ちょっと部活の大会で忙しくなってしまい、書く時間がいつもより少なくなってしまい書けませんでした。これからはもうちょっと、もうちょっとだけ早くしたいですね。
では、ごゆっくり
最近だが、冥界はホントに花見スポットでは一番なんだと思う。常に満開で何百本も並んだ桜並木。花弁が散るのも綺麗で、満開の姿も当然綺麗だ。そんな景色に、綺麗な満月でもあれば絶景だろう。
「永遠の月?」
「そうなのよ」
紫の言葉に少し耳を傾けた。今日は珍しく、白玉楼に紫が来た。今は朝。普段は眠そうな顔をして来る紫なのだが、今日はいつもと違いキツそうな表情だった。
「その異変を解決しに行ったから......なるほどね」
幽々子は少し間を空けて納得したらしい。紫の話を聞いたところ、ちょっと前に幻想郷で終わらない夜が続いていたらしい。それが幻想郷では異変になったのだ。博麗の巫女である霊夢は当然、異変解決に出かけたのだ。そこに何故か紫も参戦し、二人での共同で異変解決に行ったそうだ。
「だから筋肉痛なの?」
「久しぶりに運動したわ」
「紫様でもなるんですね」
「あら妖夢。私でもまだ若いのよ?」
「「「.........」」」
「......ごめんなさい。私が悪かったわ」
無言の圧力ほど怖いものはない。
「それにしても、紫は相変わらずね」
「何がよ、幽々子」
「貴女って、なんやかんやで霊夢の事を甘やかしているのね」
「違うわよ。単純に手伝っただけよ」
「そこが、相変わらずねって言ってるのよ?」
「うーん。よくわからないわ」
「そういえば、その月の異変って誰の仕業だったの?」
他愛のない話をしている中、幽々子は話を切り替えた。確にそれは俺も気になっていたところだ。
紅い霧は吸血鬼のレミリアが。
春の雪は亡霊である俺たちが。
では月の異変は誰がやったのだろうか。月と言えばお月見、月見団子、その他は......
「兎とか?まぁ流石に無いだろうけど」
「あら、よくわかったわね」
「兎なの!?」
幻想郷って、兎も居るんだ......。
「正確には、兎の主ってとこかしら」
「飼い主が異変の主犯ねぇ」
やっぱ幻想郷って凄いんだな。兎の飼い主が月に何したんだろ?
すると紫は急に右手を上に挙げた。手の先には一つの黒い線があり、両はしにリボンが付いている、いわゆるスキマを出現させた。紫はそこ中に顔を入れて何かを覗き見ていた。
「今なら、人里に行けば会えるかもしれないわよ?」
紫はスキマから顔を出してそう言ってきた。
「あら、なら行きましょうよ、陽斗」
「そうだな。行ってみるか」
「決まりね。ほら妖夢、出かける準備をしてちょうだい」
「あ、はい!」
◇ ◇ ◇
予定変更、というよりもともと予定は無かったが人里に到着。そういや、俺は人里に来るのが初めてだな。霊夢や紫から少し話を聞いたくらいだったから、何がどうあるのか、全くわからない状態である。幽々子は久しぶりに来たらしく、妖夢は日頃のお使いはこの人里で済ましているらしい。
人里には妖怪でも入っていいらしい。妖怪が人を襲っていいのは人里の外であって、人里の中で襲わなければ妖怪でも入っていいそうだ。こうして妖怪と人間の関係が出来ているんだなぁ。
「あそこのお饅頭、美味しそうね」
「幽々子様。あそこのお店のをいつも食べてるんですよ?」
「あらそうなの?どうりで美味しいと思ってたわ」
「人里のお饅頭は全部美味しいですからね」
いろんな所を見ながらどんどん歩いて行く。それにしても人里は俺の思っていたよりも、結構広く、お店も沢山あった。魚屋、八百屋、肉屋。あれは...子供が本を開いて何か書いてるな。学校?寺子屋だろうか。
「あ、お二人とも。あそこ」
すると妖夢が何かを見てけて指をさしていた。見るとそこには何やら人が集まっていた。俺たちはその人混みの中に入りなんなのかを確認した。
「陽斗。なんて書いてあるの?」
「えっと......」
大きな看板に一枚の紙。そこには写真と文字が書かれていた。
写真にはうさ耳を付けてニンジンのペンダントをして満面の笑顔をしている小さな女の子と、その隣にはちょっとした文章があり、
───この顔を見て『ドキッ♡あ、恋かも』と思ったら今すぐ迷いの竹林へお尋ね下さい。そこに案内人がいます。
と書かれていた。
なんだろう、新手の出合い系掲示板だろうか。
「ねぇ陽斗、何が書いていたのよ〜」
「幽々子は見るんじゃない。妖夢もだ」
「なんでよ〜!気になるじゃない」
「そうですよ、陽斗さん」
幽々子は俺をどかして二人で出合い系掲示板を見た。すると幽々子が急に手を口に当てて少し震えているように見えた。
「幽々子様、大丈夫ですか?」
「......恋、しちゃったかも」
「嘘付けー!」
「嘘じゃないわよ、だって見て見なさいよ。とっても......」
幽々子は少しうずくまり、顔を隠した。すると幽々子からはポトリと一滴の......
