気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

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暑い!暑いですよぉぉぁぉ〜溶けるぅぅぅ!!!

取り乱しました、ごめんなさい。
皆さん、今年の夏はどうお過ごしでしょうか?
夏と言えば海!キャンプ!花火!流し素麺!その他もろもろ!

作者ですか?作者はボッチですから←(聞いてない)

っという訳で特別編!
タイトルで内容が想像できるかもですが、楽しんでいってくださいね!
それでは、ごゆっくり。



特別編:スイカ割りな白玉楼

 

「......陽斗」

「......なんだ?」

「......暑いわ」

「......そうだな」

「.........」

「.........」

 

暑い、暑すぎる。何なんだこの気温は、明らかに太陽が冥界を殺しに来ている。いや亡霊たちを殺しに来るっていうか、精神的にだな、うん。冥界はいつも風があって涼しい。だが、別に太陽が無いわけではない。

 

「こんな時、幻想郷にアイスがあれば」

 

思わず呟く。だが幻想郷には存在しないもの。あぁそうだ、こんな時のチルノじゃないのか?あいつは氷の妖精。体はひんやり冷たくて気持ちいいだろうな。あぁ、考えただけて今すぐ実行したい。

 

「陽斗、大丈夫?」

「あぁ大丈夫、ロリコンじゃないから」

「あなた暑さにやられてるじゃないの!目を覚まして!」

「痛っ!ちょ、目は覚めたから、手首捻らないで!折れる!折れるからぁ!」

 

手首を本気で捻ってくる幽々子を止める。きっと止めなかったら持って行かれていただろう。そもそも幽々子にこんな力技があるとは知らなかった。

心配そうに幽々子は見てきた。

 

「おはよう」

「お、おはよう......」

 

爽やかな笑顔で俺の目を覚ましてくれた幽々子。そうだよな、俺、ロリコンになりかけていたのか。

 

「そういえば、妖夢は?」

「妖夢?妖夢なら『お二人の為スイカを冷やしていました!持ってきますね!』って行ったっきりよ」

 

行ったっきり?って事はまだ帰ってきてないのか。待てよ?帰って来ないってことは何かあったんじゃないのだろうか。あの妖夢がすぐに戻って来ない。今は猛暑。いくら和風で風通しのいい白玉楼でも今日は暑い。

なんだろう、嫌な予感がする。

 

「ちょっと行ってくる!」

 

俺はその場を立ち上がり、ダッシュで台所まで走った。暑いせいか、走っている最中ふらつく事があったが無事に台所に到着。そしてそこには、何やらピクピクしている白い球体と......

 

「よーむぅー!!!」

「......?よ、よぅと、さん」

「どうしたんだ!半霊がピクピク震えてるぞ!?」

「き、きっとそれは私が限界ですか、ら」

「限界っ!?ちょっと待て!目を閉じるな!」

「よぅと、さん。最後にお、お願いが......」

「最後なんて言うな!スイカを渡すんだろ!」

「わた、私の......はんれ、ぇ.........」 ガクッ

「ま、待て!半霊をどうしろってんだぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

「お騒がせしました」

「妖夢。もう大丈夫か?」

「もぅ、心配だったのよ?」

「すみません」

 

なんとか妖夢と半霊の蘇生は完了した。妖夢の首元には氷水で冷やされたタオル。半霊にはそれを包むように纏わせている。

 

「ねぇ陽斗。折角だから私、スイカ割りをしてみたいわ」

「スイカ割りか?よく知ってたな」

「えぇ。紫が外の世界でのスイカの食べ方って」

「スイカ割りか、やるか」

「その、スイカ割りって割るだけですか?」

「そうだけど、ちょっと違うな」

 

俺はスイカを持ち上げて庭へと移動した。まずは地面に二枚ほどタオルをひいてその上にスイカを乗せる。あとは、

 

「ほら妖夢、幽々子。これで目を隠してくれ」

「そんな事したら見えないじゃない」

「いや、見えなくていいんだ」

「んー?」

 

 

 

 

 

 

スイカ割り。

それはスイカを割ること。ただスイカを割るだけではなく、己の心眼を利用し、目隠しした状態でスイカを割る高度な技である。

 

二人もルールは理解してくれた。さぁ始めるぞ、スイカ割りを!

