みなさんはどうお過ごしでしょうか?作者はゲームセンターです!1人で!
っというわけで、特別編!
それではごゆっくり。
季節は冬。白玉楼の庭では普段は見かける幽霊たちもあまりの寒さに今は見ない。冥界では年中桜が咲いているが、別にいつも春、という訳では無いのだ。
「さぁ始めましょう......」
草木も眠るような静かな夜。外はずっと雪が降り続け、雪に触れた桜の木からは雪と共に散る桜の花びら。地面を見れば白い世界に薄ピンクの模様。まさに見るものを魅了させるとはこういう光景を言うのかもしれない。
冥界の主は静かにその場を立ち、全てを手に入れたと言わんばかりの雰囲気を出しながら口を開いた。
「桜の散る、聖夜の宴を......」
「いや普通にクリスマスパーティーって言えよ」
「ですよね。何が始まるのかって思いましたよ」
二人は冷静にツッコミを入れた。
ここ白玉楼では、クリスマスパーティーを行う直前である。
きっかけとなったのは、外の世界から来た陽斗がこの日を知っていたのと、外の世界に行くことが出来る紫がクリスマスが今日である、という事を教えたのだ。当然ながら幽々子と妖夢はそれに興味を持ち、幽々子の提案で今夜はクリスマスパーティーを開こうとなったのだ。
「なによぅ、いーじゃないの〜」
ぷくぅっと頬を膨らませて二人を睨む幽々子の姿がある。幽々子はよほどこのイベントが楽しみだったのかカリスマを出して盛大にしたかったらしい。
「クリスマスってのは明るく楽しくやるんだよ」
「で、でも、私みたいにカリスマがあれば...」
「別の意味で変な盛り上がり方になりますね」
「えっ!妖夢まで私に言うのね!?泣くわよ?」
「い、いえ!そんなつもりで言ったのではなく!」
手で目元を隠して泣くような仕草を見せる幽々子に、妖夢は慌てて訂正した。妖夢はかなりのマジメな為か、冗談である範囲がイマイチ理解できてないのである。
クリスマスパーティーを開始してから、ある程度の時間が経った。それなのに、未だにクリスマスらしい事は陽斗の作ったケーキを食べたくらいである。あまりにも物足りなさに幽々子は陽斗に聞いた。
「陽斗ー。外の世界でもこんな感じなの?」
「そうだなぁ。基本はこんな感じなんだが」
「もうちょっとわぁーってなると思ってたわ」
「んー。何か、楽しい事、盛り上がることかぁ」
陽斗は手を口元に当てて首を傾げた。外の世界でやる遊びなどは、何か物、言わばオモチャを使う事が多いのである。だが幻想郷、冥界には電気などは存在しない為、外の世界から来た陽斗はかなり困っていた。
そんな時、ある声が白玉楼に響き渡った。
「その話、盗み聞きさせてもらったわ!」
突如として現れるスキマ。当然そこから出てきたのはスキマの操る妖怪、八雲 紫であった。
何の前触れもなく現れた紫に対して、三人は応えた。
「盗み聞き、最悪だな。帰ってくれ」
「今夜は呼んでないわよ?」
「お引き取り願います」
「あなた達少しは言い過ぎと思わないわけ?」
割と残酷だった。だがそんな言葉を聞きながらも、スキマから体を出し、床に足を付ける。
「紫、寝てたんじゃなかったの?」
「それがね、少し藍と橙と楽しく話してたのよ。でもなんとなく白玉楼に顔をだそうと思って」
紫はスキマを閉じてそう言った。顔を見せにきたとは言え、当然だが三人は全く信じていなかった。盗み聞き、と本人も口に出していっているあたり、きっと式である藍と橙が構ってくれなかったのだろうも三人は考えていた。
「遊び、って訳じゃないけど、話を聞かせてあげなさいよ」
「話って、何のだよ」
「サンタクロースってのが、外の世界にはいるらしいわね」
この言葉を聞いて、陽斗は少し頷いた。そしてそれを知らない幽々子と妖夢は頭にハテナマークがあるようにも見えた。
「そうだな。二人とも、外の世界にはサンタクロース、サンタっているんだ。」
陽斗は幽々子と妖夢に、なにやら得意気に話し出した。
「サンタってのは、今日この日の夜、良い子にしている子供に寝ている間、枕元にプレゼントを置いていくんだ」