「とっても......美味しそうじゃない!」
よだれが一滴とかそんなレベルじゃない程だった。
「なんでだよ!?」
「幽々子様、流石の私でも兎鍋は作れませんよ!?」
「妖夢は気にするところが違う!」
「ほら早く!兎は待ってはくれないわ」
「いやまず幽々子が待て!」
幽々子は今だ今だと興奮していた。兎って言ってるけど、写真の奴にはうさ耳をした少女だからね?兎じゃないからね?
「そもそも、迷いの竹林ってどこなのかしら」
「確かにそうですね。私も聞いたことないです」
「なら聞いていくしかないな」
意外と二人ともが迷いの竹林を知らなかった。幽々子はともかく、普段外に出ている妖夢も知らなければ誰かに聞くしか方法がない。
早速、目の前に一人の男性がいた。というか店を開いている人だろうか。この人に聞こう。
「あのー、すみません」
「いらっしゃい。おぉ、妖夢ちゃんじゃないか」
声をかけるとその男性は妖夢をみてそう言った。
「あ、こんにちは。いつもありがとうございます」
「いやいや、こっちもありがとね」
「妖夢、知り合いか?」
「いえ。いつもお饅頭は別ですが、羊羹はここでしか買わないので」
「幽々子さんは相変わらず別嬪さんだねぇ」
「まぁ、お世辞が上手いわね」
なるほど。妖夢って意外とお店からは常連さんみたいなんだな。幽々子の事も妖夢から聞いたのだろうか。
「こっちの若旦那は、妖夢ちゃんの彼氏かい?」
「ちち、違いますよっ!」
「はっはっは。すまないね。んで、何か用かい?」
「えっと、迷いの竹林をご存知ですか?」
「あぁ知ってるよ。その先の永遠亭にはお世話になってるね」
男性はまた元気良く話し出した。
「そこに行きたいのですが」
「この人里を抜けて、左に道があるよ。そこの近くに藤原 妹紅さんがいるから、妹紅さんが案内してくれるよ」
「どうも、ご丁寧にありがとうございます」
「いいって事よ。あぁそうだ、ちょっと待ってな」
お礼を言ったそばから、男性は手を広げて待ったと合図する。カウンターの下に何かがあるらしく、その下を漁っていた。すると男性は顔を出して手には小さな小包を持っていた。
「はいこれ、少ないけど待って行きな」
「わっ、ありがとうございます!」
「いつも妖夢ちゃんにはお世話になってるからね」
「良かったわね妖夢。貴女のおかげよ?」
「ありがとうございます。これからも宜しくお願いします」
「あいよ、じゃあ気をつけてなー」
男性は手を振って俺たちを見送ってくれた。俺と妖夢は小さく頭を下げて、幽々子は笑顔を返してその場を去っていった。
◇ ◇ ◇
「本当にここであってるのかしら......」
「大丈夫だろ。あの人もこの道だって言ってたし」
「それにしては、道が大変と思いますが」
あの男性に聞いたとおりに歩いたんだ。俺たちは道を進んで行ったんだ。
「だって、景色が変わりませんよ」
「う......」
「陽斗。本当に大丈夫なの?」
「ごめんなさい迷いました申し訳ないですっ!!!」
ここで渾身の土下座!もうね、俺はダメみたいだ。使い物にならないよ、お荷物だよ。そうだろ?そう言えよ、お荷物だって言えばいいじゃないかぁー!
