友達と遊ぶ機会も少なくなってきました。理由がまぁ妬ましくてね。リア充どもがぁぁぁ!!!
まぁまぁ、心の叫びはここまでにして。
今回は永遠亭!皆さんお待ちかね、ウサギさん達の登場です!
ではごゆっくり。
案内をしてくれた妹紅とは別れ、俺たちは今一つの建物の前に立っていた。見た感じでは和を感じさせる見た目であるが作り方は白玉楼とは少し違う気がする。
「とにかく入りましょ」
「そうですね」
「だな」
幽々子の声に合わせて中に入っていった。中に入るとはやり和を感じられた。木で作られた長い廊下に綺麗に片付けられた数々の部屋。それらを見ていると、突然目の前に女性が現れたのだった。
「入るときは、何か一言欲しかったわね」
ふふ、と少し笑ってそう言ってきた女性。
長い三つ編みで綺麗な銀髪。真ん中で赤と青に分かれたツートンカラーの服に頭にはナースが付けるような十字のついた帽子を被っていた。
「ごめんなさいねぇ、うちの子と娘が......」
「庭師ですよ!?」
「俺も入ってるのかよ!?」
幽々子のボケにすぐさまツッコミを入れる俺と妖夢。だが入るときに何も言わなかったのは本当の事、少し反省はしている。人様の家に無断で上がると何されるか分からないからな、優しい人で良かった。白玉楼だと、妖夢が真っ先に斬りに掛かるから危ないけど。
「面白いのね。こんな廊下で話すもなんだから、場所を変えましょう」
そう言うと女性は「こっちよ」と手招きをして歩き始めた。俺たちはその後をついて行くように歩いた。女性は静かに、長い廊下をスタスタと歩いていく。どこまで行くのだろうか、そう思い始めた時に女性は一つの扉の前で立ち止まった。
「どうぞ、ここで話しましょう」
案内された部屋は和風が主なデザインとなっているが、どこか病院の待合室のような気分にもなった。俺たちはその女性が入った後に入り、「どうぞ、そこに座って 」と右手のひらをゆっくりと場所を示し順に座っていった。
「私は八意 永琳。ここ永遠亭の管理者みたいな者よ。よろしくね」
深々と頭を下げて自己紹介を終わらせる永琳さん。やはりこう言った和風で大人な女性は礼儀作法がとても出来ていると思う。
「それで、そこの息子娘さん方は......」
「だから違いますよ!?」
「二回目じゃん!」
永琳さんの急なボケに対して俺と妖夢はキレのあるツッコミを入れた。それを見た永琳さんと幽々子は少し控えめだが笑っていた。
礼儀作法が出来ていても、面白い人は楽しませてくれると思う。
「ごほん。私は白玉楼の庭師の魂魄 妖夢と言います」
小さく咳払いをして妖夢は自分の名を名乗って頭を下げた。それと同時に隣にいた半霊も小さく頷いているように見えて少し半霊が可愛く見えた。
妖夢が言い終わると永琳さんは俺の方を見てきた。言葉ではなくとも、明らかに今度は俺の順番だと、そう言ってきているように思えた。
「俺は如月 陽斗です。元人間、と言えばいいでしょうか」
とりあえず名前とどうでもいい事を言っておく。だが実際にも俺は元人間であり死んで亡霊として今を生きている。亡霊が今を生きている、と言うのもおかしいと思うけど、まぁ大丈夫だろう。
頭を少し下げて自己紹介を終わらせた。次は幽々子だが、幽々子はあんなゆったりした亡霊だが基本的な礼儀作法は完璧である。幽々子ならちゃんとした自己紹介くらいは出来るはずだ。
......さっきみたいにボケないはずだ。
「こんにちわ。私は白玉楼の主、西行寺 幽々子よ。立派な屋敷ね、尊敬しちゃうわ」
最後に永遠亭の事を最後にお辞儀をする幽々子。永琳さんは幽々子の姿を見てニッコリとしていた。
「どうもご丁寧に。そもそも、冥界ってホントにあるのね」
「そりゃそうよ。死んだ者は閻魔様に会って、次の命を貰うまでの居場所なんだから」
口元に手を当てて小さく笑う幽々子と永琳さん。なんだろうか、この二人の会話がどうもお年寄りっぽく思ってしまう。ちなみに、このことを口にしたら俺は亡霊だろうがまた死んでしまう可能性がある為気をつけている。
