え?今まで何してたんだって?それはですねぇ......企業秘密です!
べ、別にテストが終わったばかりで気が抜けていたとか、そそそ、そんなんじゃありませんし!
っというわけで、ごゆっくり
俺たち、幽々子と妖夢も含め、急遽紅魔館に泊まる事になってしまった。ってかなんでそうなるの!いや、歓迎されてるのは嬉しいんだけどさ、レミリアがあんな事を言うなんて想像もしなかったな。
「なぁ幽々子。レミリアと何を話したんだ?」
「別に〜あんまり話さなかったわよ?少し紅茶の事を教えてもらったくらい」
「ふ〜ん」
うーん。なんかさっきから幽々子が俺の方を見てくるんだが、顔に何か付いてあるのだろうか。まぁそこはいいとして、先程から妖夢が紅魔館に泊まるって聞いてから『私の半霊...私の半霊を守らなきゃ......』ってずっと言ってるのだが、大丈夫なのだろうか。
◇ ◇ ◇
「あぁ〜気持ちいいなぁ〜〜〜」
ただいま入浴中。紅魔館に泊まる事が決まってしばらく、幽々子が『お風呂はどうするの?』と言ったらレミリアが入れてくれた。当然、男は俺だけなので1人です。べ、別に幽々子と入りたいなんて思ってないからな!?
それにしても流石紅魔館。巨大な館だけあって風呂もとても広い。白玉楼は和風なのが多く、風呂場も一応広いけども紅魔館程ではなかった。
「...そういや、レミリアとフランはどうやって体洗うんだろうな」
あの2人羽が生えてるし、そもそも吸血鬼って流水がダメだった事をパチュリーから聞いたことあるなぁ。
「.........なんか、懐かしい感じだな」
思わずそんな言葉が出た。
この感じ。
この感覚。
この雰囲気。
ほとんど......あの時と。.........俺が白玉楼で1人だった時のと同じだった。
当然、幽々子は自分自身が生前に俺と暮らしていたなんて知る由もない。幽々子は亡霊であって、記憶も失っている。そしてもちろん、妖忌の事もだ。
今幽々子がどう思ってるかは分からない。自分自身が亡霊ということもどう思ってるのかすら......。俺との前の記憶がない時点で、幽々子は西行妖を封印するために死んだ、なんて言いたくないし......そもそも言えない。当然ショックを受けるだろう。
俺は妖忌と妖夢が一緒にいるところを見たことがなかった。妖忌はまだ妖夢が幼い頃に白玉楼の庭師になり、何処かへ行ってしまった。そしてしばらくして、妖夢が白玉楼の庭師になって、やっと俺は1人じゃなくなった。
『今度はお互い........亡霊として...........ね........』
幽々子の最後の言葉が頭の中に出てきた。
そう。そこで、西行妖の前で...幽々子は......。
「......はぁ、なんか長湯したな」
昔のことを思い出していると頭がボーッとしてきた。ちょっと思い出しすぎたか。そろそろ上がるか。
思い出していて分かったが、そして今更だが、俺のやるべきことは分かった。
幽々子と妖夢を悲しませない事。そして2人をちゃんと守ってやること。
「よし。俺がちゃんとしないとな」
俺は湯船から上がり脱衣所へと向かう。床が濡れていて滑らないように気をつけながら歩く。そして脱衣所の扉に手を掛け、扉を開いた。
「よ......うと...さん...?」
「あら」
脱衣所の扉を開くと、そこには何故か───
───タオル1枚の幽々子と妖夢の姿があった。
「...2人とも、先に聞いていいか......」
「なにかしら?」
「.........」
あぁ、妖夢から返事が帰ってこない......。
「タオル1枚だから...セーフ?」
「私はいいけど、妖夢はどうかしらね〜。それじゃ、私は先に入ってるわ」
そう言い、幽々子は脱衣所を後にした。
この空間にいるのはタオル1枚の俺と妖夢だ。まぁ結果はどうなるか分かってるけどな!
