気づけば桜の亡霊が傍に居てくれる   作:死奏憐音

35 / 76
最近、更新速度を頑張って上げてみよう!っと思っている作者ですが、たぶんもう少しで更新速度がいつもと同じくらいになりますゴメンなさい。
更新速度を上げたのは、何となくです!気まぐれです!

っと言うわけで、ごゆっくり。


30話:謎の危機感

「「「ごちそうさまでした」」」

 

昼ごはんを食べ終え、俺たちは手を合わせてそう言う。咲夜は食器を重ね、美鈴は立ち上がって背伸びをする。俺は重ねた食器を咲夜から受け取り、キッチンへと運ぼうとする。

 

「陽斗さん、とても美味しかったです!」

 

すると美鈴が笑顔で俺にそう言ってくれた。やっぱ、料理を褒めてもらえるって嬉しいことだよな。作ったかいがあるって実感できるよ。それに、美鈴の笑顔って凄く可愛いんだが...。

 

「おう、ありがとな」

「確かに、陽斗のご飯美味しかったわ。あれってなんて言う料理なの?」

「あれは蕎麦って言ってな、他にもいろんな種類があるんだ」

 

ちなみに、今回作ったのは和風料理の代表と言ってもいいだろう、蕎麦を作った。やっぱり、紅魔館のみんなって箸を使う料理には慣れてなかったのか、見ていて面白かった。

 

「ちょっと食べづらかったですけど、ああいうのも良いですね」

「そうね。また食べたいわね」

 

蕎麦は作るのはちょっと時間がかかったけど、こう言われたらまた作ろうかな。

 

「では、門番に行ってきますっ!」

「寝たら...分かってるわよね?」

「ふっふっふ、咲夜さん。この私が簡単に寝るとでも...ふわぁ〜......思ってるんですか?」

 

説得力ねぇー。

 

「はぁ...分かったから、もう行きなさい」

「はーい」

 

美鈴はそう言い紅魔館の外へと歩き始めたが、フラフラしていた事は見なかった事にしよう。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

食器片付けが終わり、俺は今図書館にいる。咲夜に『後は私の仕事だから、自由にしてていいわ』と言われたからだ。

そして今、その図書館で読む本を探しているのだが......

 

 

 

「なぁパチュリー」

「なに?」

「これ...なんの本......?」

「それは火や氷。主に属性に関係する魔道書よ」

「じゃ、じゃあこれは?」

「それは強力な魔法を使うための魔法陣に関する本。でも魔法陣を書くにはその本だけじゃなくてグリモアールも必要で...大丈夫?」

「あ、あぁ......」

 

ダメだ...全然頭に入らない......。グリモアール?なにそれくえんの?俺は頭を抱えながらパチュリーが心配してきた。

 

「パチュリー。1つ聞きたかった事があるんだが」

「何かしら?」

「パチュリーって、魔法使いなのか?」

 

正直、パチュリーがなんて答えるのかは予想出来てるが、一応聞いておきたかった。初めて会ったときに魔法結界を張っている時点で分かったのだが...。

 

「そうね。魔女、の方が当たってるかしら」

「魔女...ねぇ」

 

やっぱり魔法使い、魔女...どっちでもいいや。やっぱそうなんだなぁ。

 

「だからパチュリー様はもう100年は生きてますよ」

「えっ」

「だからパチュリー様はもうお婆ちゃん...あ!すみません!お願いですからスペカを取り出さないでくださいぃ!」

 

小悪魔の言葉に反応したのか、パチュリーは右手に弾幕ごっこで使用するスペルカードを構えていた。

 

「小悪魔。いくら私でも、そこまで言われたら怒るわよ」

 

そう言い、パチュリーはスペルカードを構えるのを止めた。まぁ、パチュリーも女性だもんな。年齢は気にしてなさそうだけど、やっぱり言われるとしょうがないか。

 

「とりあえずパチュリー。なんか俺でも読めそうな本はないか?」

「そうね.......これはどう?」

 

するとパチュリーは山積みにされている本の中から1冊取り出して俺に渡す。俺は本を受け取り、本の表紙に書いてあるタイトルを見た。そこには英語で...ガ、グマ...?

 

「パチュリー。これ、なんて読むんだ?」

「グリモアールよ」

「結局グリモアールかよ!」

「大丈夫よ。それは初級編。だから魔力を持たないあなたでもその魔法陣を描けば出来るはずよ」

「お、おぉ」

 

俺はパチュリーの言葉を信じて、俺はグリモアールを開いた。見開きの右のページには文字が書かれていた。相変わらず文字は読めないが......。そして左のページには魔法陣のような絵が載っていた。これがパチュリーの言ってた魔法陣か?

 

「陽斗。あなた、妖力はあるかしら?」

「あぁ。たぶんあると思うよ。多分だけど」

 

ある、という保証は出来ないが、俺は1度西行妖に精気を吸われかけた。それに能力も持っている。まぁあくまで予想だけどな!

 

「ならその魔法陣を、宙に指で描いてみて」

「わかった」

 

俺はパチュリーに言われ、グリモアールに載っている魔法陣を描く。すると、魔法陣を描き初めてすぐにグリモアールの魔法陣が青く光った。そして魔法陣を描いた所からは小さいながらも、青い炎が出て来た。

 

「おぉ!すっげぇー!」

「やっぱり、陽斗でも出来るのね」

 

やっべぇ!かっこいいぞこの魔法!たぶんパチュリーにとっては初期段階かもしれないけどなにこの達成感!

