気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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最近、夜になってもなかなか眠くならない作者です。

どうしてでしょうね?普通ならば夜になると眠くなるはずなんですが、作者は眠くならないんですよぉ。
まさか、病気!?........それは流石にない、ですよね?

はい、今回はタイトルからして......予想はできますか?

ではごゆっくり


8話:出会い

時はさかのぼり───

 

 

 

 

 

「はぁ、疲れたぁ~」

 

フラフラとした足取りで道路を歩く俺。夜遅くまで、明日の文化祭の準備をしていたのだ。ちなみに高校生活で初の文化祭だ。

 

「ただいまー」

 

っと言っても俺はひとり暮らし、誰も家には居ない。中学までは家族で住んでいたのだが、俺の行く高校が実家から遠く、俺だけ引っ越してきたのだ。ひとり暮らしもなかなか悪くなく、今のところ、親の仕送りも貰いつつ、安定した生活を送っている。

 

「いただきます」

 

ご飯を食べて少し時間が経ち、その後に風呂に入る。風呂から上がって歯を磨いてから、今日は疲れたから早めに寝る。文化祭は明後日だけど、明日は予約したゲームが届くからな、早く手に入れて明日はしまくるぜ!

そんな気持ちがいっぱいで、俺はゆっくり目を閉じ、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いい朝だ...........」

 

昨日は早く寝たためか、凄く寝起きが良い。布団をたたみ、朝ごはんを作る。メニューは朝の定番とも言われる白飯、味噌汁、焼き魚........うん、なかなかのいい出来だ。

ご飯を食べ終わってから、俺は自分の部屋に行き、私服に着替える。

 

「よし、行くか!」

 

靴を履いて玄関を開ける。日差しが眩しく、ホントに良い天気だ。

 

しばらく歩き続け、俺は目的地にそろそろ着くだろうという距離まで来た。待ってろぉ!俺のゲーム達よ!

今すぐ遊んでやるぜぇ!

俺は少し走って少しでも早く行こうとする。その時、目の前に怪我をしたのか、小さい女の子が泣いていたのを見かけた。俺は驚いた。別に女の子の事で驚いた訳じゃない。

 

鉄骨。その女の子の上には、今にも崩れ落ちそうな鉄骨を、積んだワイヤーがあったのだ。もし、その鉄骨が今崩れてしまったら、女の子が危ない!

 

そして、俺の予想は当たった。

その鉄骨はバランスを崩し2、3本落ちてきたのだ。女の子の上に。

 

「っ!!!」

 

背中に急な寒気を感じた。

そして、俺は何故か咄嗟に身体が動き、女の子に接近する。そして俺はその女の子を跳ねのき、遠くに飛ばす。

この行動は俺が意識した訳じゃなかった。ただ、一瞬で出てきた『助けたい』という思いが、俺の体を動かしたのだ。

女の子はきっとこれで助かったかな。俺はそう思ったが、女の子を跳ねのいたって事は当然、鉄骨は俺に直撃した。一瞬で全身に激痛が走る。そして一瞬で.......

 

 

 

 

目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「うっ、うーん.............」

 

目を開けると、空が見えた。

あれ?俺って.......生きてるのか?身体も痛くないし、地面もちゃんも歩ける。それに.......

 

「....ここどこ?」

 

周りを見渡す。

和風な感じの家に、隣には広い庭がある。その奥には、大きくて立派な桜の木が並んでいた。

 

「桜?今って春だったっけ?」

 

そんな訳がなかった。文化祭は9月にある予定だ、それも明後日に。それなのに桜が咲いているなんて、おかしい。

 

「目が覚めたようね」

 

すると声が聞こえた。女性の声だ。

俺はちょっとビックリして、慌てて後ろを向いた。

そこには、水色を主とした着物を着ていて、ピンク色の綺麗な長い髪した、とても綺麗な女性が居た。

 

 

「えっと、あなたは.......それにここは......?」

「そうね、まずは説明からいきましょ」

 

するとその女性は、床に座り、笑顔で喋り出した。

 

「私は西行寺 幽々子。ここ、白玉楼の主よ」

「そして私が八雲 紫」

「うわぁ!」

 

突如、後ろからも声が聞こえ、俺は身体がビクッとなり、その声のする方をみる。

 

「あら紫、来てたのね」

「えぇ、さっき来たわ」

「..............」

 

俺は、どうすればいい!?なんかこの状況、凄く気まずいんだけど!

