なんと、なんと......なんっとぉ!!!
前回の投稿で『気づけば桜の亡霊が傍に居てくれてる』が日間ランキング3位になりましたぁぁぁ!!!
そして、この作品を推薦してくれた方もいました!
その方は自分と同じ作者さんでして、かなり人気のある人です!教えたいのですが、許可無く名前を出してはいけないと思ったので出せません!気になった方、すみません。
とりあえず、この喜びをお伝えしたかったです!
ではごゆっくりとぉぉぉ!!!←(うるさい)
「......静かだなぁ」
やる事もやって、とても暇だ。こんな時は白玉楼の縁側でお茶をゆったりと飲む、これに限ると思うんだ。
隣では稽古が終わった妖夢と、朝ごはんを食べ終わった幽々子も、一緒にお茶を飲んでいる。
「ねぇ妖夢」
「はい、なんでしょう」
「どうして気絶してたの?」
「気絶?私がですか?」
「この前よ、この前」
すると幽々子は大妖精とチルノが来た時の話をし始めた。確かに俺も気になる。
「そうだよな。なんでだ?」
「あの時は疲れていた、と言うのもありますが......確か何かを見て、そこから記憶がないんですよ」
うーん、と頭に手を乗せて考え込む妖夢。念のため俺と幽々子も考え始める。妖夢が稽古終わり、疲れるのは当然。なら終わった直後だな。幽々子が気づいた時には倒れていた、と言うことはやっぱり大妖精かチルノのイタズラだろうか?
「......どうでもよくなったわね」
「......だな」
「え、そんな簡単にいいんですか!?」
おっさりと諦めた俺たちを見て、妖夢は少し慌てていた。なにせ自分が気絶していた事に関して諦めが早過ぎると思ったのだろうか。
「わ、私気絶していたんですよ?それを簡単に」
「妖夢は気絶していても、大丈夫なのよ」
「ちょ、それどういう意味ですかぁー!」
「気絶してても可愛いって事よ」
「え...ず、ずるいですよそんな...可愛いなんて......」
あぁ、幽々子がニヤニヤしてる。これ完璧に妖夢が遊ばれているパターンだ。
「って、気絶してても可愛いってどういう...わっ!」
「もーっ!可愛いわね妖夢は!」
「ちょ、幽々子様、離れてくださいっ......」
妖夢が喋り始めたと思いきや、幽々子は妖夢の口が開いてすぐに抱きつきにいった。妖夢は急な出来事に脳で理解が追いつかず慌ててしまう。だが慌てるのは当然だ。自分の主である幽々子が急に抱きついてきたら慌ててしまうのも無理はない。
「ぷはっ!......ゆ、幽々子様、お気持ちは嬉しいのですが、限度というものが」
「あらあら、その割には嬉しそうだったわよ?」
「そ、そんなはずっ......」
「なら妖夢は、私の事が嫌いなのね......」
「大好きです!私は幽々子様が大好きですよ!」
「よーむー!」
「わっ、ちょ、幽々子様!」
......これ、永遠ループになりそうな気がするのは、俺だけだろうか。
「~~~~♪」
「え?」
「これは......」
「歌...ですか」
突然、何処からともなく歌声が聞こえた。それは俺だけではなく妖夢にも幽々子にも聞こえていた。だが、冥界には動物はいない。ましてや動物の霊も数少ないし、その霊が喋ったり鳴いたりすることはないのだ。
「どこからだ?」
「冥界に動物なんて、聞いたことがないわね」
「幻想郷じゃないですか?」
「ここから幻想郷なんて結構な距離があるわよ?」
「でも、妖怪なら出来そうじゃないですか」
「......それも一理あるわね」
「なら行くか、幻想郷?」
という訳で只今幻想郷のよくわからない所にいます。どうしてわからないのか?別に迷子じゃありませんよ?迷子ではないのですが......遭難ですね。
「迷子じゃない」
「幽々子。心を読まないでくれ」
「でも、明らかに迷子よね、これ?」
「......ごめんなさい」
「そういえば、妖夢が見当たらないけど」
「え?」
幽々子の言葉を聞いて、俺は辺りを見渡した。周りには妖夢の姿がない。ましてや妖夢の半霊すらない。妖夢と半霊は二人で一心同体。いわゆる人生のパートナー的な存在だ。だから妖夢がいなければ、半霊の姿も見当たらなかった。
「妖夢。あの子今頃......」
幽々子は手で口元を覆い、うつむいて心配そうな顔をしていた。やはり、いくら庭師だろうが妖夢は大切な存在。そんな存在がいなくなれば誰だって悲しくはなるはず......