冥界とは違って縁側から見る光景はすべてが違った。そもそも冥界は幻想郷の遥上にあるため住む場所すら違うと言ってもおかしくない。
だがこの永遠亭は幻想郷にある屋敷であった。冥界では桜が見られるが永遠亭ではあたり一面ほぼ竹である。竹をジッと見つめるなんてことは今までなかったので少し新鮮な気持ちでもあった。そんな静かな永遠亭の縁側を座っていると、何処からともなく怒声が聞こえてきた。
「こらぁぁぁー!待ちなさーーーい!!!」
え?と俺たちはあたりを見渡した。あたりは竹ばかりだが、そんな中人影のようなものが見え始めてきた。
「待ちなさいってばー!てゐー!」
「待てって言われて待つ兎はいないウサ〜」
「はぁ、はぁ......あ、師匠!」
膝に手をついて荒い息をする一人の少女は永琳さんを見てそう言った。
頭には兎のような耳が二つに長くて綺麗な紫色のロングヘア。太もも辺りまでの短めのスカートに学生が着ていそうなブレザーを身に着けていた。
「て、てゐが...また......」
疲れているのか言葉を所々区切って話しをする。永琳さんはその姿を見て「落ち着いて」と手を肩に当ててあげていた。そんなに深刻な状況なのだろうかと思って続きを聞いた。
「...私を落とし穴に落としたんですよ!」
思いのほか大丈夫そうだった。
「優曇華。わかったけど、今はお客さんが来てるの」
永琳さんは怒っている少女に俺たちの存在を教えてあげた。すると少女はこちらを見てはあっ、と呟いて頭を下げてきた。
「す、すみません!変なところをお見せいたしました!」
「いいのいいの。貴女、苦労しているわね」
笑顔でそう答えた幽々子を見てその少女は少しホッとした感じを見てる。
「申し遅れました。鈴仙・優曇華院・イナバと言います」
「れ、れいせ、うどんげ?」
「鈴仙・優曇華院・イナバです」
「なら鈴仙ちゃんでいいかしら?」
「いいですけど、ちゃんはちょっと恥ずかしいです」
「わかったわ。私は西行寺 幽々子。呼び方はなんでもいいわ」
「魂魄 妖夢といいます。宜しくお願いします、鈴仙さん」
「俺は如月 陽斗、宜しくな鈴仙」
「こちらこそ、皆さん宜しくです」
「私は因幡 てゐ、宜しくウサ」
「「「いつの間に!?」」」
鈴仙で終わったかと思いきや急に声が聞こえてその場のみんなが驚いていた。その少女は、因幡 てゐはそんな俺たちの反応を見ては子供のように笑っていた。
「あんた達って、何があってここに来たウサ?」
あ、そう言えばそうだった。実際にここに来た理由ってほとんどが幽々子の目的だったよな。看板を見てここまで来たけど、幽々子は何が目的なのだろうか、っと言っても大体は予想がつくのだが。
「もしかして、あの看板を見たウサか?」
「そうなの。とっても可愛らしい兎ちゃんが載っててね」
「そうウサか。やはり、私の美貌は誰のハートでも打ち抜く「とっても美味しそうだったわ」...う、さ?」
自信満々に胸を張っていたてるだが、幽々子の言葉を聞いた直後ピタリと固まってしまった。じわじわの少しずつ冷や汗が出始めたピクピクと震えていた。いくら妖怪とはいえ、幽々子にとって食べられないものはたぶん無いのではないだろうか。流石に限度があるが、幽々子ならわからない。ましてや、てるが怯えていると言うことは明らかに食べられてしまうという気持ちがどこかにあるというだろう。
「ま、待つウサ?話せば、話せばわかるウサよ?」
「小さな体に無駄な脂肪がない太もも。そのすべすべな肌の中に隠されたお肉はどんな味?」
台詞的には完全に変質者である幽々子。一歩一歩と静かに歩み寄ってくる幽々子に、てるは完全に恐怖していた。幽々子の言う事も少し変態っぽいが女性同士だからセーフだと思う。
「れ、鈴仙、助けるウサ......」
「さっきのお仕置きの代わりでいいかしら?」
「そんなっ!ひどいウサ!」
てるの救いの手もあっけなく見捨てられ逃げ場を失った兎の姿。それを見ても幽々子は歩みを止めなかった。
「そんなに怯えなくていいわ」
「ちょ、離すウサ!手が服の中に入ってきてどこ触って......ウサぁぁあぁ!!!」
