを意識の中心に置いていた・・・。

それでも全然情報なんてないし、誰も理解できる人なんていない。

もちろんキリト君に関する情報もその頃は全然入ってこなかった。

 

 

行き詰ってたからなのか、その頃・・・私は毎日毎日・・・同じ夢を見ていた。

 

 

 

 

――――

 

 

 

 

真っ暗な闇・・・闇、闇、闇。

 

私の周囲は闇に包まれていた。ただ一点、まるで闇に浮かぶ北極星のような一つの「光のようなモノ」以外はすべて闇。

最初はまったくその「光のようなモノ」に気付かないで一人蹲ってた。早く夢から覚めることを願って蹲るしかできなかった。そのうちその「光のようなモノ」に気付いた。あれはなんなんだろう?そこに向かって歩こうとしたのは何回目の夢のときだろう?

しかしその「光のようなモノ」には全然近付けない。まるで空に浮かぶ「星」のように・・・。

 

 

しばらくこの町で過ごしているうちにその夢を見る回数も減っていった。たまに見て、「光のようなモノ」を目指して歩く。

ある日その「光のようなモノ」が少し大きくなっていることに気付く。そしてそれが「一粒ではない」ことに気付く。

 

 

 

 

そして昨夜、私は闇の中にいた。

この夜の夢の闇の中はいつもと全然違ったんだ。

目の前にあるのは闇に浮かぶモニターのような画面、そのモニターが映し出しているのはとある光景だった。

 

 

 

 

 

この景色は忘れやしない・・・アインクラッド第59層「ダナク」、街道沿いにある一本の木の下一面に広がる草原、そこに寝転がっているキリト君と私・・

 

私はこのときのことを鮮明に覚えている。キリト君の言葉・・・

 

 

当時の私は攻略組にいた。アインクラッドでも大規模なギルド【血盟騎士団】の副団長、「攻略の鬼」とか「狂戦士」とか言われていた時期。

キリト君はソロで攻略組。そんな彼がここで昼寝しているのを見て頭にきた。

 

「攻略組の皆が必死に迷宮区に挑んでるのに、なんでアンタはのんびり昼寝なんてしてるのよ?」

 

そういった私にキリト君は

 

「今日はアインクラッドで最高の季節の、さらに最高の気象設定だ。こんな日に迷宮に潜っちゃもったいない。」

 

もちろん私は反論

 

「こうして無駄に時間を過ごしている間に現実世界の私達の時間は失われていくのよ!」

 

「でも今俺たちが生きているのはこのアインクラッドだ」

 

現実世界の自分しか考えてなかった私と、今を大切に生きていたキリト君・・・

 

「ほら、風も日差しもこんなに気持ちいい。アンタもこうして寝転がってみればわかるよ・・・」

 

 

彼の言葉を聞いて、気持ちのいい風、気持ちのいい日差しを感じた私は試しに寝て見たら日が暮れるまで熟睡しちゃったんだよね。

目が覚めた私は呆れた顔のキリト君に「おはよう」なんていわれちゃって・・・

 

 

 

 

その夢の中でそんな思い出が自分の頭の中で再生されていた。

天ちゃんに起こされて、私は気付いた。

 

 

「明日奈?・・・どうした?」

 

 

私、泣いてたんだ。

 

 

「あれ?うん、だいじょぶ。」

 

「クックック・・・わ、我の腹に潜む悪魔が喚いておる!我が眷属よ!早う供物の支度をせい!」

 

「あはは、わかったよ!着替えて支度するねっ」

 

「うむ!」

 

 

天ちゃんは心配そうにしていたけど、すぐにいつもの調子で部屋を出ていった。

そんなにうなされてたのかな?

心配かけちゃったかな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――キリト君・・・逢いたいよ・・・・。




恒例のキャラ紹介


十河一存:三好家一門、長慶の弟で、十河家の養子となり後を継ぐ。「鬼十河」「夜叉十河」と呼ばれる程の猛将。見た目のイメージはFF10のジェクトみたいな感じ。たまたま遊びに来た堺で明日奈と出会い一目ぼれ。姫に迎えたいと考えていた。今はよき兄貴分として見守っている。

長宗我部元親:土佐の大名。長宗我部国親の嫡男。急逝した父を継ぎ、土佐を統一した。とても軽い話し方で性格はサッパリしている。三好家とは四国の覇権を巡って争う間柄だが、十河一存とは意気投合しており、よき友。見た目のイメージは「好きっていいなよ。」に出てくる大和君を色黒にして後ろ髪を背中まで伸ばして一つに結んでいる感じ。背が高くてモデル体系って感じです。十河と同じく明日奈を口説いたけど今は諦めた模様。


結城明日奈(アスナ):この世界では最初髪型と服装で南蛮人に間違われたこともあり、本名を名乗っている。SAO時代では血盟騎士団の副団長を務め、「閃光のアスナ」の異名を持ち、ファンクラブがあるほど人気があった。この堺でも「白の閃光」という二つ名をエギルに広められ、商隊の護衛や治安維持を主に活動している。所有武器の【ランベントライト】は里香の制作物で、愛用の品。名剣クラスらしい。現在もSAO時代の服装で過ごしている。SAO原作では74層攻略後にキリトとゲーム内結婚をしている。


エギル:この世界でもエギルを名乗る。異人と間違われ、この世界に来た当初は苦労したが、今井宗久と知り合い、たこ焼きの改良で親密になる。現在はお好み焼き、ソース、マヨネーズ等のこの時代に無い商品の利権でボロ儲けし、堺衆の持つ資産の何倍もの資産を有していると言われる程の富豪らしい。SAO時代は50層アルゲードに店を持ち、キリトからの儲けのほぼ全部を中層クラスのプレイヤーに寄付していたほどの器量の持ち主。斧を扱えばSAO最強クラスの実力者。キリトの良き理解者であり、よき友。

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