長かった、長かったですよ。←(頭が悪い)
あとは本免を取りに行くために、勉強を頑張ります!←(小説を頑張れ)
あと、後書きを読んでくれると嬉しいです。
っと言うわけで、中編です!
それではごゆっくり。
「そろそろ人里、か...はぁ、はぁ」
ルーミアとの死闘(罪悪感有り)を終わらせ、俺は急いで妖夢と橙のあとを追った。だけど肝心な二人の姿が見当たらない。もう人里に到着しているならいいけど......
「とりあえず急ごう」
◇ ◇ ◇
「ふんふふーん♪......わぁ!」
鼻歌でスキップをしながら進むと、橙の目の前には目的地となる人里があった。人里と見つけて安心した橙は少し深呼吸。よし、と小さく声を出し、橙は真っ直ぐに人里へと入って行った。
もちろん安心したのは橙だけではなかった。
「陽斗さん、やりましたよ」
先ほど陽斗と離れてから少し不安になっていた妖夢も一安心していた。ここからは人里。隠れる場所は多くても逆に周りの人間に怪しまれては意味がなくなってしまう。妖夢は隠密行動の練習など経験は無く初心者である。そもそも剣士に隠密行動など必要ないと妖夢は思っていた。
意気揚々と人里に入って行く橙。そのあとを追うように妖夢も動いた。
人里には多くの店が並んでいる。魚、野菜、肉、果物が売ってあれば日用品も売られている。中にもお饅頭や茶店と休憩できるお店もあるのだ。妖夢はまず最初に果物を置いてある店に身を潜め、橙を見守った。
「最初は〜......お野菜ですね。まずはお野菜をかいましょー」
出発する時に藍から渡されたメモを見て必要なものを確認する。これを見てからがお使いだ。どこにどの店が建っているのかを探し当てるのが第二の壁である。
「や、野菜!?」
八百屋に行こうとする橙を見て妖夢は驚いていた。別に大したことではない、が、慌てる必要は少なくともあった。なぜなら妖夢の隠れているのは......
「あら妖夢ちゃん、何か買っていくかい?」
「っ!や、八百屋のお姉さん!」
いつもの感じで話しかけてきたのは、妖夢が野菜を買う時にいつもお世話になっている八百屋の看板娘だった。看板娘からすれば、いつも買ってくれる妖夢が店の近くにいればもちろん「また買いに来てくれたんだ」と思われても当然である。
「ん?どうかしたの?」
「えぇ、いや、あのぉぉぉ......すいません!ちょっとその服のあまりとか無いですか!?」
「えっとぉ、部屋の奥に一着あるけど......」
「お借りしますっ!」
「えっ、ちょっと、妖夢ちゃん!?」
全速力で店内へと入る妖夢を看板娘は見ることしか出来ず呆気にとられていた。
「おねーさん、ちょっといーですか?」
「......えっ、あ、ごほん。いらっしゃい、お嬢ちゃん。お使いかな?」
「はいっ!」
「元気がいいね、可愛らしいわ」
「えへへ〜」
元気よく返事をする橙の頭をなでなでしてあげた。心地よさそうにする橙の笑顔もまたかなりの癒し効果を持っていると思われる。
「それで、何が欲しいのかな?」
「何でも言ってください」
「あ、ようむちゃ、むぐっ!」
「どれだったかなー......あれ?おねーさん?」
橙が野菜を見ている間に、看板娘は背後から妖夢によって店の奥へと連れ去られた。当然だが、橙はその瞬間を見ていないためいきなり人がいなくなったと思っていた。だが橙の幼い思考はそんな残酷な考えをしなかった。
「おへやにわすれものでもしたんでしょうか」
とても前向きだった。
「......ぷは。ど、どうしたの?って、大丈夫だから土下座なんてしないで!?」
「大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
「いや、いいからいいから!それでどうしたの?」
土下座スタイルを止めさせようとする看板娘は必死に妖夢に顔を挙げさせるようにお願いした。やっとの事で顔を上げた妖夢は、また申し訳なさそうに説明をした。
「先程来た女の子、なんですが。初めてのお使いなんです。それで......」
「ははーん。妖夢ちゃんはあの子の護衛、見守り役ってところかしら?」
「そ、そうです!ど、どうして」
「貴女の心配そうな目を見たらすぐにわかっちゃうわよ。いいわ、合わせてあげる」
「ーーーっありがとうございます!」
「ごめんね、待たせちゃったわね」
「だいじょーぶですよ。あれ、あたらしいひとですか?」
「あ、初めまして」
バレませんように!っと願いながら小さく頭を下げて挨拶をする妖夢。いつもの緑をベースとして輻輳ではなく、今は看板娘が着ているようなエプロンに三角巾をしている。相手がいくら幼い式神、橙とはいえバレる可能性だってある。
「はじめまして!お名前はなんですか?」
「っ!?」
そしてこれである。