「良い子は早く寝るからね。おやすみ〜」
「幽々子はもう子供じゃないだろ」
「あら、心はまだ子供のつもりよ?」
プレゼントという言葉に即座に反応した幽々子はすぐに引き止められてしまった。そして幽々子はそんなにプレゼントが欲しいのか、再び動こうとするが......。
「大丈夫だって!別に今寝なくても」
「まぁ、あくまで外の世界のことだから、冥界で起こるかもわからないわよ?」
「そうですよ、幽々子様」
「そんな事言ってぇ、よーむだって目がキラキラしてるわよ?」
「なっ、そんなことありませんっ!」
否定している妖夢を見て、三人はまるで子供を見てるように思えた。実際に妖夢の目は夢を見る子供の目をしていたのだ。
◇ ◇ ◇
──『陽斗』視点───
風呂に入り終え、俺達はもう寝る準備をしていた、が、とある二人は全く眠れなさそうにしていた。
幽々子と妖夢である。
「幽々子様、おやすみになられないのですか?」
「よよ、妖夢こそ、まだ眠くないの?」
お互いに言い合い、私はまだ眠らないぞとアピールをしていた。
どうしてこんな事になったのか。それは俺が「サンタのプレゼントは靴下に入れるんだ」という言葉を聞いてからだ。二人は子供っぽいと思われたくないが為に、背中に靴下を片っぽずつ隠しているのである。
「それよりも妖夢。何か隠してるでしょ」
「ゆ、幽々子様こそ、どうして手を後ろに?」
一歩も引かない両者。この小さな争いこそが子供っぽいと言えなくもないが、そこは本人達には気づいてないようだ。俺は静かに二人に近づき一言。
「......何してんだよ」
その光景を見て、俺は飽きれるばかりであった。
話を聞き、結局二人は眠れないそうだ。外の世界のイベントとはいえもしかすると冥界にもあるかもしれないと、あの幽々子でさえ期待しているのである。
二人は眠れない、という訳で、今妖夢の寝室にいた。
今、なんで寝室に?っと思って人がいるだろう。安心してくれ、俺にもわからないから!
「あの、ほんと、大丈夫ですから」
「俺だってなんでやってるのかわからないよ!」
冷や汗をダラダラ流す俺に、妖夢は心配していた。それと同時に遠慮もしていた。まさか眠れない子供を寝かせつける父親のような事をするなど、思いもしなかったよ。
それに対して、妖夢は恥ずかしさのあまり赤面しまくっていた。自分が子供っぽいと思われた、実は楽しみにしていた、と思っているように見えた。
そして───
「よ、妖夢......」
「はいっ」
勇気の俺の第一声!ここまでは順調だ!問題は、これの次になんて言葉を言うかに今後の俺の生活が掛かっている!妖夢には悪いが、例えとして、子供を安心させつつ、落ち着いた眠りを与える言葉を言わなければ。考えろ、俺が今まで見てきた現実を思い出せ!
「...よう、と、さん?」
「妖夢、まずは一緒に布団に入ろう」
なんで俺の脳みそはこの言葉を選んだんだよ!
「いやその!変な意味は無くてな!?」
「ぃ...です、ょ......」
「だから斬らないで......え?」
「いい、ですよ。入りましょぅ」
なぜだ。どうして妖夢から許可が出たんだ?あの真面目で少しでもいやらしい事があると斬りかかってくる、あの妖夢が!?
あ、わかったぞ。斬る時に俺の悲鳴が挙がっても少しでも声を周りに聞こえさせない様にするためにわざわざ布団の中で......なるほど。
「一撃で、頼むよ」
「何を勘違いしてるんですか!陽斗さんが誘ったのでしょう!」
「そそ、そうだったな、ごめん」
妖夢は少し怒っているように見えたが、それは仕方が無いと思うしかできなかった。
掛け布団を捲り、布団の中へと体を入れる。その後に続くように、妖夢の体が同じ布団の中に入ってきた。
きっと俺が生きていて、心臓があるのならバクバクなっているだろう。
経験したこと無い状況に、俺は言葉が出ない。なにより妖夢も顔を赤らめていた。
あぁ!こういう時こそ男がなんか言わないとダメだろ!頑張れ俺の口!勇気の言葉を!
