作者の住む場所は田舎なのでめちゃくちゃ寒いです!
皆さんは風邪を引かずに健康を維持してください!
それではごゆっくりと。
「どうやら一人で来て欲しい、とのことで」
どういう事だろうか。レミリアがわざわざ俺を呼び出すなんて。また何かの気紛れなのか、また料理のことなのだろうか。
「どうして妖斗だけなのかしら」
「そう言われましても」
流石に妙な話だと思ったのか、幽々子は聞く。だが文も詳しくは聞いていないらしくただ言葉を返すだけだ。
「...ちょっと行ってくるよ。どうせワガママお嬢様の気紛れなんだろうし。前みたいなサプライズかもな」
「まぁ、それならいいんだけどね。いいわ。いってらっしゃい」
「妖斗さん、途中までお見送りを」
「いや、大丈夫、妖夢。ありがとな」
さてと。それじゃあ行くか。
それにしても急だなぁ。さすがは紅魔館の主ってところか。こちらのことはお構い無しなのだろうか、まぁ。それがレミリアらしいっちゃらしいけど。
「行ってきます」
言葉を残し、俺は幻想郷、紅魔館へと向かった。
「じゃあ妖斗の分のお菓子は貰っちゃうかしら」
「あや、じゃあ私もいいですか?」
「......二人揃って何してんですか...はぁ」
◇ ◇ ◇
空を飛んでて思うんだ。鳥はいつもこんな絶景を眺めているんだなぁと。幻想郷は俺の生きていた世界とは違って電気なんて存在しない。都会なんて夜も明るかったりするし、ちょっと騒がしい感じもあったしな。
空に比べて幻想郷ときたら。落ち着きもあって、子供も元気に走り回って。夜になっても提灯の小さな明かりですら輝いて見えるくらい。
辺りを見渡しながら進むと、目的地である紅い館、紅魔館が見えてきた。もちろん大きな門が見えてくると同時に居眠りしているチャイナ服も見えてきた。
相変わらずだなぁ。
「めーりん。久しぶり」
地に足を付け、問題の居眠り門番に声をかける。もちろん俺の声が聞こえているわけもなくそのまま首をカクンッカクンッとしている。
「まぁ、怒られない程度でな」
「安心して。今から怒るから」
「ちょ!ビックリしたぁ。咲夜じゃないか」
「どうも。久しぶりね......こら!」
「...いったぁ!!?」
どこからとも無く現れた従者、咲夜に驚きながらも挨拶を交わす。もちろん、美鈴にお仕置きの一撃を入れると同時に。
「あ、妖斗さん。お久しぶりですね」
「お、おう。相変わらずだな」
「はいっ!」
「相変わらずじゃダメでしょうが」
「い、痛いですよぉ...」
呆れたふうに美鈴にもう一撃。もうこれは見る限り日常茶飯事なのかも知れない。
「お嬢様から聞いてるわ。妖斗が来たら通せってね」
こちらへ、と玄関の方へと手を差し伸べる。
久しぶりに中に入る紅魔館。そう言えばこうな風だったなぁと懐かしい気持ちにもなりながら咲夜のあとを着いて行く。
目の前には他の部屋とは一回り大きな扉。まさしく主の部屋だと思わざるを得ない感覚。
咲夜はノックをし、一つ言葉を発して中へと入る。
「咲夜、ありがとう。下がっていいわよ」
「はい」
扉の中にいる館の主に一礼をして、その後は一瞬で姿を消した。きっと能力を使って時を止めたのだろう。
「久しぶりね、妖斗」
「あぁ。久しぶりだな、レミリア」
ふふっ、と余裕の笑みを見せるレミリア。きっと初めてレミリアと会う奴はこのカリスマ性を感じずにはいられないだろう。いくら小さな少女とはいえ最強の吸血鬼。夜の覇者にて血を好む者。
そんなレミリアに、俺は呼ばれた。
「それで、何か伝えたいことでも?わざわざ俺を一人にしなくても」
「いいえ。あなた一人、いや。庭師も連れてきてもよかったかしら?」
「知らねぇよ。それに、幽々子はダメ、みたいな言い方だな」
「そうね。桜の亡霊は連れてこない方がいいわ」
レミリアの発言に少し、いや、かなり引っかかる。
「なんでた?」
