ホントに申し訳ないです。私情ですが色々ありまして。そんな中書く事もできましたが、作者の頭では書き終えることも長くなりました。
ではでは、ごゆっくり
「んぅ〜〜〜」
紅魔館から帰ってきて約二日。俺達は昼ごはんを食べ終わった頃だ。俺は居間でお茶を飲み、幽々子は隣で食事(食後のデザート)を。そして妖夢は庭で剣の修行を。そんな平和な日常を送っていた。
「これおいひぃわ〜」
幽々子は目の前にあるデザートを食べながらそう言った。幽々子が食べているのは紅魔館で咲夜に教わったシフォンケーキだ。と言っても幽々子が作ったわけではなく俺と妖夢に作らせたのだが。でも、作ったものを美味しく食べていただけるのは作った側としても嬉しいことだ。
「......ふぅ。幽々子様、稽古が終わりました」
「ご苦労さま。少し休んでていいわよ」
「あ、はい」
妖夢は汗を拭き、部屋へと向かっていった。きっと着替えを取りに行ったのだろう。
ちなみに、妖夢は修行をするときはいつもの服装ではないのだ。昨日、紅魔館から帰ってきて四季映姫さんに怒られたあとに紫が来たのだ。紫の手には緑色のジャージを持っていて『外から貰ってきたわ』と言って妖夢に差し上げたんだ。外から貰ってきたって、盗んでないよな?とは思ったけど、妖夢が気に入ってる様子だったからあまり考えなかったけど。
「そういや、幽々子はその着物の他には何かないのか?」
「うーん。あると言えばあるけど、紫からの貰い物だから着る機会がないの」
「なるほどな」
紫が持ってきているのは多分外の世界で着ている服だろうか。どんな服を貰ったのかは気になるけど、ほれはまだいいか。
「幽々子様、着替えてまいりまし」
「ひゃっほーーー!!!」
「「「え?」」」
突如、何処からともなくそんな叫び声が聞こえた。俺と幽々子は周りを見回し、妖夢は庭に出て楼観剣と白楼剣を構えて戦闘態勢をとった。その声はどんどん近づいてきて、俺もいつでも逃げ......幽々子を守れる体制をとる。
「何かしらこの声」
「わ、わからな......妖夢、上!」
「なにっ!?...あ........」
「わぁぁぁああぁ!!!」
「「妖夢ーーー!」」
妖夢の叫び声と同時に何かが妖夢に激突した。まるで隕石の如く謎の物体は妖夢に突っ込んでいき、俺と幽々子は妖夢の元へと急いだ。
「妖夢、大丈夫か!」
「う、うぅ〜ん。だ、大丈夫です」
俺は妖夢に肩を貸し、立ち上がらせる。妖夢には目立った怪我はなく、少し腕を謎の物体にぶつけたくらいだった。砂煙がだんだんと晴れていき、俺の近くでさっきの声が聞こえる。
「いてて。ブレイジングスターでミスったぜ......」
「......魔理沙?」
砂煙が無くなって、俺は声のする方を見た。そこには白黒の帽子に魔女っぽい服を着た魔理沙がいた。
「あ、陽斗。なんでここに居るんだ?」
「ここに住んでるからだよ!」
「へぇ、そっか。初めて知ったぜ」
「嘘つけ!」
「ま、魔理沙さん。重いです......」
そして妖夢はその魔理沙の下敷きになっていた。
「あ、すまない妖夢。でも重いは余計だ」
「魔理沙でも体重は気にするんだな」
「なっ!わ、私だって乙女なんだぜ!?体重くらい気にするさ!」
「ねぇ魔理沙」
「あ、幽々子。久しぶりだな」
魔理沙が手を振って、幽々子はこちらに歩いて来る。幽々子は笑顔で魔理沙へと近づき、一瞬で真顔に戻った。
「えらく庭をえぐったけど、どうするつもり?」
「...え、あ...ごめんだぜ......」
『魔理沙掃除中』
「相変わらず、広い庭だぜ」
「だろ?妖夢はこれを全部1人で手入れしてるんだ」
「......剣を振るだけじゃなかったのか」
「魔理沙さん。ここはひとつお手合わせを」
「ご丁寧にお断りするぜ」
魔理沙の言葉に妖夢は笑顔で、いや、殺意が入った笑顔でそれも剣を既に鞘から抜いた状態で歩み寄ってきた。魔理沙は命の危機を感じたのかすぐさま妖夢の誘いを断った。
「それにしても暇だなぁ」
「魔理沙さんは普段、どのように過ごしてるのですか?」
「私?私はパチュリーから本を借りたり、霊夢にちょっかい出したり......キノコを探しているぜ!」
「そ、そうですか」