「妖夢は、俺と寝て、嫌だろ?」
「そんなことありません」
「どうしてだ?いつもだったら斬りかかってくるけど」
「あれはノリです 」
ノリで俺は殺されかけてるのか......。
「本当は、こんなことしてみたかったんです」
妖夢はそのまま続けた。
「幽々子様は、いつも陽斗さんに甘えて、陽斗さんも相手をしてあげてます。それが、私からだと、すごく楽しそうなんです。ですが、私は庭師であり剣士。そんなこと、出来るはずがないんです」
ゆっくりと妖夢は顔を下を向けた。
「だから、くりすますって言う日だけでも、私は......ちょ、陽斗さんっ!?」
気づいたら、俺は妖夢を包むように抱いていた。
「ごめんな。俺、女性との交流が無かったからどうすればいいのかわからないけど、これが精一杯だ」
無理をさせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだ。妖夢は、幼い頃からあまり甘えると言った行為が出来なくてしょうがないと思っていても、心のどこかでは甘えたかったのだろう。
「あ、長いよな!ごめん、離れるから!」
「陽斗さんっ!」
「な、なに?」
「私が寝るまででいいですから、続けてくれませんか?」
妖夢も言うのが恥ずかしかったのか、方が少し震えていた。そして俺は、その言葉に応えた。
「わかったよ」
「......ありがとうございます」
「それで、妖夢は何かサンタに頼んだのか?」
「私は、あまり欲が無くて......」
「ならさ、この機会に何か欲しい物、頼んでみな」
「ですが外の世界の習わしですので」
「そんなのわからないぞ?なんでもいいから、な?」
「そ、それでは......私は───」
◇ ◇ ◇
「待ってたわぁ〜」
「別に寝ててもいいんだけどな」
妖夢が寝てから、今度は幽々子の番だ。部屋に入ると明らかに寝る前とは思えないテンションと目つきだった。
「妖夢の寝顔、可愛かったでしょ」
「まぁ、うん......」
素直に可愛かった。やっぱり、妖夢は女の子なんだなぁって、改めて実感できた瞬間でもあったな。普段は寝顔なんて見たら斬られてしまうから見る機会自体が無いからな。
「妖夢を眠らせたなら、私にはどうするのかしらね」
「いやぁ、幽々子はどうしたらいいのか......」
「じゃー妖夢と同じことでいいわよ?」
......幽々子、お前はなんてことを言ってくれるんだ。 そんなの流石にダメに決まってる!誰かが求めていても、俺がだめだ!
「そうだな!今から考えるから別のにしよう!」
「え、でも......」
「何にしようか、うーん」
「あの、陽斗?」
「そうだ!寒い時に食べる料理を」
「陽斗っ!......そんなに、私じゃ嫌、なの?」
「.........」
......もう、やるしかないのか。
「手は、出してないからな!」
「もうこれ、出してるようなものよ?」
「言うなよぉ!」
結局、俺は諦めて幽々子と同じ布団に入ることになった。さっき敷いたばかりなのか、足の方は冷気を少し感じるが、幽々子と密着しているためか上半身は暖かく感じた。
またもや、俺はどうすればいいのかわからなくなった。また妖夢と同じことを聞くつもりではあるが問題はそれを聞き終わったときなんだよな。俺って生きてたときも、人に話しかけるのが苦手でいつも話を聞く側だったからなぁ、話題を作るの苦手なんだよ。
内心悩んでいると、幽々子は俺に聞いてきた。
「さんたくろーすって、なんでもくれるの?」
「サンタか?そうだなぁ......」
夢を壊すような言い方をすれば、家庭によって異なる。なんて、実際に俺がサンタなんていないって知ったのは割と遅かったもんな。本当になんでも貰えるって思ってたよ。
「サンタのできる範囲なら、貰えるかもな」
「へぇーさんたも苦労するのね。......寒いからもう少し近づいていいかしら?」
「あ、あぁ、いいよ」
同じ布団の中で、幽々子の体が俺に密着してきた。お互いに亡霊だから体温は感じられない。でも、暑さや寒さは感じるため、少し暖かくなった気がした。もちろんその中には恥ずかしくて顔が赤くなった事も含まれている。
「幽々子は、なにか欲しい物あるのか?」
ここで俺は一番聞こうとしていたことを自然に口にしていた。
「うーん。食べ物がいいわー」
「いや、それは流石に......」
「冗談よ。さすがの私もそこは考えるわ。そうねぇ」
口元に手を当て悩む幽々子。流石にサンタでも食べ物を枕元に置くのはキツイだろうと幽々子も考えたんだろうな。確かに寝返りをした時に顔に付いたりしたらイタズラって思うかも。
幽々子は俺の目を見て答えた。
「アナタが欲しいわ」
「えっ......?」
しばらくの間、俺の思考回路はほとんど停止していた。何も考えられなくなって、真っ白になっていた。
「陽斗が私のものになれば、きっと幸せだと思うの。毎日美味しいご飯食べて、毎日お話できて、毎日陽斗の笑顔を見れる。こんな幸せな事はないかもね」
目の前でこんなことを言われた。俺が欲しい、と。反応に困るし、なにより急すぎる。いきなりこんなこと言われて俺はどうすれば......
