気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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皆さん、明けましておめでとうございます!
もう一年がたちましたね。早い早い。作者も学生から卒業へと向かっていますよ。思い出を作らねば!(友達いない)

っと言うわけで特別編!
それではごゆっくり.........。


特別編:白玉楼に新年とアレが来たら

 

 

外の世界では、新しい年、お正月が来たそうだ。

 

それは同時に、白玉楼にもお正月が来たのだ。

 

「あけまして」

「「おめでとうございます」」

 

幽々子の声の後に俺と妖夢は続けて言葉を言った。

正月の事なんてはっきり言うと完全に忘れていたが、新年早々、みんな元気で何よりだと思う。

 

「挨拶もしたし、ご飯にしましょー」

「早いな。さすがにまだ出来てないだろ?」

「幽々子様のことだと思い、もう出来てますよ」

「.........」

「さすがねーよーむ」

 

本当にすごいと思った。

妖夢は正座した状態から立ち上がり、台所まで動いた。やっぱり幽々子とこうも長く一緒にいると、お互いの考えがわかったりするもんなんだな。そう思って間もなく、妖夢はかなりの量のお節、お蔵に、餅を手に運んできた。半霊の上にもお茶が乗っかっていてとても器用に運んでいたのを見て、俺は少し笑いそうになった。

 

「す、すごい量だな」

「はい!頑張って作りましたよ」

「妖夢ったら張り切っちゃって」

「も、もしかして少なかったですか!?」

「んーん。違うわ。妖夢の愛のことよ」

 

平気な顔でとんでもないことを言う幽々子に、妖夢は恥ずかしかったのか顔を隠した。それを見て幽々子は抱きついて顔を押し当てていた。

 

「新年早々、妖夢の照れ顔なんていいわね〜」

「ちょっ、幽々子様っ!やめて下さい陽斗さんがガン見してますので!」

「ガン見はしてないぞ!?」

 

見ていて和んでいただけだから!

 

「幽々子様、早く食べないと冷めてしまいます!」

「あらー、それは大変ね。じゃあ食べましょ」

 

幽々子は妖夢を解放すると、すぐさま右手には箸をスタンバイさせ、いつでも食べる準備が出来ていた。

 

「それじゃあ、いただきまーす」

「作ってくれてありがとな妖夢。いただきます」

「どうぞ、たくさん食べてくださいねっ」

 

 

朝から二人の笑顔が見れて、とても楽しい時間が過ごせた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

白玉楼に、アレが届いた。

 

 

 

 

「あけましておめでとう、ヤクモ郵便でーす」

「なんだよヤクモ郵便って。あけましておめでとう」

「実は、あなた達にあげたら面白そうな物があるから届けに来たわ。はいこれ」

「面白そうなもの......ってデカ!」

「じゃあね〜」

「ちょ、紫待てよ!...行ったか......」

 

 

スキマから落とされたある大きな荷物。明らかに怪しかった。なぜなら紫から渡された物であり、『面白そう』という言葉に悪意しか感じない。うわーこえーよ。なんだよこれ、ダンボールって事は外の世界の道具なのか?

 

「......開けてみるか」

 

恐る恐るダンボールを開ける。

 

「こ、これって.........っ!」

 

 

中身を見た俺は、喜びと同時に、恐怖を感じた。

 

───紫......やってくれたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら陽斗、それどうしたの?」

 

俺はすぐにアレを使っていた。当然幽々子は外の世界の道具を知らない為、疑問を持つことしかできない。

 

「そうだな。とりあえず使ってみなよ。俺は出るから」

「じゃあお言葉に甘えて〜」

 

俺はすぐさまその場から離れ、幽々子はアレに足から入っていった。それと同時に、幽々子は感じ取った。これがどれだけ人を、亡霊をダメにする物なのかを感じた。

 

「なに、これ......!」

 

幽々子は完全にアレに堕ちていった。身も心も、全ての力が吸い取られていくような感覚になり、幽々子の表情もいつもの大人しさを無くして笑顔が緩くなった感じになっていた。



アレにより、俺と幽々子が堕とされてしまった。

 

 

 

 

 

「うーさむっ。そろそろ休憩にしましょう」

 

庭の手入れが終わった妖夢は、部屋の中に入ろうとした。だがその時、妖夢の視界にはだらけきった幽々子と俺を見て少し呆れていた。

 

「...何してるんですか?」

「あらーよーむぅ、あなたもどーお?」

「ごめんな妖夢。コイツには勝てない......」

「よ、陽斗さんまで。そもそもなんですか、これ」

 

アレに指を指して首を横に傾げた。あまりにも怪しい物。見たことのない妖夢には訳もわからないだろう。

疑問を持つ妖夢に、幽々子はアレの名前を答えた。

 

「外の世界の道具で、こたつって言うらしいわぁ」

「こたつ、ですか.........」

 

そう。紫が送り付けてきた物。亡霊をダメにした道具の正体。外の世界でも最強の名を持つ物。

 

 

 

 

──こたつ。

 

こたつとは、電気を利用して中を暖かくして使う物だ。電気を利用することを知っていた俺は、なぜこれが動いているのか疑問に思って中を確認したところ、コンセントのある部分になぜか紫のスキマが展開されていた。これを見た瞬間、俺の予想だが、外の世界のどこかのコンセントを借りているんじゃないかと考えたが細かいことはいいだろうと思って放棄した。

 

「暖かいわよ〜」

「そんな、机にお布団を付けただけじゃないですか。それに私はまだ掃除が残ってますので」

「じゃあ今日はサボっていいわよぉ」

「いやいやいや!幽々子様のお庭ですよ!?」

「いーのいーの。さぁさぁ入って入って」

「けっこうですって足をつかまないでください!」

 

