ホントに暑いですよね最近、どうかしてると思います。こんな時はプールや川に入って泳ぐのが楽しみってもんですよ!
な、の、で!
久しぶりの特別編!内容は......見てのお楽しみってことで、ごゆっくり
夏休み。
それは子供達や学生が唯一、勉強と言う名の鎖を外し人生で上位であろうくらい活発になる時期である。俺もそんな夏休みが大好きだった。だが俺は今死んでいるため、幻想郷には夏休みが存在しない。まぁそれもそうだろう。幻想郷は外の世界とは環境や文化が全然違うし、ましてや機械すらない。
だが、学校に行かずに白玉楼でのんびりと過ごす事は悪くないと思う。面倒な事もなく、宿題もない。幻想郷にはプールは無いがめちゃくちゃ川が綺麗である。
今は冥界にいるが、川を見るたびに泳ぎたくなる。なら泳ぎに行こう、と思うのだが、今では......
「暑い」
「暑いです」
「暑いわねぇ」
この有様である。
俺は仰向けに大の字に倒れ、妖夢は半霊に俯せている。そして幽々子は手を持っている扇子で扇ぎならが横になっていた。
「よーむぅーあーつーいー」
「分かってますよ......」
「むぅ。よーとー、妖夢が冷たいわぁ」
「この暑い中、妖夢が冷たいとか、面白いな」
「そんなつもりじゃないわよ!」
幽々子は元気だなぁ。俺なんかツッコミをする気力すらないぞ。そもそもなんで冥界がこんなにも暑いんだよ。ほら、あそこに魂がダウンしてるじゃねぇかよ。
「よーとー。なにか涼しくなる遊びとかないのー?」
「なんだよ涼しくなる遊びって......」
そんなもんあったっけ?俺はとりあえず生きていたときの事を思い出して考えた。涼しくなる遊びといえばやはり、川で遊ぶのが一番だろう。他には遊びじゃないけど扇風機の前であ〜って言ったり......
「思いつかない」
「もぉ〜ならどうするのよぉ」
「呼ばれて飛び出てなんちゃらら〜」
「呼んでない」
「呼んでません」
「呼んでないわ」
「まさか妖夢にまで言われるとは思わなかったわ」
突如、明らかに見覚えのあるスキマが目の前に現れた。と言っても誰かはもう既に分かってる。そのスキマからは予想通り、呼んでもいない紫が現れた。
「あらあら、そんなにだらけちゃって」
「何よぉ。紫は涼しそうな感じね」
「そんな事ないわよ」
「藍ちゃんと橙ちゃんは大丈夫なの?」
「橙は平気だけど、藍は尻尾が暑いからダウンしてるわ」
やっぱり、藍は夏に弱かったか。
それもそのはず。藍は九尾の狐。九本の尻尾の触り心地と言えば、高級の羽毛布団なんか敵じゃない、もふもふ感があるのだ。だがそんなもふもふ感でも、夏になれば大変な事になる。下手をすれば、その中に人間が入れば蒸し殺せるのではないだろうか。
「紫は何か暑さ対策なんてあるの?」
「ふふ。今日はそのために来たのよ」
「ほんと?」
「まぁまぁ、ちょっと待ちなさいな」
◇ ◇ ◇
「せっかくだから、川までの境界を繋げたわ」
「見たらわかるよ」
「紫様は、ここで泳ぐために?」
「まぁ、妖夢は半分正解ね」
「半人半霊だけに?」
「うぅ、幽々子さまぁ」
妖夢が拗ねると、たまにとても可愛く見える。
「じゃあはい。みんなこれに着替えなさい」
すると紫はどこから出したのか、小さい袋を渡してきた。
「これは?」
「外の世界では、水着って言うらしいわ」
「幽々子たち遅いなぁ」
当然、俺は一番に着替えが終わった。男子なんて脱いで履く。これだけでいいからな。女子のは分からないけど。そもそも、幽々子たちは着方がわかるのだろうか。紫から説明はされてはいたが。べ、別に幽々子と妖夢の着替えが見たいとか、そんなんじゃねぇからな!勘違いするじゃねぇぞ!?