「なーっんて、本気にしたかしら?」
「っんな!」
もしかして、騙された?
「こんなロマンチックな台詞、本気じゃ言えないわ。もっとシンプルがいいわね」
「......じゃあ冗談、と」
「えぇ。じょーだんよ」
「人の気持ちも知らずにぃぃぃ!」
「きゃっ!」
気づけば、俺は幽々子を押し倒すような体制になっていた。明らかにやばい状況である。幽々子本人も流石に予想できていなかったのか少しは驚いているようだが、その表情はすぐになくなった。
「やっとこうしてくれたわね」
「や、やっと?」
「私だって乙女よ?こんな体験してみたいわ」
「...あ、あぁ......」
「なによ照れちゃって......えぃ」
「っ!ちょ、 っ」
幽々子は、俺の背中に手を伸ばし包み込んできた。もう少しで唇に触れてしまいそうな距離。体には完全に密着し女性らしい柔らかい感触が所々にある。
「私は、こうしているだけでいいわ」
「.........」
「欲しい物なんて、もう揃ってるもの」
「......そうか」
上下になっている状態から、横に倒れた。
「でも強いて言うなら、白玉楼にずっと居てほしい」
「それは当たり前だ」
「......おやすみなさい、陽斗」
「...あぁ、おやすみ、幽々子」
もう言葉を交わさず、幽々子はまぶたを閉じて眠りについた。
「.........やっと寝たか」
俺は布団から抜け出すため、幽々子の手を離して布団の外に出て部屋から出ていった。
「さぁて、最後の仕事だ」
◇ ◇ ◇
「あら、陽斗......?」
胸のあたりが妙に寒気がする。その拍子に目が覚めてそこを見てみると、寝る前まで一緒にいた陽斗がいなかった。それと同時に、私は寂しさを感じた。
やっぱり、そうよね......。
陽斗からしたら、私はただの白玉楼のお嬢様。いつもわがままばっかり言って、甘えてばかり。前までは妖夢にやってた事も、今じゃ陽斗にしてもらってるわ。
気づけば、陽斗の笑ってる姿を見ただけで、なぜか心が晴れやかになるの。変におちょくったりするのが楽しい。
傍にいてくれるだけで、私は嬉しさを感じる。
「......なにかしら」
昔、こんな気持ちになったような気がする。それも、ずーっと前に。もしかすると生きてたときの記憶でもあるのかしら......なんてね。もう綺麗さっぱり、消えちゃったわよ。
「...ょぅ、と.........」
ずっと一緒に寝てくれなきゃ、寒いじゃない。
でも、まだ温もりは感じるから、それで我慢するしかないわね。
「...寝ましょうか」
ゆっくりとまぶたを閉じて、力を抜いた。
時々、陽斗のことを考えながら、深い眠いに入っていった。
◇ ◇ ◇
白玉楼の朝はいつもは静かだ。幻想郷のように朝から人が動き回っているわけでもなく、ましてや朝に鳴く動物もいない。だからこそ冥界、白玉楼は静かである。
だけど、今日の朝はやけに賑やかだ。
「よ、よーとさん!よーとさん!」
廊下からドタドタと珍しく走る妖夢の姿が見えた。妖夢はかなり驚いた顔をしながら、手には小さな小包を持っていた。
「どうした?妖夢」
「ささ、先ほど起きたら、私の枕元にこんなものがぁ」
「おっ、良かったじゃないか」
「こ、これってもしかして......」
かなり驚いている妖夢。それもそのはず、朝起きたら枕元にあったんだ。妖夢からすれば侵入者と思うだろうが、今日ばかりは違う認識のようだ。俺は妖夢の待っている言葉をそのまま声に出した。
「サンタからのプレゼントだよ」
「わぁぁ!う、嬉しいです!開けてもいいですか!」
「おう。開けてみな、妖夢の欲しいものだといいな」
小さな小包を妖夢は恐る恐る開け始める。綺麗な彩をした小包からは小さな箱が出てきた。さらにそれを開くと、妖夢の目はキラキラしていた。
「こ、これは......」
「外の世界だと、ブレスレットっていうんだ」
「ぶれすれっと?」
「腕につける、おしゃれのための物だよ」
箱を開けると中にはブレスレットが入っていた。緑色を主とした色合いで、銀色の鎖の様なもので繋がっており、一部には小さな月のアクセサリーが付いていた。
「かわいいです。私、一度おしゃれというものをしてみたかったんです!」