 

「じゃ、じゃあいくわよ〜」

「おぉー頑張れ!」

「幽々子様、もうちょっと右です!」

 

ふらふらと歩く幽々子。それを見て必死に応援する妖夢。楽しそうでなりよりだ。

 

「ふふ。私は冥界の亡霊よ?嗅覚を甘く見ないでほしいわ」

 

亡霊だからといって嗅覚は関係ないと思う。

 

「こ、ここかしら......えいっ」

 

幽々子渾身のひと振り。位置は悪くは無かったが残念ながらスイカ割りの真横へと空振り。目隠しをとって場所を確認すると、幽々子は残念そうにした。

 

「あらぁ、もうちょっとだったわねぇ」

「残念でしたね」

「はい、今度は陽斗の番よ」

「俺もやるのか」

「勿論よぉ、ほらほら」

「わ、わかったよ」

 

幽々子がスイカ割りを始めた位置まで歩き、俺は渡された目隠しをする。予想通り真っ暗で何も見えない。

 

「陽斗さん!斜め左です!」

「あら、陽斗から見たら逆じゃないかしら〜」

 

うーん。これはヒントにはならないかな。

 

「あ、行き過ぎよ。戻って戻って」

「え?まだ前ですよぉ」

 

......いったいどっちが正解なんだ?

 

「一歩前で振ってください!」

 

一歩前か......。

 

「そこよ、そこ!」

「陽斗さん、今ですー!」

「ここか......よぉし、当たれぇー!」

 

二人の言葉を聞き入れ俺は棒を振り上げて、本気でスイカを割る勢いで振った。

ダンッという音と、手に伝わる痺れ。予想以上に手が痺れおもわず棒を落とす。スイカ割りってこんなに痛くなるんだっけ?まぁいい、あとは目隠しを取って美味しく頂こう。

 

「どんな感じに割れ......これ岩じゃねぇか!」

 

目隠しを取るとまず最初に写ったもの。それは庭に置いてある大きな岩であった。当然その岩には傷ひとつなく、足元を見れば先端が砕けた棒が落ちていた。

 

「陽斗〜これはスイカ割りなのよー?」

「よ、陽斗さん。す、すす、すみません...ふふ」

「わかってるよ!明らかに誘導しただろ!?それに妖夢はもうちょっと上手く笑いを隠せよ!」

 

道理で手だけじゃなく手首まで痛いわけだ。あ、拳が握れなくてなってきた。

 

「次は妖夢って行きたいけど、誰かさんのせいで棒が壊れちゃったわね」

「その誰かさんを岩まで誘導させてのは誰だろうな」

「さ〜誰かしら〜?」

「ぬぅ。それよりどうしようか」

「そうねぇ。あ!」

 

突然幽々子は何かを思いついたのか、手をポンとした。幽々子の視線は妖夢へ。妖夢の目を見て少しずつ目線を下げていくとぴたっと止まり、ある物をずっと見つめた。

 

「あの、幽々子......?」

「......妖夢、やってくれるわよね?」

「でもその、楼観剣はスイカを斬る物では.........」

 

そう。妖夢の扱う長刀、楼観剣だった。

 

「大丈夫よ妖夢」

「な、何がです?」

「刀に果汁がついたら私がとってあげるから」

「危ないですよ!絶対怪我しますから!」

「平気よ。舌を使うわ」

「尚更ダメに決まってるじゃないですかっ!」

 

どのスタントマンも芸人もやらないであろう事を平気に口にする幽々子。自分がいくら霊体とはいえ、怪我はするものだ。第一妖夢が主である幽々子にそんな事をさせる筈もない。

 

「わかりました、わかりましたから!」

「果汁のこと?」

「違いますよ!?私がスイカを斬ってみせます」

「おぉ〜待ってました〜」

 

明らかに幽々子の戦略だろう。

 

妖夢は幽々子の無茶ぶりを聞き入れ、定位置に目隠しをして立た楼観剣を抜いた。

 

「妖夢、危なくないか?」

「ご心配はいりません。心眼は鍛えてます!」

 

強気のセリフを言う妖夢。よく見ると手足が震えており足元も歩幅が揃ってなかったりする。妖夢本人も怖いだろうが、見ている側も十分怖いのだ。ただでさえ危険な楼観剣に、目隠しをして握っている。それはいくら達人だろうが危ないと言うことには変わりない。

 

始めてから何分か経った。少しずつではあるが、妖夢はスイカへと近づいていた。このまま妖夢が乱れなければ今度こそスイカ割りは成功するかもしれない!