「西行寺 幽々子の運命が、悪い方に見えたからよ」
「えっ......」
レミリアの言葉は、とてもジョークとかそんな風にはとてもじゃないが聞こえなかった。
「悪い...方向......?」
予測にもしていなかったことを聞き、無意識に口が言葉を発していた。
そして、悪い方向と聞いて、昔の事を、絶望したあの時のことを思い出してしまった。
「ど、どいうことなんだ......」
「どういうことも、その通りよ」
「それだけじゃわからないだろ。そもそも、急になんでこんな話を」
「...気まぐれだけど、あなたの運命を見てみたのよ」
後にレミリアはこう言った。
その運命だと、俺は桜の気に向かって泣いていたらしい。叫んでいるように見えたが言葉はわからず、俺の手には桜の花びらが掴まれていたそうだ。
そして、続きに幽々子の運命も見たらしく、これがまた問題だったそうだ。
幽々子も涙を流して、謝るような仕草を見せていたらしい。それも妖夢に向かってだ。その姿を見た妖夢も口を開くことなく、ただただそこに立っていただけに見える。
そして妖夢の運命を見たことで、俺に話そうと決心したらしい。
妖夢の運命を見ると、泣いている幽々子の前で立っているだけ。そこまでは幽々子と同じだ。だが、視点が違った。幽々子からは見えず、妖夢の運命に映っていたある姿。
西行妖の下で、俺が倒れている姿。
「確信はないわ。所詮は私の能力よ」
自信無さ気にレミリアは言う。
だが、レミリアの能力はかなり凄いものだと分かっている。
俺だって信じたくはない。
みんなが悲しんでいて、ましてや俺は倒れている。いったい何がどうなって、そんな運命に行き着いたのか想像すらできない。
「珍しいな。自分のことを所詮は、なんて言うなんて」
「信じたくないからよ。少なくともあんた達には世話になってるから」
「......そうか」
言葉を失う。今のこの沈黙は、いつもの雰囲気とはまるで違うもののようだ。
「...もし。もしもだ」
「.........」
「その運命が見えた、ということは、誰かが異変らしき事を起こす可能性がある、と考えてもいいのか?」
「少なくとも、あなたが倒れている時点で害のある異変の可能性はあるわ」
可能性がある。
その言葉を聞いただけでもゾッとしてしまった。
「あなたの呼んだのは、この事を伝えるためよ」
話が終わったのか、レミリアはそう告げた。
「そうか。ありがとうな」
「礼を言われることじゃないわ。そもそも、内容も縁起でもないし」
「ま、まぁな」
「あなた、今日の予定は?」
「いや、これといってなにも無いが」
「なら今日はここでゆっくりしていきなさい。せっかく呼んどいて何ももてなしが無いなんて悪いわ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「遅くなる時は、咲夜に伝えるようにさせるわ」
「助かるよ」
◇ ◇ ◇
「文さん、元気いいですね」
疲れたように妖夢は呟いた。
「そうねぇ。私たちにもうどれだけ質問したか」
「でも、満足そうに帰りましたね」
「今度は質問一つにお団子2本にしましょうか」
「それは流石に可愛そうですよ」
「あら、私は美味しい貢物があれば答えるわよ?」
あはは、と引き攣った笑顔を見せる妖夢。
「それに、そろそろね」
「ん?何がです?」
「いいえ。何でもないわ。さぁ妖夢。おやつ食べましょ」
「さっき文さんから沢山貰って食べましたよね?」
――月日は、経ち始めている。
寒くて指が震えてしまいます。
プルプルしながら文章書いてます作者です。
最近は誤字が多くて多くて。見直してはいるのですがどうも見落としがありましてね......。
意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!