「泣き目可愛いはずよ」
悲しんでいなかった。
「そこかよ......」
「だってぇ、妖夢の泣き目って可愛いのよ?」
「知ってるよ」
俺は半分くらい呆れて幽々子に言った。
だが、これは幽々子の良いところでもある。幽々子はよほどのことがない限り悲しい表情は見せないのだ。ましてや明るい事を言ったり場の空気を和ませたりしてくれる。きっと幽々子なりに、皆を心配させないために言ってくれているのだろう。
「よし、なら妖夢を探そうか!」
「そうね。早く見つけてあげないとね」
───その頃
「ゆ、幽々子さまぁ...陽斗さぁん......」
ここって何処だろう。そもそもなんで私はここにいるんだろ。私がちゃんとしていれば、こんな事にならなかった筈なのに......。
「木の実を見つけて採ろうとしたら、まさか迷子なんて...はぁ」
景色の変わらない道を延々と歩く。あたり一面は自然ばかり。雑草や林、中には今となってはどうでもいい色んな木の実やキノコ。空を飛んでも大きな木が邪魔でよく見えない。とても酷い状況だ。
ガサガサ
「えっ?」
突如、どこからかそんな音が聞こえた。私は一旦落ち着いて辺りを見渡す。だが先程も言ったとおり酷い状況。よく見えない状況で敵なんか出られたら嫌だ。
「.........」
怖い、やっぱり怖いよ!なになになに!出てくるなら早く出てきてくださいよ!私だっていつも冥界で幽れ...お化けなんていつも見てるんですけど、こんな森の中じゃ何が出てきてもおかしくないじゃないですかー!
スルッ(妖夢の服の中に何かが入る音)
「きゃぁぁぁぁーーー!?!?」
入った!何かが私の服の中に入ったぁ!なにこれなにこれぇ!?動いてる、動いてる!
私は着ている服を手当たり次第手で探り、中に入った謎の物体を取り除こうとする。
そしてそんな状況の中、再び、今度は声が聞こえた。その声は段々と近づいてきて、私の方へと向かってくる。こんな、今の状態で敵なんかとてもじゃない!
「あ、あの......」
「あっ......」
後ろから声が聞こえ、後ろを振り向く。そこには多分、声の持ち主が立っていたが、私の心はそれに耐え切れず私はそこで気を失った。
「あ、あれ?気絶した?弱ったなぁ、八目鰻を落としたから取りに来ただけなのに」
◇ ◇ ◇
「よーむー、よーむ〜」
「どこだー?」
俺と幽々子がいくら叫ぼうが、周りからは何も聞こえない。聞こえても、せいぜい草木が揺れる音だけだ。
あたり一面は自然、それも夜だ。空を飛んでもこんな状況では何も見えないだろう。そして、ここは幻想郷。どんな妖怪が出てもおかしくない世界だ。別に妖怪が襲ってきても、幽々子なら勝てるだろう。俺は分からないが。
同じく、妖夢もただの庭師じゃない。常に鍛錬をして自分を鍛えており、刀も扱える。迷いを断ち切る白楼剣と、亡霊十匹分の威力を持つと言われている楼観剣。亡霊十匹分がどのくらいかは分からないが、妖夢が言うには凄いらしい。
「あれは、屋台?」
突然、幽々子がそう言った。俺は幽々子の見ている方向へと視線を向ける。そこには暗闇の中にポツンと一つの光、明かりを灯した屋台がそこにはあった。
「んにしても、こんなところに屋台か」
いやまぁ、幻想郷では普通かも知れない。そもそも俺が生きていた時でも屋台はあったしな。
屋台には『八目鰻』と書かれた暖簾に綺麗な提灯をぶら下げている。そして、その屋台からはとても香ばしい匂いがしてきた。
「陽斗。妖夢が居ると思うから行きましょ」
「よだれが出ているぞ、幽々子」
完璧に妖夢目的じゃないな。
幽々子はまるで大好物を目の前にした子供のように急いで屋台の方へと向かっていった。俺も幽々子に呆れながら、その屋台へと向かった。
「こんばんわ。やってるかしら?」
「いらっしゃいませ。見ないお方ですね」
「えぇ。初めてなの」
屋台に入ると、目の前には可愛らしい女将さんがいた。ピンク色の髪に少し濃い赤色の服。そして妖怪なのだろうか、背中からは綺麗な翼が生えていた。
「私はここで店をしているミスティア・ローレライと言います。皆からはみすちーって呼ばれています」
ペコリと頭を下げて自己紹介をするみすちー。だが幽々子は全く聞いていないのかまたよだれが出ていた。
「八目鰻。食べた事ありませんか?」
「ないわ」
「では、少々お待ちくださいね」
みすちーはそう言うと、あらかじめ調理しやすい様に準備していたのか、足元にあった桶から八目鰻を二匹取り出した。それをまな板に置き、近くの棚から包丁を取り出し手に持つ。八目鰻の腹に刃を入れスムーズに切っていく。その綺麗な包丁さばきに幽々子も少し興味があるように見ていた。
八目鰻を切り終わると、次に炭に火をつけ始めた。火を付けると、その傍にあるタレに先ほどさばいた八目鰻をタレにつけて焼き始める。煙が立ち、店の外での香ばしい匂いがしてきた。ジュ〜と音を立てながら焼き上がりを見てはひっくり返してまた焼く。これを何度か繰り返した。そして焼き上がったのか、皿を取り出して盛り付けた。