「陽斗さん...白楼剣と白楼剣。どっちがいいですか?」
「どっちも同じじゃねぇかーーー!!!」
結局、紅魔館の長い廊下で取っ組み合いになり、その姿を咲夜に見られて『あんたらタオル1枚で何してるのよ』と言われとても恥ずかしかった。そして最終的には妖夢に土下座しながら謝ったら許してくれた。
◇ ◇ ◇
「吸血鬼って血を吸わなくても生きていけそうね」
「なら亡霊もそんなに食べなくていいじゃない」
「いや、そういうわけじゃないと思うが......」
目の前ではレミリアと幽々子のなんかどうでも良さそうな会話をしていた。
此処は紅魔館の広い屋上。後ろには大きな時計塔があり、目の前ではとても綺麗な夜景が広がっていた。月も明るく、今夜は満月だった。
「良い月ね」
「冥界じゃ桜だけど、紅魔館で見る月は綺麗ね」
「ねぇねぇ、さくらってなにー?」
するとフランは桜を知らないのだろうか、幽々子にそう訪ねた。そっか。フランはずっと地下室にいて外に出たことがなかったのか。
「そうね。桜っていうのは......」
そう言い、幽々子は空を飛んで少し月を見上げる。ちょっとしてから幽々子はこちらを向いて両手を広げた。
「...こんな感じかしら」
そして手に持っていた御所車の扇子を広げた。それと同時に、幽々子からは複数の綺麗な弾幕が放たれた。ピンクや紫と言った、桜をイメージさせるような弾幕だった。
「わぁっ!」
「凄いわね」
「綺麗......」
「本とは見違えるくらい綺麗ね」
「おぉー!」
「パチュリー様見てください!凄いですよ!」
「見てるわよ......」
その弾幕をフラン、レミリア、咲夜、パチュリー、美鈴、小悪魔が歓声を上げた。幽々子の弾幕はひらひらとゆっくり下へと落ちていき、まるで桜が散って行くような感じだった。そしてそれを再現する幽々子も凄かった。
「すごーい!とっても綺麗だった!」
「ありがと。でも、本物はもっと綺麗よ。興味があったらいつでも白玉楼においでなさい、歓迎するわ」
「お姉さま!今度行きましょ!」
「そうね。近いうちに行こうかしら」
「やったー!」
フランはとても嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねた。レミリアもフランのそんな姿を見て少し微笑んでいた。
「どうだったかしら」
「とても良かったです!」
「流石だなぁ幽々子」
「うふふ」
幽々子はとても満足気に笑った。しかし、ほんとに綺麗だった。最初はどうするのかと思ったけど、まさか弾幕で桜を再現するとはな。これはきっと幽々子にしか出来ないであろう。
「それじゃもう遅いし、寝ましょうか」
レミリアは月を見ながらそう言った。あれ?吸血鬼って夜が活動時間じゃないのか?
「吸血鬼って夜に起きてるんじゃ......」
「客が来たときは別よ」
「ふーん」
「ほらフラン。行くわよ」
「はーい」
「では幽々子様も」
「そうね」
そう言い、みんなは屋上から降りようとする。
「ちょっと待ちなさい」
「あら、なにかしら?」
するとレミリアは何故か俺たちを止め、何かを言おうとする。
「部屋だけど、コンパクト...だったっけ?」
「魂魄です!」
そんな小さい妖夢も悪くわないと思う。
「貴女は美鈴と小悪魔、パチュリー達と寝てもらうわ」
「えっちょ、美鈴さん?なんで肩を掴むんですか?」
「気にしないでください」
「気になるんですけど。それとパチュリーさんと小悪魔さんはなんでニヤけてるんですか!?」
「実っけ......気にしないで」
「同じくです」
「えっと、なんで3人で服を掴むのですか!離してくださ......いやぁぁぁぁ!!!」
妖夢は顔が真っ青になって美鈴、パチュリー、小悪魔に連れ去られて行った。さらば妖夢。
「なら、私と陽斗はどこで?」
「そうね。咲夜、案内してちょうだい」
「かしこまりました。ではこちらへ」
咲夜はニッコリとした笑顔で俺たちを先導してくれた。
しばらく歩いてから、俺と幽々子はある部屋の扉の前に立っていた。
「ここです。それでは」
「え、ちょ......咲夜?」
咲夜はここに先導してからすぐに姿を消した。きっと能力を使ってこことは別のところに移動したのだろう。
「まぁいいわ。入りましょ」
「そうだな」
とりあえずどうでも良くなった為、俺と幽々子は寝室に向かっていった。
最近は暑い。ホントに暑い。これはホントに暑い。
何が?夏がです!
いやぁ、最近はホントに暑くてたまりません。動かなくても汗がびしょびしょです。まさしく、暑は夏い。
脱水症状や熱中症など、皆さん気をつけてくださいね!
感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!