織田信奈の野望~乱世に舞い降りた黒の剣士~   作:piroyuki

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墨俣築城作戦回!


さてどうする?


美濃制圧~天下布武

 

 

 

~清州城~広間

 

 

「半兵衛の言うとおり、墨俣をおさえるわよ!!」

 

 

墨俣を制する者は美濃を制す。半兵衛の言葉であった。

しかし墨俣は斎藤家の本拠「稲葉山城」から目と鼻の先である、丸見えの場所。信奈はそこに城を築くというのだ。

無謀な作戦に家臣達はリスクが高いと反論するも、そこに城を築くことも美濃攻略の最大の山場であることであるということで一蹴された。

 

 

「築城は勝家!あんたに任せるわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――昨夜―――

 

 

「ねぇお兄ちゃん?」

 

「なんだ?」

 

「墨俣の一夜城ってさ、豊臣秀吉がやるんだよね?」

 

「あぁ・・・・」

 

「いなくない??」

 

「戦死しちまったからなぁ・・・」

 

 

直葉とキリトは縁側で月を眺めながら語らっていた。

自分たちの知る墨俣築城は秀吉が成すことだった。しかし彼は既に他界。キリトと直葉はここで作戦を練る。

 

「秀吉は木材を集めた段階で部品を組み立ててそれを川をつかって運搬して一夜城を建てたんだよね?」

 

「そう。夕方までなにもなかったところに翌朝には城ができていたってわけだ。」

 

「その前に何回も失敗してるっていうことはさ・・・何人も犠牲になるんだよね?」

 

「そうなんだよ・・・そこで、俺達もちょっと働かないか?」

 

「・・・・・それだよ!!失敗無しなら犠牲もなしだよね!!」

 

「そのとうり!!」

 

 

秀吉は川並衆の前野長康達に協力してもらって作っていたことだし、顔なじみの建築技術のある町人も集めれば効率はあがる。評定で墨俣のことがあがったら動くことにした。

 

 

 

 

 

――評定後――

 

 

「六!」

 

「どうした?キリト」

 

「墨俣築城、俺たちにも手伝わせてくれ!」

 

「私一人で十分だ!」

 

「そう言うな。手柄はもちろんいらない。力になりたいんだ!頼むよ!」

 

「お・・・お前がそう言うなら・・・べ、別にイイ・・・」

 

「よっしゃ!!」

 

「・・・・・・」ジィ…

 

 

キリトは五右衛門を使って川並衆を集めた。そして直葉と成政で町人の有志を募り、信奈に与えられた3000の兵力を木材の切り出しや筏の作成などに使い、みるみるうちに作業は捗った。

決行は明後日・・・キリトは信奈の部屋に行き、一気に義龍を倒すことを進言した。

 

 

「という寸法だ。」

 

「そ・・そんなことができるの!?」

 

「あぁ、できるさ。だから信奈は俺たちを信じて敵の本軍がでてきたら側面から一気に倒してほしい。後詰めの部隊は万千代さんが指揮すれば問題ないだろう?」

 

「うーん・・・ねぇ、キリト・・・」

 

「ん?」

 

「一つ約束して・・・」

 

「なんだよ?」

 

「遠くにいかないって!」

 

「いかないよ。前にもいったろ?」

 

「うん・・・デアルカ!!」

 

 

翌日の夕刻、組みたてた資材を運び出し、作戦の準備は整った。

翌朝築城されていることに気付けば、義龍は恐らく全力で潰そうとしてくるだろう。もし全軍をだしてきたなら儲け物。十兵衛が別働隊で城を落してしまう。

斎藤軍はきっと未だキリトへの恐怖が刻み込まれている。先陣にキリトが出てくれば腰が引ける。そこを側面から信奈が突き、虚をつかれた後に信奈軍は背後にまわって退路を断ち、後詰めの本軍と墨俣の軍で一気に倒すという作戦だ。

 

 

「作戦・・・開始!!」

 

 