 

「なぁパチュリー!もっと教えて...なんで壁を見てるんだ?」

 

俺は魔法に興味津々でパチュリーにそう聞いた。だがパチュリーは俺の話を聞いていないみたいに、まるで壁を睨みつけているような感じだった。珍しく本を読まずにたっているパチュリーに小悪魔も少し意外そうな顔だった。

 

「......陽斗、しゃがんで」

「え?あ、あぁ」

 

俺はとりあえずパチュリーに言われたとおり、その場にしゃがんだ。俺は訳もわからず頭を隠した。ってなんでしゃがまないといけないの?

 

「パチュリー。なんでしゃがまな...っ!?」

 

俺はパチュリーに聞こうとすると、俺は言葉を止めてしまった。別に急に喋れなくなった訳でもなく、ましてや身体の調子が悪いわけでもなかった。



ただ、目の前の出来事に驚いたのだった。



 

 

 

 

 

 

壁がぶっ飛んだ。

 

 

その言葉の通り、目の前の図書館の壁が吹き飛んだのだった。俺は危ないと思いしゃがんだ状態を保つ。上からは小さいながらも瓦礫が降ってきてたまに身体に当たったりするが俺は振り止むのを待った。

そして瓦礫が振り止んで、俺は安全なのか周りを見渡す。辺りには瓦礫が落ちており、少し本が散らばっていた。そして壁には大きな穴が空いており、その穴の真ん中に見覚えのある姿があった。白黒の服に大きめの帽子。そして手に入るホウキを持っていた。

 

「ねぇ魔理沙。せめて門から入ってくれないかしら」

「いや、門番が寝てたからな」

 

今この場に咲夜が居たらすぐさま門に向かって行ってるであろう。

 

「っというわけで、本を借りてくぜ!」

 

魔理沙は話を聞いてはいたが、やはりどうでもよさそうに本棚をあさり始めた。

 

「魔理沙。借りるのはいいけど、前に持っていった本を返しなさいよ」

「大丈夫だぜ。死ぬまで借りてるからさ」

「なぁ魔理沙...それは世間では泥棒って言うんだぞ?」

「いやいや、ちゃんと返すから泥棒じゃないぜ」

「そういうことじゃなくて......」

 

魔理沙にはちゃんとした教育が俺は必要だと思う。

 

「そういや、なんで陽斗がいるんだ?」

 

すると魔理沙はやっと俺の存在に気づいたのか、俺の話しかける。

 

「そうだな。簡単に言うと料理を教えに来た、かな」

「へぇ〜。っと言う訳で、本を借りてくぜ!」

 

どうでもよさそうに魔理沙は俺の話を聞き、やっぱり最終的には本が目的だった。魔理沙はすぐさま本棚に向かい、あれやこれやと本を手にとっては重ねを繰り返していた。

 

「......パチュリー、止めなくていいのか?」

「大丈夫じゃないわ」

「ならなんで止めな......なるほどな」

 

俺はパチュリーにそう聞いたが、聞き終わる前に俺は理解できた。

パチュリーの手には光り輝くカードがあった。それには炎のような絵が書かれており、パチュリーはそのカードを上に挙げて呟いた。

 

「......日符『ロイヤルフレア』」

「...あ.........」

 

スペルカード。パチュリーは本を持っている魔理沙にめがけてスペルカードを放った。魔理沙は本に集中していたため、そしてパチュリーが静かにスペルカードを発動したため、魔理沙はロイヤルフレアに気づかなかった。当然、魔理沙はそれに直撃する。

 

「あぁぁぁああぁーーー!!!」

 

魔理沙は叫び声をあげて炎に包まれた。

 

少しして、魔理沙を襲った炎が収まり、その場には服がズタボロになっている魔理沙の姿があった。

 

「う、うぅ......なんだよぉ今日は機嫌が悪いのかよ」

「別に。ただ、陽斗が同じ事したらこうなるわって教えたかっただけよ」

「それを私で教えるか!?」

「絶対にしないからな!?」

 

俺はまだ黒焦げにはなりたくないしなろうとも思わない!

 

「それに......」

「「それに?」」

 

パチュリーが何かを言い出そうとし、俺と魔理沙は声がハモった。

 

「魔理沙にはなんとなく、ダメージを与えておきたかったから」

「お前私に何か恨みでもあるのか!?」

「ほら、第2ラウンドが始まるわよ」

「ま〜り〜さ〜!」

「うっ......この声は......」

 

その声が聞こえて、何故か魔理沙は小さくため息をついた。俺には誰の声なのかは分からないけど。俺は声のした方向を見た。するとその視線の奥のほうから小さい女の子が飛んできた。その女の子はすぐさま俺たちのところに来て床に足を付ける。

 

「まりさ!遊ぼっ!」

「はぁ。ちょっと待ってくれよぉ......」

 

その女の子は魔理沙を見つけては服を掴みそう言う。誰だろう。この紅魔館の住人だろうけど、前の宴会には居なかったよなぁ。

 

「...お兄さん、だぁれ?」

 

すると女の子は俺の存在に気づいたのか、俺の方を見てきた。なんだろう。なぜだか分からないが...この子に関わってはいけない気がする......。俺はそんな感情もありながら、その女の子と目を合わせた。そして女の子が口を開いて喋り始めた。

 

「私は、フランドール......」

 

そう言い、少女はニコッと笑った。

 




前回のゆゆ様編から、今回は陽斗編でした!

パチュリーはクールでカッコイイですよね。魔理沙が本を借りていくのも日常の如く対処しています。
そして遂に!フランの登場か!?陽斗はこれから、次回からどうなっていくのでしょうか。

感想や意見、気軽にどうぞ!
ではまた次回!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。