「陽斗、顔を上げて。きっと大丈夫よ」
「そそうですよ!ぜ、全然怖くないですきゃら!」
「妖夢。噛むほど震えて、ごめんな」
妖夢が震えているのも無理はない。妖夢はなぜか、白玉楼に住んでいるのに怖いものがダメらしい。当然幽霊とかもだ。でも俺と幽々子は亡霊なのに大丈夫。なぜだろうか。
そんなことは置いといて、とにかくこの状況をなんとかしなくてはいけない。何か使える物が無いか周りを見たが、高く立派に育った竹とたまに見つかる筍くらいだ。日は沈みあたりも暗い。ここは幻想郷、何があってもおかしくない。
「あんたら、何してんだ?」
「きゃぁぁぁぁぁ!!?」
突然の声に妖夢が悲鳴をあげた。その悲鳴を聞いた声の主も流石に驚いていた。
「初対面で悲鳴だと、結構傷つくんだね」
「......貴女は?」
幽々子は少し前に出てそう聞いた。
白くて長い髪に赤く小さなリボン。白いシャツに赤のもんぺのようなズボンを履いている女性がいた。その女性は頭をポリポリを掻きながら口を開いた。
「妹紅。藤原 妹紅だ。あんたは?」
「私は西行寺 幽々子よ。冥界に住んでるわ」
「なるほど。どうりで生きている気配が無いわけだ」
「ふふ、そうでしょうね」
「んで、そっちの二人は?あんたの連れか?」
妹紅はそう言って俺と妖夢を指さしてきた。
「俺は如月 陽斗だ。幽々子と同じで冥界に住んでる」
「こ、魂魄 妖夢です」
妖夢は未だに少し震えていた。まぁそれも無理もない。ただでさえ怖いものが苦手なのに、暗い竹林の中急に声をかけられたんだ。......でもそこまで怖がらなくてもいいと思うけど。
「私たち、貴女を探していたのよ」
「ちょっと永遠亭ってとこに用があってね」
「あーあそこね。ならついて来て。こっちだよ」
あたり一面は竹しかないのに、妹紅は迷いもなく歩き始めた。何を基準にしているのか、何かを目印にしているのか、考えてはみたが全く分からなかった。高さは別々だろうが見た目はほぼ同じ竹。妹紅はそんな中冷静に道を進んで行く。俺たちもその後をついて行く事しかできない。ここで妹紅を見失えば確実に迷子になってしまうであろう。
「そういえば、貴女に聞きたい事があったの」
「ん?なんだ」
静かな空間で幽々子が口を開いた。
「貴女。人間じゃないわね?」
「そうだが、どうして?」
「ずっと歩いてて思ったわ。貴女は生きている、というか......生かされている」
幽々子の言葉に妹紅は少し驚いていた。それもそうだ。幽々子がいきなり何を言おうか。俺はてっきり妹紅は人間だと思っていたけど。
「妖夢、気づいてた?」
「え、あ、はい。先程ですが」
......なんだろう、この孤独感は。
「生かされている、ねぇ。七割正解かな」
顔を上に向けて妹紅は少し間を空けた。七割正解とは、一体どういう事なのだろうか。そもそも幽々子はどうしてそう思ったんだろう。
「残り三割は......」
再び妹紅は喋るのに間を空けた。
「死にたくても、死ねない」
「え!?」
俺は思わず声を出してしまった。妹紅はそんな俺を見て仕方が無い、と言った感じであった。だがそんな妹紅を、俺は理解出来なかった。死にたくても死ねない。そんなことを思う者がいるのだろうか。だが実際には目の前に存在する。
「貴女、蓬莱の薬。不老不死ね?」
「そのとおりだよ。私は不老不死。生かされている存在だよ。やっぱ、死を操るあんたにはバレるよな」
ははっ、と妹紅は小さく笑った。
不老不死。その名の通り死ぬ事もなく年をとる事もない、永遠に死なない存在である。そしてその不老不死が今話している妹紅だと言うことを知った。
「なるほど。本当に不老不死っているのね」
「私も初めて見ました」
「あ、そうだ。妖夢、さっき貰った羊羹をわけてあげなさい」
「幽々子様が他人に羊羹を譲るなんて......大丈夫ですか?」
「妖夢。今貴女結構ひどいこと言ったわよ?」
「す、すみません。......どうぞ、妹紅さん」
小さな小包を妖夢は妹紅にあげた。妹紅は手にとっては少し開いて中身を確認すると、とても笑顔になっていた。
「あ!これ雪見屋の羊羹だろ!?私好きなんだよなー。ありがとな」
あの店、結構有名なんだな。
「いいわよ。道案内のお礼として、ね」
「そうか。私の事はまたいつか話すよ。もう目の前だし」
妹紅の指をさす方を見ると、そこには竹が無くなっており、大きな建物が建っていた。
てゐなら、恋愛サイトに写真があってもいいかな。
はい、どうでしたか?みなさんの脳内てゐちゃんはどんな可愛らしい姿をしてるのでしょうか?
一応、てゐはこんな感じかな〜って思いましたが、変だったらごめんなさい。
意見や感想、気軽にどうぞ!
ではまた次回!