織田軍の筏部隊は一気に墨俣へ資材を運び込む。兵を載せた筏も共に墨俣へ。一気に作業を始め、人数もいたためか、朝が来るかなり前に築城が完了した。

その空いた時間に馬防柵や城壁の強化も行ったため、墨俣はより堅固に仕上がったのである。

 

 

翌朝、義龍は墨俣に城ができたことに驚き、頭に血が上って稲葉山にいる全軍を出して攻勢にでてきた。

予定通りだった。軍師を失った義龍はもはや丸腰も同然だったのだ。

空になった稲葉山城は十兵衛の別働隊によって制圧、義龍軍は帰る城を失う。

墨俣からの迎撃部隊は猛将勝家にキリト、犬千代そして木刀を持った直葉であった。

 

偶然なのか、どうなのか、斎藤軍の兵たちは口ぐちにこう言った。

 

 

「黒の剣士だ・・・黒の剣士キリトだ・・・!」

 

 

先の道三掃討戦において、キリトはスキルを駆使して斎藤軍の精鋭を殲滅した。そのときの姿に恐怖した兵はそれを他の兵に伝えており、士気は下がっていた。

その兵は「黒の剣士」と呼び、震えていたという。

 

 

怖気づいた斎藤軍には大将である義龍の命令も届かず、側面から一気に攻撃してきた信奈への対応も遅れて総崩れ。その戦いは一刻ほどで義龍捕縛により、織田軍の完全勝利に終わったのだった。

 

 

 

 

 

 

稲葉山城に入った信奈は道三の反対を無視し、義龍を解放。これにて美濃は織田家が支配することとなった。斎藤家の家臣も半数以上が信奈の配下に加わった。

 

 

信奈は稲葉山城を岐阜城と改名、ここに天下布武をかかげて天下統一目指していくこととなる。

 

 

「岐阜の城かぁ・・・義父の道三さん、ご感想は?」

 

「ふん・・・甘いな・・・・しかし、いい娘を持ったものだ。」

 

「幸せ者だな。おやじさん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~岐阜城~広間

 

 

 

天下布武にあたり、信奈は鉄砲隊の強化をすべく動き出した。

鉄砲鍛冶師を岐阜城に招く手配を進めたのだ。美濃を治めた織田家はかなり話題となり、諸国の大名や商家も織田家を意識するようになっていた。そんな折に信奈は腕の立つ鍛冶屋が紀州にあると聞きつけ、五右衛門を使って使者を出し、この度顔合わせと会談をすることになっていたのだ。

正面中央に信奈が座り、その後ろ両脇、右側にキリト、左側に犬千代、信奈の前右側に万千代、左側に勝家・・・十兵衛や成政、半兵衛、直葉等も同席していた。

 

 

「紀州より鍛冶師の篠崎殿が参りました。」

 

「ど・・ども!」スチャッ

 

 

どこかで見た髪の色、そしてこの気易い感覚・・・キリトは懐かしい感覚を覚えた。

 

そしてその鍛冶師は信奈の横にいるキリトに気付く。

 

 

「へっ!?キリト!?キリトだよね!?」

 

「もしかして・・・やっぱり・・・リズ!?」

 

 

 

 

 

 

ピンクの髪に奇怪な格好、そしてキリトの顔見知り・・・家臣団は目が点になっていた。




まさかのリズベットさん降臨です。



紹介コーナー

リズベット(通称リズ):本名は篠崎里香。18歳でキリトの学年一つ上。ピンクの髪はSAOでアスナにいじられたらしく、本来は茶髪。この世界では本名を名乗っている。SAOでは48層にリズベット武具店を経営しており、マスタースミスでマスターメイサー。アスナの紹介で店を訪れたキリトと出会い、自身の最高傑作を折られたことがきっかけで、共に素材を手に入れ魔剣にも劣らないとする【ダークリパルサー】を作りあげた。キリトに想いを寄せるも、アスナの想いを感じて身を引く。キリトの専属スミスで、ユニークスキルの【二刀流】はキリトとリズだけの秘密にしていたらしい。この世界でも鍛冶のスキルは健在で、素材を叩くだけで武器を作りあげてしまう。今回美濃にきたのはある理由も兼ねてとのことらしいですよ。

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