お、予想がほぼ的中してる。
妖夢はそれを聞いて少し呆れた感じを出していた。妖夢は普段、そんな事をする暇はない。庭の手入れ、剣の修行、幽々子のお世話。それをしているだけで妖夢の1日の半分近くが終わってしまうからだ。忙しい妖夢にとっては、魔理沙は自由過ぎるのだろう。
「ちなみに、幽々子はいつも何してんだ?」
「私?私は......」
「真似はしなくていいぜ」
「あらホントね。無意識だったわ」
ここで魔理沙は小さなことを指摘してきた。実際、魔理沙は細かいことをよく気にするタイプかも知れない。
「朝ごはん食べて、デザート食べて、お夕飯を食べてるわ」
「へぇー、昼は食べないんだな」
「ツッコミそこかよ!」
「「え?」」
「2人して何言ってんだこいつ、みたいな顔すんじゃねぇよ! 」
「冗談だぜ。幽々子は運動とかしないのか?」
魔理沙の問に少し関心した。確かに、幽々子は運動している姿を一度も見たことないのだ。それは生前から今まで一度もだ。
そもそも幽々子は運動が出来るのだろうか。まずはそこだ。ゆったりとした性格にのんびりと過ごす日々。それを繰り返している幽々子に運動している姿は予想できなかった。
「失礼ね。ちゃんとやってるわよ、弾幕ごっこ」
今更だが幻想郷で弾幕ごっこはスポーツとして認定していいかもしれない。
「それを言ったら私は毎日やってるぜ?」
「そうですよ幽々子様!運動をしましょう!」
そして急に妖夢が話に乗ってきた。幽々子が運動する事が珍しいのか、妖夢は「やりましょう、やりましょう!」と幽々子に連呼している。
だがその妖夢だが、笑顔でいるのにその笑顔がどこか暗く見える。
「やりましょうよ幽々子様。運動してその二つの脂肪の袋を落とすのです......」
「え、ちょ、妖夢?」
この時俺は思った。ここからは女性の領域だと。
「そ、そうだぜ幽々子!痩せてその袋を取っちまえ!」
「魔理沙まで、なんでそんな目だけ笑ってないの?」
幽々子は胸に手を当てて二人を見ていた。やはり女性としては大きい方が魅力的だが、自分が報われていなければ他を落とす。それだけの意志があるのだろう。
「わかった、わかったからちょっとぉ」
幽々子は手に持っていた扇子を畳んで立ち上がった。いや。無理やり言葉で立ち上がらせたと言えるだろう。妖夢と魔理沙はついに来たかと言わんばかりで次の言葉を待っていた。
「お昼を食べてからにしましょうか」
「ゆ、幽々子様......」
「まぁ、言うとは思ってたが」
「やっぱり昼は食べるのか」
「うん魔理沙、そこはもういいと思うわ」
◇ ◇ ◇
「それで、何をするのかしら」
俺たちは今、白玉楼の広い庭に出ている。何故かと言うと先程の会話の結果、幽々子も運動する事になったからである。妖夢は紫から貰ったジャージを着て、なぜか俺の分まで紫が送ってきてくれたらしく俺も妖夢の青バージョンを着ている。そして当然、運動する幽々子も水色のものを着ていた。
「それって動きやすそうだな」
「あぁ。俺が生きてたときは愛用していたよ」
ちなみに魔理沙の分は流石になかった。
「今回は妖夢が普段行っている事をするからな」
「よ、妖夢の練習メニューってこと......?」
幽々子の顔から大量の汗が流れ始めた。もう運動し始めた訳ではない。単純に、幽々子は妖夢が普段どのような修行をしているのかは俺や幽々子が一番知っているからである。当然、幽々子もそのキツさは見てわかっていた。
「わ、私やっぱ見ているわぁ......」
スタスタ→幽々子が縁側に歩く音
ガッ→妖夢が幽々子の肩を掴む音
ズルズル→妖夢が幽々子を引きずる音
「妖夢、私は貴女の主なのよ?庭師として、主を守らなければいけないでしょ。そんなか弱い主を貴女はどういう目で......」
「幽々子様?」
「じょ、冗談よぉ冗談!妖夢の修行なんて私に掛かればちょちょいのちょいよぉ」
「そうですか、流石幽々子様ですね!ならさっそく始めましょう───」
「───はぁ、はぁ......死にそう」
「もう死んでます」
「もう死んでるぜ」
「な、なによぉ二人してぇ...はぁ、はぁ......」