「うっ、うっ...もうお嫁にいけないウサ」
「ならウチで引き取ってあげましょうか?」
「もう勘弁ウサ!」
涙目で幽々子の誘いを全否定するてゐ。幽々子はそんな怯えているてるを見てもいつもの笑顔で笑っていた。それにしても、さっきのは凄かった。あえて説明はしないが、仮に説明したら年齢対象とかそんな話じゃ無くなってしまうかも知れないからな。
永遠亭に来てから少しの時間が経とうとしていた。まだご飯には早い時間。お昼前と言ったところだろうか。俺たちは今永遠亭の庭の前でゆっくりしていた。別にこれと言ってやる事もなければ任されることもない為凄く退屈だった。
「へぇ、死んだらそんなとこ行けるんだ」
「そうなの。桜が咲いていて綺麗な所よ?」
幽々子が今話している相手、輝夜さんは冥界の事に興味津々だった。
蓬莱山 輝夜さん。先ほど知り合ったばかりの人だ。和風をイメージさせる黄色や赤などの明るい色をした着物。またそれに合う艶やかで綺麗な黒髪。その名の通りかぐや姫を連想させる。
「死ぬ感情があれば、また生きる時の気持ちが変わりそうね。そう思わない?」
「うふふ。私はもう死んでるわよ?」
ちなみにこの輝夜さんも、妹紅や永琳さんと同じ不老不死である。なんでも、蓬莱の薬というのをみんな飲んでいてそれの効果で歳を取らず、見た目も変わらないで生き続けるらしい。
「それにしても退屈ね」
「......ならさ、戦わせてみない?」
急に輝夜さんはそう言った。
「戦わせてみないって、誰を?」
輝夜さんの言葉に幽々子は当然疑問を抱いた。急に戦うと言われてもあんまりわからないものである。だが戦わせてみない、と言うことは自分らは戦うのではなく見る側と言うことはあらかじめ決定させている、と言うことは理解できたと考えている中、輝夜さんは口を開いた。
「ウチの優曇華と、そっちの庭師をよ」
◇ ◇ ◇
「「急すぎませんかっ!?」」
二人の声が重なった。
「いいじゃないの、いい練習だと思うわよ」
「妖夢。こんな事に驚いては、急な敵には勝てないわよ」
「「そ、そんなぁ〜」」
また声が重なった。なんだろ、立場が似ていると考える事もほとんど同じなのだろうか。実際には二人は少しだが似ていると思う。お互いに主がいて、屋敷に住んで、目標である人もいる。たったこれだけなのにここまで同じ事を考えるものなのだろうか。
「ほらほら、さっさと初めてよー」
「むぅ。どうします?」
「もうここまで言われたら、やるしかないですよね」
ため息をつく二人を見ても、幽々子達の表情どころか何も変化はなかった。
「師匠〜絶対なんですか?」
「優曇華......」
「なんですか、師匠」
「もし負けたら......」
「は、はい......」
「貴女のあられもない写真集『鈴仙の誰にも言えない秘密♡』を売りさばくわ」
「全力で倒しに掛かります!!!」
「え、ちょ、鈴仙さん!?」
「ごめね妖夢。これは私の一生が掛かってるの」
鈴仙の目から小さな雫が一つ見えた。
それを見るなり妖夢は当然ながらおどおどしていた。それも仕方が無い。相手は今後の人生を掛けて戦いを挑んで来ている。それも内容が酷である。そんな相手に刃を向けるなど妖夢にはキツイだろう。
「妖夢、早く剣を抜きなさい!じゃないと私の人生が!」
「ほ、ホントにいいんですか?」
涙目で叫ぶ鈴仙の声を聞き、妖夢は刀を抜いた。
二人は少し離れて、お互いに睨み合いが始まっていた。やがて静かになり風の音がうるさく感じる。先程までのゴタゴタがまるで嘘のようだった。
そして
「妖夢、全力でいくわ」
「わ、わかりました。では、私も全力で参ります!」
暇つぶしで起こした弾幕ごっこが始まった。
むぅ。どうして作者はこんな、前触れもなく戦闘シーンを書きたがるのでしょうか。表現力が欲しい!
というわけで次回は戦闘シーンです!ですが、もうすぐ作者はテストがありまして、更新が遅くなるかもです。←(元から遅い)
意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!