 

だがそんな平和に終わるはずもなく。

 

 

 

「さて、このまま陽斗と出かけようかしら」

 

幽々子が動いた。

 

「えっ!?私をこのままにしないでくださいよ!?」

「目の見えない妖夢はこのまま......」

「お願いします!お願いしますからぁ!」

 

ザッザッと足音を立て、妖夢を更に怖がらせる幽々子。実際にはその場で足踏みをしているだけである。

 

「性に乱れた亡霊にあんなことやこんなことされて」

「嫌っ!嫌ですぅ!」

「あられもない姿に妖夢は......っ!」

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

訳もわからず謝り始めた妖夢の声は、完全に泣いている子供の声だった。

 

「ゆ、幽々子?そろそろ止めないと妖夢が......」

「うふふ。冗談よ冗談」

「ひっ...んぐっ......」

「妖夢、泣いてるのか......」

「な、泣いてなんかいません!半分だけです!」

 

半分だけって、いったい何を考えての半分なのだろうか気になったが、今聞くのは辞めておこう。ほとんど泣いている妖夢を見ても、幽々子はニコニコしていた。相変わらずのドSである。そしてそのドSは笑みを見せながら、口を開いた。

 

「あっ...んっ......////」

 

「「っ!?」」

 

突然幽々子はそんな声を出した。

 

「あの、幽々子様?」

「だ、だめよ......そんな、はげしぃ...あぁ!」

「え、ちょ、幽々子?」

「妖夢が見てないからって...そんなに揉んだら私ぃ」

「陽斗さん!どうなってるんですか!?」

「いやおれは何もしていな...」

 

「ょ、ようと、だめぇ......////」

 

......俺は何もしていないぞ?ただ幽々子が顔を赤らめてちょっと色気のある声を出しているだけであって俺はないも......はっ!

 

 

 

 

「ちょ、妖夢?なんで俺に刀向いてるの?ってか見えてる!?」

「ヨウトサン、ニガシマセンヨ?」

「待て!誤解だ!幽々子は目が見えてない事を利用してからかってるんだ!妖夢も目隠しを取ってみろ!」

 

妖夢はバッと目隠しを取り、すぐさま幽々子を見た。それと同時に俺も幽々子へと視線をやり、誤解だということを証明させようとした。

 

「ハァ...ハァ......もぉ、らめぇ......」

 

だが幽々子は何故か、いつの間にか......着物をはだけさせて荒い息遣いをしていた。先程までは着物を普通に着ていて声を出していただけだったのに!

刹那、俺の近くから殺気を感じた。その殺気を感じる方を見るとそこにはまるでゴミを見るような目をした二刀流の妖夢の姿。

 

「ユルシマセンヨ?コッパミジンニシマス」

 

気づいたら、俺は走っていた。

 

「ちょっと待てぇ!勘違いすんじゃねぇー!」

「.........」

「恐いから!その無表情で無口は恐いからっ!」

 

いや待って割と本気で死にそうなんですけど!?

 

「嫌だ、まだ成仏したくないぃぃぃ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、行ったかしら。これでスイカは私の物ね♪」

 

 

 

 

 

この後、妖夢には誤解だということを信じてもらい、人里に二人でスイカを食べに行った。そして幽々子には妖夢の三時間説教タイム&夕飯の減量の罰が与えられる事となった。

 

 

 




......R-18にはなりませんよね?
いや別に、やましいことなんて......少し考えましたけどね!そのなんというか、この暑い中!ゆゆ様のお色気ボイスを読者様の脳内で再生して欲しかっただけなんです!

最近は救急車のサイレンをよく聞きます。
皆さんも熱中症、脱水症状など気をつけてくださいね。元気が1番です!

それと、なんか今調子がいいので頑張れれば!3日以内には一話だけ更新するかも!?(あまり信じないでください)

意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!


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