「よかったな。これからはそれを着けて人里を歩いたりできるな」
「はいっ!」
満面の笑みを見せる妖夢。それを見て、俺はただただ、その笑顔に癒されていくんだった。
朝ごはんが出来ても、幽々子が来ない。まさかまだ寝てるんじゃないだろうか。少し様子でも見に行くか。っと、俺は廊下を歩き幽々子の部屋まで動いた。部屋にたどり着くと、扉を前に一言。
「幽々子ー、起きてるかー?」
「よーとぉー!」
「えっちょ、なに!?」
声を掛けた瞬間、幽々子が扉を一気に開け飛びついてきた。
「ど、どうした!?」
「どーして一緒に寝てくれなかったの!」
「いやその......ごめん」
何も言い返せないため、俺は頭を下げることしか出来なかった。
「むぅ、もーいいわよ。そ、れ、よ、り」
「どうしたんだ?おっ、なんだそれ?」
「朝ね!私の枕元に置いてあったの!」
ふふーんっと、見せてきたのは妖夢とほぼ変わらない大きさの小包だった。幽々子は夢を見る子供のような目をして言ってきた。
「これってさんたからのプレゼントかしら?」
「そうだよきっと。嬉しいか?」
「嬉しいというか、驚いたわ。本当にあるものなのね」
小包を見ながらそう言った。幽々子は少しずつ小包を開き、中身はまたもや箱だった。幽々子はその箱を静かに開け中身を確認した。
「まぁ、なにかしら」
手に取った物は、桜の花びらが付いたネックレスだった。ゆっくりとそのネックレスを眺めては桜の花びらの部分を撫でるように触っていた。
「綺麗なネックレスだな」
「ねっくれす?」
「首に掛けるんだ。こうやって......」
幽々子の手からネックレスを取り、首に掛けてあげる。
「わぁ〜嬉しいわ」
「よかったな、とても似合ってるよ」
「ありがと。さっ、朝からいい事あったから早くご飯食べましょ」
「そうだな」
早歩きで朝ごはんを食べに行く幽々子は、とてもいい笑顔をしていた。いつもの笑顔にとはどこか違って、心の底から嬉しいという感情が見えた。
「あれでよかったの?」
突如として現れるスキマ。そこからは当然のこと、紫が出てきた。
「いいんだ。俺にはこれくらいしかできないから」
「ふーん。そうかしら?」
「それにしても、よく見つけたな」
「苦労したわよ。わざわざ外の世界から取ってきたもの。大変だったわ」
「ごめんな。でも、紫のおかげで助かったよ」
「まぁ、お代と言っちゃあれだけど、取ってきたお店にはお菓子を置いてきたわ」
「変なとこで......」
初めから、こういう考えだったんだ。
二人を眠られるのは、正直ナイスタイミングだった。元から俺は、サンタの真似事をして二人に驚かせたくてプレゼントをあげたいと思ったんだ。だけど二人は何が欲しいかわからないし、なにより聞き出せなかった。だから二人で寝るときに欲しいものを聞いて、それを紫に取ってきてもらったんだ。まぁ結局、妖夢しか聞き出せなかったから幽々子のはとても大変だった。
ちなみに妖夢は『私でも、おしゃれと言うものを知りたいのでそれに関する物が欲しい』っと言っていた。だからブレスレットにしてみたんだが、喜んでもらえてよかったよ。
「あなたはプレゼント、要らないの?」
「いいよ俺は.........」
「陽斗さーん、ご飯冷めちゃいますよー?」
「はーやーくー」
「ほら、呼んでるわよ。早く行ってあげなさい」
「あぁ。ありがとな、紫」
「どーいたしまして」
ふっ、とスキマを閉じて、紫は帰っていった。
俺はもう、プレゼントを貰うような感じをも無いし、なにより幽々子も言っていたけど......
「もう欲しいものは幽々子と妖夢で揃ってるから」
二人の笑顔が見れれば、それだけでいいから。
──その日は、昨日と続き朝から雪が降っていた。
どうでしたかな?
明らかに文章力が落ちてますねぇ、はぃ。
最初は三人称を頑張ってみましたが、まだまだ練習不足を感じます。
寒い季節。風邪をひかないように気を付けてくださいね!
意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!来年かな?今年中に出せるといいですね。(かなりキツイ)
では改めて......ではまた次回!
良いお年をー!