織田信奈の野望~乱世に舞い降りた黒の剣士~   作:piroyuki

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ほんと毎回拙い文章ですみませぬ・・・


今回は三好の動向です


不穏な動き

信奈一行が岐阜を出立した頃、五右衛門もまた三好の動向を探るべく出立していた。

三好三人衆・・・三好長逸・三好政康・岩成友通が松永弾正久秀と通じ、三好長慶の親族を暗殺してまわっていた。それを気に病んだ長慶は病に倒れ、そのまま死去。まだ幼い三好義継を後継に立て、傀儡化していたのだ。

三好政権は足利幕府も傀儡としており、もはや足利幕府はお飾りとしての機能しか残されていなかった。

 

その三好政権をどうにかしようと動いていた将軍足利義輝もまた、松永弾正久秀によってその芽を摘まれようとしていた。

 

 

五右衛門の諜報によってそれをいち早く察知していた信奈は義輝救出を命じて、それに乗じて上洛を考えていた。そしてその最中、五右衛門はさらに陰で動いているある集団を見つけた。

京周辺で不思議な力を駆使し、三好の精鋭500騎をたった10人足らずで全滅させたという。そのリーダーは女性で、久秀と互角以上に渡り合い意気投合、現在は久秀とともに三好家に席を置いているという。

 

 

五右衛門は二条城の奥深く、一室でその集団の会話を聞いていた。

 

 

 

「間違いねぇ・・・アイツだ」

 

「そう・・・」

 

 

一人の男がその集団のリーダーと思わしき女性と話している。

 

 

「でも・・・・もう少し身辺を調べたいものね・・・。」

 

「あぁ姐さん、でもよ・・・」

 

「まちな!!・・・・・誰だい!?」

 

 

気付かれた!

 

五右衛門が気配を消しているにも関わらず、察知されることはほぼない。キリトはともかくとしても腕の立つ忍びにさえ察知できないはずなのに、看破されてしまった。腕が立つどころではない。恐らくここで一戦を交えたとしても五右衛門に勝ち目はない。

そう考えた五右衛門は即座に脱出した。

 

 

機動力には自信があった。そんじょそこらの人間では追いつけないだけの速さはあった。しかし、その相手はそれをはるかに越えていた。。。

 

 

 

「ふふふ・・・逃げられると思ったかい?」

 

「くっ・・・・・」

 

 

京の町を出た先の森でその女性に追いつかれてしまった。

顔は・・・布で隠されていて見えない。そういえばその仲間らしき男も布をかぶっていた。忍びの類だろうか?

 

「あんた・・・どこのモンだい?」

 

「・・・・・・・」

 

「へぇ・・・小さいのに度胸はあるのねぇ。」

 

 

そういうと、その女性は長槍のようなものを右手に構えた。忍びにしては得物が大き。そしてものすごい殺気、これほどの殺気を持つ者には出会ったことがない。五右衛門は自分の全身に鳥肌がたつのを感じた。なにがなんでも逃げ延びなければ・・・

 

 

一瞬武器が光った。来る!五右衛門は目くらましと煙のでる玉を投げつけ、一気に跳んだ。

 

 

「なっ!!!何を!!!!!」

 

 

どのくらい離れれば捲けるだろうか?五右衛門は自分の能力以上に速く走れるよう念じながらとにかくそこを離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~岐阜城~十兵衛の部屋

 

 

「それで・・・スグさんは後を追うですか!?馬にも乗れないのに!?」

 

「そうだよ!だからみっちゃんにお願いしてるんだよー!・・・一緒にいこうよー・・・馬に乗せてよー」

 

「しかしですねぇ・・御館様の命令に背いたらですねぇ・・・」

 

 

年の近い直葉と十兵衛は何度も手合わせや会合を重ねるうちに互いに「スグさん」「みっちゃん」と呼び合う仲になっていた。そしてこれは余談だが成政のことも「なりりん」と呼んでいる。

 

馬に乗れないことを口実にキリトに置いて行かれた直葉はどうしてもと仲の良い十兵衛に一緒にキリト一行を追う提案をしていたのだ。しかしそんなことをして信奈に見つかれば命令違反でお咎めを受けることになる。十兵衛にとって直葉がお咎めをうけるようなことになればキリトに嫌われるかもしれないということも懸念されていた。

 

 

「確かにキリト先輩のいう「アスナ」とやらも気になるですが・・・」

 

「でしょ!?だからさーーー!!」

 

「姉さま!!」

 

 