 

「えっと、幽々子さんと紫さん」

「何かしら?あと、別に呼び捨てで構わないわよ。幽々子もいいでしょ?」

「いいわよ。それで、なにかしら?」

 

え、呼び捨てでいいの?明らかに2人とも年上な感じがするんだけど。

 

「じゃあ紫、俺って」

「死んでるわ」

「..........わかった」

 

あぁ、なんか、先読みされた上に、堂々と死んでるって、言われたら結構ダメージでかいな。確かに俺は『死んでるのか?』って聞こうとした。でも先読みはやめて下さいよ。というか、死んでるのか.........。

 

「まぁまぁ、そんなに落ち込まないで。これからは亡霊としての人生を始めればいいじゃないの」

「いやもう別の意味で人生終わってますから」

 

亡霊としての人生って聞いた事ねぇよ!2回目じゃん!コンティニューしてるじゃん!嬉しくないよ!

 

「お、お客さんですか?」

 

俺が死んでる事を嘆いてると、緑を主とした着物を着ているお爺さんが出てきた。

 

「あら妖忌、久しぶりね」

 

すると紫がその妖忌と言う人に話しかける。その妖忌と言う人は紫に気づき、少し頭を下げる。

 

「こんにちは」

 

とりあえず俺も挨拶をしておく。

 

「自分はこの白玉楼の庭師をしている魂魄 妖忌じゃ。それと幽々子殿。来て早々悪いが、これから夕食の準備があるので、ここで失礼します」

 

ホントにお爺さんなのだろうか、この人。まるで執事みたいじゃん。

そして妖忌は頭を下げて、部屋から出ていった。

 

「まぁ、さっきの続きだと.....死んでる事はわかった」

「そう?ならよかった」

「いや、良くないんだけども.......まぁいい。それで、俺はここからどうすれば......?」

 

そう、この白玉楼って所に居るまではよかった。だが俺はここからどうすれば良いのかが問題だ。近くに里っぽいのがあれば良いんだが。

 

「そうねぇ。紫、あなたのスキマでなんとかならないかしら?」

「スキマ?」

「先に説明した方がよかったわね。私は妖怪、隙間の妖怪なのよ」

 

.............なるほど、意味がわからない。

 

妖怪?

 

「簡単に言うと.......ほら」

 

そう言って紫は後ろに指をさす。するとその空間に黒い線みたいな物が出てきて、そこが開いた。中には目が沢山あり、凄く不気味だ。なにこれめっさ怖い。

「これで色々出来るのよ」

「は、はぁ..........」

「まぁ、今度詳しく教えるわ」

 

多分、詳しく教わってもわからない気がする。

「それで幽々子。この人どうする?」

「そうね、もう面倒だから一緒に住まない?」

「え、い、いいのか?」

「えぇ。それに多い方が楽しいでしょ?」

 

すげぇ、なんて心の広い人なんだ。それに面倒だからって決めていいのかなぁ。まぁいい、本人が良いって言ってくれたんだ、ここはお言葉に甘えて住ませてもらおう!

 

「じゃあ、宜しくお願いします!」

「あ、そういえば名前、聞いてないわね」

「あ、あぁ。そういえばそうだな」

 

あ、自己紹介を完全に忘れてたな。

 

「俺は如月 陽斗。幽々子、これから宜しくな!」

「陽斗.......いい名前ね。こちらこそ宜しくね、陽斗」

 

 

 

 

 

これが、俺と幽々子との出会いだった。

 

 

 

 




素敵な(死んだけど)出会いですねぇ。
作者もこんな素敵な出会いがしたいです!非リアなので..........。

はい!暗くなってしまいましたね!
最近、ネタが思いつかなくなってしまいました。ヤバイヤバイ。と言っても、まだ大丈夫ですのでご安心を。

感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!


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