さすがの看板娘も予想はしていなかったらしく、手を口に当てて驚いていた。当然だが妖夢の心拍数も上がり、二人に緊張が走る。このまま黙り続けても怪しまれるし何よりそんなすぐに名前が思い浮かばない。オリジナルの名前なんて今まで妖夢は考えたことも無かった妖夢は、頭に浮かんだとりあえずの文字を続けて言った。
「よ、よう、か......妖香といいます!以後お見知りおきを」
「よーかさんですね。わたしは橙といいます。よーかさんって、よーむさんみたいなお名前ですね」
「え!いや、そ、そう、なんですか?へぇー」
もしかしてバレてるんじゃないかと言わんばかりに慌て始める妖夢。即席で考えたオリジナルの名前に看板娘も少しは感心していたがギリギリの道を通っていたそうだ。
「これとぉ、これ!くださいな」
並んでいる野菜を指でさして注文すると、看板娘はそれを手に取りカバンの中に入れてあげる。最初は何も入ってなかったカバンが徐々に大きくなっていく様子を橙は「いま、わたしはおかいものをしている!」という気持ちで楽しくなっていた。
「...お金は丁度ね。買ってくれてありがとうね。あ、そうだ。これは御守りとしてね」
「ん?なんですかこれ?」
看板娘は橙の右手を取り、なにやら紐を結び始めた。
「これはね、ミサンガって言うの」
「わぁぁ...とっても嬉しいです!」
「ミサンガはね、お願い事をして自然とミサンガが千切れたときにその願い事が叶うって言われているの」
ミサンガとは主に三色の紐を決められた順番に編んでいく編み物の一瞬である。基本的には誰かにあげたり大切な人へのプレゼントとして一緒に渡されるもある。そしてそのミサンガには、着ける時に願い事をして、ミサンガが自然と切れたときにその願い事が叶うという言い伝えがあるのだ。
「じゃあこれにはおねーさんのお願いごとがあるんですか?」
「そうね。私のお願いごとを念じておいたわ」
「おしえてください!」
「これにはね、『橙ちゃんがまた一つ大人になりますように』って念じたの」
橙ちゃんのお願いじゃなくてごめんね、と言いながら頭をなでなでする。だが橙にとってはよっぽど嬉しかったのか隠していた二本の尻尾が服の上からでもわかるようにピコピコと動いていた。
「お使い、頑張ってね」
「私、おねーさんのこと一生忘れません!よーかさんの事もです!」
「ふふ、ありがとね」
「橙ちゃんも頑張ってくださいね」
大きく手を振りながら少しずつ八百屋から離れていく。天真爛漫な笑顔を見ながら、看板娘と妖香、ではなく妖夢の二人は笑顔で見送った。その小さな背中には大きな夢と、願いのミサンガが小さく揺れていた。
「今日は迷惑をかけて申し訳ありませんでした」
「いいのいいの。今日は良い笑顔も見れたし、なにより私にも子供がいたらあんな感じなのかなーってね」
「失礼ですが、ご結婚は?」
「あの笑顔を見たら、悪くないかな?妖夢ちゃんはしないの?若旦那がいるでしょ?陽斗君?だっけ」
「よ、陽斗さん!?そそそ、そんな......!」
「照れなくていいのよ。たまに人里を二人で歩くの見てるんだから」
「いやその、あれはぁ...お買い物を」
「ちょっとからかっただけよ。ほら、橙ちゃんの護衛なんでしょ?」
「...そ、そうでした!今日はありがとうございました!」
「じゃーねー」
少し顔を赤くしながら、妖夢は橙のあとを追った。
「陽斗さん、と.........いやいやいやそんな!」
◇ ◇ ◇
「あとは......お酒ですね」
式の主である藍は橙を送る際に「今晩は鍋にしよう」と言っていたのだ。白玉楼には肉類と魚類が多めにあったため、白玉楼から肉類と魚類を出して、紫の家であるマヨヒガからは橙のお使いで買ってくる野菜とお酒を出して夜ご飯にしよう、という計画だった。
人里を歩いていると、八百屋から少し離れたところに『美酒』と書かれた看板を見つけ、橙は笑顔でそこへと向かって行った。
「見つけましたー!」
トテトテと小さな歩幅で進む橙。その姿を見る周りの人間はまるで我が子を見守るように微笑ましい表情をする者もいた。
もちろん、その姿を見たのは人間だけではなく......。
「そろそろ、私の出番かしら?」
密かに見守っていた、西行寺幽々子の姿があった。
かなりの無理矢理感、このままじゃダメな気がする......。
さて、ここで1つ報告を。
この作品のコメントで「生きてた時の話で、どうしてこうなったのかの説明が無くて難しい」という事がありました。正直、自覚はあります。
なので、3月20日の夜8時~9時の間に『13・5話』を投稿します。シリアスを書くのが苦手だったので、変な文章になると思いますが、読んで下さる方は暖かい目で見てください。もし何かがあれば日にちや時間が変わるかもしれませんが、できるだけ上の時間にやるように頑張ります。
長々とすみません。
意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!