「はい、どうぞ!」
元気良くみすちーは幽々子と俺の前に出してくれた。タレの匂いといい感じについた焦げ目がまた美味しそうに見える。
「いただきま〜す」
手を合わせて、幽々子は早速食べ始めた。それに連れて俺を食べ始める。
「熱いので気をつけてくださいね」
「はふっ、はふっ......美味しいわね」
「あ、美味しい」
「えへへ」
八目鰻の身はタレを吸い込んでおり、とてもいい焼き加減で焼かれているためとても柔らかい。中まで火も通っていて最高に美味しかった。
「食べている最中申し訳ないですが、一つ聞いてもいいですか?」
「なにかしら?」
「実は先ほど迷子?と出会いまして、その人の関係者を探しているんです」
それを聞いて、幽々子は何か察したような顔つきをした。
「ねぇその子、泣きながら何か言ってなかった?」
「えっとぉ......『ゆ、ゆゆこさまぁ...ようとさぁん......』って」
「なるほどね。あ、おかわり貰えるかしら?」
「あ、はい、ただいま!」
幽々子の急な対応にみすちーは素早く動いた。
「はいどうぞ」
おかわりを予想していたのか、先ほどよりも早く出来上がった。それも数も増えていた。
「それで関係者を探しています」
「その子、呼んでもらえるかしら」
「わかりました」
みすちーはそう言うと店の裏へと向かい、少し時間が経ってから再び出てきた。そして、みすちーの後から明らかに見覚えのある少女も出てきた。
「この人ですが、ご存知「幽々子さまぁぁぁ〜!」......え?」
当然ながら、みすちーは驚いていた。
それもそのはず、探していた関係者がまさかの客であったのだから。それも俺の知らない間に三回目のおかわりを注文した本人がだ。ホントにいつの間に注文したんだよ。
「申し遅れたわ。私は冥界の管理人、西行寺 幽々子よ」
「えっ?」
「同じく冥界の管理人、如月 陽斗だ」
「えっ!?」
◇ ◇ ◇
「──なるほど、そう言う事でしたか」
「そうなのよ。迷惑かけちゃって申し訳ないわ〜」
「ホントにごめんなさい」
「いえいえ、構いませんよ」
説明が終わり、みすちーも納得してくれた。
それにしても運が良かった。もしみすちーじゃない誰かだったらもしかすると探しきれなかったかもな。これはいつか、みすちーに恩返しをしなければ。
「おかわり、いいかしら?」
「もう止めとけよ」
気づけば幽々子の傍には積み重ねられた皿があった。ホントに、みすちーには申し訳ないと思う。っというか食べるの早いな相変わらず!
「あの、おかわりはいいのですが、一つよろしいでしょうか?」
みすちー。そこはおかわりを許してはいけないところだよ!心の中でみすちーにツッコミを入れてちょっと落ち着く俺。見るとみすちーは何やら少し真剣な表情をしていた。
「あら、なんでもいいわよ。何かしら?」
「私で良ければ相談にのりますよ」
「どうしたんだ、みすちー」
みすちーはホットしたような表情をし、少し屋台の中にかがんだ。ガサゴソと音がなり、音を聞く限り何やら紙を扱っているようだった。しばらくしてから、みすちーは顔を出して、片手には一枚の紙を持っていた。
「お会計なんですが......」
みすちーの手から領収書を受け取り、料理の値段などは中々リーズナブルで助かったが、問題は合計金額がちょっとやばかった。
一時で言うと......
「......幽々子。お前西行寺家のお嬢様だろ?このくらい持ってるから食べたんだよな?」
「持ってないわよ?」
「ならなんでこんなに0が沢山付くまで食べたんだよぉ!?」
リーズナブルで助かった?誰だそんなこと言った奴、出てこいぶちのめしてやる。
「だってぇ、美味しいですもの」
「確に美味しかったけど、限度があるだろ限度が!」
「まぁまぁ、落ち着いて陽斗」
「ユユコサマノバカユユコサマノバカ」
「落ち着きたくても無理だろ!見ろよ、妖夢が領収書を見てなんかボソボソ言ってるじゃねぇか!」
指をさして妖夢の精神状態を見て「あらあら」と言う幽々子。この亡霊は、どうしてこんなに余裕のある笑顔で居られるんだろうか、同じ亡霊でもわからない。
最終的食べた分、使った分の食料をいろんなところまで取りに行った。魚に野菜その他もろもろと。
「......釣れないな」
「釣れませんね」
そして今、現在進行系で俺と妖夢は魚釣りをしていたのだった。
ついにでましたミスチーちゃん!今回は出番が微妙でしたが、今後はゆゆ様×ミスチーを書いていきたいと思っているところです!
前書きにも書きましたが、読者の皆様、本当にありがとうございます。皆さんが読んでくださっての3位です。この記録は大事にしていきますので、今後とも宜しくお願いします!
感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!