息をいらして二人に対応する幽々子。今のところメニューはランニングしかしていないのだが、これがまた少ししか走っていないのだ。どのくらいだろ?あそこに白玉楼が見えるから......大体300mくらいだろうか。女性としてはそこそこ走っていると思うが、これがまた妖夢の走るペースが速い速い。もうね、普通に男性と勝負してもいいくらいに。
「どうしたんです幽々子様?まだ始まったばかりですよ」
「い、いきなり走り込みなんてき、キツイわよぉ」
始めてまだ20分も経ってないのに、幽々子はもう既にダウンしていた。この体力でどうやってフラン相手に弾幕ごっこで勝ったのだろうか。
「これでよくフランを倒したよな」
「あれは、はぁ、飛んでいたから、よ......」
「え!?幽々子お前、あのフランに勝ったのか!」
「え、えぇ。か、勝ったわよ......そもそもなんで魔理沙は飛んでるのよ」
「私は別に体力はあるし運動はいつもしてるからな」
確かにそうだ。冥界から外に出るとたまに、と言うかよく頻繁に魔理沙がほうきに乗って猛スピードで移動してるのを見かける。
「ふぅ、ふぅ......」
「幽々子!?」
走っている最中、急に幽々子が胸を抑えて倒れ込んだ。やはり無理をさせ過ぎたのだろうか。俺は心の中でそう後悔し始めた。やっぱり幽々子に運動は向いてなかったんだ!くそっ!俺がこんなことさせなければ良かったのに!
「幽々子様!大丈夫ですか!?どこが苦しいのですか!」
「ち、違うの妖夢」
「違う、とは......」
幽々子は呼吸を整えて、顔を上げて妖夢の方を見て口を開いた。
「胸が上下に動いて根元が痛いのよ」
「「.........」」
「魔理沙、妖夢。残念そうに落ち込むな」
これは何かの因縁か神のイタズラなのだろうか。持つ者持たぬ者の世界であった。
「では次に、剣の素振りです、って大丈夫ですか幽々子様?」
「な、なんで急に速度上げたのよ......」
「胸が羨まし......鍛錬ですから」
「そ、そうよね。妖夢はない分速く走れるのよね」
「ーーーっ!?」
妖夢の心に50ダメージ!
「う、うぐっ......い、いつか幽々子様より大きくなりますもん!」
「そ、そうね。楽しみにしてるわ。だから休憩にし...」
「しません」
「そ、そんなぁ」
幽々子はもう今にも子供のように駄々を捏ねるような感じだった。今ではまるで、主人と庭師の立場が入れ替わっているようにも見えた。
「ほ、ほら妖夢。雨が降りそうよ?」
「雲ひとつないですが」
「その、お布団干さなきゃ」
「雨が降りそうじゃなかったのですか?」
「.........」
こういう時の妖夢は強いと、俺は初めて知った。
「なぁ陽斗、いつもこんな感じなのか?」
「いや、珍しい光景だ」
「だろうな。想像すらしなかったぜ」
「ほら幽々子様、始めますよっ!」
「い、いやぁぁぁぁぁ!」
◇ ◇ ◇
「幽々子様、今日はいっぱい食べてくださいね」
「わかってるわよぉ」
幽々子の運動が終わり、俺たちは夜ご飯を食べ始めていた。魔理沙は自分の家にキノコがある、と言い帰ってしまった。
今夜は幽々子の大好きな肉料理が沢山並んでいた。全ては俺と妖夢が一緒に作ったのもなのだが、中々の出来栄えだと思う。
「それじゃあ、いただきまーす」
「いただきます」
「では、いただきます」
みんなで食事開始の挨拶をし、料理に箸をつけた。幽々子は相変わらずマナーは良いのに食べる速度だけはとても早かった。それだけ今日は疲れているのだろうか。
次の翌朝。幽々子は筋肉痛で1日寝込んでいた。
これを魔理沙が聞いたところ......
「亡霊の筋肉痛なんて初めて聞いたぜ」
......だそうだった。
終わり方が『無理やりすぎるだろ!』と思った方、挙手!
久しぶりに書いたのもありますが、もうヤバいですねはい。
改めて。
あけましておめでとうございます。今年も良い一年をお過ごしください。
そして、この死奏憐音と『気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる』をどうぞ、宜しくお願いします!
感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!