こたつから上半身のみを出して、幽々子は妖夢の足を掴んで離さない。妖夢は抵抗するが相手が自分の主であるため、あまり激しくは抵抗出来なかった。

ちなみに俺も幽々子の反対側から入っていてそれを見ているだけだったり。

 

「やめて下さい幽々子様!」

「まーまー。入りなさい......なっ!」

「きゃっ!......何もないじゃないですか......んっ?」

 

足を引っ張られこたつに吸いこまれた妖夢。最初は何ともなさそうな感じな妖夢だが、すぐにこたつの能力が発揮された。

少しずつ温まる体。包み込むような優しさ。

適温が妖夢の体を攻撃し続け、妖夢の表情も少しずつだが緩んでき始めた。

 

「なん、ですか、これ......」

「こーたーつーよ〜」

「陽斗さん、これが......」

「あぁ。外の世界の......人類をダメにする道具だ」

 

かっこよく言ったつもりだが、こたつに入りながらだとどうも力が入らない。

 

「だ、ダメ......力が......」

「そうよ妖夢。そのまま、身を委ねて」

「俺達と一緒に暖まろう」

「あ、あぁ.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーむぅー、ミカンが無くなっちゃったー」

「そうですか。今度は幽々子様が取りに行ってください」

「やーよぉ。よーと、お願いするわ」

「幽々子だけここから出てないじゃないか。ずるいぞ」

「ぶぅー、行くわよー」

 

嫌々ながらこたつから外に出る幽々子。こたつの中とは正反対に全身に寒さという攻撃が幽々子を襲った。

 

「あーなんでこんなに寒いのよぉ〜」

 

手には大量のミカンを手に、幽々子は急ぎ足でこたつへと帰ってきた。

 

「あったかーーーい......んしょっと」

 

突然、幽々子は戻ってくるなりこたつの中に体を入れ始めた。これは定番のあれをやるつもりだ。

 

「ん?......きゃっ、ちょっ、くすぐったいです!」

 

足をくすぐる。これはこたつ経験者なら一度はやったことがあるのではないだろうか。

 

「あーっ、ゆ、幽々子さ、まぁ!くすぐ、タイ、ですぅ!」

「まぁ、痛いわぁ〜」

 

くすぐったくて足を動かしたのが幽々子に当たったのか、こたつの中からそんな声が聞こえた。

 

当然妖夢は驚いて慌てて謝った。

 

「すみません!大丈夫ですか!?」

 

「へーきよ〜」

 

これがこたつの中からの声だと知ると、何故か俺は少し笑いが出た。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

幽々子がこたつから出なくなった。いや、正確には出られなくなった、だろうか。まぁこの際どちらでもいいんだけど。

俺と妖夢はなんとかこたつから脱出出来たが、幽々子には外の世界の技術に勝てず、幽々子はまさに『西行寺こたつむり』と化していた。

 

「ゆーゆーこーさーま。はやく出てきてください」

「出られないのぉ」

「幽々子。気持ちはわかるけど、そろそろ」

「やーよぉ〜」

 

「「..........」」

 

さすがの俺と妖夢もお手上げ状態である。

そう思った直後、俺と妖夢の足を幽々子が掴んできてはすごい力で引っ張られた。

 

「二人も入りなさいよ〜」

「うおっ!」

「きゃっ!」

 

こたつにほ四方向から入れるが、幽々子が俺らを引きずりこんだ為、一方向から三人が出てきている状態になってしまった。

 

「私はね、三人で寝ることがないからせめて、こうして三人で温まりたかったの」

「...幽々子」

「様......」

 

なぜかしんみりとさせる空気。幽々子は続けて言った。

 

「感謝してるのよ?妖夢が美味しいご飯を作ってくれて、陽斗が私にかまってくれて......本当に嬉しい。だからね、こんな生活がまた一年できると思うと、こんな事もしたくなっちゃうの」

 

それは、幽々子の一年間の嬉しさを語った言葉だった。幽々子にとって俺と妖夢は、かけがえのない存在だと、そう言ってくれたんだ。妖夢もそれを聞いて少し嬉しそうにしていた。

 

「幽々子様......」

「幽々子......ありがとう」

「私は、いつでも幽々子様に仕えます」

 

「二人とも、ありがとうね......」

 

 

 

 

 

 

「「まぁそれは別で」」

 

「えっ?」

 

いい話だなーって終わるわけがない。これも妖夢と考えたが作戦の一つであった。

俺と妖夢はこたつの端っこをそれぞれ持ち上げ、幽々子からこたつを奪う形になった。

 

「ちょっとー!寒いじゃないのよー!」

「確かにいい話だなでした。言われて嬉しかったです」

「次からは三人で過ごす時間を増やそうな」

「え、ちょ、あの。こたつ.........」

 

「「こたつは今は没収っ」です!」

 

「なんでよぉ〜!二人のばかぁー」

 

まるでおもちゃを取り上げられた子供だった。半分泣き目になるほど幽々子はこたつを愛していたのか。まぁそれは仕方がない。なにせ世界を落とせるこたつなのだから。

 

「その代わり、という......」

「今夜、幽々子様と一緒に寝たいです」

「.........それなら、我慢するわ」

 

 

 

 

 

 

 

こんな正月も、たまにはいいかもしれない。

 

 

 

 

 




無理やりな展開でした、これも文章力が落ちている証拠ですね!泣きたいです!
所々、変な文があると思いましたが、見つけしだい修正していきます!

皆さんには、とても幸せな一年を過ごせるように願っています。

意見や感想、気軽にどうぞ!

改めまして、明けましておめでとうございます!
今年も作者と『気づけば桜の亡霊が傍に居てくれてる』をよろしくお願いします!

ではまた次回!

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