十兵衛を必死に説得していた直葉の言葉を遮るように、ねねの焦るような声が十兵衛の部屋に鳴り響いた。

 

 

「爺さまが!爺さまがーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~岐阜城~キリト仮家

 

 

「長吉さん!!!」

 

 

長吉は老いてからは織田家の家臣としても隠居に近い生活を送っていた。

最近では評定にもあまり顔をださず「これからは若いモンが織田家を支えていけ」といい、普段は近くの足軽長屋に顔を出し、武術の鍛錬の指導等を行っていた。

 

浅野家は名門とは言えないが、長らく織田家に仕える忠臣。織田家を支えてきた浅野長吉は世継ぎに恵まれず、一人娘のねねも養女として迎えており、最近はようやくキリトを迎えるに至った。長吉はその安心からか、現在はもはや隠居の身であった。日々平穏、長吉は第二の人生を満喫していた。

 

 

 

 

その平穏は、この日壊された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~近江の国~街道

 

 

「浅井と同盟か・・・」

 

「この同盟は絶対締結するわよ!」

 

「ま、いいんじゃない?」

 

 

信奈は堺に行く前に北近江の浅井と同盟を結ぶべく、直々に小谷城に出向ていた。

天下の大軍師半兵衛に無双の黒の剣士キリトを携え、浅井に力で交渉をする構えである。これは半兵衛と信奈の共同策であった。

一行の後ろにいる御輿は信奈の妹「お市」という名の信澄が入っている。

婚姻同盟ほど堅い同盟関係はない。現段階で隣接する国は伊勢と近江。東の信州は険しい山が幸いとなって堅固な国境であるため武田の侵攻はほぼ皆無。ここで浅井と組めば伊勢の北畠、南近江の六角と的を絞れる。そして上洛に一歩前進というわけだ。

 

 

「はい。浅井と戦うのは今は避けるべきです。浅井と戦えば越前の朝倉も動きます。六角、北畠、浅井のどこかと組むことは必定。それならば一番脅威となりうる浅井と組むのが得策です。」

 

「さすが半兵衛、その洞察力いいわね!キリトにはもったいないわ!」

 

「だってよ?半兵衛」

 

「うぅぅ・・・キリトさん!」

 

「わかってるよ。だめな俺を支えてくれ、半兵衛」

 

「だめなんてそんな・・・」テレ

 

「・・・・・・・・じーーー」

 

 

さっき寄った茶屋で買った団子を食べながら大人しくしていた犬千代がキリトと半兵衛をジト目で睨みつける。

そんな最中、情報収集から戻った五右衛門が目の前に現れた。

 

 

「はぁっ・・・はぁっ・・・・報告にごじゃる・・・」

 

 

五右衛門の姿はまるで捨てられた猫のようにボロボロになっていた。

その綺麗な肌は頭から流れたであろう血の痕があった。

 

 

「おい・・・五右衛門・・・お前・・・」

 

「五右衛門!?何があったの!?」

 

 

倒れそうになる五右衛門は、ふらふらになりながら話しはじめた。

 

 

「三好にいる集団の頭と思わしき女・・・相当の手だれにごじゃる・・・」

 

「三好!?おい!五右衛門それって・・・」

 

「松永・・・弾正ですか??」

 

「ちがうでござる・・・もしかしたら・・・ぅぅ・・・」

 

「も、もうしゃべるな!五右衛門!!」

 

 

倒れかかった五右衛門をキリトはすかさず抱えた。五右衛門はそのまま意識を失ってしまった。

 

 

「え!?ちょっと大丈夫なの!?」

 

「・・・五右衛門を倒すなんて、一体」

 

「くっ・・・・犬千代、五右衛門を連れて岐阜に戻れ。信奈、浅井との交渉が終わったら俺たちも岐阜に戻ろう」

 

「・・・・わかった」

 

「そうね。」

 

 

このとき、半兵衛は嫌な予感がしていた。松永弾正久秀は異国の術を使う。恐らく彼女を倒すことは厳しいであろう。しかし五右衛門をここまで追い詰めた相手は久秀ではない。三好の底が知れないということになるのだ。

そして事態はさらに悪化する・・・。

 

 

 

「お兄ちゃん!!!!」

 

「ス・・・スグ!?どうしてここに!?」

 

「長吉さんが!!長吉さんが・・・・・・!!!」

 

「義父さんが?義父さんになにがあった!?」

 

 

 

 

「長吉さんが・・・・襲われたの!!」




謎の集団の出現、会話の雰囲気でお察しの方はいるかもですけどその正体はお楽しみ。

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