「あら、着替えが見たいのかしら?」
「あ、紫......お前も着替えたのか」
「似合ってるかしら?」
振り向くと、そこには紫がいた。それも水着姿で。
紫が着ているのは紫色を主とした、露出が一番多いであろうビキニを着ていた。
紫はスタイルが良いため、とても似合っていた。だけどなぁ......
「もうちょっと若ければ...あ、ごめんなさい!似合っています!とても似合っていますからスキマに落とすのだけはァァァ!!!」
「貴方、わざと言ってるでしょ」
「わざとじゃない、わざとじゃないって本音ですからお助けをぉぉ!」
「そう。なら......はい」
「あ、ありがとゆか.........えっ」
紫は俺を許してくれた、かと思いきや、結局スキマの中に落とされてしまった。俺は一瞬の出来事にまともな言葉も発することもできず、スキマに落ちてしまう。
「紫ぃぃぃ!!!......おぶっ!」
スキマに落とされて紫の名を憎むように叫んだ。二回目死んでも怨んでやろうと。だが、紫もそこまで鬼ではなく、スキマを俺の落とされた所から川の繋いでおり、俺は川に落とされた。
「つめたっ!でも気持ちぃぃ」
なんか、恐怖のアトラクション的な物に、紫のスキマは使えると思う。川は意外と深く、せいぜい俺の肩が二の腕辺りだろうか。
「陽斗、大丈夫?」
「あ......」
俺は声をする方を振り向いた。そこには大きな岩の上に乗って俺に手を差し伸べてくれている、水着姿の幽々子がいた。
「.......」
「な、なによぉ。そんなに変、かしら?」
幽々子は不満そうに自分の水着を見ていた。幽々子の着ている水着は水色が主な配色で、上は紫のようなビキニに、下はスカートのようになっている、言わるゆパレオ、と言うものだろうか。
「へ、変じゃない!むしろ、とても似合ってるよ」
「え?」
「似合ってるよ、ホントに」
「......もぉ、そんなに言っても、何も出ないわよ」
幽々子はそう言ってぷいっと顔を俺から背けた。若干、頬を赤らめていたが、大丈夫だろうか?
「幽々子様~どうです?似あってますか?」
「可愛いわ、食べちゃいたいくらい」
「えっ!?」
即答する幽々子であった。妖夢はその言葉に恐怖を覚えたのか、それとも嬉しいのか複雑そうな顔をしていた。それも仕方がない。確かに妖夢の水着姿は可愛かった。それもそのはず。
「なんで私だけ、幽々子様や紫様とタイプが違うのですか?そもそもなんて名前なんですかこれ?」
「妖夢。それはスク水って言う奴だ」
「スク水、ですか」
それも旧式の方である。
「そんな事より、早く泳ぎましょ」
「だな。せっかく来たんだからな」
幽々子の言葉を聞き、みんな川へと向かっていった。
「幽々子様、冷たい、冷たいですよ!」
「そのくらい分かるわよ」
「幽々子隙あり~」
「きゃっ!もぉ、紫~」
うん。見ていて和む。この一言だけでいいかもしれない。簡単すぎる?でもなぁ、ホントにこれだけで言葉は足りると思うのだが。
「ちょ、幽々子様!?」
「ふ~ん。やっぱり小さいのねぇ......」
「うちの橙と同じ......?」
「っなわけありません!少しはありますよ!お二人が大き過ぎるだけです!」
なにが、とは言わない。
「ほら、陽斗も入りなさいよー」
「そうよ、せっかく水着まで準備したのだから」
「よ、陽斗さん!助けてくださいーーー!!!」
普通に会話してると思うなよ?紫は妖夢をスキマで拘束し、幽々子はそんな妖夢に向けて手をワキワキさせている状態での会話だぞ?
「よし、なら入るか」
俺はあえて妖夢の悲鳴を聞こえないように暗示を自分にかけ川に入っていく。
「......幽々子!」
「えぇ、紫!」
「来ると思ってたよ!」
「「きゃっ!」」
予想通り、幽々子と紫は俺が川に入った直後、すぐさま俺を拘束してようとしてきた。俺にはこれが予想出来ており、俺は若干の能力を使い二人の行動を阻害させた。ここまでしないと確実にやられていた。
「ふっ、二人の考えなんてお見通し」
「だと思って、私もスキマを配置しておいたわよ」
「え?......あっ!」
足が動かない。見てみれば、紫の右手はスキマの中に突っ込んでおり、俺の足まで繋げて俺の足を握っていた。俺は抵抗するものの、紫は妖怪。それも大妖怪だ。力が半端じゃない。
「あんたの考えも、お見通しね」
ふふっと鼻で笑う紫。これは完璧にやられた。
「あらあら、陽斗ったら大人しくなっちゃって」
「いやもうこれ、完璧に俺の負けだろ」
「ん?意外と威勢がいいこと」
......と見せかけて!
「幽々子。ここは妖夢で手を打とう!」
ここで最終手段。妖夢を使った。
「残念。妖夢ならあそこで......」
「えっ?」
俺は幽々子の指をさす方向を見た。そこには沖に上がって息を荒げにしている妖夢の姿があった。
「はぁ、はぁ...も、もぅら......めですぅ.......」
それもかなりの重症であった。あの短い間に何があったのだろうか。
「諦めなさ~い」
「く、せめて!」
「わっ!」
俺は両手で水を叩くようにした。それで水しぶき上げて少しでも抵抗した。やり方が子供っぽい?安心しろ。みんな危機を感じたらこうなるからさ。
「もぉ、抵抗は無駄よ?」
「なっ!」
すると紫はもう一つの手で俺の右腕を握った。これで俺に残されたのは右足と左腕だけである。当然、足は使えないため、左腕だけでどうにか.......なりませんね、はい。
「.......すまない、幽々子」
俺はもう一度能力を使い、幽々子の行動を阻害した。あくまで阻害するだけで、どうやって阻害するかはわからない。だか、これにかけるしかなかった。
「あ......」
阻害は出来た。だが、その阻害の内容がダメであった。それは幽々子の上の水着が取れた、ということだ。たぶん、後ろの紐が緩み、取れたのだろう。
「あらあら、陽斗ったら」
紫はそんな俺たちを見て、口を手で隠して笑っていた。
「......」
「......」
無言が続くなか、俺はこういう遊びの時には能力は使わないと、決意した。
◇ ◇ ◇
今は帰り。みんなはいつもの服装に着替え終わり、目の前には冥界、白玉楼に続くスキマを紫が出してくれるだけであった。
そんな中。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
「も、もお良いわよ。そんな見られても減らないんだし」
「でもこれは男として謝ってるんだ!」
「い、いいから顔を上げて、陽斗」
当然、男性が女性に対して失礼な事をした時に使う必殺技、DOGEZAの体制で謝っていた。
「ゆ、許してくれるのか?」
「何度も言ってるでしょ?」
俺は幽々子の言葉を聞いて、反省もしながら幽々子がありがたく思えた。
「別に、陽斗なら見られても.......」
「ん?なんか言ったか?」
「なんでもないわよ~」
「良いですよね、お二人は大きくて......」
「「「よ、妖夢!?」」」
そして紫の後ろには妖夢がかなり暗い顔でそう言ってきた。
「だ、大丈夫よ妖夢?私みたいに、いつかは大きくなるわよ」
「そうよ。藍だって最初は貴女と同じくらいよ?」
「そ、そうなんですか?」
若干の涙目で上目遣いで妖夢は二人を見ていた。これにはかなりダメージがあったらしく、二人とも顔を赤くしていた。
「大丈夫だって妖夢。妖夢は小さくでも可愛いから......」
「「あ......」」
すると紫と幽々子は二人して声を出した。え、なに?俺何かまずい事でも言ったか!? 俺は幽々子達を見たあとに、恐る恐る妖夢を見た。
「.........」
ゴゴゴゴゴッと言う効果音が付きそうな勢いで、妖夢が俺に殺気立ったを立てていた。
「陽斗さん......」
「...はい」
思わず敬語になるほど。
「歯を食いしばってください」
「え、ちょ、妖夢。話せばわか───」
この時の妖夢の張り手の音は、幻想郷中に響きわたったかもしれない。そんな威力だった。
今更ですが、なぜ七夕の特別編を書かなかったのか?
フッフッフッそれはですねぇ......忘れてました!(おい作者)
すみません。でも忘れていたのは事実なんですよ。内容は出来てました。ただ、それを書かずに忘れてました!
最後に一言。
美人さんや美少女と一緒に泳ぐと......テンパるよね。
はい、感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!